youtubeの東映公式で配信していた『仮面ライダー・電王』を最終回まで見ました。
リアルタイム当時は内容についていけずリタイアしてしまいましたが、平成ライダーで見ていない唯一の作品だったのでがんばって見てみました。

【良かった点】
■内容が面白い
・ほぼ小林靖子さんが一人で書いているため、ストーリーはまとまっていて1話単位でも描写の積み重ねと盛り上がりがしっかり含まれていて面白いです。この辺りは安心の小林さんですね。

■フォームチェンジが上手い
・クウガ以外の平成ライダーのフォームチェンジというと必然性の無いものがほとんどです。アギトみたいに「どう違うの?」と思うものから、キバみたいに「この状況ならあのフォーム使うべきだろ」とツッコミたくなるものばかりで有効活用できてる作品はほとんどありません。その点は電王は必然性があって面白かったです。

・フォームの力の源がイマジンなので人格があり、そのシーンごとに出てくる必然性が感じられました。イマジンに振り回されることもあったので正義の味方として見ると薄ら寒い面もありますが全体としては良かったと思います。強化フォームもストーリー展開と絡んでいて、上手く設定と組み合わせているなと感心しました。

【馴染めなかった点】
■きぐるみ劇
・イマジンたちのきぐるみ劇はリアルタイム当時と変わらず全然楽しめませんでした。良太郎の人格変化も同様です。主要人物であるイマジンへの感情移入の促進と性格描写という以上には内容が無いのが辛かったです。その回の登場人物とも全体のストーリーからも切り離されていて、イマジンたちに興味が無い私にはあの時間が苦痛でした。普段はふざけているけどキメるときはキメる。その演出効果はわかるのですがそれ以外の意味もほしかったです。きぐるみ劇が少なくなる後半のほうが楽しめました。

■内輪に向いた閉塞感
・ストーリーから設定まで徹頭徹尾、良太郎と姉の愛理、それにモモタロスたちイマジンのために作られていて閉鎖的な感じがしました。ストーリー面でも設定でもきれいにまとまっているのですが、正義のヒーローかと言うと怪しいです。周りの一般人の人たちは救われたというよりも、むしろ良太郎たちの巻き添えにされたように見えました。特異点の修復能力が便利過ぎたせいもあると思います。

■カイとはいったい
・もう一つの点がカイの描き方です。全ての発端であり黒幕のカイ、テンプレ的悪役ではなくカイ側の事情や心情も多少描かれていました。それだけに不満が残る展開でした。特異点であり時間の流れも知った上でイマジンを利用して過去を乗っ取ろうとする、そんな常軌を逸した行動をする以上、そうなった経緯があるはずです。何の答えも見せず、同情さえされないまま死なせるには引っ張りすぎです。設定面でもカイ一人のせいで腑に落ちない点が多くできていると思います。ライダーの枠では描ききれないスケールで不釣合いだったと思います。

【総合感想】
■クオリティは高い。しかし趣味が分かれる
・ストーリー、アクション、設定、いずれもクオリティは高くよくできた作品だと思います。しかし根幹部分が人を選ぶ内容だと思います。
 ・モモタロスたちのきぐるみ劇に興味が無い人
 ・見知らぬ人のために戦うヒーローらしいヒーローが見たい人
 ・SF要素を期待する人

上記に該当する人にはオススメしません。逆に運命とか背負い込まない等身大のヒーローが好きな人には良いと思います。

■個人的感想
・フォームチェンジの必然性や人格が異なるために動き方が全く違うアクションなどアクション面では面白かったです。ストーリーは設定面では興味を引かれましたが、良太郎やモモタロスたちに全く感情移入できなかったので最後まで他人ごとでした。自分たちの命運が世界につながるというのは苦手です。最後まで巻き込まれ型で、侑斗でさえ積極的にカイを排除しようとしなかったり、登場人物の攻撃的な面が描かれなかったのが好きになれません。敵も味方もお優しい。あの雰囲気に馴染めませんでした。それでも作品全体ではよくできていたと思えるので趣味に合った人ならハマるのも当然かなと思います。