『王様戦隊キングオージャー』 第49話「王はここにいる」:感想

2024年2月18日
■加点信仰極まれり
・比喩抜きで「王様が寝ている間」に1話終わりました。
3クール目ぐらいの暇な時期にたまにある変身しないサブキャラが主役の回を見たような気分で。キングオージャーの場合は特にすることが無い暇な時期どころか、次回で最終回なんですけどね…

・既存の要素に対するマイナス効果を全く考えてないところがヤバすぎると思いました。
「こんなことしたら王様が馬鹿や無能に見えるんだけど大丈夫?」なんて当たり前のことを考えた形跡がありません。
民衆が蜂起したらエモいよね! 死んだ王様たちも参戦したら王様が2倍で最高だよね!!
と追加要素を加点で評価することだけに囚われて普通の足し算引き算ができてません。ポジティブ信仰が極まると正気を失う実例だと思います。

■構成がダメ
・真面目に批判をすると悪口よりもっと酷くなっちゃいます。前回の内容が今回の展開を台無しにしていました。
冒頭のコーカサス城墜落をやるなら前回の避難民側の描写は入れてはいけません。結果が見えてるので嘆いているギラが馬鹿に見えますし、結果を知ってる視聴者は退屈するだけです。どう考えても、前回はギラたち目線で進めて避難民は王様たちの宇宙脱出計画を知らされるところまでで止めて、「ラストは城が墜落して打ちひしがれたギラの前に突然乱入してくる国民たちで終わって今回へ続く(避難民側で何があったか今回で後から描く)」のほうがスムーズでした。そうすれば、前回は王様側の思いと決死の行動。今回は国民や側近の思いと決死の行動で各回でやることがはっきりして内容が見やすくなりました。

・死人はダメじゃないけど個人的には出すメリットがわかりませんでした。話がブレるので無いほうが良いと思います。民衆の蜂起が霞んでしまいました。
出すならなぜ出すのか、なぜ出てくれるのかをはっきりさせないと「もう全部死人に任せれば良くね?」という投げやり感のほうが強くなると思います。
「死んだ王様>>民衆>生きてる王様>>宇蟲王」って何なんですかこれ?

・全体の話を振り返るともっと壊滅的なことがわかります。
「王様が命がけで避難のための時間稼ぎをする→避難したはずだった民衆が蜂起して参戦する→民衆は役立たずで死んだ王様が蘇って活躍する→死んだ王様は時間切れでダグデドが出した再生怪人軍団を倒して消滅する→時間を稼いだから王様たちが元気になってダグデドと戦う」
と、見ての通り状況としてはほとんどダグデドと戦う前の振り出しに戻っただけなんですよね。「命はつながってるんだ…!」とか悟りを得たみたいですけど、そもそも永遠の命をロボにどう使うつもりだったのかが全然わかってないので意味がわかりません。これも前々回の始まりの時点で既にあった疑問なので実質的にはこれまた逆戻りしただけです。

・「今まで手も足も出なかった一般人に何ができるんだよ?!」とかいうパワーバランスのおかしさとか以前に話の構成が終わってるのでどうしようもないです。
ダグデドの舐めプに堂が入り過ぎて「こんなイライラする状況でも気長に待って手加減もしてくれるなんてさすが宇蟲王だけあって器がデカい。この期に及んでも悪態しかつけないチキューの王様共とは大違いだ」なんて思えてくるほどでした。こうでも思わないと不自然過ぎてやってられないってことでもあるんですが。

・他にも「民衆も立ち上がった総力戦なのに出てくるシュゴッドが敵だけって正気か?」とか「空を埋め尽くすほどの無数のシュゴッドが襲ってくるってそれって神の怒りと同じだよね? なんで勝てるの?」とかツッコミどころはいくつもあるんですが些末な問題なのに取り上げません。

次回は遂に最終回です! 真っ当じゃない意味でテンションが上がらざるを得ません。ようやく”お片付け”が終わるんですからね。今かつてないほどにダグデドに共感できてる気がします。





コメント

8 件のコメント :

  1. 死人出したのはイロキ役の雛形あきこ変身させて話題欲しかったのも大きいと思います、さっそくネットニュースになってる
    こういうネット媚びだけは懸命にやりますこの作品
    凌駕一閃だの王の証だの出せないイロキが五道化に勝てるなら3、4クール目の内容は何だったのか…

    リタのアイドル回が顕著でしたけど作品の面白さじゃなくてこんな事やりました!という実績を集めるために作ってる感じ

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    1. ネット受けを意識するようになるとこうもダメになるのが早いんですねぇ。まともな面白さを追求する上では邪魔にしかならないと思います。向き合うならせめて子供のほうを向いてほしいものです。

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  2. 展開自体が嫌い過ぎるほどではないのですが、圧倒的に緩急が足りない、「引き」が弱い構成だと思いました。
    前回既に民衆の決起や死人の復活など盛り上がりポイントは大体済ませてしまっているんですよね。
    ダグデドに関しても舐めプが過ぎます。今回の展開を維持するにしても初代王がもうちょっと早く出てきて足止めをするとかなんでもやりようはあったと思うのに出来ていませんでした。

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    1. 展開の順番を変えるだけでも今よりはマシな組み合わせがいくつもありますよね。なんでわざわざこうしたのやら。

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  3. 私も冒頭のコーカサス城墜落の下りはフクロウさんの仰ったように順番が適切ではないと思いました。
    視聴者の意表を突く展開やどんでん返しを(上手くいってたかはともかく)好んで使ってきたのに何故この上手くハマるタイミングでやらないのか不思議です。

    それと今に始まったことではないですが人間とバグナラクの共闘を描こうとしながら結局戦う相手が過去のバグナラク怪人やシュゴッドという絵面がよろしくないですね。
    小さい子だと虫が敵なのか味方なのか分からないまま終わってしまう子もいそうです。まあとっくに子供の方なんか向いてないのでしょうが。全編に渡って「これをやると視聴者にどう映るか」という視点が欠けているスタッフだと感じました。

    ブンブンジャーの会見がありましたが、現時点での印象や期待値はどんな感じですか?

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    1. >それと今に始まったことではないですが人間とバグナラクの共闘を描こうとしながら結局戦う相手が過去のバグナラク怪人やシュゴッドという絵面がよろしくないですね。

      ダグデド用の雑魚を用意しなかったのは失敗でしたね。そのせいでジェラミー国側で既存の怪人スーツを使えなくなってしまいました。
      怪人スーツが使えていれば「ダグデド怪人vsバグラナク怪人」というスーツ同士の戦いを出せてそれこそ「あの強敵(と同じ種類の)が今は味方として戦ってくれている!」っていう今回のシチュエーションにぴったりの共闘感を出せたでしょうに。

      シュゴッドに至っては論外です。シュゴッドを味方として出して戦わせるだけでも少しは販促になるでしょうに…
      それに「民衆の参戦→野良シュゴッドの参戦→死者の参戦」とステップを踏めば死者の参戦もいくらか印象はマシになった可能性も考えられます。もう全方位ダメでダメ過ぎでした。

      >ブンブンジャーの会見がありましたが、現時点での印象や期待値はどんな感じですか?

      記者会見は見てないのでわかりません。
      番宣だとシリアスかギャグかもよくわかりませんでしたが、何にしてもまともなクオリティの作品であってほしいです。

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  4. 蘇る死者がデズナラクだけだったら何か意味がありそうな感じがしてワクワクしてたのに、
    死者が続々復活して、みんな都合よく共闘して、用が済んだらさっさと消えてったのが意味わかんなかった

    エモい絵面を作るためだけに復活した感じがして気に入らなかったな


    キングオージャー観てていつも思うことは
    「こんな意味わからんシーン流すくらいならもっとおもちゃを活躍させろ」
    「せめておもちゃの宣伝だけはしろ」

    こんなシーンのためにロボ戦とかが犠牲になってると思うといたたまれないのよな

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    1. >蘇る死者がデズナラクだけだったら何か意味がありそうな感じがしてワクワクしてたのに、
      死者が続々復活して、みんな都合よく共闘して、用が済んだらさっさと消えてったのが意味わかんなかった

      死人が戦う時点でいろいろ台無しでよろしくないのに、結末まで中途半端でしたね。

      >こんなシーンのためにロボ戦とかが犠牲になってると思うといたたまれないのよな

      インタビューを見る限り、スタッフは確信犯なのでどうにもなりませんね。後半はアパレルとかを売るほうが重要だそうなので。

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