『動物戦隊ジュウオウジャー』最終回まで見終わって:総合感想

2017年2月10日
『動物戦隊ジュウオウジャー』を最終回まで見終わっての全体感想です。





【一言まとめ】

・アクションは上質。
・ストーリーも全体は楽しめた。終盤が尻すぼみだったのは残念。
・戦隊のシリーズ構成初めてとしては充分すぎる結果。


【良かった点】

■ストーリーの完成度の高さ
・ジュウオウジャーの最大の魅力はストーリーだと私は考えます。
ストーリー全体がキーワードの「つながり」と結び付けられていて、面白くわかりやすい内容になっています。
「戦隊=動物の群れ」という置き換えに始まり、異世界人である戦隊メンバーがアクシデントで地球にやってきて元の世界に帰れなくなったことから生まれた関係。自分の楽しみのために手下を駒として使い一般人を虐殺する、つながりの対極に位置する敵。メンタル面での課題となるのは他人と関わることで生じる軋轢や葛藤。メンバーやゲストの絆から生まれる勝利と未来。
キーワードの”つながり”を中心にして話が回るので内容がわかりやすく、展開が進むにつれてキーワードの意味が掘り下げられて深みが増していく相乗関係が魅力です。キーワードのおかげで今何の話をしているのか迷うことがなく、それでいて一見関係のない話でも「あぁ、これも一種の”つながり”ということか」と発見する意外性もあり、単純でいて複雑なお話になっています。

■キャラクター
・キャラクターの造形も魅力的でした。
とりわけ目立っていたのは、レッドでありメンバーの精神的主柱だった大和、大和の対になるアム、そして追加戦士の操です。

・主人公の大和は優しい好青年で、異世界からやってきた文化が異なる問題児が多い中での常識人ポジションで安心して見られます。しかし父親との関係に問題を抱えていて、メンバーの誰よりも問題の根が深い存在でもあります。

・大和は「動物学者」 という設定も面白かったです。
大和の思想や生い立ちを裏付ける設定として説得力を持ち、ストーリー上でもたびたび動物の生態についての見解を述べることでストーリーを補強していました。これまで何をしてきたかと今現在やっていることの両方に絡んでいて上手い設定だと感心しました。

・ヒロインのアムもユニークなキャラクターでした。
戦隊でもよくいる明るいぶりっこ気味なキャラなのですが、内面にリアリティが感じられました。登場直後から自分本位に周りに迷惑をかける小悪魔っぷりを見せたかと思いきや、思考は至って現実的でした。
帰る方法を見つけようと必死になっている他のメンバーのように元の世界に帰りたくないか、と主人公に問われてアムが返した返答は「元の世界に帰りたいけど帰る方法が見つからないのだから焦っても仕方がない。この世界で暮らす方法を見つけようとして何が悪いの?」というものでした。人につけ入るしたたかな態度も母娘二人っきりで生活してきた生い立ちから身につけた生きる手段であり、実態は楽観的態度とは真逆のリアリストでした。

・アムはその動かしやすさから様々なキャラクターと関わっていきましたが、中でも大和に対しては家庭環境に共通項があることから大和の掘り下げに大きく関わっていました。
唯一の家族である父親と仲の悪い大和と母親と仲が良いアム。帰ろうと思えば実家に帰れるが帰りたくないから帰らない大和と帰りたくても元の世界に帰れないアム。共通項がありつつも対照的な立場にいるアムからの問いかけは終盤の大和の掘り下げに大きく貢献していました。なぜ大和に語りかけるのが他のメンバーではなくアムなのか、その理由がはっきりしていて流れがわかりやすかったです。

・操は追加戦士の扱いという点で興味深いキャラクターでした。
操は感情の揺れ幅が激しく、日常でも戦闘中でも一喜一憂し、落ち込んで戦力外になったり調子に乗って敵を圧倒したり落差の激しいキャラでした。
戦隊の追加戦士は元々、販促面では登場直後は優遇されるが販促期間がすぎると逆に不遇になり、ストーリー面でも主人公並に優遇されるか、いつの間にか仲間の一人というポジションに落ち着くか扱いがまちまちです。それを「感情の躁鬱が激しいから回によって出番と活躍がまちまち」という基本設定にしたのは考えたものだなと思いました。。第二の主人公というほど目立つことはなく、メンバーその3というほど存在が薄れることもなく、途中参加の半分部外者というポジションで存在感を発揮できました。
何度も使える手ではありませんが面白いアプローチだったと思います。

・ジュウオウジャーのキャラといえば、敵のバングレイも印象に残るキャラでした。夏休み後半から1クールの間だけ登場した幹部にあたる敵ですが主要キャラと並ぶほどの存在感を発揮しました。
他の敵幹部はジュウオウジャーに興味がなく、敵もジュウオウジャーもお互いにただの邪魔な敵どうしでしかありませんでした。その点、バングレイはつながりを重視する大和の考えに反発し、大和の考えを否定しようと積極的に絡んできました。バングレイとの対立とバングレイの持つ、記憶を読み取り具現化する能力のおかげで大和の掘り下げがスムーズに行えました。敵として単体で見ても魅力的で話の本筋を進めることにも貢献した良い敵キャラでした。
 
■販促に熱心
・個人的にジュウオウジャーで印象に残っていることの一つは販促です。
武器やロボなど基本的な商品はもちろん、プレミアムバンダイで扱うような細かい商品まで積極的に盛り込んでいたところが素晴らしかったです。
中でもぬいぐるみは特に感心しました。ジューマン組のぬいぐるみが操の作ったやけに凝った造形のぬいぐるみとして実物が登場しました。操なら性格ならやりかねないなと思える展開で、ぬいぐるみ自体の出来の良さを操のキャラの掘り下げにつなげていたのは見事でした。他にも店頭で一定金額以上買うともらえた金色のパンダアックス(通常商品のクマのリデコ)まで登場してそこまでやるのかと驚かされました。

■フォームチェンジ
・ジュウオウジャーではレッドがフォームチェンジできます。通常形態のイーグル、パワー型のゴリラ、従来のスーパー化に相当するホエールの3形態があります。

・戦隊はレッドが活躍することが多いのでフォームチェンジは相性が良かったです。 アクションに幅が出る以外にも、やられ役を他に用意しなくてもフォームチェンジで代用できるところが便利でした。
最後にはレッドだけにフォームチェンジを持たせた意義のある展開でまとめられていて綺麗な締め方でした。

■アクション
・アクションは例年どおりハイレベルでした。
ジュウオウジャーで特に良かった点は、戦隊らしいコンビネーションが多かったところです。一人、二人で戦うとライダーと被りますからね。人数を余らせずに戦隊らしさを発揮した良いアクションでした。

・個人的には武器や野性解放など使いづらいものも上手く使っていたところに感心しました。
基本武器は変形で銃と剣が切り替わるタイプなのですが、四角形が基本モチーフで角ばったデザインになっているため構造上素早く切り替えることができず、見た目もいまいちでした。
メンバーの固有武器にあたる「野性解放」にいたっては、ライオンと虎は手が大きくなるだけ、象は足が大きくなるだけ、サメに至っては背びれが出るだけというもので見るからにアクションで扱いに困るものでした。
そんな扱いづらいデザインでも例年に劣らないクオリティを保ち、終盤にはこのデザインならではのアクションまで見せてくれました。最初見たときにはこれでは見劣りしても仕方ないかと覚悟していたので嬉しいサプライズでした。

・それとジュウオウジャーのアクションではCGがいつもより効果的に使われていました。これまでの作品でもCGは使われてきましたが、クオリティは低く不自然であまり見ていて面白いものではありませんでした。ジュウオウジャーでも技術レベルは大差ないのですが、使い方が良かったのだと思います。
地上戦の合間にCGを使った空中戦を行ったり、実写アクションとCGを混ぜたり、CG単独で見せるのではなく実写のアクセントとして使われているように見えました。この方向性は良いと思います。


【残念だった点】

■オチの付け方が弱い
・終盤の展開が弱かったです。
2クール以上引っ張ってきた鳥男やクバル、大和の父親との和解など長く引っ張ってきた要素があっさり済まされて拍子抜けしました。解決にもそれ相応の時間をかけるか、もっと短いサイクルで展開を繰り広げるか、バランス取りをする必要があったと思います。

■敵の影が薄い
・敵幹部の存在感は物足らないところがありました。
敵の人物像を描かない方針に関しては特に問題ないと思います。話の構造から考えても戦隊側に集中するのは正しいと思います。

・ただ、強敵としての活躍は増やしたほうが良かったと思います。
アザルド、ナリア、ジニスと全部で4人しかいない幹部のうち3人をラスト3話で立て続けに倒したのはもったいなかったです。もっと分けて倒して話のアクセントに使ったほうが良かったと思います。結果としてはラスボスよりも途中で登場したバングレイのほうが目立ってしまいました。


【総合感想】

■話数の内訳
・記事を書くにあたって、全体の構成とシリーズ構成の香村さんが登板した回を振り返ってみました。ざっと1クールごとに分けて書くと、以下のようになりました。

1~11話(11話でギフト戦)
7話(ライダーコラボ回)と9話が荒川さんで、それ以外は香村さん。

12~22話 ザワールド編
(ザワールド17~20、ワイルドトウサイ22話)
12,14,15,16話が荒川&田中仁。

23~35話 バングレイ編
(28,29でゴーカイジャーコラボ)
25,26,27話が荒川&田中。32,33だけ下山。

 36~48話
(37.38バード。41,42クバル。43,44まりお&アザルド。45,46アザルド。47,48ジニス)
36,39、40話が田中。

・全48中、計34話が香村さん。残りの14話がローテーションの二人+下山さんでした。
香村さんが担当したのは全体の約3/4なので、戦隊でシリーズ構成が担当した回の比率としては平均的です。やっぱり面白いかどうかは量ではなくて腕の問題ですね。

・こうして振り返ってみると、香村さんが個人回を担当するか否かでキャラの明暗がくっきり分かれていますね。
香村さんが担当した大和、アム、操は目立ち、ローテ陣の担当が多かったセラとタスクは優遇されたメンバーに比べて目立たず、担当がまちまちだったレオは中間くらいでした。香村さんとローテ陣で話の品質に落差がありすぎてローテ回が捨て回状態だったのは仕方ないことかもしれませんが、残念でした。荒川さんは元々ローテではいまいちですし、戦隊初経験の田中さんもパッとせず、ローテ陣に恵まれたとは言い難い環境だったので何が原因だったのかは定かではありません。

・ストーリーの流れは2~3クール目の盛り上がりと4クール目の段取り臭さが目立ちます。
17話のザワールド登場以降はザワールド、操、バングレイと盛り上がる展開が立て続けに盛り込んであります。この辺りが一番面白かったと思う人が多いんじゃないかと思います。
4クール目はこうして切り出してみると、2話の前後編で一人ずつ終わらせ終わったらそれっきりで、見るからに問題がありますね。バングレイ編で幹部を放って置いた分、ツケが回ってきたのかもしれません。

■ジューマンのきぐるみ
・4人のきぐるみ姿は最初から最後まで思ったよりも出番があって驚かされました。造形がリアル調で凝っていてあれはインパクトがありました。役者さんの関係で序盤以外は出番が無いかなと思っていたのでけっこうあって嬉しかったです。

・一視聴者としてはユニークでビジュアル的に面白いし、若手の役者さんよりスーツアクターさんのほうが演技も上手なので良いことづくめでしたが、役者さん的にはやっぱりマズいみたいですね。
終盤になってからの映画のインタビューで役者さんたちが印象に残った回として、セラと詐欺師の回やレオの番長など私が微妙だと思った非シリーズ構成回ばかりが挙げられていて考えさせられました。作品として要らないと思う回が役者さんにとっては意義があったと言われると何とも複雑な心境になります。きぐるみを定番化させるには役者さんの反発は避けられそうもありません。次の戦隊でもきぐるみオンリーのキャラがいるみたいですが、どんな扱いになるのか気になります。

■総評:初シリーズ構成としては大成功
・総評としては大成功と言っていいと思います。
ここ数年、主にライダーで新規シリーズ構成の起用が試みられてきましたがことごとく失敗してきました。戦隊でも下山さんを起用した去年のニンニンジャーはおぞましい結果に終わっています。そんな状況下において香村さんはベテランにも引けを取らない成果を上げてくれました。終盤の展開など失敗もありましたが全体としては充分成功と言えます。一年間安心して楽しく見れました。

・個人的な要望としては、次はもっと欲張ってほしいです。
ジュウオウジャーでは完成度の高さや話のまとまりを意識しすぎて小さくまとまり過ぎているように見えるところがありました。入りそうな隙間があったらとりあえず要素を足してみて、それを後からまとめていくくらいが几帳面な香村さんにはちょうどいいんじゃないかと思います。

コメント

22 件のコメント :

  1. 自分も良い作品だとは思いますが、もし「ジュウオウジャーより面白い作品は(好みとか抜きで)あるのか」と聞かれたら、首を縦にふります。自分にとってはそんな印象ですね。

    >結果としてはラスボスよりも途中で登場したバングレイのほうが目立ってしまいました。

    実際中盤においてはバングレイの方がキャラ的にもシナリオ的にも何より目立っていましたからね。
    個人的には敵側の描写が少ない分、もう少しジュウオウジャー関連(主にジューランドとかジューマンの存在とか)をガッツリやって欲しかったですね。

    次作のキュウレンジャーは脚本が毛利さんなのですが、香村さんに比べると良い実績が少ないのもあっていささか不安です。(前々作の下山さんに比べるとマシですが...)うまくひっくり返して欲しいですね

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    1. >自分も良い作品だとは思いますが、もし「ジュウオウジャーより面白い作品は(好みとか抜きで)あるのか」と聞かれたら、首を縦にふります。

      私もベテランなど問わずという条件ならいくつもあると思います。
      販促の入れ方やアクションに関してはそちらと比べてもイケるとも思っています。

      >個人的には敵側の描写が少ない分、もう少しジュウオウジャー関連(主にジューランドとかジューマンの存在とか)をガッツリやって欲しかったですね。

      入れる隙間はあったと思うので、もっと内容を並行して進めてほしかったですね。
      ジューマンの話や各メンバーの話、大和の父親との確執の掘り下げなどやったほうが良いことはあったと思います。

      >次作のキュウレンジャーは脚本が毛利さんなのですが、香村さんに比べると良い実績が少ないのもあっていささか不安です。

      シリーズ構成とローテーション参加は別物なので未知数ですね。
      特撮以前にテレビ作品のシリーズ構成の経験がないみたいですし。実際に見るまでは余計なイメージを持たないようにしておきます。

       

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  2. 初コメントです!いつも楽しく拝見しています。子供に付き合って、視聴していました。
    感想はまさに、ザワールドの登場からバングレイの退場までが一番面白かったです。後半は盛り上がりにかけた気がしました。
    みっちゃんのキャラクターには賛否があったようですが、私は好きです。クバルとの決戦のくだりは感動さすらしました。
    キュウレンジャーのレビューも楽しみにしています!

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    1. けいごさん、はじめまして。ご愛顧いただきありがとうございます。

      >みっちゃんのキャラクターには賛否があったようですが、私は好きです

      操は好き嫌いが分かれるでしょうね。私も当初のノリがずっと続いたらどうだったかわかりません。
      目立たせつつもメインストーリには関わらせずに進める、という意図だったとしたら成功だと思います。

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  3. ジュウオウジャーはシンプルながら、随所に工夫が見られて1年間楽しめました。奇をてらうのではなく、全体の完成度で魅せる爽やかな作品でした。
    戦隊では稀な強化フォーム以外のフォームチェンジなど新しい要素もありましたが、空中戦のイーグル、パワーのゴリラ、火力のホエールとうまく使い分けられていました。ライダーがフォームチェンジを持て余していることが多い中、状況に応じて違和感なく登場させられていたと思います。

    また、初のメインライターとなった香村さん、初参加となった田中さんだけでなく、監督陣にも変化が見られました。ゴーカイジャー客演回はゴーカイのメインだった荒川さんやベテランの竹本監督にまかせるのが順当なところだと思います。しかし、そこであえて香村さんと若い加藤監督に一任したところにこれからの戦隊を作っていく人たちへの信頼を感じました。また、加藤監督は新人の杉原監督の2人で終盤を担当ました。このように新たな人材を積極的に起用していくところに戦隊の未来を考えているのがうかがえて、戦隊のこれからに期待の持てる作品となりました。

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    1. >ライダーがフォームチェンジを持て余していることが多い中、状況に応じて違和感なく登場させられていたと思います。

      ライダーのフォームチェンジはもう魅力どころか癌のような存在になっていますね…
      もう一度原点に立ち戻ってほしいのですが、アクションの質の格差が広がるばかりなので望みは薄いでしょうね。

      >このように新たな人材を積極的に起用していくところに戦隊の未来を考えているのがうかがえて、戦隊のこれからに期待の持てる作品となりました。

      若手起用で上手くいったことは嬉しいですね。
      ライダーは失敗続きで、戦隊も安定してるもののベテラン頼みで将来には不安がありました。中堅の層ができて、ホッとしました。

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  4. コメント失礼します。
    ジュウオウジャーは確かに終盤は駆け足過ぎたかと思いますが、キョウリュウジャーやゴーカイジャーと同じ位に楽しめました。
    香村さんはゴーカイジャーで凄い話(ライブマン、タイムレンジャー回)を書いたりして、本当に特撮が大好きな人だなと思いました。
    ウィザードの映画やプリンセスプリキュアでも香村さんは沢山お話を書いていたので堅実なストーリーが好きなので本当に楽しかったです。
    また、敵幹部(1話で死んだ奴以外)の声優さんは、プリキュアシリーズに出てましたね。
    ジニス=大迷惑な赤い奴、ナリア=ダイヤモンドでマナの奥さん、クバル=splash starのドロドロン、アザルド=カメさん、バングレイ=キュアマーチの父ちゃん。

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    1. >ウィザードの映画やプリンセスプリキュアでも香村さんは沢山お話を書いていたので堅実なストーリーが好きなので本当に楽しかったです。

      ウィザードの映画は本編とは別物でしたが、あれはあれで面白かったですね。

      >敵幹部(1話で死んだ奴以外)の声優さんは、プリキュアシリーズに出てましたね。

      声優さんで言えば、ジュウオウジャーの直前に放送している『ヘボット』でジニス役の井上さんが出ていて、リアルタイムで見ると気持ちの整理が大変だったそうですね。私は見るタイミングで分けているので問題ありませんが、気持ちはわかります。

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  5. 手堅く小奇麗に、こじんまりとまとまった作品だなという印象でした。
    キャラクターの造形、各種の伏線の張り方、ストーリーの大筋など、セオリーから大きく外れず、忠実
    に作った感じです。反面、敵方のストーリーを大きく削ったことや、良くも悪くも飛びぬけたところが無い点が物足りないと感じる人も多くいるだろうなという印象です。

    しかし、言い方を変えればとても安定感、安心感のある作りで、とても良心的な作品ともいえるでしょう。近年のライダーが冒険しすぎて色々破たんしていることや、前年度のニンニンジャーがスベッたことも影響しているのかもしれません。たまにはこういう安定したつくりのものも見たくなるものです。

    メイン脚本の香村さんも、シリーズ構成は初めてって事でぶっ飛んだ冒険は避けたのかもしれません。
    今回でいい感触をつかめたのなら、次回挑戦時はもう少し冒険してみても良いかもしれませんね。

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    1. 全体的に同感です。
      最近のSHTは破綻が多いので安定志向で行くのは悪くない選択肢だと思います。最初から冒険して失敗するよりも、最初は小さな成功を目指してその次で冒険するほうが良いと個人的には思います。

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  6. >役者さんたちが印象に残った回として、セラと詐欺師の回やレオの番長など私が微妙だと思った非シリーズ構成回ばかりが挙げられていて考えさせられました。

    私もそのインタビューを読んで、香村回を挙げたのが大和だけだったので複雑な心境になりました。ただ、以前ウィザードの瞬平役の人も印象に残った回としてあの九官鳥回を挙げていたのを思い出し、役者さんにとっては自分の役が思い切り感情をぶつけたりはっちゃけたり意外な一面を見せたりする回の方が印象に残りやすいのかなとも思いました。ジュウオウジャーは本筋回が多くコラボもあったために香村さんが大和や操が絡まない個人回を書く機会が2クール以降激減してましたし、個人回でも放置されるメンバーが出ないように他メンバーにも尺をさく傾向があるため、自分のメイン回でほかの人の分まで思い切り暴れ回れたかという点では少々薄かったかもですね。
    挙げていただいたような年間の配分は、トッキュウにも似ていて、おそらく宇都宮Pがサブの時代も含めてこのやり方が良いのではと固定的に使っているのかもしれません。シンケンの時は小林さんがもう少し多く書いていましたが、香村さんももう少し個人回を見たかったかもと思いました。

    ジューランドや鳥男関係は、もしかしたらコラボ回がなければ当初はホエールチェンジガンのあたりでもう少し掘り下げるつもりだったのかもと思いました。バングレイがいろいろと便利で、節約の面もあって彼中心に回しすぎたのかもしれません。個人的には再生怪人が一言も喋らないのもちょっと物足りなかったです。

    販促については、びっくりするくらい気を遣っていましたね。先日ジュウオウジャーの玩具売上の年間の数字がニンニンと同じぐらいで厳しいものだとわかったのですが、例年と違い、玩具全般、特に高価なDXロボの質が酷く、DXより高品質で廉価なミニプラに流れて収益悪化という商売的にかなり失敗した事情があったので気の毒に思います。そんな事情の中でできる限り販促の義理を果たそうとしているのが痛々しいようでした。
    販促に限らず、ストーリーの完成度の高さを保ちつつ、全方面に気を配られているのがわかり、とても良心的に誠実に作られた戦隊だと思います。ロッソの素顔公演も、これまで売上の悪い戦隊は空席祭りだったのですが、今回は親子連れで満席続きのようですし、最終回後に日笠社長が「自分が関わらなくなった戦隊で一番好きかも」と香村さんを褒めていたので、なんだか報われてよかったというか、これからのことを考えてほっとしました。
    他の方の感想にもありましたが「こじんまりした良作」というのは、私は未見ですが小林さんの初メイン作ギンガマンの感想にしばしば見られる表現ですね。必ずしも似た作風ではないのですが、「サブが書くとイマイチ」という点が若干かぶるところもあり、小林さんの次作のタイムがかなりの異色作だったのを思うと、今回の香村さんの作風が地なのか、次回はもっと大胆にくるのか、楽しみにも思います。

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    1. >役者さんにとっては自分の役が思い切り感情をぶつけたりはっちゃけたり意外な一面を見せたりする回の方が印象に残りやすいのかなとも思いました。

      役者さんが目立てたり普段と違う演技をできるほうが喜ばれるんですかね…
      メインストーリーの進む話だとキャラクターはストーリーの歯車になるから役者さんにとって嬉しくないのはわかりますが、良かった回として挙げられている回の内容を思い出すと視聴者としては納得できません。

      >香村さんももう少し個人回を見たかったかもと思いました。

      そうできれば良かったでしょうね。個人回にあてる余裕がないこともわかっていますが。

      >ジューランドや鳥男関係は、もしかしたらコラボ回がなければ当初はホエールチェンジガンのあたりでもう少し掘り下げるつもりだったのかもと思いました。

      全体の構成から判断すると、その辺りである程度やっておくのが普通でしょうね。鳥男は間が空き過ぎていますから。

      >最終回後に日笠社長が「自分が関わらなくなった戦隊で一番好きかも」と香村さんを褒めていたので、なんだか報われてよかったというか、これからのことを考えてほっとしました。

      売上に関わらず、評価されたことは喜ばしいですね。
      玩具が良いとは言えない状況としてはよくやったと思います。これで販促にまるでやる気がない人が担当していたら、相当酷い絵面になっていたと思います。

      >他の方の感想にもありましたが「こじんまりした良作」というのは、私は未見ですが小林さんの初メイン作ギンガマンの感想にしばしば見られる表現ですね。

      ギンガマンですか…
      私の意見としては、軸になるものを定めて絞っているという点では似たところがありますが、根本的な方向性は真逆かなと思います。
      ギンガマンは星獣や地球を守護してきた一族、メンバーを保護した一般人の親子など様々な要素がありましたが、結局主人公とその兄以外はあまりストーリーに活かされなかった印象があります。小林さんがそういう設定に興味を持たなかったからそれらと関係の薄いキャラに集中したのではないかと邪推しています。
      ジュウオウジャーの場合、「群れ」や「つながり」といったテーマを軸にしてテーマを体現する存在として大和たちがいると私は思うので、その点で2つの作品の根本にあるものが異なるように思います。

      >今回の香村さんの作風が地なのか、次回はもっと大胆にくるのか、楽しみにも思います。

      どうなるでしょうね。プロデューサーの宇都宮さんはわりと自分の主張を盛り込んでくる人という印象があるので、自己主張の弱いプロデューサーと組んだ場合にはもっと地味になる可能性もありえると思っています。その辺りもどうなるか楽しみです。

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  7. ジュウオウジャーは総括すると戦隊界の学級委員長という感じでした。
    特出して良くもないが良い一方、特に悪くもなく、非常に堅実で教育上模範的な戦隊、教科書的だったという感想です。
    個人的にはキョウリュウジャーが最近のでは大好きなんでぶっ飛んだのも好きでして、ジュウオウジャーは枠の中に留めていた分地味でしたが、しかしきっちりライターさんは仕事をした、という好印象しか残りませんでした。味方、まずは大和のキャラクターが非常にまともで好印象で1話目から良かったですね。主役級がちゃんとした人間だと例えどんなに突飛であってもやはり色々とちゃんとまとまるんですかね。そして、味方側は皆個性的であるし、サブキャラも魅力的でした。私は大和の他にはレオとおじさん、ラリーさんが好きでした。
    一方で、メインライターさんが次に戦隊を描いてもらう時には、敵組織にも味方側と同じくらい気配りをしていただきたいもんです。
    敵と戦隊との関係性や敵の掘り下げなど所々荒削りではありましたが、それでも模範的な作品に仕上げたのには、お疲れさまでしたとしか言いようがありません。
    まさに、先生の次の作品に期待!という希望ある作品でした。
    子供に見せたい戦隊筆頭だと思います。子供いませんけどね(泣)

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    1. >一方で、メインライターさんが次に戦隊を描いてもらう時には、敵組織にも味方側と同じくらい気配りをしていただきたいもんです。

      敵側の描写は難しい問題だと思います。
      時間は有限なので敵側を描くとその分だけ戦隊側が薄くなってしまいます。たとえば匿名さんは好きなキャラにまりおさんやラリーさんも挙げていますが、敵側も描くとしたらこうしたサブキャラの出番は真っ先に削られてしまっていたでしょう。
      敵側の描写の是非については、私はどちらにもメリットとデメリットがある二者択一の要素であると考えています。

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  8. 大体似た感想ですね。
    あらゆる作品の中で最高傑作、とまではいかないものの、堅実にまとまった良作だと思います。同じ年のライダーや魔法つかいにも見習ってほしかったです。
    フォームチェンジを上手く活かした作品であったのも好印象。
    次作のキュウレンジャーがどうなるかは分かりませんが、1話を見た限りでは今後に期待しても良さそうかなと思っています。光る所がちゃんとあったので。
    ライダーはどうしてここまで凋落してるんでしょう。戦隊の出来が良いと特にそう思ってしまいます。

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    1. ライダーは販促が戦隊よりも多いのでストーリーに関してはまだわかりますが、アクションに関しては理解できませんね。どうして普通の格闘戦まで圧倒的に質が低いのか理解に苦しみます。

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  9. あまり記事とは関係ない質問ですが、ライダーのアクションのどの辺りが質が低いとお思いですか?

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    1. 一言で言うと、全般的に質が低いと思います。
      アクションには好みがありますが、明らかに悪いと思うのはフォームチェンジや武器の扱いです。

      武器やフォームに特徴があるのにそれを活かさないのはおかしいと思います。
      近距離用でも遠距離用でも大差のないアクションをすることが珍しくありません。フォーム数が異常に増えたので遠距離タイプAとBで差別化できない程度ならまだ目を瞑りますが、明らかに形状が異なる武器でも差別化ができないのはダメだと思います。

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  10. >作品として要らないと思う回が役者さんにとっては意義があったと言われると何とも複雑な心境になります。

    そら正真正銘の個人回、しかも戦隊内の関係性(なんのかんので赤を軸にしがち)を描くものではなく、その回だけのゲストキャラとのお話で自分が実質主役を任されたの回なんだから当然でしょう。

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    1. 私にとっては、役者さんは作品の構成物質の一つでしかないからです。
      自分が目立てればそれでいいという考えは私にとっては好ましくありません。
      役者さんも仕事としてやっているので綺麗事ばかりではいられないというのもわかるため、そういう思想を完全に否定する気にもなれませんが。

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  11. ジュウオウジャーの感想失礼します。
    私はあまり戦隊ものを見てきていませんが、子供と一緒にジュウオウジャーを見て自分がはまってしまった口です。
    子供は派手なニンニンジャーが好みだったようです。ニンニンジャーの感想も色々と書きましたが、(わりと批判的に)でも子供を一番ターゲットにしている作品なので、こどもが好きなら良いのかなとも思います。すいません。ニンニンジャーのところに書きそびれてしまったので余談でした。
    さて、ジュウオウジャーについてですが、本当に面白かったです。
    子供が見るにしても、こういう暖かみのある作品は、成長過程で役に立つと思います。うちの子はまだ小さいのでもう少し大きくなったら、もう一度見せて人と人との繋がりの大切さや生き物を大切にする優しさを育みたいなと思います。
    作品としては主役のまともさが際立っていたと思います。それがあるから、他の5人の個性も効果的に表現できていたと思います。
    そして何よりもキャラクター構成がしっかりとできているのでぶれないんですよね。アムは誰でも感じるように、ちょっとした言葉でもアムが言ういみというのがしっかりとありました。洞察力が鋭いというのを色々なところで組み込んでいて非常に良かったです。
    タスクに関しても彼がいうから良いという台詞があったなと思います。彼は面倒なやつだけど一方で誰よりも優しい面があったりと表面と内面をきちんと描いていたのもとても良かったです。
    私の中ではこの二人と大和、操のキャラクター構成がとてもしっかりしていたと感じます。あとは裏表がなくがさつなレオ、プライドの高いセラもキャラがぶれることは一切なく、レオはキャラを上手く生かして他のメンバーと絡ませるエピソードもあり、良かったと思います。
    色んな性格が6人集まるから色んなことが起こるんだなと感じられるのも好印象でした。
    私の特に好きなエピソードはラリーさんの2話とレオとタスクのスナイパーの話、クバルの反乱2話です。あとザ ワールドの一連の話も孤高のダークヒーローって感じでかっこよくて好きでした。そこからの操のギャップもだいぶ面白くて良かったです。いつまでも孤高の感じだと気取った感じがしてしまったと思うのですが、全然気取ってなくて、めんどくささも好印象でした。
    まりおさんがさらわれる話しもよく盛り込んだなと思います。多分恩人のまりおさんがデスガリアンにさらわれてしまうというエピソードを作りたいと思ったんだと思いますが、そこから上手くザ ワールド誕生に繋げるのが上手いなぁと感心しました。
    好きなキャラクターは大和です。大和のまともさ、優しさが際立っていたと思います。でもただのいいやつではなく、意固地な部分や子供な部分も描かれていてしっかりとキャラが確立していたと思います。あとタスク、操のめんどくさいコンビも好きです。素直じゃないけど本当は優しいタスクが上手く操に絡んでいたと思います。
    ストーリーはそこまで好きではなくても台詞がいいと思ったエピソードもありました。セラの詐欺師の話です。最後に「またどこかで女の子騙してんのかな」と言います。でも実際には詐欺師はクバルに消されてしまっています。(本物はどこかにいるんでしょうが、セラを騙したのはこの偽物)そんなこと知るよしもないセラの台詞がなんとも言えず、とても良かったです。最後の最後にいい台詞で物語の印象をグッとあげたと感じました。
    以前の話でタスクが「偽物にも心があったんだ」と言います。それがこの話にも繋がっていたのが良かったです。
    本当にいいところが満載の作品でした。ニンニンジャーではおとうさんの傘化けの話が好きでしたが、ジュウオウジャーではほとんどがそのレベル以上の話だったと思います。
    ジュウオウジャーで多少残念だったのが、スーツのダサさかなと思います。一番ダサかったのがレオかな。色的にも仕方がない部分もありますが。
    その中でザ ワールドだけはやたらかっこよくて良かったです。うちの子もザ ワールドがかっこ良かったから大好きでした。誕生日のケーキをザ ワールドのケーキにしたくらいでした。
    あとはロボのダサさも残念だったかな。でもそこまで私にはこだわりがないので強いて言えばってくらいです。
    子供向けとしても大人目線でも大変満足な作品だと思います。

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    1. >色んな性格が6人集まるから色んなことが起こるんだなと感じられるのも好印象でした。

      多人数制であることが戦隊の特徴の一つなので、そこを活かした展開が良かったですね。

      >ジュウオウジャーで多少残念だったのが、スーツのダサさかなと思います。

      戦隊の基本フォーマットがあれなので仕方ない部分だと思います。
      ゴテゴテすると今度はアクションに差し障りますし、胴体部分は難しいです。ジュウオウジャーはマスク以外は普通にいまいちくらいの出来栄えだったと思います。

      >ロボのダサさも残念だったかな。

      ロボは好みが分かれるでしょうね。
      私は「結局箱じゃん、これ!」という印象を抱くことが少なくないので、箱型にしたことは開き直った感じがして嫌いじゃありませんでした。単体ではともかく、複数合体を前提にした形式としては有りだったと思っています。

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