『仮面ライダーエグゼイド』 第18話「暴かれしtruth!」:感想

2017年2月12日

■歪み
・パラドが社長に怒った理由は「『ルールの下で競い合い、その過程でなら死んでも仕方ない』というバグスターのルールを破ったからだそうです。前々回のことをツッコまれてもそう言っていたのでパラド的には筋が通っているそうです。そうなんですか。

・個人的には全然筋が通っていないように感じました。
前々回のバグスターや永夢など戦意がない相手に一方的に襲いかかることを”競い合う”と呼ぶ感覚が理解できないからです。
また、「ルールの下で競い合うことがルール」というわりに、永夢たちのゲーム(患者を救うこと)や人間から完全分離を果たすためのバグスターのゲームをパラドは自分勝手に邪魔しているように見えます。他人のゲームの邪魔をすることはルール違反にならないのでしょうか?
パラドの言い分に全く正当性を感じない私から見ると、パラドは毛嫌いしている社長と同じことをしているように見えます。どちらも「自分の決めたルールが絶対」という俺ルールを他人に押し付けているだけです。スタッフが自覚的に二人を同類として描いているのかが気になります。

・永夢の問題に関しても話の方向性に疑問を感じました。
飛彩は「永夢はCRのドクターであることに誇りを持っているから自分がゲーム病だと知ったらショックを受ける」と言っていましたが、その話は14話のお医者さんの回でやったはずです。患者に対して「同じ外科医としてのプライドがあるせいで飛彩に手術されることを拒んでいる」と指摘して説得したのは他ならぬ永夢でした。そう言って説得した永夢がプライドのせいでショックを受けたら前の話が台無しになってしまうと思います。
「他人事なら説教できるけど、いざ自分のことになるとダメ」ということなら筋は通りますが、それだと永夢が情けないキャラになってしまいます。かといって「永夢は告知されても問題なかったのに」という話にすると今度は飛彩やポッピーのコミュケーション能力不足のせいで患者が危険に晒されたことになります。これもマズいでしょう。このままだと「口が上手い九条が生きていたら起きたトラブルの大半が解決できたんじゃないか?」なんてことになりかねません。
この歪みもスタッフがどこまで自覚的にやっているのか怪しく感じます。

■ゲストはいないものとして考えるべき?
・前の話と食い違う展開に頭を抱えるうちに、もしかしてストーリー上ではゲストはいないものとして扱うべきなのではないかと思えてきました。
考えてみれば、今回のゲストもバガモンを登場させて死なせる以上の意義がありませんでした。ライダーのゲスト回ではゲストを通して主要キャラやテーマを掘り下げるのが定番ですが、エグゼイドの場合はゲストの職業を話のタネにする程度しか活かされていません。ゲストの素性やメインキャラの対応にはストーリー上の意味があるはずと思いこんでいた私のほうが間違っていたのかもしれません。

■バイクなんてなかった
・逃げる敵、前にもバイクで対応した相手。これは間違いなくレーザーの出番だなと思ったらそんなことはありませんでした。予想の斜め上を行く展開にびっくりしました。
「人間には足がある!」それがエグゼイドスタッフの返答のようです。ライダーってキックが必殺技になるくらい脚力がすごいですもんね。基本設定を活かすなんて頭良いです。

■ブレイブとスナイプの強化版
・定番の敵に一旦奪われての改造強化を施されたと思ったら、2つで1つの抱き合わせにされていました。
元のガシャットが残されていないので2つに分割できないなら飛彩か大我、どちらか一人ずつしか変身できなくなってしまいます。ストーリー的には面倒極まりない玩具の仕様ですね。これは素直に同情します。こんなのどうしろって言うんだと途方に暮れて当たり前です。

・社長が使おうとしたときには「スーツどうするんだろう? わざわざゾンビベース用も用意するの? リッチだなぁ~」などと考えていたらガンマイザーを彷彿とさせるお手軽CGで一気に真顔になりました。まぁ、そんなものですよね。一気に冷めたおかげでその直後のエグゼイドの雑なワンパンKOも気になりませんでした。ある意味良い演出でした。


次回はブレイブの強化版が登場するようです。
パラド辺りが社長からガシャットを奪うのとブレイブで永夢を倒す以外に何をするのかが気になるのですが、最近のペースからすると特に何も起きないのが一番有力なように思えます。

コメント

14 件のコメント :

  1. 今回のゲストの作さん、もしかして新ガシャットをライダー陣に提供する役割で準レギュラー化するつもりではないのでしょうか。少なくとも、新作ゲームの開発を任されてプレッシャーを感じてるって話がまるで解決しないままほったらかしにされるのはあんまりだと思うので。ゲンムの新社長なんかも意味ありげに示唆されてることからも、今後もゲンムコーポレーション自体は話に絡みそうですしね。

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    1. そうかもしれません。
      ただ、そのためだけとすると疑問があります。
      開発にドラマがなくていいなら、ポッピーや衛生省という存在が既にあるので「社長の残したデータを元に独自開発した」とだけ台詞で言ってポッピーや審議官がアイテムを持ってきても問題ないと思います。かといって、今回のゲストがドラマになるような存在感のあるキャラとして描かれていたようには見えませんでした。

      >ゲンムの新社長なんかも意味ありげに示唆されてることからも、今後もゲンムコーポレーション自体は話に絡みそうですしね。

      新社長は顔が隠されていて意味有りげでしたね。これも個人的には不思議でした。
      新しい敵組織や黎斗社長の行動理由、あるいは社長の父親が動くための下地など、新社長の意義はいろいろ頭に浮かんできます。
      ただ、どの話もそこにどうやって永夢やCRが絡むのかが思いつきません。この上更に永夢たちが関わらない外の話を進めても面白くならないと思います。そう考えると、新社長も本気で関係ないから映さなかっただけなのかなと不思議に思うところもあります。

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  2. 今回、エムがゲーム病院だと明かされたわけですが、全く危機感とか絶望感がありません
    というのも、ゲーム病がいかに恐ろしいものかというインパクトがこれまでの描写だけでは薄いからです
    バグスターが実体化しても作のようにある程度平気だったり、バガモンやポッピーのように善玉の可能性が十分にあるため無害で収まり得るようにみえてしまいます
    ゲーム病とバグスターの設定も曖昧ですし
    例えば、ゲーム病になったら助かる道はなく、まるでゾンビのように人々に感染させてしまうとか、死にたくなるくらいの差別や迫害をうけるくらいの設定ならショックになるのはわかるんですが子供番組でそれはできませんからね………
    あとバグスターの扱いや事件の解決方法はどうにかならないんでしょうかね
    助けます!と意気込んだくせにゲンムが現れればそちらを優先(「お前の相手をしている暇はない!」くらいあれば良いのですが)し、結果的に作を救ったのは社長でした
    ヒーロー番組の主人公なんだから、せめて怪人を倒して子供たちにかっこいいところを見せて欲しいものです

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    1. >全く危機感とか絶望感がありません

      無いですね。手術室に呼び出して、大我と飛彩でいつもみたいに無理やり手術してバグスターを倒せば終わりなんじゃないかと思ってしまいます。
      普通はこういう展開をやる場合、「ゲームが上手い患者ほど強いバグスターが生まれる」なんて設定を用意して、実際にニコのバグスターを強敵として描いて「ニコであれなら永夢のバグスターが出てきたらヤバい」と思わせる下地を作っておいたりするものなんですけどね。ニコのバグスターは雑魚だったのでむしろ好意的に解釈する余地もありません。
      何にもなしでストレスばかり強調しているから「永夢の発症=即死」くらいなのかなと思っていましたが次回は人格が変わるだけで生きてるみたいです。何をどう受け止めたらいいんでしょうね。

      >助けます!と意気込んだくせにゲンムが現れればそちらを優先(「お前の相手をしている暇はない!」くらいあれば良いのですが)し、結果的に作を救ったのは社長でした

      患者の治療は酷かったですね。
      ゲンム一人相手にマイティブラザーズ+大我の3人がかりの時点でも「一人くらい患者を助けるのに使ったら?」と思っても、邪魔なゲンム倒してから慎重にやるつもりなのかなと好意的に解釈していたらバグスターが実体化した途端にゲンムを放り出して唖然としました。
      これで終わり方も社長が倒してお終いって… 普通に「エグゼイドがバグスターを倒したところにゲンムが現れ、エグゼイドを倒す」でも問題ないと思います。

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  3. バグスターを倒さない限りゲーム病は消えないのでゲンムよりバグスターを優先したのは当然では?

    ゲストは居ないもの
    そこはそれ程気にする事でしょうか?確かに今回の作さんは結局ゲンムに利用されただけで出番は終わりましたが、私はバガモンの遺言通りゲーム製作に打ち込んでたり新社長が重任したりの情報も入手出来たり、何より黎斗の傲慢な性格を表現し易すかったりと、毎回説明が必要な新しいゲストより最適な出番だったと思うのですが。

    特に何も起きないだろうとも言いますが現時点で永夢が消えようとしてる自体が発生してますよ?

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    1. >バグスターを倒さない限りゲーム病は消えないのでゲンムよりバグスターを優先したのは当然では?

      こう解釈する場合には、「なぜ最初に患者よりゲンムと戦うことを優先したか」が疑問になります。
      ゲンムを倒す手段はありませんから戦っても意味は薄いはずです。今度こそ倒せるという勝算がある様子も見当たりませんでした。患者を優先するなら患者と周りの安全が確保できた時点で退却し、一刻も早く患者の手術を行うほうが良いと思います。

      >私はバガモンの遺言通りゲーム製作に打ち込んでたり新社長が重任したりの情報も入手出来たり、何より黎斗の傲慢な性格を表現し易すかったりと、毎回説明が必要な新しいゲストより最適な出番だったと思うのですが。

      作さんが落ち込みながらもバガモンの遺言を守ろうとがんばっている姿は作さんの描写としては意味があります。しかしレギュラーキャラとは特に関係がありません。メインキャラよりゲストを優先することは良いことだと思いません。
      今後も作さんが重要なキャラになるならやっておく価値はあるかもしれませんが、今のところ私は特に出てこなくてもいいキャラだと思っています。

      新社長の情報はポッピーや院長経由が世間話で話せば充分です。黎斗に関しては話相手はパラドがいますし、自分以外のガシャット製造を嫌う点は永夢のマイティブラザーズが既にあります。このためにゲストを出す意義はないと思います。

      >特に何も起きないだろうとも言いますが現時点で永夢が消えようとしてる自体が発生してますよ?

      それは今回のラストと予告で生きていることを見ればわかることなので省略しました。「発病で永夢が消えかけて、何らかの経緯を経て”M”が表に出る」という範囲までの話は予告を見ればわかって当たり前だと思います。

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  4. エグゼイドの、というより近年のライダーの傾向ですが、とにかくキャラが固まっていない、もしくは積み重ねがないのに次のステップに移っていて困惑する、という展開が多いと思います。

    今回の飛彩の発言にしろ、ここ数話の大我の行動にしろ、それまでの積み重ねがない分違和感しか生まれません。ちなみにこれまでの印象は

    飛彩→口だけ達者、勝手気ままに手術したりしなかったりな天才(笑)外科医
    大我→ガシャットよこせ!しか言わないクズ

    なのですが、両者がいい人化するキッカケは何かあったでしょうか?あったなら自分の見過ごしですが、多分なかったように思います。

    こんな風な「ステップをすっ飛ばして段階だけぽんぽん進めてく」というのが近年のトレンドなのでしょうか?それとも単に販促でそれどころじゃないだけ?ある意味、そっちの謎の方が深まります…

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    1. >エグゼイドの、というより近年のライダーの傾向ですが、とにかくキャラが固まっていない、もしくは積み重ねがないのに次のステップに移っていて困惑する、という展開が多いと思います。

      ここ数年は、「1クール目は販促で忙しくてキャラ立てできない→2クール目からはなぜかキャラ立てが済んでいる前提で話が進む」という流れが多いですね。

      >なのですが、両者がいい人化するキッカケは何かあったでしょうか?あったなら自分の見過ごしですが、多分なかったように思います。

      飛彩に関してはグラファイトを倒したことで心の中で一段落ついた、という描写はありましたが「永夢に対して素直になる」根拠は思いつきません。普通はきっかけになるイベントを挟むか、「患者やナースなど他人への人当たりが良くなる→永夢たちへの態度も変わってくる」と段階を踏むのが定番だと思います。
      大我は医師免許を剥奪されても未だに戦っている理由があるはずなので「根は良い人」という話はわかります。しかしこれも急に感情を表に出すようになった理由がわかりません。

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  5. 16話の録画を改めて見返しましたが、考えてみればみるほど今回のパラドの言ってることの意味が理解できませんでした。逆に、こういう前の話との繋がりとか一切考えずに観てる人にとっては、「パラドかっけー!」と盛り上がれたんでしょうか(実際にそういう感想もちらほら見かけました)。

    そういえば、今回ゾンビゲーマーがパラドの攻撃受けて普通に変身解除されてましたが、あれはゲームオーバー扱いにならないんでしょうか。それとも本来ゲームオーバーだけどゾンビの不死身設定のおかげで死ななかったとか?

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    1. 価値観の問題もあるので価値観が合わない私には何とも言えません。
      ルールはお互いに公平で平等であってこそお互いに従う価値があるのであって、自分のルールを押し付けることには正当性も何もないと私は思っています。

      >今回ゾンビゲーマーがパラドの攻撃受けて普通に変身解除されてましたが、あれはゲームオーバー扱いにならないんでしょうか。

      どういうことなのでしょうね?
      情報が少なく、解釈の余地がいくつもある描写に見えました。
      1)殺そうと思えば殺せたが、パラドの思惑から半殺しで済ませた。
      2)パラドと言えども変身解除が限界だった。
      3)「パラドの攻撃は効く」という設定がある。
      4)ただの撮影スタッフ間での演出の整合性の無さ。
      単純に考えてもいくつも仮説が浮かんで絞れません。そのうち説明があるんでしょうかね。


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  6. >前々回のバグスターや永夢など戦意がない相手に一方的に襲いかかることを”競い合う”と呼ぶ感覚が理解できないからです。

    永夢はまだしもバグスターの方は普通にパラドクスに対して発砲していませんでしたっけ?
    先に仕掛けたのはバグスター側でしたし、戦意がないとも一方的とも言えないような気がしますが。
    結果的にパラドクスにダメージを与えられなかったから一方的だ、ということなのでしょうか。

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    1. >結果的にパラドクスにダメージを与えられなかったから一方的だ、ということなのでしょうか。

      半分はそういうことです。
      害のない相手を殺すことを私は充分残虐であるとみなします。そもそもパラドには殺さないといけない必然性がないと思います。たとえば、実際前編の回ではバグスターを鎖で縛るだけで殺しませんでした。後編でも殺さずに無力化することは容易いと思います。

      あとは私の解釈です。
      バグスターは反射的に攻撃しただけで殺す気まではなかったと思っています。そういうつもりがあったら、パラドを倒せるまで攻撃を止めなかったでしょう。
      またパラドが敵意を向けたときにはバグスターは逃げ腰に見えました。そんな相手を攻撃することを私は一方的であるとみなします。

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  7. 永夢たちのゲーム(患者を救うこと)や人間から完全分離を果たすためのバグスターのゲーム この部分おかしくないですか?たしか永夢はバグスターと戦っている時に「俺がやってんのは患者のオペだ!」といってたとおもうんですけど

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    1. >たしか永夢はバグスターと戦っている時に「俺がやってんのは患者のオペだ!」といってたとおもうんですけど

      ここはおかしくないですね。これはパラドから見た物の見方だからです。
      匿名さんの言うように永夢にとってはゲームではありません。まして飛彩は一度もオペがゲームだと言ったことはありません。
      ですがパラドからすれば、永夢や飛彩の行動もゲームとみなしていると考えるべきだと私は解釈します。パラドにとっては「何かしらの目標を持った活動=ゲーム」と定義されていると考えます。社長の行動や永夢たちのオペは本人にとってはゲームではありません。またバグスターたちも目的は完全分離であって、遊んでいるつもりは全くないと思います。
      にも関わらずゲームにしか興味がないパラドが首をつっこむならば、「パラドは他人の活動も一種のゲームだと思っている」もしくは「パラドはゲーム以外の行動も取る」のどちらかになると思います。パラドがゲーム以外の行動も取るというのはパラドの言動と大きく食い違うので、他人の活動もゲームと認識していると考えるのが妥当ではないかと私は考えます。

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