『機界戦隊ゼンカイジャー』 第10話「お昼も夜でもブルースカイ!」:感想

2021年5月9日
■論点がよくわからなかった
・介人の「ツーカイザーが周りの被害を気にせず暴れまわっても、俺たちが守るからそれでいい」という話がまずわかりませんでした。
「ツーカイザーとは戦わないこと」や「ゾックスの意思を尊重すること」が大前提になっているように見えたのですが、そうでしたっけ?
地球の平和という観点で考えると「キカイトピアとも戦うし、ゾックスたちとも戦う」という選択肢も充分有りだと私は思います。なんでツーカイザーが暴れるのは仕方ないという話になっているのでしょう?
レッド中心に意思が統一されてる作品なら「レッドがゾックスにシンパシーを感じてるから戦う選択肢はないのだろう」とか考えられるのですが、ゼンカイジャーの場合は散々メンバーの意思がばらばらという話をして、今回もガオーンが空気読まない発言をしていたのでこの線では筋が通りません。何が最優先で、何が些末な問題なのか論点がわかりませんでした。

・ジュランたちは介人の決定に何も口挟まないことにも違和感を感じました。あの場面には「おいおい、ツーカイザーを止めなくていいのかよ?!」とツッコミが入るほうが自然なように私は感じました。
前半でジュランが言っていた「そもそも呪われたのはあいつらの自業自得なのでは?」という疑問提起は私も同じことを思ったので、途中まではジュランの心情と同調していたのに最後はジュランが無反応だったことに余計に違和感を感じました。

・そもそも介人にとってこれでいいんでしょうか?
回想でもあった介人が両親関連でやらかしたときには、ジュランに「家族の心配するのは当たり前だろ! 少しは自分のことも考えろ!」と怒られていたはずなんですが。
今回の介人の主張って「ゾックスが弟たちを助けたい気持ちはわかるからツーカイザーの勝手は許す。その被害は自分たちでカバーする」ってことですよね? これだと介人はいつどうやって両親を助けるのでしょう? 自己犠牲的な行動でジュランの発言と真っ向から対立するように見えます。ジュランは怒らなくていいんでしょうか?

・一般市民を守るために身体で銃弾を受け止めるシーンも個人的には違うように感じました。
助けることが最優先なのだからレジェンドギアも使って全力で守るほうが適切なように見えました。たとえばマジレンジャーの魔法で壁を作ったり、忍者系の煙幕で逃したり、あるいは”救急”と言えばゴーゴーファイブと拡大解釈して変形したブルーンを救急車に見立てて避難させるとか適したものはあったと思います。
介人の最善か怪しい行動と合わせてもやもやしました。

・今回の敵の作戦もよくわかりませんでした。
どうやら地球の人々は3日間も状況を理解できなかったようでした。個人的には受け付けないリアリティラインでした。
「お腹が減ったけど時計は3時だからおやつで済ませる。それを10回繰り返してもなんとも思わない」なんておかしいと思います。
これで「意識レベルから改変されてるからお腹も減らないし疲れもしないし眠くもならない」というならまだわかりますけどそうじゃないんですよね。昼だろうが夜だろうがお腹が減ったら食事をするし睡眠を取るほうが普通だと思います。
そもそも論でいくと太陽が沈まないだけなら時計の針は動き続けるはずですし。生態的にも物理現象的にも3日も過ぎてるのに気づかないのはおかしいと思います。

・そもそも今回の怪人の作戦と介人たちの話はどう関係していたのでしょう?
そこからもうわかりませんでした。全くの無関係な話をやることは作劇上考えにくいはずですが関連性が見当たりません。「夜が来るはずなのに来ない=あるべきものがない(介人の両親やゾックスの弟の本当の姿)」とか「世界をおかしなふうに捻じ曲げる敵」とか意味があると思うんですがこれといったものが思いつきません。他の怪人をあてはめても特にストーリーには支障がないように感じてしまいました。何がどうなっていたのでしょう?

・この点に関してまた別の違和感がありました。
ジュランとガオーンは眠いから寝た一方、巨大戦用にマジーヌとブルーンは起きていました。マジーヌは「キレてるから」という理由で片付けるにしてもブルーンが謎でした。何か理由を用意したほうが良かったと思います。
ブルーンの性格なら「几帳面なブルーンは太陽が沈まなかろうと正確な時刻に食事や睡眠を取っていたためあまり疲れていなかった」とか「本に夢中で寝食を忘れて没頭することが珍しくないため平気だった(これなら前半の本に夢中で話を聞いていなかった描写がプラスに働く)」とかキャラ描写も兼ねてやれることがあったと思います。
個々人の人格を尊重するかのようなお話で、キャラを駒扱いするような投げやりな使われ方をすることに違和感を感じました。介人みたいに言ってることとやってることが噛み合ってないように感じます。

■早くもパワーアップ?
・図面の感じだと イジルデが開発していたものは武器や装備のようでした。ステイシーも側にいましたし、普通に考えるとステイシー用の装備ですよね。まだ1回しか出てきてないのにもう新装備やスーツが追加されるのでしょうか?
それだと早すぎるんで、実は巨大ロボ用のパーツでそれをゾックスが奪ってツーカイザー用のロボが完成するとかでしょうかね。


次回はゾックスの妹の話みたいです。
お話としては構わないんですが個人的には興味がわきません。「人間が一人だけ」とか異種族を強調してきた作品で結局人間の役者さんが中心になっていくのは看板詐欺な感じで嬉しくありません。
特に撮影スタッフは個人的な感情で役者さんに入れ込む傾向があると思っているので不安です。


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