『王様戦隊キングオージャー』 最終回「俺様たちが世界を支配する」:感想

2024年2月25日
■どこまでも展開の箇条書き
・最後まで、というか最後だからこそいつも以上に「僕の好きな展開」の箇条書きっぷりが酷かったです。
本当に箇条書きで間をつなぐ展開がないから展開がワープしまくってました。

・のっけから決め台詞が全然決まらないところが実にキングオージャーらしかったです。
普通だと、ここまでの文脈で同じ台詞でも今までとは違ったふうに聞こえたり、散々苦しめられた敵に勝利宣言をすることにカタルシスがあったりするものですがな~んにもありませんでした。
ヒメノとか最近永遠の命関連でグダグダ言ってたから散ることを知らぬ花がどうのとか逆に意味がわからなくなってましたし、ダグデド相手には相変わらず勝てる気がしないので名乗り口上も「なんでこんな強気になってるんだ?」と王様たちの正気を疑うだけでした。
しかも実際巨大化されたら「ロボないと勝てないんだけどここからどうするの???」と慌てていて登場人物まで完全に狂ってました。

・まだ生きてたカメジムとまだ帰ってなかったデズナラクにびっくりしました。賞味期限切れどころか腐った生ゴミを映してどうするんでしょう??? なんで前回のうちに終わらせなかったんでしょうね…
デズナラクに至っては普通に戸惑いました。前回の冥界の門が閉じるとか何とかは何だったんです??? 帰らなくいいなら他の王様たちもまだ戦ってくださいよ。

・全体としてはダグデドが急に弱くなってたのが萎えまくりで台無しでした。
「ロボないけどどうしよう?!」どころか、なんで生身で勝てるようになってるのかが全く理解できませんでした。全く弱ってないダグデドと負傷した王様たちで戦力的にはマイナスしかなかったはずなのですが。
論理的回答があり得るとすれば「死んだ王様たちがめちゃくちゃ強くてダグデドを削ってくれた」ですね。個人的にはあり得ない答えですが。

・お約束にこだわる割には「強敵の最強技の打破」という定番はやらない辺りがわかってないと思います。
「民の力を使った元気玉だ!」とやったところで「じゃあ星ごと吹き飛ばして大本を断てばいいじゃんw」ってやられたら終わりなんですよ。ダグデドはワープできるけどキングオージャーロボはできそうもありませんしいくらでも立て直しができちゃいます。
最後の最後までダグデドの万能設定は活かせないどころか足を引っ張られまくりでしたね。どうせダメだろうなと思っていましたが何の対策も打てずに終わりました。ダメダメです。

・「シュゴッドはソウルが本体」という話は半分初耳でした。
ソウルを取り外されたクワーゴンやゴッドカブトたちはよく人類に敵意を持たなかったものです。
あの最中に外してることにもびっくりしました。あの状況でどうやって外したんでしょう…? 無くても動くなら最初から外しておくほうが安全ですし。説明されたはずなのに意味が全然わかりませんでした。
でも作り直した様子は見せないところが実にキングオージャーだなと思いました。結局、シュゴッドに興味がないんですよ… 総力戦のシュゴッド無視といい、外見を取り繕うことすらできていません。台詞一つで無かったことになると思ってるところが実に浅はかです。

■論理の破綻どころか最初から成立してない
・「人間の命は永遠につながっていくから狭い世界のお前一人の命より上だ!」みたいな話は全く意味がわからないどころか否定材料がいくつも思い浮かんでしまって困りました。
そもそもキングオージャーロボの「永遠の命」って王の証の代わりなんですよね… スタッフはもう忘れたみたいですけど王の証って「ダグデドが作ったもの」なんですよね…
つまり「”お前の作った永遠の命”の代わりの俺たちの永遠の命はお前のより上だ!(他のパーツも全部ダグデド製のままだが棚に上げておく)」って言って勝ち誇ってたってことなんですよね。私には勝ち誇れる理由がわかりません。
「お前が作ったものはお前を越えられないなんて思い上がりだ!(何もできないと思っていた民衆の蜂起を回想しつつ)」なんて言うほうがよほど状況に合っていると思います。

・狭い世界云々は完全に意味がわかりませんでした。
空間の話をするなら次元が違うからまず意味を成しません。そもそも空間という概念が上位次元で通用するかどうかから怪しいですからね。
命関連もダグデド=永遠の命ではないし、人間の命もここで死んでれば有限だしで何も理屈が成立してないと思います。
そもそも永遠の命批判は一昔前なら全部ジェラミーにも刺さってた批判だってわかってて言ってるんでしょうか? 似たもの扱いしてたゲロウジームにもジェラミーは同じ言葉言えるんですか?
こういうところでまとめにくくなるから、普通は永遠の命の対偶は「有限の命」にするんですけどそういうことすらスタッフは考えなかったんでしょうね。殺せる不死身と殺せない不死身という馬鹿げた前科があるスタッフですから当然ですね。

■最後まで狂った倫理観
・「王が民となり、民が王となり~」とか言ってたのに王様同士のトップ会談で話しを決めて、挙げ句に私情で破綻させている姿には「うん、いつもどおりだ」と妙な安心感を感じてしまいました。この世界はヤバいままです。何も変わってないから当たり前ですね。

・後の描写はもっとヤバくてもう笑っちゃいました。
ンコソパに法律の導入ってそしたら一手に引き受けていた国際裁判所の意味がなくなるんですけどスタッフはわかってないんでしょうね。「今まで国内法すら無かったのかよ?!」っていうツッコミどころもありますけどそれもわかってなかったんでしょうね。
他にも豪華な料理があったのに田舎料理を学んでいるイシャバーナやインターネットが普及してるはずなのに今更パソコンを覚える黒子さんとか、囚人の健康管理がなかったゴッカンなど「良くなった描写がこれ???」と思う内容ばかりでした。
ヤバヤバな描写だらけで本当にこの世界は住みたくないなと改めて思いました。そういう点では実感のある良い最終回と言えるかもしれません。

■バトルもダメ
・設定もストーリーも終わってるんで当然の帰結ではありますけどバトルもダメダメでしたね。
等身大戦は普通に攻撃してるだけで凌駕一閃すらなくどうして勝てるのか意味不明。
巨大戦は射撃を飛ばすだけのしょぼいシューティングで、機体よりも画面のほうがよく動く始末。
巨大戦の結末もなんで勝てたのか理解不能で、倒したらなぜか元の場所に戻ってまた意味不明でした。
ダグデドの本体らしき頭部パーツの中の小さいやつをわざわざ倒してましたけど、本体を倒せないとかじゃなくてダメージが入らないのが問題だったので唐突な弱点が逆に浮きまくりでした。
デザインを考えた人はこういう設定を盛り込んだら役に立つだろうと思って入れたんでしょうけど、こんな扱いじゃ浮かばれませんね。


最後の最後まで書くことがあまりありませんでした。
作品全体の感想は後日、別の記事として書きます。作品の内容が薄かったので、基本的には見ればわかることを言葉にするだけになると思います。





コメント

15 件のコメント :

  1. この作品の1話ってギラがゴッドクワガタを動かす所から始まるんですよね、あれ無かったらただの一般国民の1人でしかなかったわけで
    最終回のラストで一緒にいないのはダメでしょ
    あと守護神の名を借り我々は王様戦隊キングオージャーってあれ何だったの
    本当に同じスタッフが作ってるんですかねこれ?
    素材は良かったと思うんだが非常に残念

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    1. 「キングオージャー」自体が最初はメンバーではなくロボットの名前だったはずなんですけどね…
      ロボを動かせるのがソウルを食べてシュゴッドと意思疎通をできるようになったおかげなのか、ダグデドの与えた支配する力のおかげなのかも最後まではっきりしませんでした。
      最後まで取ってつけたような言及をしては何も形にしないまま終わって、これならいっそ触れないほうがマシだったんじゃないかと思うくらいです。

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  2. 完走お疲れ様でした。正直散々言われてた最大の問題である「ダグデドどうやって倒すの?」がほぼ投げっぱで強引に倒すながれになったのは笑っちゃいましたw
    最初からこんな明らかに収拾をつけようがない設定のラスボスなんて出すなよとしか言いようがないです

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    1. 最初から見えてる落とし穴な上に、何度も同じ問題にハマっていて馬鹿にも程があるって感じでしたね…
      ダメ過ぎて言うことがありません。

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  3. お疲れ様でした。
    カメジムの最期は、ラクレスがボコりデズナラクが連れていくという顛末自体は今日の話の中でも悪くなかったと思いますがやはり「デズナラクなんでまだいるの?」となるので先週やっておくべきでしたね。

    ダグデドに関しては「めちゃくちゃ強い」を通り越して「(宇宙規模で)何でも出来る」に設定してしまうと後でまともに処理出来なくなるというお手本のようなボスキャラでした。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      カメジム関連は全てが中途半端でしたね。なんで今回まで引っ張ったんでしょうね。今回やる意味もないのに王様たちの話をぶった切ってまでやるのか理解に苦しみました。

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  4. 感想お疲れさまです。
    最後のシーンでジェラミーがギラに蹴り入れてこかせてるのがこの番組全体の印象を表してると思います。
    表面上の描写を重ねすぎてジェラミーのキャラとしても違うし、なぜそんな陰湿な描写をしなければいけないのか、最終回の締めのシーンなんだから最後ぐらいカッコよく決めればいいのに、と普通の感性なら浮かぶことすら無視されているので制作陣が何を考えて作ってるのかまるでわかりません。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      ジェラミーの蹴りは「なんで?」って感じが強かったですね。
      スタッフの価値観をエミュレートすると恐らく
      「『みんなが死んでも自分は生き続けるんだろうな』と寂しさを感じていたあのジェラミーが今ではこんなに親しげな態度を取れるくらいに打ち解けたんですよ!」
      って感じなんだろうなと推測しますが、私にとっては「ジェラミーまでクズになった!」って印象にしかなりませんでした。
      ヤンマの悪態やギラの邪悪の王ごっこといい、キングオージャーでは平常運転の範疇だと思いますが不必要な態度の悪さには最後まで不快感を感じました。

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  5. 第5話の5人同時変身したときもギラが蹴られてたけど「終盤にはカッコよく決めるんだろうなー」と思ってたら最終回でまたやってましたね
    ギラ以外の登場人物はみんなどこか気に入らない部分があるので
    ギラばかりが足蹴にされているのはマジで不快でした

    簡単に復活できる設定のラスボスを倒して「平和になったー」って喜んでるのはほんとに意味がわからなかった
    脳みそみたいなの破壊してたけど、あれを破壊したら復活できないなんていっさい語られてないし

    ロボ戦はありましたが、そこもやはりいろいろ雑でしたね

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    1. >ギラ以外の登場人物はみんなどこか気に入らない部分があるのでギラばかりが足蹴にされているのはマジで不快でした

      スタッフの価値観に共感できないとしょうもないイジメにしか見えないので不快ですよね。
      ただのじゃれ合いなら「後ろから『わ!』っと驚かしてからかう」とかでもいいのに、わざわざ蹴って転んだらあざ笑うんですよねぇ…
      私にはこれを肯定する意義がわかりません。

      >簡単に復活できる設定のラスボスを倒して「平和になったー」って喜んでるのはほんとに意味がわからなかった

      ロボの永遠の命の使い方といい、最初から最後まで意味がわかりませんでしたね。
      ハーカバーカもあるからたとえダグデドが死んでても安心できるかわかりませんし。

      >ロボ戦はありましたが、そこもやはりいろいろ雑でしたね

      結局いつものペチペチでしたね。王の証の力をどう使ってるのかもピンと来ませんでしたし、途中から燃えだしたのも何がどうなってるのか判断がつきませんでした。
      監督インタビューによると、スタッフはぐるぐるカメラを回したりしたのを気に入ってるみたいですけどそんなに良いものには見えませんでした。

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  6. みんな毎回変身しないし名乗りもなかったからなんかモヤモヤする作りでしたね。
    最初の方の対談で変身の名乗りみんな違うからそこも見どころなんて言ってたけど速攻変身ばかりでそんなのやってたかなって感じしますね ( ̄▽ ̄;)

    カグラギは真意隠し過ぎてて大人ですら????な感じなので子供がみたら余計何したいか伝わらないと思うんですよね。

    ラクレスやられてた矢野さんとボシマールやられてた福澤さんはある程度先の設定聞かされてての演技だったみたいですね。
    お互い知ってたかはわかりませんけど、福澤さんは半年くらいで正体バレるてきな感じでスーツアクターさんと演技のすり合わせもしてたとかで。

    そもそもなんで2年後にするのとか国民の心境コロコロ変わり過ぎじゃねとか思っちゃいますね。

    良かったのは新しい映像技術を使えたことで今後の作品にどう使うのか選択肢が増えたことじゃないですかね。
    あとは前まで役者さん少なかったのもあっていろんなキャストさん見れたのは面白かったかなと

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    1. 百日紅さん、こんにちは。

      >最初の方の対談で変身の名乗りみんな違うからそこも見どころなんて言ってたけど速攻変身ばかりでそんなのやってたかなって感じしますね ( ̄▽ ̄;)

      名乗りが違うって「王鎧武装」以外に変身時の名乗りありましたっけ? 「豊穣の大殿様! カグラギディボウスキー!」とか言ってたやつのことを指しているのでしょうか。その手のなら他の戦隊でもあったと思いますが。

      >カグラギは真意隠し過ぎてて大人ですら????な感じなので子供がみたら余計何したいか伝わらないと思うんですよね。

      邪悪の王ごっことかジェラミーの行間とかもそうでしたし、最初から「わかんなくてもいい」っていう方針なんだと思います。バトルも玩具もほとんど出ないキングオージャーでストーリーを除いて何が残るつもりでいるのかは全然わかりませんが…

      >ラクレスやられてた矢野さんとボシマールやられてた福澤さんはある程度先の設定聞かされてての演技だったみたいですね。

      そうなんですか。さすがに予定は立ててあったんですね。

      >そもそもなんで2年後にするのとか国民の心境コロコロ変わり過ぎじゃねとか思っちゃいますね。

      特に2年後にした意義は感じませんでしたね。ギラやジェラミーなら王になったばかりだと話が成立しないネタの都合という線もあり得たでしょうけど、実際にはそういう話全然ありませんでしたし…

      >良かったのは新しい映像技術を使えたことで今後の作品にどう使うのか選択肢が増えたことじゃないですかね。

      LEDウォールはどうでしょう。他社のスタジオなので話数単位で使ったりするのは難しそうな気がします。基本LEDウォールだと結構絵面に飽きましたし。上手く使えば使えそうですけど、現状のニチアサだと劇場版が派手になるくらいかなぁという印象です。

      >前まで役者さん少なかったのもあっていろんなキャストさん見れたのは面白かったかなと

      サブキャラという意味でなら多かったですね。
      その分、ゲストが減るので話の広がりという点ではマイナスもありました。キングオージャーなら側近よりも国民からゲストをもっと出したほうが良かった気がします。

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  7. https://youtu.be/4S7HRDsODPc?si=gyX2QOKKRBN--_U5
    これですこれ
    7分ごろにやってる変身ポーズの違いってやつ。
    こんな変身ポーズやってないよなってことです。

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  8. 見直したら3:15あたりから個別でも見せてましたね
    せっかく個別に尺も違うのにやらないなんてもったいないですよね

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    1. あのポーズのことでしたか。普通過ぎて印象にありませんでした。
      やらない原因はバトルへの関心の無さと長さじゃないかと思います。長いとそれだけ時間を取りますからね。ただでさえ短いバトルを縮めたい監督はいないでしょうし、高野さんは台詞を縮めてまで入れたいとは思わないでしょう。

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