『ひろがるスカイ!プリキュア』最終回まで見終わって:総合感想

2024年2月10日

ひろがるスカイ!プリキュア』を最終回まで見終わったので感想を書きたいと思います。

*必要に応じて随時ネタバレがあります。

一言まとめ

”王道”。だけど内容が薄いせいでただの平坦な一本道になってしまった。
要素はいろいろ出てくるが、個人の間で閉じた1対1の関係性が中核。
序盤から後の完成度が異様に低い。
マイナス点は薄い以外にあまり無いがクオリティが低いため加点要素はもっと少ない。


「王道を行く」、を失敗した物語

・ひろプリはヒーローを目指して修行の日々を送っていた少女がプリキュアになったり初めての友達ができたり悪と向き合ったりする、ヒーローものとしてもプリキュアとしても王道の物語です。
ただ、内容が薄いのが問題でした。ストーリーがシンプルなので1話ごとの内容に欠けると退屈になってしまいます。一つの要素を丁寧に掘り下げる深みも無かったため、ただ薄味な作品になってしまいました。

■1クール目はそこそこ良かった
・1クール目まではそこそこ面白かったし期待していました。
ヒーローを目指す熱血正義漢の主人公と主人公に触発された普通の子。主人公も修行ばかりしてきて初めてできた友達や日常生活を楽しんだり戸惑ったりと相互性があってコンビを重んじるプリキュアにも合っていました。
この時点ではヒーローという王道なモチーフやテーマとプリキュアシリーズとの親和性も含めて無難に行けば無難な出来になるので後はクオリティが上振れするか下振れするか次第で良作にも佳作にもなるだろうなと思っていました。

■薄すぎる!
・メインストーリー第一章と言える部分が一段落してシリーズ構成がほとんど登板しなくなった16話から43話までが驚くほどにスカスカでした。
メインストーリーが進まないのはまだしもキャラの掘り下げやエンタメ成分も少なくろくな見どころもありませんでした。夏休み時期にありがちな本編に絡まない気の抜けた回が延々と続いているような状況でした。

・シリーズ構成が戻ってきた終盤ですらダメでした。
残り10話以下になってから取ってつけたような悪役側のドラマを急にやり始めたかと思ったら、数話経ったらドラマの中心になっていた敵幹部が「『愛してる人のために戦っている』とか今まで言ってきたことは全部ウソだ」「女王の語っていたプリキュアへの復讐心も自分が記憶を捏造して植え付けた事実無根のもの」などと言い出して悪役側の主張に悩んでいた主人公たちの葛藤も何もかもちゃぶ台返しされてしまい唖然としました。
結末も別に「話が通じない価値観が違い過ぎる相手にどう向き合うか?」みたいな話になるわけでもなく、最後はだいたい全部こいつのせいだとわかった元凶を殴り倒しておしまいでした。

・下振れするにしても、私がよく言っている「最初と最後の2クール分の内容しかなかった。2,3クール目に変化が少なく引き伸ばし感が強い」くらいだろうと思っていましたが想像を絶するクオリティの低さにびっくりしました。
クオリティが低すぎて良い悪いや呆れる以前に「なんでこんな内容が通ったんだ?」と疑問に思う気持ちのほうが強かったです。あらすじにしてもなお何が面白いのかさっぱりわかりません。
1クール目から先は脚本家が変わったとか、トラブルで当初の予定を全部捨てて途中から書き直すことになったとか、そんな大きな問題があったっけなぁと考えたくなるほど理解し難い展開でした。

■根拠が無くもない
・構造的な問題を疑う痕跡は2つあります。
一つは「モチーフの合わなさ」です。
変身バンクはアイドルのライブ風で、変身アイテムは羽ペンが開いてマイク風になったもの。舞台になる街の名前はソラシド市と音楽要素が揃っているのですがキャラやお話に音楽絡みのものは最後まで一つもありませんでした。
後で登場するアイテムはもっとチグハグで、バタフライの新アイテムは絵の具を混ぜる「パレット」、最強必殺技用のアイテムは触ると音が鳴ったりする「絵本」と目に見える一貫性がありません。

・ここに一貫性をもたらしそうなものがもう一つの根拠、番組が始まる前に宣伝で使われていたらしいキーワード「知ることで広がる世界」です。
こんなフレーズだったなんて最終回が終わってから調べて初めて知りました。それくらい本編の内容と縁が薄いキーワードです。
ただ、おかげでつながらないように感じていた部分のつながりが見えてきた気はしました。本編が始まる頃には「ヒーローもの」として売出ししていましたが、どうやらそれより前には「知育もの」の側面のほうが強かったようです。文房具や音楽、お絵かき、絵本など玩具はどれも知育ものというジャンルで括られていたようです。
どこをどうして知育ものからヒーローものへとシフトしたのかは外からではわかりませんが、玩具や変身バンクを直してる暇が無いくらいには制作がドタバタしていたか、あるいは既に決まってるものを完全ぶっちしたヤバいやつがいた疑いは強まりました。


「”2人”はプリキュア」が中核

ひろプリには様々な要素が出てきました。
悪を挫く正統派ヒーロー路線。
敵と対峙する中で生じる疑問と葛藤。
ヒーローだけど多感な女の子でもあるヒーローガール。
一人では未熟で相互補完的なコンビヒーロー。
どれが本命なのかな?となかなか印象が定まらずにいましたが、終わってみれば初期メンバーであるソラとマシロの関係性が中心だったように感じました。

・そう思うのはストーリーに関わる主要イベントはだいたい個人的な関係性に絡んだものだったからです。
自分の心の弱さに直面して戦う気力を失った主人公を再起させたのは仲間の支えのおかげ。
プリズムが浄化技を覚えたのは敵との交流を通じて相手を救う力が欲しいと思ったから。
敵幹部が戦うのはボスに始末されたくないという自己保身で、大ボスが戦う理由は父親を殺されたから。
最後のほうにはわざわざ「かつて一人で戦い抜いた先代プリキュアが私に一人で戦える力だけでなく他人をプリキュアにする力を与えたのは独りで戦う辛さを知っていたからだと思う」という台詞までありました。
最終回のラストも全て終わったから自分の世界に帰るソラと別れを嫌がるマシロに費やしていましたし、終盤の敵側の主張は「力が全て。力がないと奪われる」というものでした。

・他の路線も考えられはするのですが、どれも結局「要素を散りばめただけで上手くまとめられていない」というクオリティ不足に帰結してしまう印象です。一番説得力を感じたのはこの仮説だったので、今のところは恐らくこれが中核だろうと判断することにしました。

■プリキュアとは何か
・直感的に理解できたかは別として俯瞰的に考えると
「力に善も悪もない」
「力に意味や正当性を与えるものがあるとすればそれは力を振るう目的である」
といった考えがスタッフの大前提にあり
悪を砕く力(ソラ)優しい心(マシロ)が合わさることで悪をも救うプリキュアという真のヒーローになる」
という話にしたかったのかなと思いました。敵を構成するアンダーグエナジーが「プリキュアじゃない兵士でも倒せるが、倒しても散らばるだけで幹部がいれば蘇生できる(力では根本的な解決はできない)」という特性を持っていたり、アンダーグエナジーで形作られているアンダーグ帝国の住人にはプリキュアの力は毒になりアンダーグエナジーも使用者の意思さえあれば傷を治す力になるという辺りからすると力自体には貴賤は無いものとして描いているように見えます。ソラがアンダーグエナジーを使って戦うところも同様でしょう。

■素材は有るが活かせてない
・上記の考えのような方向性から生み出されたとするならば、スタッフの方針は理解できます。
プリキュアは悪を殴って倒すだけでいいのか? 浄化とは殺すことの置き換えではないだろう?
原点である”2人は”に意味を求めるべきではないのか? プリキュアの人数が増えたなら人数が多いことに意味を見出す必要があるのではないのか?
こういう疑問はプリキュアの本質とは何かを考える上で避けられない内容だと思います。そこに真面目に向き合い、答えを出そうとする姿勢は私は好きです。「シリーズ作ってそういうものだから」と最初から投げてるよりずっと良いと思います。

・ですが志をちゃんと物語に落とし込めていたとは思いません。
思想的で頭でっかちどころか思想が正しく伝わる形になっているとすら思えませんでした。自分の頭の中ですらまとめられてない状態で答えを出さないといけないから無理やり捻り出したような印象です。
思想には共感できますが、物語としては評価できません。「プリキュア」を定義付けたいならば、見ていて楽しく満足感のあるお話にすることも販促番組として忘れてはならない要素だと思います。「道徳的」ではあっても道徳そのものになってはいけないのが子供向け番組だと思います。


ソラ/キュアスカイ

・行動概念も悩みも単純明快なヒーローで清々しいキャラでした。
しかしわかりやすいヒーロー性の分だけ謎展開だったお話のクオリティの低さがもろに出てしまったキャラだとも思います。
正義とは何か。
悪に救いは必要ないのかという葛藤。
日常生活や個人的な幸せと公益性のために働くヒーロー活動の間で揺れるヒーローガール。
順調に行けば伸ばしていける余地はいくつもあったと思いますがどれも伸びませんでした。本筋と絡んでいるがゆえにわかりやすい正義感で気持ちよく応援できるヒーローにも、割り切れない善悪に苦悩する主人公にもなりきれないまま終わってしまいました。

■悪役がいないとヒーローの出番もない
・ヒーロー関連の話は悪役軽視と相性が悪かったです。
終盤以外は悪役側の話をほとんどせず、卑劣で憎むべき悪役と断罪するヒーローという以上の関係がありませんでした。悪役の描写を減らすこと自体は有りだと思いますが、この形式だと正義側の掘り下げも進みづらい点が問題でした。力の在り方の話をしたいならなおさら悪役の人物描写は不可欠だったと思います。

■広がらない関係性
・人助け中心のヒーローを目指す少女の話としては人間関係が単調でした。
一つの家に同居しているプリキュアメンバーが日常でも基本的に全員一緒に活動していてゲストもほとんど登場しませんでした。そのため変化に乏しく、会話も役割分担がお決まりになりがちでマンネリ感が強めでした。
お話としてもあまり面白くないのですが、ソラにとっては余計に悪影響が強かったと思います。序盤からヒーロー一筋で思想が固まってるソラの変化に必要なのは違う価値観や相容れない相手との交流だったと思います。悪役はもちろん、シャララ隊長やベリーベリーのような少し違う正義を持っている相手との交流のほうがより「ソラの正義とは何か」を考え描いていくきっかけになったでしょう。

■ヒロイン不在
・日常面で一番致命的だったことはヒロイン的な立場のマシロがプリキュアになったことだと思います。
マシロが戦う力もなくエルちゃんのような世界の命運を担うキーパーソンでもない、ただの一般人だったらソラのお話はもっとまとまりが良かったと思います。いわゆる”ヒロイン”がいたほうがソラの日常も戦う葛藤も描きやすかったと思います。実際、マシロがプリキュアになる前の一般人をやっていた最序盤は展開がスムーズでした。
マシロがプリキュアだと「私が戦わなかったらマシロさんが!」みたいな展開も「もう戦わないで! どうしてソラちゃんだけが傷つかなくちゃいけないの?!」みたいな展開もできません。一緒に戦う場合のドラマは5話にしてだいたい終わらせちゃったので最序盤にして一番の盛り上がりどころを消化してしまいました。シャララ隊長のときのソラの挫折も、アンダーグエナジーに取り憑かれたときも、マシロに戦う力があるせいで善性の話をしているのか実行できる能力の話をしているのか焦点がボヤケてしまいました。
ひろプリのペースからすると、マシロが追加戦士のマジェスティの枠で、30話頃になってから戦う力を持つくらいのほうが予定調和を変える味変にもなってちょうど良かったんじゃないかと思います。

■梯子が勝手に外れた
・終盤の敵側の「全部嘘で~す」はもうどうしようもありませんでした。
せっかくソラが「悪にも相手の正義があってやっているのでは?」と真剣に悩んでいたのに「お前には教えねー」と正論の塩対応で引き伸ばされた挙げ句にソラが自分の答えを見つけないうちに「全部うっそー」で大前提が無くなって考える必要がなくなってしまいました。
「良かった。困ってる人なんて本当はいなかったんですね」な案件なので正義の味方的にはどうもこうもないにはないんですけど、ドラマとしてはこんな肩透かしでは困ります。むしろ嘘だったからこそ「もしそうだったらどうするべきか?」と仮定でも真剣に悩み続けるほうが善良さを強調できたでしょうしね。
正義の掘り下げをする最後にして最大のチャンスがこんな流れで終わってしまったので正義の話としてはもう手の施しようがありませんでした。悪役が質問に答えてくれるわけがないという理不尽さが妙なリアリティを感じさせ、しょうがないかと思わせる微妙な納得感があるのが余計に困りものです。

■一般性のない主観
・個人的にソラのことを考えるとすっきり感がない理由はソラの理屈に一般性や再現性がないことな気がします。
シャララ隊長のことで挫けたときは「友達が自分を信じてくれるなら、自分は自分を信じてくれる友達を信じてがんばる」で乗り切り、
「力が全てだと信じて戦ってきたのにそれを否定したらこれから何を信じて生きればいい?!」という女王カイゼリンの問いかけには「道を間違えることがあっても友達がいれば大丈夫」と返していました。
ソラの個人的経験則としては構わないのですが「カイゼリンやアンダーグ帝国民には友達がいないんだけどどうすればいいの?」という疑問点が湧き上がってくるので理屈として提示されるのは困ります。マシロに巡り会えた幸運に寄って立つところが大きい気がしてしまいます。

・それに対する補完的な答えがたぶんその直後の「私と友達になりませんか?」なんでしょうけど、個人的にはそこに説得力を感じませんでした。
ソラに誰とでも友達になって苦しむ人を片っ端から救い上げる強固なメンタリティの印象がないんですよね… どちらかというと精神面ではマシロやシャララ隊長に救われてる印象のほうが強いです。「一人ぼっちだろうとソラがいるから大丈夫!」と言えるほどのパワフルさは感じません。
ソラの感じだと「どう生きればいいかなんて難しいことは私にはわかりません。でも今こうやってあなたを助け起こすことはできます。あなたが倒れたらまた助けに来ます」くらいの精一杯さが身の丈に合った言葉じゃないかなと私は思いました。


マシロ/キュアプリズム

■普通とは相対的なもの
・「これといった取り柄がないことに悩む普通の子」というのが基本設定でしたがそこの成立から厳しかったですね。
まず比較対象が見当たりませんでした。周りにいる人が異世界人4人と年上だけで周りが明らかに異常なので誰と比べてどう普通以下なのか伝わってきません。
普通と言えば、学校生活が定番ですが学校に行く話自体が少ない上に学校関連は全部ソラの話で終わってしまったため、マシロが平凡なのかどうかは特に実感がないまま進んでしまいました。。

■絵本が突然生えてきた
・中盤からはエルちゃんに読み聞かせをしたりする関係で絵本に興味を持つようになり、早々に自作の絵本を作るようになっていきました。
「やりたいことがない」からオリジナル創作に飛躍した上に、一足飛びに市民コンクールへの参加まで飛んだので勢いに結構振り落とされ気味でした。
なんであんなペースが早かったんでしょう? てっきりマシロが作中で描いていた絵本を実際に絵本として販売する気なのか?と疑いましたがそれは無いようですし。

■よくある問題
・個人的にはそもそも平凡ではないと思いました。
人並み外れた優しさとプリキュアの力を持っています。中学生でパンを焼いたり家事が一通りできるだけでも充分取り柄があると思います。
基礎設定から考えると「パンも焦げてたりそこそこ下手。でもソラは『私はマシロさんのパンが一番好きです!』みたいにお世辞抜きで屈託なく言うから少しずつ自信を持っていき、絵本もエルちゃんのために書いていたら『マシロさんは絵も上手なんですね!』みたいに言われたから書き続けるようになって段々ソラのリアクションに関わらず自分なりの手応えや楽しさを感じるようになっていった」
みたいな流れだったらマシロの人並み以下であるという悩みも、絵本にシフトする流れもつながりが良くなったし、ソラのほうが依存が強いように見える2人の関係性もバランスが良くなったと思います。

・あるいは賢者と言われていたくらいですし、祖母であるヨヨの優秀さに対して劣等感を抱えさせるのも手だったでしょう。これなら能力的には凡人以上でもコンプレックスを抱える理由になります。
上手く膨らませれば「ソラちゃんは私が面倒を見るんだから邪魔しないで!」みたいな流れから庇護欲やメサイアコンプレックスを正義や力の在り方と絡めて語る糸口にもできたでしょう。
ツバサもそうなんですけど「良い子にしたい」とか「くもパンはリアルで販売する商品だから失敗作を作るわけにはいかない」みたいな舞台裏の事情が本編に顔を出しがちであり、上手く折り合いをつけて処理することもできていないように感じました。

■立ち位置があやふや
・メインストーリーではマシロの物語上の立ち位置がよくわからないことが多かったです。
怪人化した幹部を人間に戻せるプリズムシャインが一発芸で終わらず無いと詰んでた最重要技になり、ソラがアンダーグエナジーに飲まれた際も慌てず信じて続け、個人的な印象だとソラよりもずっと精神面でも戦闘面でも安定しているように見えるくらいでした。
それがラストではお別れに取り乱してソラにたしなめられる形になっていて、あれ?っと思いました。
「戦闘では落ち着き払っているが日常では冷静ではいられない」というと、マシロよりもソラのやることな気がするんですけどマシロがやるんですよね… 「いつの間にやら立場が逆転していた」みたいな流れでもなさそうなので意外性よりも違和感のほうが強かったです。
マシロはソラや敵幹部の間で話に必要な狂言回しをしていることが多い印象で、一貫性のある人格が弱いように私は感じました。

ツバサ/キュアウイング

■男であることに特に意味はない
・「初の男性プリキュアメンバー」という触れ込みだったので一応言及しておきます。これはお飾りでした。スタプリで登場した「初のハーフ人種キャラ」と謳われたエレナ同様にそこにスポットライトが当たるわけではなかったためただの看板で終わりました。
これは当然の結末だと思います。そもそもプリキュアシリーズ全体で性別にまつわる話をやったことがほぼありませんからね。恋愛や友達は本質的には同性異性は絶対ではありませんし、”常識”という話をするなら変身したり妖精や異世界人、宇宙人が出てくる世界じゃ性別どころの話じゃありません。メンバー同士で子作りや身体的な能力差の話をしない限りは性別は関係させようがありません。そんな話をプリキュアでするわけないので最初から無意味なのはわかりきっていました。

■第一印象からの変化で振り落とされた
・ツバサは第一印象とその後の言動の落差に悩まされました。
登場時点では「飛べない鳥のプニバード族だけど空を飛ぶ夢を持っていて、人間の航空力学を学んで空を飛べないかと考えて勉強中」という紹介から始まりました。
ところが初登場の次の回で飛行能力が特徴のプリキュア、キュアウイングに変身したことで空を飛ぶ夢が達成されたことになり戸惑いました。
飛べない種族が飛ぶことに意義があるならプリキュアになって飛べても種族が飛んだことにはならないですよね? そこで私はつまづきました。
その後も目標が終わったことは既定路線として進んでいき、航空力学を活かして怪人に勝利したりしていくうちに学びを活かして”賢者”になることを志すようになっていき、ますますツバサのやりたいことがわからなくなっていきました。

■そこは重要じゃなかったらしい
・終わってみた上で流れから判断すると、どうやら”種族”は重要じゃなかったようです。
どうも空を飛ぶ夢というのは、本編より少し前に「空を飛ぶ? プニバード族が飛べるわけないだろwww」と故郷の近所のガキに笑われたことに対して「はぁ?だったら俺が証明してやるよ!」と売り言葉に買い言葉で反発した結果生まれた目標でしかなかったようです。
どうやらツバサの本質はケンカっぱやさのほうにあるようで、そこを私は理解できていなかったようです。

■アゲハとの凹凹コンビ
・この点はアゲハとのちぐはぐ感とも符号すると思いました。
最終回でツバサが「アゲハさんみたいな大人になることが今のもう一つの夢です」とそれまでと違ってまっすぐに語る場面がピンと来なかったのですが、基本的に反骨心の強い人物だとすれば理解できるようになります。
作中の印象だとアゲハの「少年」呼びに対しても「もう止めてくださいよ~」みたいな冗談半分の否定だと思っていましたが、「止めろって言ってんだろ!?」くらいのマジギレ気味のニュアンスだったようです。これも受け止め方を間違えていたっぽいです。

■初期案では生意気少年だったのでは?
・全体の流れから考えていくと、ツバサは素直で中性的な大人しい子ではなく、本来はいかにも少年らしい「反骨心が強く生意気な少年」だったのではないだろうか?という仮説が思い浮かんできました。
序盤の流れからすると、更に「どうせ俺なんて空も飛べないしな」みたいな斜に構えた無気力系からスタートすると流れにしっくり来る気がします。
スカイランドの住人なのに空も飛べないしプニバード族が得意な芸術も苦手で取り柄がないとやさぐれていた少年がエルちゃんを助けるために必死になった結果プリキュアになれ、何もないと思っていた自分に初めて自信を持てたとすれば「あなたのナイトになる!」という唐突な意気込みも頷けます。
その後の展開も、無気力時代に暇つぶしになんとなく読んでいた本の知識で人の役に立てたことで「プリキュアじゃない自分にもできることがある」と自信を深めていったとすれば、賢者を目指すようになる流れもプリキュアの力とは関係ない自分の道を見つけたものとして受け止められます。
これなら最後のアゲハに素直に感謝する態度も散々「大人/少年」と反発していた2人がただの「アゲハ / ツバサ」として素直に認め合うようになった結末として収まったでしょう。
当初はこういう流れにするつもりでキャラと話を考えていたのが、打ち合わせなどの間に「もっと明るく。もっと良い子に。見た目ももっと女の子みたいに」と初期案からかけ離れていったとすればツバサの全体に漂う噛み合わなさがしっくり来るんじゃないかと思いました。

アゲハ/キュアバタフライ

■意図した存在感の薄さ? or 意図せぬ失敗?
・アゲハは一番よくわからないキャラでした。キャラクターとしてもメタ的な立ち位置としても理解できない部分が多かったです。ただの空気キャラとも、ペアであるツバサ同様に初期案から逸脱したせいであるともどちらとも取れる内容に見えました。
プリキュアで空気になるメンバーがいることは珍しくないのでややこしいです。アゲハの場合は「初の成人プリキュア(19歳)」という存在そのものに比重を置いた造形であり、大人であるというだけで子供向け作品では物語から遠ざけられる理由になりますからそういうキャラを登場させたというアリバイ以上の意味を持たせられなくても不思議はありません。
実際、物語上の役割としてはただの狂言回しに過ぎないように見えるところが少なくありませんでした。アゲハのメイン回である保育園とマシロとのエピソードを除くと、アゲハの出番をヨヨに置き換えてもあまり違和感がありません。アゲハがメインの回以外では車を持っていて保護者も兼ねられるので話を回すのには便利に使われていた印象です。実際、他のプリキュアシリーズに比べて外出や遠出は多かったと思います。

・一方、ツバサとの関係はしっくり来ないところが多かったです。
特に執拗な「少年」呼びは最後まで不可解でした。ソラや保育園の男の子にはそんな呼び方しないのになぜツバサだけを名前で呼ぼうとしないのでしょうか。ツバサが明確に嫌がっているのに自分のこだわりを押し付けるのはアゲハらしくないように感じました。この疑問は最後まで解消されませんでした。
個人的には「”最強”の保育士」というフレーズにこだわることも不思議でした。これもそんなキャラに見えないんですよね。普通に「最高の保育士」のほうが合っているように見えました。
作中の要素を元にして理由を考えるなら、大人である両親の都合で姉やマシロと引き離された経験があるので「両親だの大人は勝手。保育士こそ真の子供の味方。保育士は理不尽から子供を守るために最強であるべき」みたいな価値観を持っているからなのでしょうかね。それならヨヨやソラの両親に対して妙に当たりが強いとか関連する言動があるべきな気がしますが…

・全体的にアゲハのことをもっと大人として描いたほうが終盤の展開がしっくり来た気がします。
夢だった保育士よりもプリキュアとして戦うことを優先したのは「自分にしか守れない子供=ソラたち」を守るためだった。とすれば少年呼びなど言動の不一致感や子供向けだから大人を活躍させるわけにいかないメタ的な都合もあっての一歩引き気味な立ち位置も「あくまで大人として見守り、『”みんなのために戦う3人”を守ろう(過保護にするのも3人の自主性を傷つけるから程々に干渉する)』と努めてきたから妙な不自然さがあったのか」と納得感でカタルシスに変えられた気がします。
いろいろ考えてみても「子供向け番組に大人を入れたくない」という都合と「大人であるという以上のキャラクター性を作れなかった」ことの間で煮え切らないまま終わってしまったなぁという印象です。


エルちゃん/キュアマジェスティ

■赤ちゃんとしては大成功
・赤ちゃんキャラとしては大成功だったと思います。
赤ちゃんキャラにありがちなわがままなどウザさや面倒くささは避けつつ、無垢な可愛さや守ってあげたくなる気持ちは抱かせ、足手まといにはならずむしろ優秀。っとプリキュアの赤ちゃん/妖精でありがちな要点、課題は綺麗にクリアできていたと思います。出番の多さや構われ具合に正比例して好印象を抱けました。序盤のエルちゃんはひろプリで最も完成度の高い要素だったと思います。

■終わりの始まり
・中盤以降、販促の重要度が減るにつれていくにつれ、エルちゃんの扱いに困っていった印象です。
主力商品なので赤ちゃんであることは変わりようがないから他で変化をつけよう、という発想までは順当だったと思いますが実装がどれも滑ってる感じでした。
中盤からは単語で会話できるようになりましたが、元が「える」しかしゃべれないけど語気や表情と合わせて何が言いたいかはだいたいわかるキャラが面白かったのでむしろ面白みが減ってしまいました。
31話からはプリキュアに変身して追加戦士を兼任するようになりましたが立て付けに無理が有りすぎました。

■子供と大人の悪いとこ取り
・変身してキュアマジェスティになると他のプリキュア同様に高校生くらいの背格好になります。人格も理性的ですらすらしゃべる、外見に見合った精神性になります。
でも普段の変身してないときは相変わらず赤ちゃんのままで人格も「エル、わかんない…」みたいな幼子のままでした。
この時点で変身中と普段の落差が激しく、日常面で大きな問題になりました。エルちゃんがわがままを言って宥めないといけないときや何か言ってるけど言葉選びが不明瞭で意味がわからないときに「とりあえずマジェスティに変身させて話を聞いたらいいんじゃないか?」というツッコミどころが生まれてしまったからです。普段は赤ちゃんのまま赤ちゃんにまつわるドタバタ劇を続けているのに楽に解決できる手段ができてしまったので台無しです。

■私に言われても…
・メインストーリーのほうは別の意味で大変なことになりました。
終盤にエルちゃんの素性が伝説で語られていた先代プリキュア、エルレイン王女の化身のような存在であることが説明され、敵の女王はエルレインが裏切って父親を殺したことに激しい怒りを抱えて侵略を始めたことも明らかになりました。
…この時点で明らかな通り、敵とプリキュアの対立が全部”過去”で終わっちゃってるんですよね。敵の女王は「なぜ父を殺した!答えろ!」とか「友達だと思ってたのによくも裏切ったな!許さない!」みたいに気持ちをぶつけてくるんですけど、言われてるエルちゃんは生まれ変わりみたいな存在というだけで記憶も何もない別人なので「私に言われても…」か「そんなの知らないよ!」としか答えようがないんですよね。
基本的に全く知らない過去に原因がある話だから答えの出しようがない上に、エルちゃんは相変わらず普段は赤ちゃんなので事あるごとに「なんで女王はあんな怒ってるんだろうか…」「自分にできることは何だろうか?」みたいに悩み続けることも難しい状態になってしまいました。

・知らんことだらけでプリキュア側にやりようがないのにこの話どうやって解決するんだろうか?と疑問に思っていましたが、結局「突然過去の世界に飛ばされて実際に起きた出来事を見せられる」+「過去世界から後のことは黒幕がべらべらしゃべってくれる」で解決してズッコケました。
しかも敵の女王が言っていた先代プリキュア裏切り疑惑も「父親を殺したのは黒幕で、黒幕が女王の記憶を改ざんして先代プリキュアが殺したと思い込ませた」という誤解でもすれ違いでもなんでもない顛末で黒幕以外は誰も悪くないしわかるわけもない展開で呆れました。
エルちゃんは最後の最後まで本質的には無関係者で可哀想なくらいでした。「お互いに自分が正しいと信じて争う。そこに正しい正義なんてあるのか?」みたいな話に広がるわけでもなかったので本当に不毛でした。

■今更な上に意味がない
・過去の出来事を疑似体験させられた後からは、エルちゃんが日常でも大人モードになったのですが時既に遅く特に意味はありませんでした。
敵のことを考えるのは敵が襲ってきたときだから特に状況は変わりません。変身してない間は「なんで敵は誤解してるんだろう?」と答えの出ない疑問を考えてるだけなので不毛な時間が増えただけでした。
もう終盤で侵略が深刻化していたので「成長したエルちゃんとの日常も描いて赤ちゃん時代からの変化で一粒で2度美味しい!」みたいな日常展開をやっている場合でもありませんでした。
見れば見るほど「なんで今更?」という気持ちが募るばかりでした。

・「お腹が減ると赤ちゃんに戻る」というギミックも同時実装されましたが、一度も有効活用されることがないまま終わって意味不明でした。
「まだ玩具で売ってる赤ちゃん形態が出せないわけじゃありませんよ!」というアリバイ作り以外にどんな意味があったのでしょう。
話の展開次第では「女王との戦闘中にエネルギー切れで赤ちゃんに戻ってピンチ! だけど先代と全然違う姿を見て『こいつは先代とは別人だ…』と自分の間違いを直視することになって動揺する女王」なんて女王の善性や心の揺らぎを描く手にも使えたと思うんですけどね。

■大人になんてならなければ良かった
・エルちゃん関連は始まりは順調だったのに終わってみればグダグダでした。
やっぱり赤ちゃん枠を赤ちゃんのまま追加戦士にしたり、赤ちゃんをキーアイテム以上の役割でメインストーリーに関わらせるのは無理なようです。
必須パーツである赤ちゃんをできるだけ活かそう!と考えるとこういう形になってくるのは理解できるのですが、その不可能さも実感できてしまいました。


アンダーグ帝国

・ソラと同様に元々クオリティ不足で煮え切らないキャラなのに、序盤は明らかに空気にされていたので余計に微妙でした。
幹部も描き方によっては全体のテーマ性を描く材料になったと思います。たとえば、

カバトン=強くないと価値がないと強さにこだわる。=ヒーローも強くなければ価値がない。
バッタモンダー=自己中心的で他人を気にもとめないがそれは余裕の無さの裏返し=ヒーローの掲げる正義の独善性。
ミノトン=強ければ敵にも敬意を払うが弱ければ味方にも冷酷=強さ自体の持つ加虐性や独善性。
カイゼリン=復讐や同胞を守るため脅威と戦う=悪側の正義、正義の名のもとに迫害されるもの。
ダークヘッド=充分強いのに「誰よりも強くなければいつか誰かに殺されてしまう」という強迫観念に駆られ結果的に侵略で脅威になる存在を増やし続けている精神的弱者。

みたいに正義との対称性や共通点を描いていくことは掘り下げにうってつけで、展開も無理なくわかりやすく進められたと思います。

・実際にはバッタモンダー以外はほぼ掘り下げがないまま終わってしまいました。
カバトンなんて序盤に結構出番があるコミカルキャラでそこそこ改心して退場したのにその後全然出てこなくてびっくりしました。おでん屋との絡みとかあったんだから背景とかでもその後を描けたと思うんですが。ミノトンとの兄弟関係も全く活かされませんでしたし、考えるほどになぜこうなったのか不思議でしょうがありません。
バッタモンダー関連はまともだったのですが、「担当したのがほぼバッタモンダー関連しか書いてない上に途中参加の成田さん」という点が引っかかります。普通だったらノイズとして話半分に見る立て付けなのでメインストーリーにおける意義を見出していいものか迷います。終盤でも使われたプリズムシャインの回に至っては成田さんどころか井上美緒さんでした。脚本家の裁量で勝手にやれる話ではないと思うんですが、シリーズ構成が関わった様子が見当たらないので全然判断がつきません。
カイゼリンは洗脳オチで終わってしまったため、悪人ですらない黒幕に利用されただけの被害者で終わってしまいました。父親を殺され、初めてできた親友は誤解している間に寿命で死に二度と会えず、残ったのはそこそこ性根の悪い部下3人だけです。個人的には「可哀想…」以外の感情が湧いてきません。
スキアヘッドは嘘つきすぎで台無しで、ダークヘッドは小者過ぎてあまり言うことがありません。「ひたすら力を追求する者=力をいくら手に入れても自分の心から生じる不安は克服できないと実証する存在」などラスボスらしいスケールのアプローチができるキャラだったと思うのですが、ソラのスケール感と合わせづらいんですよね…
バッタモンダー以外は中途半端な造形でヒーローのサンドバックにも成りきれなかった印象です。主張や行動が薄っぺらすぎて殴っても手応えがありません。


アクション

・ヒーローをテーマにしただけにアクションは比較的良いほうでした。
変身する前から強く徒手空拳で戦うスカイ、射撃中心で連射や拡散、閃光弾で目くらましなどバリエーションがあるプリズム、唯一空を飛べ機動力の高いウイング、シールドに射撃に格闘戦といろいろできるバタフライとアクションも個性的に分けられていて見応えがありました。
特に初期の必殺技はモーションの映像との連動性が良かったです。たとえばスカイの浄化技のスカイパンチは強く踏み込むと全身が拳のようなオーラに覆われて突進して敵を貫く技ですが実際に戦闘中に踏み込むカットからシームレス気味に必殺技につなげたり、逆に防がれたら必殺技の耐性から崩されることになったり、アニメーションの面でもバリエーションがあって面白かったです。

・ただ、ストーリー展開が脚を引っ張りました。
中盤以降になると勝ち確か勝てる気がしないかのどちらにしても結末が見えてる消化試合が多く、作画面では恵まれていても盛り上がる気になれないバトルが多かったです。
個人的には23話のシャララ隊長のランボーグ戦がピークで、ミノトンやラスボス戦は作画はそれまでよりずっと良いもののバトルが盛り上がらないから印象はパッとしませんでした。土田さんや野呂さんが演出したメインストーリーと関わりのない雑魚戦のほうが印象が良かったくらいです。

・マジェスティだけはアクションもパッとしない印象でした。
戦闘スタイルはスカイと似たりよったりの格闘で差別化が弱いと思いますし、何より加入した時点で相手がスキアヘッドがメインになっていてもうバトルの勝ち負けの意義が薄くなっていたのが致命的だったと思います。
最後の追加戦士と言えばバトルでは優遇されがちですが、マジェスティの場合は活躍という活躍の印象すら薄いです。せめて専用アイテムがあればもう少し扱いがマシになっていたのでしょうか。

■演出家は豊作
・演出家はだいぶ良かったです。
贔屓にしてる土田豊さんは4回も登板してくれました。内訳は5話のアップドラフトシャイニング初登場回、18話バタフライ初変身回、34話バッタモンダー再登場、44話エルレインのいた過去へ飛んだ回です。どれも日常描写はコミカルに楽しく、バトルは楽しさや迫力、シリアスと回によって様々でどれも楽しめました。

・デパプリでも何話か担当されていた横内一樹さんも2回登板されていました。32話マジェスティ2戦目と45話エルレイン回、それと最終回の絵コンテが連名でした。東映所属ではないようですが、実力のある方の参加はありがたいです。

・野呂彩芳さんはどこかで聞き覚えが有るような?と思ったらトロピカルージュでエルダが人形のお化けになりすます回を担当された人でした。ひろプリでは29話のぬいぐるみの館と39話のハロウィン回を担当されていました。最近プリキュアではやらないストレートな良いお話系が作風なんでしょうかね。ストーリー系に長けた演出家もプリキュアに必要な人材だと思うので今後も期待したいです。

・それと15話のアップドラフトシャイニングで捕らえた爆弾型ランボーグから手がにょきにょき生えてきてアップドラフトシャイニングのUFO部分を握り潰そうとしてくる場面も印象に残りました。
ツルツルの表面から突然腕が何本も生えてくるところがプリキュアには珍しい化け物感があってインパクトの強さがそのままピンチ感に直結していて素晴らしかったです。

全体感想

■出来は良くないけど方向性は好きな方
・他の内容はだいたい上で書いちゃったので改めて書くことは大してありませんが、振り返ってみればスイプリに近い印象になりました。
やろうとしてることには好感が持てるんですけど実装が下手でお話としての完成度が低過ぎました。
同じような展開でも2クールだったらもうちょっと印象がマシだったと思いますが、1年という長丁場でダレてるとそれだけで致命的です。仮にメインストーリーやテーマ部分はしっかりできていたとしてもこの中だるみでは評価は低めになったでしょう。






コメント

19 件のコメント :

  1. 自分のもやもやが言語化されたような気がします。ありがとうございます。
    金月さんの「子どもが怖がるので悪役会議を無くす」は全然アリだと思っているのですが、ひろプリには向かない挑戦だったと改めて思いました。
    ちなみにあげはがツバサを少年と呼び続けるのは「照れ隠し」だそうです。

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    1. 匿名さん、こんにちは。参考になれば幸いです。

      >ちなみにあげはがツバサを少年と呼び続けるのは「照れ隠し」だそうです。

      そう言われてもなお全然ピンと来ませんね。何に照れて、何を隠す必要があったのでしょう? 保育園の子供やソラには好意を隠す気なんて感じたことがありません。心当たりがなさ過ぎて「まさか本物のショタコンだったのか?」なんて思えてしまいます。

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  2. 総括お待ちしてました。内容としては非常に的を射ており、納得・共感できる部分が多く、読み応えがありました。

    音楽や変身バンク、キャラデザやアクションは非常にいいものの、脚本と話の流れが歴代みても残念な部類に入るものと思いました。
    また、新しく取り入れようとしたもの(男性・女性プリキュア)や初代回帰(コンビ重視、最終フォームなし)といったポイントがほぼ活かしきれてない、裏目に出てる(しかも顕著に)ように思いました。

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    1. 全体的に伸び悩んだのがもったいなく感じましたね。

      >新しく取り入れようとしたもの(男性・女性プリキュア)や初代回帰(コンビ重視、最終フォームなし)といったポイントがほぼ活かしきれてない、裏目に出てる(しかも顕著に)ように思いました。

      こちらに関しては私は基本的にはクオリティの問題で相性の問題ではないと考えています。
      ソラ関連で指摘した敵の描写やゲストキャラの課題はその気があればひろプリの形の中でもやれることだったと思うので。

      スーパー化無しも力を追求することに否定気味のストーリーなら無いほうが合ってると思います。「力が全てではない!」と言いながら自分はスーパー化して叩きのめすのでは説得力に欠けるでしょう。

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    2. ×(男性・女性プリキュア)
      ○(男性・成人プリキュア)
      でした。失礼しました。

      私も同意見です。テーマ性はかなり可能性を感じていたので、クオリティの問題と思います。
      ご返信ありがとうございます。

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  3. ご視聴お疲れ様でした。自分はこの作品のテーマを序盤で強く示されていた「普遍的な女の子がヒーローを目指す物語」か最終話のタイトルやオチの一言で使われた「ひろがる世界」かと思い、イマイチピンときていなかったのですが、主さんが仰る「ソラとましろの関係性」が自分の中でとてもスッキリ腑に落ちました。それが一番わかりやすく表現されていた5話が一番面白かったこととも符合しています。

    自分はこの作品をかなり批判的に視聴していましたが、それでも5話までのドラマと販促、描写の蓄積と三拍子揃った良好なクオリティから脚本家も外部事情やローテ陣の介入がなければ今後も期待できるのではないかと考えています。主さんはメインライターの方の今後に期待感はありますか?

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >主さんはメインライターの方の今後に期待感はありますか?

      今のところは「ややマイナスだけど評価は保留」です。
      原因が外部の干渉によるものなのか、脚本家の責任なのかはっきりしない部分が多いと思っているので決め手にかけます。
      ただ、終盤のお話や各要素の扱いなど全体としては破綻にしたとしても一部だけでもマシにするやりようはあっただろうと思うところがあるので脚本に何の落ち度もないかというとそれも疑問です。

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  4. 個人的には、スタッフのやりたいシーンやシチュエーション、言わせたいセリフが第一にあって、そこ以外はおざなりだった作品と言う印象でした。
    故に設定と言動がちぐはぐだったりブレてたりしたのかなと思います。

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    1. そういう解釈もできると思います。
      私の印象としては「良いたいことを上手く言えてない気がする」という印象のほうが強く感じました。

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  5. プリキュアネタバレスレからの情報ですが、ひろプリはもともとプリキュアを真の悪にする展開だったそうですが路線変更をしたとの話がアニメディアの2024年2月号にあるそうです。変身パンクがライブ風なのは元は音楽をテーマにしたプリキュアにするつもりが「音楽はスイートでやったから」という意見でボツにされた名残りで、アニメージュ2023年5月号のインタビューによりますとツバサは本来もっと年上のキャラにするつもりが幼児への親しみやすさを考慮した結果今のデザインになったそうです。ソラのライバルとなるような女性幹部の登場もあったそうですが、それも没になったそうです。
    最初は歴代プリキュアの世界を回る作風という意味で「ひろがるスカイ」なのかなと思っていましたが「ひろがらない」まま終わってしまったのが悲しすぎます。製作者のやりたかったこと・書きたかったことと実際にできることに対する乖離が本作の失敗につながったのかなと私は思っています。プリキュアって1年の作品なので当初構想していた作風や展開が途中で大幅に変更されて台無しになるという傾向がよくあると思います。最初のまま貫徹するというのは本当に難しいのかなと思いました。

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    1. 私はインタビューを読んでいないので真偽のほどはわかりません。状況から考えて何かしらの制作上のトラブルはあったことは想像がつきますが、原因がいつ誰によってなぜ起きたのかがわからないと突き詰めるのは難しいと思います。
      ストーリーの予定が変わったにしても、制作が始まる前から上手くいっていなかったのか、途中まで作っていたのに突然変更になったのか、本編途中で変わったのか、それだけでもだいぶ変わるでしょう。

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  6. スキアヘッドのカイゼリンへの愛云々が全部嘘だということになると、スカイ相手に秘めた恋心を何気なく吐露するシーンが意味不明になってしまうので(カイゼリンだけ騙せればいいのでスカイにまで無駄な芝居をする意味がない)当初は本当に何か事情を抱えた忠臣というシナリオを予定していたのがゴタゴタがあって変更になったのかと勘繰ってしまいました。そうとでも考えないとあまりに杜撰なので。まあ最終10話の短期間でそんなコロコロ変わるとも考えにくいので、本当にただの下手なミスリードだったのかもしれません。
    アンダーグエナジーの化身がカイザーの側近をやっているというのもよく分からない状態ですし、帝国側のドラマは不可解な点が多かったです。

    それと最終回での「一人で同じところに留まっているお前と違って私たちの世界は広がっていく!」と啖呵を切るシーンは「そういう話だったの?」と驚きました。言われてみればキャッチコピーは広がる世界でしたが。ソラが初めて海に行く回などそう感じられるエピソードも少しはありましたが、基本的にはいつも同じメンバー同じような場所で発展性のない話をぐるぐる回している印象でした。

    キャラクターやデザインは可愛くて好きですが、全体としては「やりたいことの片鱗は見えるがなぜかやり切れなかった」作品だと感じました。

    ところでわんだふるプリキュアはご覧になっていますか?
    まだ始まったばかりですが、見ていましたら感想楽しみにしています。

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    1. >(カイゼリンだけ騙せればいいのでスカイにまで無駄な芝居をする意味がない)

      精神攻撃としてはやっておいて損は無いのでそのつもりで言っていたならおかしくはないと思います。スキアヘッドがあの時点でスカイを警戒する必要があったかは怪しいと思いますが。

      >アンダーグエナジーの化身がカイザーの側近をやっているというのもよく分からない状態ですし、帝国側のドラマは不可解な点が多かったです。

      この辺はよくわかりませんでしたね。
      カイゼリン相手に「あなたは”私が教えた中で”最も出来が悪い生徒だった」みたいなことを言っていたので(姿を変えて?)カイザーやその前のアンダーグ人にも介入してきたのかなと私は思いました。ひょっとしたらカイザーが「力が全て」という思想に囚われた背景にはスキアヘッドを失った(と思った)カイゼリンのように先代スキアヘッドが死んだふりをした出来事なんかがあったのかもしれません。

      >それと最終回での「一人で同じところに留まっているお前と違って私たちの世界は広がっていく!」と啖呵を切るシーンは「そういう話だったの?」と驚きました。

      私も唐突だな~と思いました。
      最終回のバトルがやっつけ感に溢れていたので余計にタイトル回収とかそれっぽいことを言いたくなったのかなと思いました。
      全然ピンと来る心当たりがなかったので真に受ける気はしませんでした。上の記事でもノイズとしてガン無視しています。

      >ところでわんだふるプリキュアはご覧になっていますか?
      まだ始まったばかりですが、見ていましたら感想楽しみにしています。

      記事として書くのは初期メンバーが揃ったり一段落してからなので通例なら5話以降になると思います。
      現状での各話の感想が見たいようでしたら、ツイッターで書いています。
      https://twitter.com/owl0079

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  7. デパプリの時からですけど、なんか男は認めん!男がいるから駄作だ!みたいな感想ばかりで鼻で笑ってたので
    やっとまともな感想に出会えました。
    「薄っぺらい」は本当にそう思います。

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    1. 現状だと私は男要素は特に気にしてませんね。。本腰を入れてやってるとも思っていません。有っても無くても大差ない半端な要素でしかないと思っています。

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  8. ツバサくんに関して、些細な事でムッとする場面など多く「本来は」と言わずとも生意気な少年として演出されていると感じました。
    夢に邁進する聡明な少年像と男の子らしい幼さはキャラが分裂している様な印象を抱きましたが、これは設定変更がどうこうではなく単に脚本の問題だと思いました。
    外観などの第一印象との不整合は記号的な表現から離れていて個性的、
    というよりこれをチグハグで違和感があると切り捨ててはいけない気がします。

    個人的にはソラとマシロも含め、アンビバレンスな面が分かたれていない造形が今風かつリアリティがあって魅力的だと感じたので、
    説得力を生み出す掘り下げが極端に不足していたのが残念です。
    シナリオのせいで単にキャラがブレてる様に見えるというのも否めない所ですね。

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    1. >ツバサくんに関して、些細な事でムッとする場面など多く「本来は」と言わずとも生意気な少年として演出されていると感じました。

      それは受け止め方の相違だと思います。
      私は”良い子成分”のほうが強く、生意気成分はそれほど多くないと思いました。
      匿名さんが言及された場面に関してはそれはアゲハ側にも原因がある描き方が多かったとも思っているので特にツバサが生意気な感じに描かれていたとは思いません。

      >夢に邁進する聡明な少年像と男の子らしい幼さはキャラが分裂している様な印象を抱きましたが、これは設定変更がどうこうではなく単に脚本の問題だと思いました。

      >個人的にはソラとマシロも含め、アンビバレンスな面が分かたれていない造形が今風かつリアリティがあって魅力的だと感じたので、
      説得力を生み出す掘り下げが極端に不足していたのが残念です。

      この辺は記事の本文で書いたはずですね。
      「思想は理解できるが作品に落とし込めていない」と全体を評したはずです。
      そこができてれば問題なかったし、できていたならそもそも私の感じたチグハグ感も存在してなかったと思います。もっとちゃんと意味のある表裏に見えるか、一貫したキャラクター性として感じられていたでしょう。

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  9. ようやく見終わって感想漁っててたどり着きました。
    私の感じた事を上手く言語化出来ていて共感する所が多かったです。
    私としては過去に飛んだ所からの脚本の粗が特に気になりました。
    ・雑に置いてかれるツバサとアゲハ
    ・300年前経ってるのにカイザリンが同一人物と理解してるソラとましろ
    ・ソラとましろが300年前のカイザリンと接触せずにエルレインからの又聞きだけで優しいとわかったふうになる...

    等など上げるときりないですがもうちょっとどうにかならんかったのかな?って思います。
    せめてカイザーとエルレインの間に割って入るカイザリンを目撃させるとかしないとあの過去編になんの意味があるのか理解に苦しみます。

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    1. 匿名さん、こんにちは。理解の足しになれば幸いです。

      >・雑に置いてかれるツバサとアゲハ

      なんでわざわざ置いて行ったのか不思議でしたね。特に邪魔になるとも思えませんし。「人数は少ないほうが話が早いから~」とかだとそもそも過去世界に飛ばす必然性を疑う必要があると思いますし。
      理由を考えていくと「メインストーリーでは部外者だから」という扱いが一番しっくり来る流れに見えてしまいました。
      必然性を作るだけなら
      「不思議な声(エルレイン)が聞こえてクルニクルンが光る。
      →カイゼリンが阻止しようとする。
      →『邪魔はさせない!』とウイングとバタフライが飛び出してカイゼリンの攻撃を全力で防ぐ。
      →クルニクルンの近くにいたソラたち3人だけが過去世界に飛ばされる。」
      みたいな展開を挟めば済んだと思います。もっとシンプルに済ませたいならその前のカイゼリンの攻撃でウイングとバタフライだけ遠くに吹き飛ばせば時間をとらずに済んだでしょう。

      >・300年前経ってるのにカイザリンが同一人物と理解してるソラとましろ


      これはそんなにおかしなことではないと私は考えます。
      ソラたち目線だと「敵の親玉がやけにエルちゃんやプリキュアに固執してるし、自分たちの行動の正当性を主張している。なぜだろう?」という疑問を持っていた後から逆流して過去の出来事を知っていったので、カイゼリンを同一人物として受け止めても不思議はないと思います。過去のカイゼリンを知る前にエルちゃんの前世的存在のエルレイン王女とも出会っていますし。
      論理的帰結としては根拠に欠けるところはありますが、状況判断としては不適切としてはある程度の合理性があると私は思います。

      >・ソラとましろが300年前のカイザリンと接触せずにエルレインからの又聞きだけで優しいとわかったふうになる...

      これは説得力に欠けましたね。
      元々ソラは「何か理由があるはず…」みたいに善性を信じたがっていたとか、「エルレインほどの人が言うならそうなのだろう」と思ったとか、理由になるものがなくは無いですけど、ソラたち目線だと侵略からスタートしてる相手なのに考えが甘すぎます。
      そもそもエルレインを完全に信用する根拠から弱いと思いますしね。カイゼリンを善人として扱うなら、カイゼリンに恨まれているエルレインのことは最初は疑ってかかっても全くおかしくないはずです。

      >せめてカイザーとエルレインの間に割って入るカイザリンを目撃させるとかしないとあの過去編になんの意味があるのか理解に苦しみます。

      個人的には過去編を引っ張ること自体があまり面白くないと思いました。
      現代の大前提になっている出来事なので事実がわからないと何の判断も行動も取りようがありません。ましてなぜか一度半端に終わらせた後にエルレインの残留思念で2度も説明し直す必要性は理解できませんでした。
      しかも結局、なんでエルレインが皇帝を殺したことになっているのか一番肝心な部分は謎なままでしたし…
      これで真相は幻と洗脳で終わりで呆れ果てました。

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