『ヒーリングっど♥プリキュア』1~5話:感想
『ヒーリングっど♥プリキュア』を5話まで見た時点での第一印象です。
■全体の印象
・今のところはまずまずの出来栄えだと思います。基本的にはいつものプリキュアでキャラもストーリーも綺麗にまとまっていて安定感があります。いかにも香村さんらしい印象でそこは安定感を感じます。
・一方、全体的に手堅くまとまり過ぎてこじんまりとした印象もあります。
香村さんがシリーズ構成を手掛けた戦隊2作品ではそこがボトルネックになっていた印象があるのでやや不安です。しかしプリキュアシリーズ自体がそもそも主人公たちの内輪の小さな関係性を重視する傾向にあるので作品との親和性があり、良い方向に働くかもしれません。
■各話感想
・1,2話は特に完成度が高くて面白かったです。
1話は正義感が強いけれども自分を顧みない姿勢が危うく見えるところが主人公のノドカと相棒の妖精のラビリンに共通していることが行動から見て取れて、なぜラビリンがノドカに共感してパートナーに選んだのか自然に納得できました。
・ノドカ目線の強かった1話に対して、2話はラビリンの目線が多く描かれていました。
ノドカの日常生活を目の当たりにした後に突然「運動できないどんくさいやつなんてプリキュア失格! パートナーを解消する!」と言い出したときには自分からなってほしいと頼んでおいて勝手なことを言うなぁと思いましたが、その直後に同じ妖精仲間にだけ「あれじゃ怪我するかもしれないから心配。 あんな良い子に死んでほしくない…」と真意を話す場面が印象的でした。キャラの視点に合った情感のこもったドラマをやっていきたいのだなと伝わってくるシーンで作品への信頼感が高まりました。
個人的には他人を助けることに異常な情熱を燃やして自分のことを気にしないノドカの姿勢はかなり危ういと思っていますが、この作風ならいずれその問題性もちゃんと扱ってくれるだろうと思えました。
・3,4話は個人的には今ひとつでした。チユとヒナタ、二人目、三人目のプリキュアがそれぞれ加入する回なのですが駆け足になってしまいました。
1,2話をノドカとラビリンの2人に充てたためプリキュアになるキャラですらほぼ初登場の状態で、同じくまだキャラの薄い妖精二人も描きつつ一気に初変身まで持っていく必要がありました。これはやっぱり無理がありました。本当に最低限のドラマになってしまって、違和感や疑問点はないけど納得感や盛り上がりにも欠ける展開にしかなりませんでした。
・5話はそこを補うためにチユとヒナタの二人がメインの回になっていました。試み自体は適切だと思うのですが具体的な内容自体は少し疑問がありました。3,4話もそうなのですがチユとヒナタはマイナス面のほうが多く描かれているように見えます。
チユは「生真面目で自分にストイック。思いやりはあるが正論をずばずばぶつけるタイプなので周りからは怒っているように見られてしまうことがある」タイプで、ヒナタは「マイペースで周りの雰囲気を和ませる一方、一つのことに夢中になって他人との約束などを忘れがち」なタイプのようなのですが、二人とも後者のマイナス面のほうが多く出ていて良いところがあまり描けていないように見えます。
・現状の率直な印象としては「怒りん坊と忘れん坊」という印象でチユとヒナタのキャラに魅力を感じているとは言えません。
単純化しない人物描写はヒープリの魅力になり得ると思います。二人の仲を取り持とうとノドカが二人を誘って行った水族館で何気なく口にしたダジャレがウケて仲が良くなるが、それはそれとして戦闘後にはダメ出しが始まってまた怒られ状態で気まずくなるという流れはリアリティがありました。そういう「頭ではダメだとわかっているけどついやってしまう」とか「一面的には仲が良くなってもダメなところはダメなまま」とかそういうことってありますよね。
こういう方向性は長期ドラマ向けで良いと思うのですが、そうするにしても「まずキャラクターの魅力から描く」ことが重要なことに違いはないと思います。
■キャラクター
・個人的には人間よりも妖精たちのほうがキャラ立ちしているように感じています。
みんな「滅びかけの王国から最後の望みのプリキュアを探す使命を託されて送り出されてきた」という境遇なので使命感はかなり強いです。それだけだと雰囲気が重くなってしまいますが、SDマスコットなビジュアルを活かして「やってることはシリアスだけど外見はコミカル」というバランスになっていて雰囲気としては明るく仕上がっていました。倒木の下敷きになって出れない場面や病気のラテ様を神輿みたいに担いで運ぶ場面は普通の人間のビジュアルでやっていたら相当しんどいシーンになっていたでしょう。
人間勢のほうは妖精に比べてキャラ立ちが弱く感じますが、「序盤はビジュアル面から目立ちやすい妖精で支えて、ドラマの要である人間はじっくり描いていく」という思想によるものだと良いですね。
・意外性という点ではニャトランが一番でした。
猫らしく明るくお気楽な性格だと思っていたら危険なタイプの楽観性でした。人間(ヒナタ)の前でついしゃべってしまってヤバい状況になったら「実はしゃべれる猫なんだ!」と言い出して他の妖精に注目が行かないようにしつつ反応を伺いながら嘘で乗り切ろうとしたり、 ヒナタに惹かれるものを感じたらあえて怪人のほうに誘導して先にプリキュアになった二人が変身するところをわざと見せてその後でプリキュアになってくれと頼むときに必要な状況説明を省こうとしたり、成功したときの利益を最大化することを重視して失敗したときのリスクは考えないタイプでした。結果としては上手くいったのでニャトランの挙げた成果と言えなくもないのですが、個人的には直接関わる仲間にいてほしいタイプではありません。何をしでかすか不安で落ち着きません。
・好感度が一番高いのはラテ様です。ぬいぐるみの玩具が販売される赤ちゃんポジションで、外見はトイプードルみたいな犬です。実は妖精界の王女というだけあって気高さが突き抜けてます。
「怪人が発生する=敵が地球を汚したから=ラテ様にも影響が出て病気になる」という構図が基本になっているため毎回病気でぐったりします。でもその状態でも「あっちから…病気の気配がする…(ピクピク)」と泣き言も言わずに人間レーダーとしての役割を全うする姿は立派です。更には怪人をようやく倒してそんな状態から復帰した後でも第一声が「仲良し(ケンカしていた主人公と妖精が仲直りできたことが嬉しい)」だったり、最年少と思われるのに部下への配慮までする姿は王族の鑑でした。
ラテ様に感情移入しすぎて地球を蝕む云々よりも「ラテ様を苦しめるなんて許せない!さっさと怪人を倒さないと!」と思う側面のほうが強いくらいです。
■デザイン
・キャラデザは意図的なのだと思いますが地味なのが特徴ですね。
髪の色からして茶色や黒など比較的現実よりの色合いになっていて、ピンク色や緑色の髪の毛のキャラは人間にはいません。
私はこれくらいのほうが落ち着くので肯定的です。少なくともヒープリのお話を派手派手な色合いでやるのは違和感が強いと思います。変身後との落差も強まりますし、私は良いと思います。
・プリキュアのデザインはかなり普通です。いかにもピンクのプリキュア、ブルーのプリキュアという感じです。
比較的変わってるのはイエローのスパークルですが、巻き角ヘアーもモコモコスカートも過去にあるのでそこまで変わったデザインではありません。
・普通であることは特に何とも思いません。
プリキュアのデザインはもうだいたいやり尽くしていると思うので、これだ!というデザインを思いついたわけでもないのに無理をする必要もないと思います。
■アクション
・常にロッドを持っている点が特徴でしょうか。
しかしロッドで殴るのは禁止事項っぽい感じです。ロッドでできるのがバリアと必殺技だけなのでパンチもしづらく、実質的にアクションが蹴り縛りになっている点は心配です。
・今のところそもそもバトル自体がかなり短いです。
私はアクションも好きなのでバトルが短くなること自体は残念に思いますが、作画は低調でストーリー上での必要性も感じない最近のプリキュアのバトルなら短くなることも仕方ないと思っています。中身がないバトルをダラダラ続けるより、スパッと最低限にしてその分ストーリーに割り当てるのは現状を鑑みれば論理的な解答だと言えるでしょう。
■全体の印象
・今のところはまずまずの出来栄えだと思います。基本的にはいつものプリキュアでキャラもストーリーも綺麗にまとまっていて安定感があります。いかにも香村さんらしい印象でそこは安定感を感じます。
・一方、全体的に手堅くまとまり過ぎてこじんまりとした印象もあります。
香村さんがシリーズ構成を手掛けた戦隊2作品ではそこがボトルネックになっていた印象があるのでやや不安です。しかしプリキュアシリーズ自体がそもそも主人公たちの内輪の小さな関係性を重視する傾向にあるので作品との親和性があり、良い方向に働くかもしれません。
■各話感想
・1,2話は特に完成度が高くて面白かったです。
1話は正義感が強いけれども自分を顧みない姿勢が危うく見えるところが主人公のノドカと相棒の妖精のラビリンに共通していることが行動から見て取れて、なぜラビリンがノドカに共感してパートナーに選んだのか自然に納得できました。
・ノドカ目線の強かった1話に対して、2話はラビリンの目線が多く描かれていました。
ノドカの日常生活を目の当たりにした後に突然「運動できないどんくさいやつなんてプリキュア失格! パートナーを解消する!」と言い出したときには自分からなってほしいと頼んでおいて勝手なことを言うなぁと思いましたが、その直後に同じ妖精仲間にだけ「あれじゃ怪我するかもしれないから心配。 あんな良い子に死んでほしくない…」と真意を話す場面が印象的でした。キャラの視点に合った情感のこもったドラマをやっていきたいのだなと伝わってくるシーンで作品への信頼感が高まりました。
個人的には他人を助けることに異常な情熱を燃やして自分のことを気にしないノドカの姿勢はかなり危ういと思っていますが、この作風ならいずれその問題性もちゃんと扱ってくれるだろうと思えました。
・3,4話は個人的には今ひとつでした。チユとヒナタ、二人目、三人目のプリキュアがそれぞれ加入する回なのですが駆け足になってしまいました。
1,2話をノドカとラビリンの2人に充てたためプリキュアになるキャラですらほぼ初登場の状態で、同じくまだキャラの薄い妖精二人も描きつつ一気に初変身まで持っていく必要がありました。これはやっぱり無理がありました。本当に最低限のドラマになってしまって、違和感や疑問点はないけど納得感や盛り上がりにも欠ける展開にしかなりませんでした。
・5話はそこを補うためにチユとヒナタの二人がメインの回になっていました。試み自体は適切だと思うのですが具体的な内容自体は少し疑問がありました。3,4話もそうなのですがチユとヒナタはマイナス面のほうが多く描かれているように見えます。
チユは「生真面目で自分にストイック。思いやりはあるが正論をずばずばぶつけるタイプなので周りからは怒っているように見られてしまうことがある」タイプで、ヒナタは「マイペースで周りの雰囲気を和ませる一方、一つのことに夢中になって他人との約束などを忘れがち」なタイプのようなのですが、二人とも後者のマイナス面のほうが多く出ていて良いところがあまり描けていないように見えます。
・現状の率直な印象としては「怒りん坊と忘れん坊」という印象でチユとヒナタのキャラに魅力を感じているとは言えません。
単純化しない人物描写はヒープリの魅力になり得ると思います。二人の仲を取り持とうとノドカが二人を誘って行った水族館で何気なく口にしたダジャレがウケて仲が良くなるが、それはそれとして戦闘後にはダメ出しが始まってまた怒られ状態で気まずくなるという流れはリアリティがありました。そういう「頭ではダメだとわかっているけどついやってしまう」とか「一面的には仲が良くなってもダメなところはダメなまま」とかそういうことってありますよね。
こういう方向性は長期ドラマ向けで良いと思うのですが、そうするにしても「まずキャラクターの魅力から描く」ことが重要なことに違いはないと思います。
■キャラクター
・個人的には人間よりも妖精たちのほうがキャラ立ちしているように感じています。
みんな「滅びかけの王国から最後の望みのプリキュアを探す使命を託されて送り出されてきた」という境遇なので使命感はかなり強いです。それだけだと雰囲気が重くなってしまいますが、SDマスコットなビジュアルを活かして「やってることはシリアスだけど外見はコミカル」というバランスになっていて雰囲気としては明るく仕上がっていました。倒木の下敷きになって出れない場面や病気のラテ様を神輿みたいに担いで運ぶ場面は普通の人間のビジュアルでやっていたら相当しんどいシーンになっていたでしょう。
人間勢のほうは妖精に比べてキャラ立ちが弱く感じますが、「序盤はビジュアル面から目立ちやすい妖精で支えて、ドラマの要である人間はじっくり描いていく」という思想によるものだと良いですね。
・意外性という点ではニャトランが一番でした。
猫らしく明るくお気楽な性格だと思っていたら危険なタイプの楽観性でした。人間(ヒナタ)の前でついしゃべってしまってヤバい状況になったら「実はしゃべれる猫なんだ!」と言い出して他の妖精に注目が行かないようにしつつ反応を伺いながら嘘で乗り切ろうとしたり、 ヒナタに惹かれるものを感じたらあえて怪人のほうに誘導して先にプリキュアになった二人が変身するところをわざと見せてその後でプリキュアになってくれと頼むときに必要な状況説明を省こうとしたり、成功したときの利益を最大化することを重視して失敗したときのリスクは考えないタイプでした。結果としては上手くいったのでニャトランの挙げた成果と言えなくもないのですが、個人的には直接関わる仲間にいてほしいタイプではありません。何をしでかすか不安で落ち着きません。
・好感度が一番高いのはラテ様です。ぬいぐるみの玩具が販売される赤ちゃんポジションで、外見はトイプードルみたいな犬です。実は妖精界の王女というだけあって気高さが突き抜けてます。
「怪人が発生する=敵が地球を汚したから=ラテ様にも影響が出て病気になる」という構図が基本になっているため毎回病気でぐったりします。でもその状態でも「あっちから…病気の気配がする…(ピクピク)」と泣き言も言わずに人間レーダーとしての役割を全うする姿は立派です。更には怪人をようやく倒してそんな状態から復帰した後でも第一声が「仲良し(ケンカしていた主人公と妖精が仲直りできたことが嬉しい)」だったり、最年少と思われるのに部下への配慮までする姿は王族の鑑でした。
ラテ様に感情移入しすぎて地球を蝕む云々よりも「ラテ様を苦しめるなんて許せない!さっさと怪人を倒さないと!」と思う側面のほうが強いくらいです。
■デザイン
・キャラデザは意図的なのだと思いますが地味なのが特徴ですね。
髪の色からして茶色や黒など比較的現実よりの色合いになっていて、ピンク色や緑色の髪の毛のキャラは人間にはいません。
私はこれくらいのほうが落ち着くので肯定的です。少なくともヒープリのお話を派手派手な色合いでやるのは違和感が強いと思います。変身後との落差も強まりますし、私は良いと思います。
・プリキュアのデザインはかなり普通です。いかにもピンクのプリキュア、ブルーのプリキュアという感じです。
比較的変わってるのはイエローのスパークルですが、巻き角ヘアーもモコモコスカートも過去にあるのでそこまで変わったデザインではありません。
・普通であることは特に何とも思いません。
プリキュアのデザインはもうだいたいやり尽くしていると思うので、これだ!というデザインを思いついたわけでもないのに無理をする必要もないと思います。
■アクション
・常にロッドを持っている点が特徴でしょうか。
しかしロッドで殴るのは禁止事項っぽい感じです。ロッドでできるのがバリアと必殺技だけなのでパンチもしづらく、実質的にアクションが蹴り縛りになっている点は心配です。
・今のところそもそもバトル自体がかなり短いです。
私はアクションも好きなのでバトルが短くなること自体は残念に思いますが、作画は低調でストーリー上での必要性も感じない最近のプリキュアのバトルなら短くなることも仕方ないと思っています。中身がないバトルをダラダラ続けるより、スパッと最低限にしてその分ストーリーに割り当てるのは現状を鑑みれば論理的な解答だと言えるでしょう。
こんにちは。
返信削除「主役が元病弱(現虚弱)設定抱えてて、マスコット枠も敵が出現する度に病弱になる設定を抱えてる」と言う良く分からない方向での斬新さが出てるプリキュア…と言うのが、1~6話までを見た第1印象です。
シナリオは良くも悪くも現時点では「よくあるプリキュア」の域を出ないので、特に語る事は無いです。
キャラクターに関しては、「<のどか>の元病弱が故に体力無い設定」をどこまで続けるつもりなのか…って所が一番気になりますね。
既に「ランニングで体を鍛える」みたいな事は言ってて実行もしてるので、2クール目辺りには形骸化してそうな気配は出てますが…。
後は、怪物出現→ラテが弱る→聴診器でラテがざっくり説明してるのを聞く→怪物浄化→エレメントから回収したパワーでラテ回復…と言う流れを1年持たせるのは流石に色んな意味でキツイと考えているので、そこへの代用策があるのかないのかは個人的に注目してます。
まぁ一応「ラテ含めヒーリングアニマルは、その使命を果たすに人間のパートナーを見つけなきゃいけない」的な事は1話で言ってたので、パートナー見つけるなり成長させるなりはするんでしょうけれども。
マッソさん、こんにちは。
削除>既に「ランニングで体を鍛える」みたいな事は言ってて実行もしてるので、2クール目辺りには形骸化してそうな気配は出てますが…。
そうなる可能性は考えられると思います。ただ、「病気」は主要要素の一つですし、ヒープリのリアリティラインからすると最後まで定期的に触れていってもおかしくないとも思います。「運動してればそのうち人並みに良くなる」というのは都合が良すぎるでしょう。現実に即しておらず啓蒙主義の観点ではマイナスでしょう。ヒープリでそれをやるかと言えば疑問があります。
>と言う流れを1年持たせるのは流石に色んな意味でキツイと考えているので、そこへの代用策があるのかないのかは個人的に注目してます。
主にボトルの販促の関係で行われていると思うので例年のペースなら1クールが過ぎると無くなるかもしれませんね。
エレメントが汚染されるとラテ様が病気になるのは因果関係が不明瞭なので「抗体が身についたのでラテ様は影響を受けない」とかいくらでもやりようはあるでしょう。
ただ、こういった要素を全て排除するとヒープリの主要要素の医者や治療を表す行為がなくなってしまうので、そこをどうするかという問題はあると思います。
医者という職業行為と普通の中学生という日常生活が水と油なので、ある程度の割り切りは仕方ないと私は考えています。