『仮面ライダーエグゼイド』を最終回まで見終わった時点での全体感想です。
「中身がない」と私はよく言いますが、スタッフのほうから「この作品には中身がありません!」と主張されると、自分でそう思うよりもずっとうんざりしますね。
*全体の感想なので必要に応じてネタバレがあります。


【一言まとめ】

エグゼイドの特徴:積み重ねの意図的な放棄。
ストーリー:1クール前どころか1話前の展開すら反故にする超展開。
アクション:例年どおりいまいち。
デザイン:奇抜なデザインだがそれだけで、動きやモチーフは普通なので数話で見慣れておしまい。


【こんな人には向いていない】

・私は根本的に価値がわからなかったので、「どこが良い、どこが悪い」という話はできそうもありません。作中で起きた事実を軸にして「こういう内容を期待している人には向いていない」という話を主にしていきたいと思います。
■ゲーム要素
・エグゼイドの主要モチーフの片割れが「ゲーム」です。(もう一つは「医療」)
主人公の肩書は天才ゲーマーですし、主役のライダーであるエグゼイドの胸にはスーファミのコントローラー状のデザインが描かれていますし、各フォームの名前も 「○○ゲーマー」で統一されています。しかし実際に作中で描かれるゲーム要素は目を疑うようなデタラメな内容ばかりでした。

・端的に表れている言葉は「ゲーム病」だと思います。
敵が感染させる病気で症状が悪化すると患者は消滅し、代わりにゲームから生まれたデータ生命体である怪人が現実世界に受肉する仕組みになっています。
ここまで説明すればわかるかと思いますが、ゲームは特に関係ありません。敵が撒いたウイルスに感染すると発病するだけで、ゲームをプレイしているとなるとかゲームをプレイしないと死ぬとか、そういう病気ではありません。
私には現実のゲームに対してネガティブなイメージを植え付けようとしているように見えてなりません。ゲームをモチーフにした作品でゲームを貶めようとするなんてあり得ないです。

・デタラメな展開の筆頭は「リセット」です。
ラスボスが使う能力で簡単に言うと「時間を巻き戻す」能力です。一度倒されたのに倒されたことを無かったことにする。自分を倒すために主人公たちが創り出したアイテムを開発する前まで巻き戻してアイテムの存在を無くす。そういったことをしていました。
ここまでなら「リセットしてセーブをロードした」という話で済んだのですが実際にはとんでもない事態になりました。
「変身アイテムは元に戻るが、敵を倒して集めたアイテムはそのまま残る。人の記憶は全く消えない」というおかしなことになりました。作中の台詞によると「ゲーム内のものはリセットされる」そうなのですが区別が理解しがたいものでした。
現実世界に物理的に存在している変身アイテムはゲーム内扱いだけど、ゲームの報酬として生成されたアイテムは消えない。ゲーム内の存在であるはずの敵キャラたちの記憶も消えない。「ゲーム内」っていったい何なのでしょうか? そもそも「リセット」されるけど残るものもたくさんあるってそれはリセットなのでしょうか?

・個人的に受け入れがたかったことは、主人公が率先して「チート」を使ったことです。
中盤から「必殺技を当てると敵の能力を消す能力」を手に入れます。それを使って乗り物を使う敵の乗り物を抹消したり、攻撃無効化能力を使う敵から無効化能力を抹消したりします。バトルとしてもつまらないですし、ストーリー面でも最悪でした。
「天才ゲーマー」だの「俺がお前を攻略する」だのと言っているのにやることはチートでがっかりしました。主人公は天才ゲーマーを名乗るなら、むしろ逆にチートを使ってくる相手を正攻法で倒すくらいしてほしかったです。

・なおスタッフは最終回の時点でも
「ゲームという荒唐無稽なモチーフ」
と思っているそうです。私にはさっぱりわからない価値観です。ゲームが荒唐無稽なら特撮ヒーローも充分荒唐無稽だと私は思います。この言葉に反発を覚える人は見ないほうが良いと思います。スタッフの態度が作品によく表れている言葉で実際そんな内容です。

■未熟な研修医の成長物語
・エグゼイドのもう一つの主要モチーフが「医療」です。
主人公の永夢は駆け出しの研修医で冒頭のナレーションでも医者であることが強調されています。しかし実際には医療は内容とほとんど関係がありません。

・まず医者や医療の描写が全体を通して片手で数えるほどしかありません。
基本的な展開は「通報があって現場に行くと患者が倒れている→敵を取り逃して患者のお悩み相談をする→敵を倒して解決したことにする」です。基本的に従来の平成ライダーと同じです。医学的アプローチは特にありません。
作中では「患者の精神的ストレスが症状を悪化させる」設定なのですが、対応するのは研修医の主人公や外科医の2号ライダーで、カウンセラーや精神科医は一切登場しません。病院が基地になっているのに対応がずさんです。

・「まぁ、あくまで『医療ドラマ』だから人間ドラマが中心になるのは仕方ない」と考えようにもそちらも絶望的です。
主人公の永夢は特に成長しません。医者としても人間としても成長しません。

・医者としては描写がありません。
最初は主人公が医者を志すきっかけになった小児科医の研修から始まったのですが、何の描写もないまま1クールの終わり頃に「今日で小児科の研修も終わりだね。次はどこ?」なんて会話を振られて処理されました。子供との触れ合いとか理屈の通じない子供に対する治療の難しさとかそういう話は一切ありませんでした。その後も同様で、いつの間にか研修が始まりいつの間にか終わっていました。
作中で描かれている範囲だとライダー業務が忙しくて全然研修ができていないように見えて主人公の医者としての将来が心配になってくるのですが、稀に出て来る台詞によると順調だそうです。医療ドラマとしては描かれてないことにドラマを見いだせる人にしかオススメできません。

・人格面では最初からほぼ完成されています。
1話から病院の特別な部屋に隔離された患者を事情も知らずに連れ出す身勝手さを見せますが、それは最後まで変わりません。周りには天才外科医や元ライダーのベテラン闇医者などがいますが「あなたたちは間違ってる!」と主人公に批判され「さすが主人公」と主人公をよいしょする要員でしかなく、先輩からの影響なんて受けません。
基本的に「主人公の言動=この世界の正義」として最初から最後まで描かれていて挫折や苦悩はありません。4クール目になっても「命の大切さを教えるために敵が臨死体験するほどにボコボコにする」など頭がおかしいように見える言動をしては周りに褒められています。

・主人公がダメでも他のキャラや脇役があるのでは?と思うかもしれませんが、ありません。むしろ医療関連では主人公が一番まともに描写されているくらいです。諦めてください。

■長期クールにふさわしい積み重ねのあるストーリー
・ストーリー面ではエグゼイドの特徴である「積み重ねの放棄」が遺憾なく発揮されています。まともなストーリー展開を期待していると
「何でもあり」
「やってみたらできました」
「敵がアホだった」
の最低トリプルコンボで完全粉砕されます。
ご都合主義の代表例は主人公の使うチート能力とラスボスの使うポーズやリセットです。

「ラスボスは”ポーズ”で時間を止める。ライダーは身動きが取れないので一方的にやられる」
「その対抗策として何の前フリもなくポーズを無効化する最強フォームを開発する」
 「最強フォームに手も足も出ずに負けたラスボスは突然『リセット』能力に目覚める」
「その次の話で主人公たちはリセットを無効化する『セーブ』機能を開発する」

・万事がこんな調子です。子供がおふざけでやるような
「何でも攻撃を防ぐバリア→じゃあバリアを貫通するビーム→じゃあバリアを貫通するビームを防げるバリア」を地で行く展開で頭が痛くなってきます。「以前から開発していた」とか前フリなんて一切ありません。「それができるなら最初からやれよ!」と言いたくなることばかりが起きます。酷いときには1話前の展開と矛盾しているように見えることすら平気で起きます。

・それでいて話の進展は遅いのがまた問題です。
1クール目は敵から届けてくれるフォームチェンジ用のアイテム集め。2クール目は何度倒しても死なないゾンビ。 3クール目は敵を倒しても復活する徒労クロニクル。4クール目はまたまた倒せても理由をこじつけて復活するラスボス。このように似たような展開が長々と続くのもエグゼイドの特徴です。

・これだけでも単調で退屈なのですが、その上に「主人公たちの主体性がない」という重荷までのしかかってきます。
上で事態が進展しないと述べましたが、なぜ進展しないかというと主人公たちが何もしないからなのです。明らかにただ戦っていても解決しない目の前の問題に対して何も疑問を抱かず、問題意識すら見せません。ただ「また倒せなかった」と言うだけで「どうやったら倒せるんだ?」と言い出す人がいないのです。これでいざ解決するときには「ゾンビは普通に倒しても復活する。だから復活を阻止するアイテムを作ろう!」とか、真っ先に思いつくような平凡な提案を名案であるかのように提唱しだすので余計にイライラします。
事態が進展するのはいつも突然開発された新アイテムや敵の行動のおかげで、主人公たちが事態を解決しようとして話が進むのではありません。 なので主人公たちライダーがかっこ悪く見えます。
これは敵も同様で、「そんなことできるなら最初にやっておけば勝てたよね?」と思うようなことを後から平然とやり始めます。
味方もアホ、敵もアホ。そんな登場人物たちがどこからともなく出てきた新設定を披露して勝つのがエグゼイドの基本的なストーリー展開です。そんな話を全45話も見たくないと思った人は止めたほうがいいです。

■レベル差を埋める技巧的な戦い
・ここまで来ると「せめてバトルは…」と願いたくなりますが、それも無理です。
エグゼイドの世界ではフォームごとに「レベル」が定められています。しかしこのレベルも意味があるようでありません。状況ごとに意味が書き換わるので何の目安にもならないからです。
序盤ではレベル2と3に圧倒的な差があると言っていたかと思ってたら、後半ではレベル50と99でもそれなりに戦えたりしますし、かと思えば更にレベルが高いものが出て来ると序盤と同じく毎回のように「私のレベルは○○!」と自慢します。でもラスト付近ではレベル100でも厳しい相手にレベル1で挑んたりします。見ていてレベルとはいったい何なのかわからなくなってきます。

・一時的にパワーアップできる「エナジーアイテム」という戦闘フィールドに配置されたアイテムもあるのですが、これも存在が不安定です。
1話から存在するのにほとんど使われないかと思えば、2クール目では「格上相手にはアイテムを使って戦うのは当たり前!」なんてドヤ顔で言い出し、その数話後には格上にアイテムを使わずにボコられ、その後もときどきアイテムを使ったり目の前のアイテムを無視したり、画面に映っている物を信じられない様子が続きます。

・ストーリー面ではこういった矛盾のせいで主人公の主要要素である「天才ゲーマー」が怪しくなっていることが問題です。
レベルやアイテム、フォームチェンジに天才ゲーマーといった単語を並べたら「レベル差をアイテムやテクニックで補う主人公」なんて情景を思い浮かべるかもしれませんが、そんなことは全くありません。むしろチート能力や新アイテムによるゴリ押しで勝つのが主人公です。

■正義のヒーロー
・「ヒーローものだからいくらなんでも」と思うかもしれませんが、これも無いです。
主人公だけなく2号ライダーも3号ライダーも登場人物の大半が私情を最優先します。患者を負担を押し付けて私情を優先することも珍しくありません。

・倫理観もおかしいです。
主人公は「命は大切なものだ」と断言する一方、敵のことは容赦なく殺します。そうなると主人公の考える命の定義が重要になってきますが、そこは全く描かれません。
たとえば元々ゲームのキャラだった敵の主張に対して無反応です。敵が人間と敵対する理由は「ゲームのキャラだからって人間の楽しみのために殺され続けるなんて嫌だ!俺たちだって生きている。ふざけるな!」というものです。彼らは自分たちの命が弄ばれていると主張しているのですから明らかに主人公の主張する命の大切さとぶつかっています。
そんな彼らを殺すにはそれなりの理由や正義が必要だと思います。しかし作中では「人間を殺す以上は仕方ない」といった割り切りすら描かれません。それどころか疑問提起すらありません。主人公は命の大切さを主張する一方、敵は無慈悲に殺し続けます。これは最初から最後まで変わりませんし、誰も口を挟みません。このギャップでは正義のヒーローものとして見るのは無謀だと思います。

■アクション
・例年どおり低調です。近年にしてはマシなほうでしたが、それは相対評価の話で戦隊など他作品と比べると圧倒的に見劣りします。
いろいろな武器やフォームがありましたけど、違いはほとんど活かさずに終わりました。昨年も同じこと言ってましたね、私。それくらい”いつもどおり”です。
ゲーム要素も医療要素も作品にほとんど関わらなかったためモチーフに関連した独自性も薄いです。アクション目当てで見るのはオススメできません。

■デザイン
・エグゼイドのデザインの最大の特徴は「瞳がある」ことです。
これは独特なようで普通でした。瞳があるけどそれだけです。そこに慣れるか慣れないかの問題でしかありません。数話経って慣れてしまえばプラスもマイナスも特に残りません。

・演出面では誰もが予想するとおり、マイナスでした。
「目線」という余計な様子が追加されてしまったからです。ときどき「こいつどこ見てんの?」とツッコミたくなる光景や真剣勝負の間のカメラ目線など緊張感をそがれる映像が繰り広げられました。

・「レベル1」という二頭身の造形もデザイン面での特徴でした。
しかし1クール目で出番が終わりました。本来は「敵を患者から分離する」ために使われていたのですが、2クール目からは敵が勝手に分離するようになったため使う必要がなくなりました。
結局のところ、ライダーでよくある「1クールの頃は出るけどそのうち出なくなる巨大ロボ枠」の代わりでしかありませんでした。


【個人的な感想】

■積み重ねがない
・個人的には積み重ねが無いことが一番のネックでした。
私は「話を積み重ねていって最後にどう終わらせるか」が長期作品の大きな魅力であり、存在意義だと思っています。 4クールの場合、放送時間は「無駄に長い」と言ってもいいくらいだと思っています。長さに見合うだけの積み重ねがないとマイナス要素のほうが目立ちます。

・長期作品で積み重ねを否定する端的な問題は「間が保たない」ことだと思います。
作品を勧めるときに「4話までは我慢して見て」なんて言い方をする人もいますが、実際「我慢して見る」ことはどの作品にもあることだと思います。では何を頼りに視聴者が我慢するのかというと、それは「先の展開を期待する」からだと私は思います。 積み重ねを否定した作品ではこれができません。卒業など区切りのない日常ものや1話完結のギャグ作品などで顕著な問題です。こうした作品ではいかにして飽きられないようにするかが課題となります。

・エグゼイドの場合はこの問題を埋め合わせる工夫も4クールの間ダレずに進む毎回の盛り上がりも感じられませんでした。
新設定や新展開を中心に話を進めるのに登場人物を少なくして回そうとしたことが問題だったと思います。同じ人物なのに前の展開と矛盾しているように見える展開がいくつもあってうんざりしました。こういう話をするならどんどんキャラを入れ替えて新キャラやときどきしか出ないサブキャラを中心にまわさないと全体の整合性が取れないと思います。物語の整合性は取れなくても構いませんが、視聴者の印象は整合性が取れないと困ります。キャラの言動への不信感は容易に作品への不信感に変わるものだと私は思います。

■命の定義
・スタッフが散々公言しているのでエグゼイドの主要テーマは「命」らしいです。私は全くそうは思えませんでした。

・最終回でも「消えた患者は消えたように見える病気にかかっているだけで生きている」みたいな詭弁を語っていましたが、そんなことよりバグスターの命の扱いは結局どうなったのでしょう?

・バトルもので命の問題を語るなら、患者の命やドクターの命よりも殺される側と殺す側の命の話をしないといけないと思います。バグスターの主張もそういう話だったはずです。何の主張も持たずに殺戮を続けている人に「命の大切さ」なんて説かれても真に受ける気になりません。主人公が何か言えば言うほど「こんなやつに言われてもなぁ…」と気分が冷え込む一方でした。

・「永夢の殺人」について最後まで触れられなかったことも不信感を煽りました。
1クール目で患者を救うために主人公は人間の幹部を殺すことを選びました。ゾンビ化して生き返ったため外見上は殺さずに済んだのですが、そのときの選択を主人公が振り返ることは最後までありませんでした。「人を救うために別の人を殺す」という現実的な選択をした人物が「命は大切」なんて漠然とした話をできるものなのでしょうか。私にはそこが理解しがたかったです。

・黎人のライフは論外でした。
中盤で一人の人物が敵と同じデータ生命体となって蘇ります。しかも「残りライフ(残機)がある限り死んでもその場ですぐ復活する」という独自の特性まで持っていました。それに対して主人公は「そんなものは命ではない」と否定的でした。
ここまでならまだ死生観の問題で片付けられたのですが、問題はその後の主人公の態度でした。ライフのことは否定するのにそいつが死にそうになっても見殺しにして助けなかったり、状況を改善するためにライフをすり減らしてそのおかげで勝てても感謝の言葉一つなかったり、これが命は大切と言っている人物のすることなのかと疑問に思うことばかりでした。
結局、最後までライフと命の違いやそんな便利な身体になれるならデータ生命体になるのも悪くないのではないかと思えることには何の回答もありませんでした。

・定義付けがないのではテーマも何も語りようがないと思います。
主人公の態度も定まりませんし、百歩譲って主人公の態度を良しとしても多角的な検証がありません。登場人物はみんな「主人公が正しい」というイエスマンか、ただ殺すだけで主張も何もない殺人犯かのどちらかで、主人公の主張がどう正しいのか証明できていません。 これで「命というテーマと向き合った」なんて言われてもその程度でいいなら、命というテーマに向き合った作品で溢れてしまうと思います。

■決め台詞は何だったのか
・最後まで決め台詞の意味がピンと来ないまま終わりました。
主人公には2つの決め台詞があります。「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ」と「患者/お前の運命は俺が変える」の2つです。このどちらも最後までしっくり来るシチュエーションが見つかりませんでした。

・私の場合、そもそもどちらも医者が言うことじゃないだろと疑問に思いました。
コンテニューのほうは根本的におかしいと思いました。
現実の命にはコンテニューなんてないし、だからといって一度失敗したら二度とチャンスがないわけでもありません。何度も手術を繰り返してようやく助かった人だっているはずですし、逆に手術できる見込みさえないまま亡くなった人もいると思います。
そして作中でも「コンテニューできて当たり前」なんて話はありませんでした。主人公は患者を救うために戦うわけですが、失敗したら患者が死ぬというルールはありません。この状況で「ノーコンテニューでクリアしてやるぜ」なんて言っても、それは「他のやつなら無理だけど俺なら一発で成功できる」と価値のない自信を誇示しているようにしか聞こえません。私はそんな医者は嫌です。

・「患者/お前の運命は俺が変える」も前提条件がありませんでした。
たとえば敵が「これがお前(患者)の運命だ」なんて口癖でもあるならその対になる言葉として機能しますが、作中の敵は誰も運命という言葉を口にしません。それなのに主人公はいきなり運命がどうのと言い出します。これじゃ電波みたいです。もしも病院に行って「大丈夫。あなたの運命は私が変えます」なんて医者に言われたら私はできるだけその病院に行かないようにすると思います。気味が悪いですから。

・どちらの決め台詞もしっくり来ないどころか、「こいつ何言ってるんだ?」とドン引きするばかりでした。ここまでマイナスに働いている決め台詞は珍しいと思いました。

■何も残らなかった
・お話としては見事に締まらない結果に終わったのですが、そこについては特に言うことがありません。なぜかというと、「失敗するべくして失敗した」に過ぎないからです。
主人公の人格に問題があることも、キャラの掘り下げが無いことも、展開が行き当たりばったりで何も積み上げられていないことも、どれも序盤から気になっていた部分でした。これでは失敗して当然です。
全体的な印象としては、何かに挑戦して失敗したわけですらないひたすら不毛な印象です。

・キャラクターすら残らないのはすごいです。
2号ライダーも3号ライダーも1クールごとに態度が変わる心のない人形で、一貫性のあった主人公は空気でサイコパスでした。どのキャラが一番嫌いかと聞かれたら主人公と答えます。
一番目立っていた途中から仲間になる悪役ですらも、結局何を思って協力し始めたのか肝心なところが描かれずに終わってしまいました。改心したのか悪党が一時協力しただけなのか判断がつかずに終わるというのもすさまじいことだと思います。正義の味方気取りの主人公たちがそれを全く精査せずに終わったことはもっとすごいですけどね。

・私はテレビ放送で一週間おきに見たからまだマシだったと思います。これをDVDでまとめて見たりしたらもっと辛いと思います。一週間前の話がひっくり返されるどころか、自分が5分前に見た展開が無かったことにされるんですからね。