『手裏剣戦隊ニンニンジャー』を最終回まで見終わっての全体感想です。



【一言まとめ】

・アクションは良好
・ストーリーは理解不能
・オリジナリティは???


【良かった点】

■安心の忍者アクション
・アクションは良かったです。
ここ数年の戦隊のアクションは右肩上がりで来ましたがニンニンジャーでもそれは変わらず上り調子でした。

・忍者といえば身軽な身のこなしに刀と忍術など元々アクション向きな要素が揃っています。
ニンニンジャーでは共通装備が刀とハンドガン、更に「刀・弓・爪」に変形するマルチ武器と扱いやすい装備が揃っていました。他の戦隊と比べてもアクションにとってはかなりの好条件で伸び伸びとした動きを楽しむことができました。これといった独自要素はありませんでしたがそれでも毎回アクションを楽しみにできるほど高いクオリティを保っていました。というかアクションだけが私の心の支えでした。

■巨大戦なのに身軽なアクション!
・ニンニンジャーの最大の見どころはここだと思います。
シノビマルとロデオマルの巨大戦は毎回ワクワクしました。シノビマルとロデオマルはそれぞれ1号ロボ・2号ロボの主要パーツであり、単独でもレッドと追加戦士(スターニンジャー)の人型ロボとして動けるゴーバスターズのゴーバスターエースのようなロボのことです。

・巨大戦といえば、肩が回らない、脚が上がらない、っていうか歩けないからスライド移動と動けなくて当たり前です。
ところがシノビマルとロデオマルは驚くほどに身軽でした。ダッシュにジャンプ、果ては前転飛び込みまでやってのけました。これは衝撃的でした。セットの中を所狭しと駆けまわる姿は従来の巨大戦のイメージとかけ離れたものでした。

・残念ながら出番は多くありませんでした。単独商品ではなく、あくまで1号ロボ・2号ロボのパーツなので仕方ありません。
しかし出番は少ないながらも「今回は出番があるといいな~」と期待したくなる魅力がありました。単調になりがちな巨大戦に一石を投じたという点で高く評価しています。ロボの仕様によるので毎回できることではないと思いますが、定番化してくれると嬉しいです。




【残念だった点】

■ストーリー展開
・私は作品を読み解くことというのは作者との対話であると考えているのですが、ニンニンジャーに関しては対話以前に言葉が通じないように感じました。通常の作劇や常識とかけ離れていて理解不能でした。面白い、つまらないの以前に「今何の話をしているの?」と思うことばかりでした。
私では評価のしようがないため、以下に実例を挙げていきたいと思います。

「個人回のはずがなぜかレッドが締める」
・ニンニンジャーではレッドが活躍することが多かったです。それ自体は大して珍しくないのですが、ニンニンジャーの異様な点はそれが他のキャラの個人回であってもレッドが締めることが度々あるという点です。

・たとえば40話です。「天才タイプのピンクが前回敵幹部に負けたせいで自分を見失う」というお話で、中盤にレッドが「調子が悪いときは仲間に頼ったっていいんだぞ」とアドバイスしてピンクが立ち直ります。
ここからが問題です。後半のバトルでレッドがその回の怪人、貧乏神の攻撃を受けて”見た目も攻撃もしょぼくなる”という呪いをかけられてしまいます。炎の忍術を使ってもマッチみたいな火しか出せなくなってしまいました。そこに駆けつけてくる仲間たち。
そこでレッドの取った行動は… 「スーパー化してゴリ押しする」でした。仲間を頼れと自分で言っておきながら自分はパワープレイで乗り切ってしまい、ピンクはそれを見ているだけでした。でも何だか丸く収まったような雰囲気でその回は終わりました。

・普通だったらその回の主役が活躍すると思うところでレッドが全部持っていく、そんなことが度々ありました。販促の関係でトドメをレッドの専用武器で倒すことなら珍しくありません。しかし話のオチまで持って行ってしまった例は覚えがありません。これがボウケンジャーやシンケンジャーのようにレッドが他のメンバーよりも格上の存在として扱われているならまだわかります。しかしそうではありません。

「レッド偏重に見えるのに、お題目は6人での競争」
・ニンニンジャーの目標は「偉大な忍者である祖父の持つ称号”ラストニンジャ”を継ぐこと」です。そのために”ラストニンジャレース”と称して、メンバー6人(追加戦士一人込み)で競争を繰り広げていきます。
お題目はこうなっているはずなのに実際には上記の例で挙げたとおり、レッドだけが飛び抜けて優遇されています。競争を成立させるためには6人それぞれに長所がないといけないのに活躍するのはいつもレッドばかりでした。始めだけの死に設定かと思いきや、作中では途中経過だの負けないぞーだのと頻繁に競争である点が強調されていました。でも活躍するのはレッドばかりです。

・最初の幹部を倒したのもレッド(敵からはレッド以外は雑魚扱い)。2クール目で獲得したスーパー化アイテムも途中までレッド専用。3クール目の3号ロボもレッド主導で実用化。
もうレッドに任せればいいんじゃないかしか思えない状況がずっと続いてきました。それでも最後まで台詞では6人であることを強調し続けました。

・こうなると「戦闘以外にも評価項目があるのでは?」と思われるかもしれませんが、強さ以外は特に認められる様子がありません。そもそもラストニンジャであるお爺さん自体が、偏屈で戦い以外にはあまり適性がなさそうに見える人物です。また終盤に明かされた称号継承の条件が「先代殺し」であったため、結局強くなってお爺さんに勝つ必要がありました。黄色の長所は「気配り名人」で、白の長所「明るく元気なこと」と言われていましたが、そんな二人にはレースへの参加資格すら始めからなかったでしょう。

・物事がレッドと祖父を中心に動いているのに仲間を強調する姿は明らかに矛盾しているように見え、理解しがたいものでした。レッドを中心にするなら始めからレッドを格上として扱い、6人での切磋琢磨を主軸にするなら個人回でレッドが目立つことはあり得ないはずです。いったいどんな一貫性に支えられていたのか、未だに想像もつきません。

「親子三代のはずが父親が空気」
「親子三代」がニンニンジャーのキーフレーズの1つでした。親子三代とは祖父(ラストニンジャ)・父(一般人)・孫(主人公のレッド)の3人のことを指しています。他のメンバー5人は親戚3人、ただの弟子1人、そして妹(シロニンジャー)です。
…お気づきのとおり主人公には妹がいるのですが親子三代には含まれません。もちろん親戚の3人や赤の他人は当然含まれません。つまりテーマの1つからしてレッド以外を除け者にしているのです。ちなみに妹は血がつながっていないとかそんなことはありません。本当の親子、兄妹です。

・ここまでなら「まぁ、親子三代はサブテーマで、メインはラストニンジャレースだから」と言えるのですが、サブとして考えても構成が破綻しています。父親が空気だからです。
父親は子供時代は天才忍者だったが10代の頃にある事情により能力を失い、忍者を諦め普通の人生を送ってきたという設定です。こういう設定なので主人公たちの師匠にもなれず、メカニックでもなく、何の取り柄もないただの”主人公の父親”でしかありませんでした。当然出番は少なく、メインで扱われたのは47話中たったの3話でした。

・そんな存在感の薄い扱いでありながら親子三代という要素は提示され続けました。
45話ではついに「親子三世代!ニンジャ全員集合」とタイトルにもなって、祖父・父・孫の親子三代揃い踏みでの変身をやりました。その結果は、別に強くはない父親を放置し他のメンバーも蚊帳の外にして、祖父と孫のレッドだけで戦う酷い有り様でした。

・ラストニンジャレースといい、親子三代といい、死に設定にせずに実行する気があるはずなのに、なぜこんな投げやりな状態になるのか理解できません。やりたいのかやりたくないのか、どっちなのでしょう!?

・ニンニンジャーのストーリーは根幹設定がこの有り様なので、ストーリー展開はもっと複雑怪奇です。考えれば考えるほど前後のつながりがわからなくなっていきます。「ここがおかしい」とかいうレベルではないので、ここでは詳細には触れずにおきます。詳しくは各話感想を見ていただければ私が如何に理解するのに苦しんだかご確認いただけると思います。


■棒読み+口癖=地獄
・ニンニンジャーを語る上で役者さんを外すわけにはいきません。
私は普段は役者さんに関しては触れないことにしています。戦隊が初舞台の若手も多く、下手で当たり前だからです。
しかしニンニンジャーは特別です。特別酷かったです。レッドが酷い、ブルーが酷い、他の3人もけっこう酷い。棒、棒、棒の棒地獄でのけ反りました。ここまでゲキレンジャーやゴーオンジャーなども耐えてきましたが、ニンニンジャーは無理でした。

・ニンニンジャーの場合、役者さんの滑舌が酷い上にキャラの口癖があったことが問題でした。
レッドの「燃えてきたー!!」「熱いな、これ!」やブルーの「easyだな」など、キャラごとの口癖が頻繁に使われていました。棒読みと不自然なキメ台詞の相乗効果で毎回甚大なダメージを受けました。普通に笑えない酷さだったことが堪えました。おかしいと思う以上にイラつく効果のほうが高く、理解しがたい内容と相まってストレスを感じました。

・最後まで演技が劇的に良くなることもありませんでした。
シリーズ構成の下山さんには否定的な私ですが、この役者さんの問題だけは同情します。




【総合感想】

■なぜベストを尽くしたのか
・シリーズ構成の下山さんは特撮のシリーズ構成の経験はこれが初めてでした。
元々ベテランのようには上手くはいかないだろうと思っていましたが、この出来上がりは想像の遥か上でした。ニンニンジャーにおいて下山さんがどの回を担当したかというと、ほとんどです。47話中39話を執筆されました。ほぼ一人脚本と言ってもいいくらいですね。量としては大したものです。

・ですが私としては「なぜベストを尽くしたのか」と言いたいです。
途中で無理だと判断する勇気を誰か持っていなかったのかと思ってしまいます。どうしてローテーションを組むかと言ったら、量の問題以上にクオリティを保てないことが問題だからでしょう。がんばるのはいいですが、下山さんはがんばる方向が間違っていたと思います。

・結果としてはシリーズ構成としての経験も積めなかったのではないかと思います。
ほぼ一人でやってしまったので他の脚本家さんへの指示を出す機会も少なく、他の脚本家さんの書いた内容を自分の担当回に反映することもほとんどなかったでしょう。今回の反省を次に活かす…、というのも難しいのではないかと思います。

■解読不能
・私の最終的な印象は「解読不能」でした。
内容が無いということはないのですが、何のために何をしているのかを理解することは困難でした。面白くもつまらなくもなく、ひたすらにわからないことだらけでした。どんな人にはオススメとも、こんな人にはオススメできないとも言えない作品です。私が言えることは「疲れるぞ」ということくらいです。波長が合う人か魔境に飛び込みたい人でもなければオススメしません。