『仮面ライダーギーツ』 第1話「黎明F:ライダーへの招待状」:感想

2022年9月4日
■展開が早…くない
・いきなり勝者を決める最終決戦?から始まったり一般人が殺されるところから始まったりしたのでスピーディーな展開だと思いましたがそれは最初だけで実際はそうでもありませんでした。
雑魚戦も巨大戦もダラダラ続くし途中で話すための休憩がいちいち入るわで、一般人でもプレイヤーでもなく誰の視点でも話が進まず作劇の都合が露骨でした。

・最後も主人公?が勝者になったけど世界は特に変わった様子がなくデザイアグランプリもまた開催されるみたいで、ゲームの概要が頭に入るどころかデザイアグランプリの意義自体がわからなくなりました。
主人公が勝者になったのに世界が変わらないとなると視聴者目線だと「じゃあ主人公が勝っても良いことないじゃん。活躍してもどうでもいいわ」となっちゃうんですけどどうするんでしょう?
「1回で全ては変えられないから何度も勝ち抜く必要があるんだよ」という話にするとしても「それはいつになったら終わるの?」と終わりが見えない話になりやすいでしょうし。

■キャラ
・主人公は俺様キャラかと思ったらわりとしょぼくて首を傾げました。
「美人だったから助ける」という利己的な人物かと思ったら男がいるとわかったらがっかりしていました。彼氏がいたら諦めるのかよと思いました。
強欲な人物なら「俺のほうが良い男だから彼氏がいたって問題ないだろ?(すぐに心変わりするさ)」くらいの言動であってほしかったです。
下手をすると処女ヲタみたいな別のキモさを醸し出しかねません。そういうわけじゃないなら別の見せ方のほうが良かったと思います。
善人系の俺様キャラなら「世界は俺のものだ。俺のものを瓦礫や化け物なんかに奪わせるわけないだろ」とかやりようはいくつもあると思います。
優勝したのに終わらないことといい、全体的に格好がついていない感じで俺様キャラにしては良さが全然出ていない印象です。

・就活生は善人に見せたいのか、善人ぶったしょうもないやつに見せたいのか印象が定まりませんでした。
最初の面接の印象だと「脳みそお花畑気味だが善人ではある」のかと思ったら、愚痴がうるさいわ宝くじに当たりたいだのしょうもなさのほうが強く出されていました。
その後もお嬢様を助けようとしたかと思えば、主人公にはヒステリーを起こしたりと場当たり的で性根がどこにあるのかわかりませんでした。
わかったのは少なくとも好感が持てそうな人物ではないということだけでした。こんな小物が参戦しても特に盛り上がる気がしないのですがどういう役割なんでしょう?

・セレブお嬢様も本気で家出したいなら配信なんてするべきじゃないので本気度が感じられませんでした。
「序盤はボディガードをうっとうしく思っていたのに、怪人が現れたら『ボディガードなんだから私を守りなさいよ、この役立たず!』みたいに本心が出る」みたいな話でもなく、どういう人物で何がしたいのか何も伝わってきませんでした。
1話の散らかり具合といい、これならお嬢様は出さずに就活生の姉をお嬢様のポジションに据えたほうがキャラを減らせて話がまとめやすかったんじゃないかと思いました。

・命のかかったデスゲームにしては全体的に態度がぬるいように感じました。
1話から人間の底が見えるような展開じゃないとデスゲームの1話として展開が遅いと思います。
どうせなら「変身」という仕様を活かして数話ごとに参加者が入れ替わって同じベルトで変身するみたいな方式のほうがライダーの話の組み立て方には合ってると思います。
それは役者や事務所の都合で不可能だと思いますが、少しは採用したモチーフを活かす姿勢を見せてほしいものです。「人気があるみたいなのでやりました。面白さは全然わかってません」なんて底の浅さはうんざりです。

■デザイン
・ライダーも敵も全体的に安っぽい印象です。ご当地ヒーローのような「ライダーっぽいもの」みたいな感じで低予算感が漂っていました。

・ギーツは「狐面のライダー」という以上の印象が特にありません。
「なるほど狐っぽい」と思うデザインやアクションは見受けられませんでしたし、サイバーっぽさも特に感じませんでした。
デザインは独特だけど全体としては個性を感じないというギャップが番組としては悪い方に働いている印象です。
和風の狐だったら妖術とか陰陽道とか化けるとかいろいろ連想するものがあると思います。そういうイメージするものが全くなく、機械的にアイテムを使うことしかできない点がしょぼく見える原因かもしれません。

・リブルブオンは特に面白みを感じませんでした。
能力やギミックがフォームと1対1対応なので「普通のライダーができることを一手間かけないとできない」という印象にしかなりませんでした。
ただ、フィギュアなら自分の手で組み換えるからパーツの対応箇所など変化の実感があって楽しめるのかもしれないとは思いました。

■バトル
・バトルは酷かったです。アクションの必然性や流れが全然感じられませんでした。
ぐるぐる走りながら取り囲む敵への対処が「敵が来るまで待って受け止めて倒す」って何ですか? 銃を持ってるんだから撃てばいいじゃないですか。
余裕ぶりたいなら「お? 何をするんだ。待っててやるよw」なんて見せ方もありますし、俺様キャラなら待つ必要もないでしょう。自分から輪に飛び込んで「俺も混ぜろよ!」なんてこともできたでしょう。
強さをアピールしないなら1体なんてせこいことは言わずに「全方向から同時に襲いかかってくる敵をあっさりといなして一撃一撃にカウンターを決めて全滅させる」なんて見せ方もあると思います。
あの場面でやりたいことが全然伝わってきませんでした。

・”城”の攻略戦はまるで意味がわかりませんでした。
バイクで中に飛び込んで中から壊したと思ったら外に出てライダーキックで倒すってどういうことですか? どっちか片方で充分なように見えて意味がわかりませんでした。
普通なら理由を設けると思います。中に飛び込むのは飛び道具やバリアを壊して助走距離が必要なライダーキックの下準備をするためとか、中を壊して墜落させたところでトドメを指すためにライダーキックとか。

・アクションは「撮り方は良いほうかな?」という印象です。
具体的にこのアクションが良かったというのは無いんですが、いろいろやろうとしている意気込みは感じた気がします。今後成果を伴うと嬉しいです。


次回は…ルール説明とか早々にやられる参加者とかお決まりの展開をやるんでしょうかね。
主人公が前回優勝者でアイテムも持ち越しみたいなので苦戦する要素が見当たりません。全体像が見えないので何に期待すればいいのかピンと来ません。
気になる点は「就活生の姉は消滅したのか否か」くらいです。一人で食べに行っただけなのか、姉自体が存在しなくなったのか今回の描写だと区別がつきませんでした。



コメント

4 件のコメント :

  1. こんばんは。
    今年も新しい仮面ライダーが始まりましたね。
    今回は脚本高橋氏、プロデューサー武部氏と前科ありのメンツがメインなのであまり期待していませんでしたが、悪い意味で期待通りの出来になりそうです。
    1話を見た感想としては、相変わらず高橋氏……を含めた今の東映スタッフは真っ当な善人キャラを描くことはもうできなさそうだなということです。
    もちろん作中内では流石に善人として扱われるのでしょうが、どう解釈してもとても善人には見えないキャラクターばかりが登場するいつもの仮面ライダーになりそうですね。視聴者と制作側のギャップがある分余計にきついです。
    あの就活生も今後狂言回し兼常識人ポジになっていくのでしょうけど、そんなキャラクターを創るのは無理だなと1話とこれまでの作品から察しました。
    アクションも特に光るものはありませんね。別に悪いというほどでもないですが普段よりちょっと派手かな、程度。
    ベルトギミックで上下半身の能力とアーマーが入れ替わるようですが、これも1クールもすれば全身フル装備の強化フォームが登場して死にギミックになるいつものパターンでしょうね。
    あと予算もないでしょうしそこまでフォームチェンジも多用されないでしょう。
    予算と言えば全体的にスーツが安っぽいのが気になります。
    設定段階で既に顔以外のスーツは共通でアーマーで差別化していくということだとは思うのですが、よりにもよって多人数ライダーもので首から下が無個性なのは画面映え的にきついものがあります。
    ガイムのようにアンダースーツは別だったりもっと色合いがはっきりしていれば映えるのですが、ギーツに登場するライダーは全体的に色のトーンが暗いので視覚的面白さもどこまで期待していいものやらです、
    世間的にも東映の悪辣さが露呈し(いつも通りとはいえ普段よりきつめの)マイナスイメージからのスタートとなったギーツ。
    せめて低めのハードルくらい超えて欲しいものです。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >もちろん作中内では流石に善人として扱われるのでしょうが、どう解釈してもとても善人には見えないキャラクターばかりが登場するいつもの仮面ライダーになりそうですね。視聴者と制作側のギャップがある分余計にきついです

      エグゼイドもゼロワンも登場人物の言動&周りからの印象と視聴者目線とのギャップが酷く、最後まで悪化の一途だっただけに不安を感じます。
      比較的シンプルそうな主人公すらもキャラが微妙な感じですし、また展開をひっくり返すことを何度も繰り返しそうな臭いを感じつつあります。

      >ベルトギミックで上下半身の能力とアーマーが入れ替わるようですが、これも1クールもすれば全身フル装備の強化フォームが登場して死にギミックになるいつものパターンでしょうね。

      例年どおりならそうなると思います。せいぜい1クール目終盤あたりに登場するであろう最初の強化フォームでほぼ最後じゃないかと思っています。

      >ガイムのようにアンダースーツは別だったりもっと色合いがはっきりしていれば映えるのですが、ギーツに登場するライダーは全体的に色のトーンが暗いので視覚的面白さもどこまで期待していいものやらです、

      近年は「流用と言えば怪人」という流れもあって、余計に雑魚感が強いです。
      個人的には頭部パーツが身体よりも二周りくらい大きいことも余計に身体がひょろひょろに見える一因ではないかと考えています。
      どうせアーマー無しの形態なんて数えるほど出さないのでしょうし、第一印象が悪くなるだけマイナスのほうが大きい気がします。

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  2. 感想お疲れ様です。
    すっごい武部Pと脚本高橋さんな作品だなぁという感じでしたね。
    中澤監督の割に映像が何一つ面白くないので、やはり東映過重労働問題で、良いものが作れないのでしょうか。
    >キャラ
    owl様の述べられていることを私も思いました。
    たぬきになる青年を我々視聴者目線にしたいというのをどこかで見かけましたが
    1話見る限りだと期待薄です。我々目線のキャラというならそこに成長物語を挟んじゃうと成長により視点が変わっていくのでそもそもライダー側に我々目線を入れること自体が無理だよなぁと思いました。

    >デザイン
    仮面ライダーはぎりぎり誤魔化せてるようなそうでないようなで言い訳がたちますが、戦闘員は言い訳のしようもない感じでしたね。
    デザイアグランプリとやらは、人助けでポイントが入るらしいので、あの低予算戦闘員とのバトルを見せつけられるのでしょうか……
    一応ルール変更とかでライダーバトルによるポイント制にはなるのかな?
    >フィギュア
    ボーイズトイと装動では面白そうです。
    本編ではお金がないからできない武器装備とか出来るのもよさそうですね。
    難点は本編が面白くなければ別にそこまでこだわって遊びたくないのですが……

    リバイスが酷過ぎたのでこうしてowl様の感想にコメントを書きに来るくらいのモチベは保って視聴は出来ました。
    来週以降もコメント残せる程度の作品でいてくれれば……なんて。
    来週の感想も楽しみにしています。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >我々目線のキャラというならそこに成長物語を挟んじゃうと成長により視点が変わっていくのでそもそもライダー側に我々目線を入れること自体が無理だよなぁと思いました。

      そうですね。相性は悪いと思います。仮に感情移入できたとしても今度は主役?のギーツが目立つことと衝突するでしょうし。

      >仮面ライダーはぎりぎり誤魔化せてるようなそうでないようなで言い訳がたちますが、戦闘員は言い訳のしようもない感じでしたね。

      元々予算削減の結果、デザインでぎりぎりコスプレレベルにならずに踏みとどまっていた程度なのでありもので作れそうなよくあるデザインになっちゃうと安っぽさが溢れちゃいますね。

      >一応ルール変更とかでライダーバトルによるポイント制にはなるのかな?

      最近の傾向からすると何の説明もなく、「元からそんな設定ありませんけど何か?」と居直るだけな気がします。

      >難点は本編が面白くなければ別にそこまでこだわって遊びたくないのですが……

      フィギュア単体で遊べるほどプレイバリューは無いですよね…
      あくまでごっこ遊びみたいなものなのでマネする大元がちゃんとしてないと虚しいでしょうね。

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