ゴーバスターズ・最終回「永遠のキズナ」:感想&総括

2013年2月11日
【最終話感想】
■ストーリー
・陣さんを犠牲にして、エンターを見事打ち倒しました。
個人的には今更陣さんを犠牲にするというのがどうも納得いきません。そうしないために引き延ばしてきたのではなかったのですか。

・それとΩとエンターさんの倒し方がどうもゴーバスらしくないと感じます。
データに無いエースの攻撃で倒すのは燃えるシチュエーションなんですが、いくらなんでも一撃はやり過ぎです。それで通る装甲なら他のロボならもっと簡単にダメージ与えられたはず。エースの一撃をきっかけにコンビネーションで倒すとかやりようはあったと思います。
等身大エンター戦も原理の全くわからない必殺技で力押しってのは無いです。普通の戦隊なら問題ないですけど、科学設定やリアリティを重視したゴーバスでは禁じ手だと思います。小林さんの戦闘嫌いにも困ったものです。

・最後の橋のシーンは良かったです。エネトロンタンクを大きく映して走り去るヒロムが一話と被って、守った物の大きさと今までと違った道を行くことを暗示しているようで良い演出です。

■アクション
・人型の強敵相手だと、軍隊風のナイフアクションもマッチしますね。ここにきてようやく好敵手に出会えた感じです。それでもかっこよく見えるのがエンターさんなあたり、アクション監督もゴーバス特有のアクションを持て余してるようですね。

最終回としては綺麗な終わり方でした。ただそこに至るまでの流れがゴーバスらしくない感じがしました。そこが残念ですね。


【ゴーバスターズ・総括】
■ストーリー
・使命感を感じさせる心情描写。つっこみどころの無い展開。エンターさんを始め、個性的な人物造形。このあたりはさすが小林さんという見事な出来栄え。一方、小林病も健在で、戦闘軽視による説得力の喪失もかなりのものでした。ロボット戦もメインに置いたゴーバスでは致命的な欠点に思えます。

・また戦闘軽視以外の別の小林病も深刻でした。それは小林さん以外の脚本の存在感の無さ。
8割型小林さんですが、担当してない話はストーリー的にも設定的にもどうでもいい話ばかり。それどころか整備班の話など無いほうがマシなレベルのもありました。

・個人的な感想としては、戦隊でやるにはキャラが多すぎたと思います。
エンターさんもエスケープも(エスケープは嫌いだけど)個性的で、全体の物語にも大きく関わっています。味方もメイン5人以外にバディロイドもしっかり仲間として描かれてました。
それは良いことなんですが、ノルマの多い戦隊でやるには時間が足りませんでした。10年分の使命感の重さや陣さんの設定など、いくつかに絞って展開したほうが締まったと思います。

■アクション
・実戦を意識した軍隊風ナイフアクションは最初の時点でかなり違和感がありました。エンターさんみたいな人型相手ならいいんですが、バグラーやメタロイド相手だと「効くの?」という違和感が拭えません。これは最後まで変わりませんでしたね。試みとしては面白かったです。

・ロボット戦はクオリティは最高でした!単品でも良し、合体しても良し。バイクも有りと盛りだくさん。
一部パーツだけ換装する敵メガゾードも世界観と合ってました。脚本面でのフォローが無かったので、ただ倒すだけなのが多かったのが残念でなりません。戦隊の克服すべきはそこではないかと思います。

■総括
・全体の印象として部分部分はよくできていました。新しい要素を取り入れようとする姿勢も素晴らしいです。またその新しい要素もちゃんと面白く昇華できていました。
しかしながら要素を入れすぎて、全体の調和が上手くいきませんでした。スタッフ間での連携と目標のすり合わせが上手くいってなかったように思えます。
次回作のキョウリュウジャーは打って変わって、王道路線な印象なのでゴーバスの切り開いた新しい要素を少しづつ戦隊に馴染ませていってくれることを願います。

【追記】
・自分なりにゴーバスターズのテーマを考え、どこが気に入らなかったのか考えてみました。
やっぱり”戦隊らしくないこと”が嫌いだったんだと思います。

・ゴーバスのストーリー上のテーマは『過去を乗り越え、明日に向かって向き直すこと』だと思います。
13年前の亡霊である陣が死に、新たに生まれたJが生き残ったこと。そしてエピローグで既に次の人生をスタートさせた3人ではなく、これから歩みだそうとしている姿を描いたのはそのためでしょう。

・それ自体は良いと思います。ヒーローものとしても良いテーマです。
ただ戦隊には合わないと思います。戦隊の主なターゲットは幼稚園~小学生です。当然そこに合わせた内容がふさわしいです。
もちろん子供向けだからといってシリアスな話やヘビーな話がいけないことはありません。だけど絶対に忘れてはいけない点が一つあると私は思います。それは『夢』です。戦隊の役目は子どもたちに夢を与えることなんです。

・仲間と力を合わせて、勇気を持って全力を尽くせば壁は打ち破れる。そういう希望を与えるのが戦隊の大切な役目です。大人から見れば、『子供騙し』『現実はそんなに甘くない。』と思うでしょう。私もそう思います。
でもそうシニカルに現実を見ることが子供のためになるでしょうか?
私はそうは思いません。儚い夢も理想も、未来を信じて進む原動力となるなら立派なものだと思います。

・そこが私がゴーバスターズを好きになれなかった点なのだと思います。あまりに内省的過ぎて夢が無い。
これが戦隊ではなく大人向け特撮であったなら印象は相当変わっていたでしょうね。

コメント

2 件のコメント :

  1. >あまりに内省的過ぎて夢が無い。

    この辺は小林脚本の欠点とも呼べる点ですね。登場人物たちの葛藤よりも「広げた風呂敷を綺麗に畳むこと」を重視してますからね。手掛けた作品のほとんどがヒーローものらしく感じないと言った意見がありますが頷ける話です。

    それといきなり話は変わりますが同じ脚本家が手掛けたシンケンジャーに関してはどのような印象をお持ちですか、良い点と悪い点(合わなかった点)を教えていただきたいのですが

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    1. >同じ脚本家が手掛けたシンケンジャーに関してはどのような印象をお持ちですか、良い点と悪い点(合わなかった点)を教えていただきたいのですが

      シンケンジャーに関しては、客観的な評価としては「他人にオススメできる良い作品」だと思っています。
      ストーリーは丈瑠を中心にまとまっていて、心情描写も丁寧で話に起伏もあって面白いです。作りとしても「戦隊はどうしてもレッドが目立つ→レッドは殿様だから目立って当たり前」という発想は自然な流れで良いと思います。
      もしも戦隊を見たことがない人に何かオススメのものはないかと聞かれたら、ストーリー重視の人にはシンケンジャーをオススメするでしょう。

      個人的に合わなかった点はやはり小林さんの作風です。
      レッド中心はいいのですが、あまりにも他のメンバーが空気過ぎます。特に女性陣は壊滅的です。その中でもブルーだけ優遇されていたり、えこひいきが目立つのも鼻につきます。

      一番良くないと思ったのはバトル軽視です。
      小林さんにはいつものことですが、腑破十臓とのライバル関係をメインに持ってくるならバトルに手を抜くのは問題だと私は思いました。バトルが盛り上がらないと十臓が丈瑠にこだわる気持ちが伝わってきません。仏作って魂入れずという感じでそれは違うんじゃないかと思いました。

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