主題歌の持つ力 戦姫絶唱シンフォギア 第12話「シンフォギア」:感想

2012年3月30日
凄かった!30分の間でこんなに起伏のある話ができるなんて。終盤の乗りに乗った金子さんの勢いがそのまま脚本に載っているよう。

12話はシンフォギアの良さがみっしり詰まっていたと思う。金子さんの熱血王道ストーリーと特撮リスペクトがシンフォギアの作品としての最大の特徴『歌』と完全にシンクロしていた。
今まで使命感でガチガチだった翼が感情の込もった天羽々斬を熱唱する。それだけで翼の心境の変化とそれでも戦いに望む強い決意が伝わってくる。かつての翼ならあそこで絶唱を使っていたはず。響に後を託し、決意を決めた後でなお生きるつもりでいた。非道の悪を倒すのは己を捨てた戦士ではなく一人の人間である。そんなヒーローイズムも伝わってくるシーンだった。

■主題歌の持つ力
最後のOPを持ってくるのも定番だけど、また違った意味合いを持たせてある。
OPで積み重ねてきた明るさがそこまでの陰鬱とした展開を一気に晴らす!ストーリーのクライマックスとかけ合わせてたたみ掛けるこのカタルシス。主題歌の流れる戦闘という絶対的安心感をここで持ってくるか!歌の持つ力をストーリーに重ねたシンフォギアならではの演出に昇華していた。金子さんだけでも上松さんだけでもこうはいかなっただろう。
それと個人的に思ったことがある。最後の変身までの流れがOPにかけてあるように思えてならない。OPで歌いだす直前に了子がミキサーを操作するカットがある。フィーネの台詞からしてシンフォギアを作ったのもフィーネで、ずっと装着者達は思い通りに操られてきた。フィーネ=了子とわかってからOPのあのカットがそういう意味に思えてならなかった。最後の変身シーンは自ら歌うこともなくみんなの歌で装着した。あのシーンに異常なまでの胸の高鳴りを感じたのはそれもあるのかなと思う。

■冴えわたる金子さんのヒーローイズム
正義を貫いた果てに守ったものから化け物と言われたり、ヒーロー精神に溢れた回でもあった。中でも変身に関する演出は痺れた!
影縫が消滅したことで翼の結末を悟り、心が折れて変身を解除する響。同じ力を自分のために振るい、蹂躙する敵。完全に心が折れても、守り切ったものが、まだ守らなきゃいけない存在があることを確信して立ち上がるヒーロー。それを支えるのは守られる存在であり、守りたいと願うようになった人々の思い。背中に載った思いが形となる。視聴者が視点はヒーローにあり、心は弱い人々にあるからこその二重の感情移入によるこの熱さ!ヒーローものの良さはそこにあるんだ。

次回はいよいよ最終回。最終回と言えばヒーローものの一番の見せ場。
おそらく最終回は特に書くことはないだろう。見れば伝わってくる。最後まで見てきた視聴者の胸に湧き上がる思いは同じはず。

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