『仮面ライダービルド』 第31話「ほとばしれマグマ!」:感想

2018年4月15日

■これは有りなのか?
・今回は龍我がドラマパートの主役でしたが、肝心の龍我のドラマについていけませんでした。
龍我がいきなり「これでいいのか…」と言い出して私は唖然としました。良いもなにも良いと思える要素が無いし、龍我がそんなことを考えるタイプだったらここまで来ないだろうと思っていたら結局「いいわけないだろ!」と激昂して立ち上がってまた唖然としました。こういう突然グダグダ言い始めて結局は当たり前の結論に戻るお話は大嫌いです。
途方に暮れた状況や別の明るい未来が見えた状況ならともかく、恋人を殺した張本人が目の前にいておよそ悩む理由がないように思える状況で龍我が悩む必然性はどこにあったのでしょう? 私にはこれがドラマとして有りなのかさっぱりわかりませんでした。

■全部敵が教えてくれる
・西都首相の正体が難波会長だと説明してもらったのはとても酷い展開だと思いました。何より必然性を全く感じません。

・戦兎たちには元難波チルドレンで会長と面識もある紗羽がいるのですから、「代表戦の約束を破るなんておかしい…」という話から疑問を持ち、テレビに映った西都首相の何気ない動きから紗羽が正体を見破り、戦兎が知っている「スタークは顔を変えられる」という事実 を組み合わせれば同じ結論に至れたと思います。
幻徳の翻意も首相のことを話す必然性はなく、単に「この先にパンドラボックスがあり、そこにはスタークが待ち受けている。スタークはパンドラボックスの力を扱えるようだから気をつけろ(そしてわざと負ける)」だけで充分だったはずです。 時間の節約云々とするにはそもそも要らない展開が多すぎます。

・一応裏切る理由がある幻徳はともかく、ブラッドスタークまで戦兎たちの前でべらべら話すのは異常だと思いました。
これはさすがにわざと聞かせてたんですよね? これで戦兎がスタークの言っていたドライバーをほいほい作って奪われたりしたら戦兎たちがアホ過ぎますけど。

■今回の前提返し
・23年前の探査機という新事実が明かされました。23年前にも何かあったなんて聞いた覚えが全くありません。一度「10年前」という節目を決めた後にそれより前の大きな出来事を持ち出すのは作劇のルール違反だと思います。

・ブラッドスタークの意識が石動かパンドラボックスといっしょに地球に来たとすると、23年前はそれ以前のことですし探査機がたどり着いた時点で火星文明は滅びていたでしょうから、龍我に寄生したものはスタークが地球での活動の足がかり用として送り込んだ可能性のほうが高いですかね。
今回、龍我の成長を見届けた上で「あとは最高のドライバーがあれば…」とか言っていましたから「火星人の魂(スターク)+火星人の身体(龍我)+最高のドライバー=完全究極体の完成!」 とかなんでしょうかね。仮に火星で共倒れになった身体を復活させるのがスタークの目的だったとしても、地球で復活して何をするつもりなのかが想像がつきません。火星から見れば地球なんて鼻くそみたいなものだと思うのですが何をするんでしょう?

■底の抜けたザル
・幻徳の主張も相変わらずズタボロでした。
「俺の目的はパンドラボックスの力を抑止力にして統一することだった…」って、身体に生殺与奪権のあるチップを埋められた状態でパンドラボックスを手にしてどうするつもりだったのでしょう? 最初から計画が破綻しているようにしか見えません。
悲願であるはずの計画がずさん過ぎて、難波会長なんかより重要なスタークのことに触れなかったのがわざと黙っているのか馬鹿だからなのか区別がつきません。

・そもそも「この話、盗聴されているのでは?」と当たり前の疑問を疑っていいのかもわかりません。
チップを埋め込むほど信用してないなら盗聴もあって当然だと思います。おあつらえ向きなことに、代表戦でのラビットラビット対策からローグにはデータの受信装置があることが確実となっています。外部からデータを受け取れるなら、外部にデータを送信する仕組みがあっても全くおかしくないと思います。
「良い人だらけのこの世界に盗聴器なんてあるわけないだろ!」と暴論を繰り出そうにも紗羽が普通に使っていますし… 話も設定も穴だらけに見えてどう考えればいいのかわかりません。


■クローズマグマ
・極めて普通でした。ドラゴンモチーフって感じでかっこいいですけど没個性的です。
強いて言えば竜を岩石で表現していて、岩石とマグマとのコントラストは綺麗だと思いました。

・ただ、ナックルを使わないことはがっかりしました。せいぜい必殺技のときくらいしか使わないのでしょうか。
あれなら前回や今回みたいに素のクローズがナックルを持って戦っている姿のほうがかっこよかったと思います。

■噛ませ犬s
・クローズの強化フォームの登場にラビットラビットたちはさっそく噛ませ犬にされるのだろうなと思っていましたが、予想以上に酷い扱いでした。
ラビットラビットとタンクタンクの切り替えに必要性を感じず、完全に”気分”としか思えませんでした。おしゃれなリバーシブルのジャケットか何かでしょうか? 雑にも程があります。

・ヘルブロスもまたまた酷かったです。
こちらも雑に登場して雑に倒されるけど死にもしない、どうにもならない展開でした。ヘルブロスになる前と後で違いをまるで感じません。まるで噛ませ犬化した2号ライダーの敵バージョンみたいだと思いました。理由もなく死なない敵って最高にウザいと思います。


次回では父親が絡んでいたことを知ったことでまた戦兎が「俺(葛城巧)のせいで…」とグダグダ言い出すんじゃないかと不安になりました。
私から見ると、戦兎は現在進行系で状況を悪化させて罪を増やしているので過去のことを気にすることが信じがたいです。そんなこと言っている暇があったら現状をどうにかすることを考えるべきだと思います。


コメント

16 件のコメント :

  1. こんにちは。

    いきなり23年前とか言い出してて頭が痛くなってきました…。
    と言うか探査船の警備してた母親の胎児が、探査船に付着してたか潜んでたかしてた火星パワーを取り込んで(憑依されて)ミュータントになっていた…とかどんだけだよって展開です。
    火星編は企画当初から温めていたスタッフ渾身のネタと言うのが輪をかけて酷いです。

    ただでさえ自分では動かない主人公に対して敵が懇切丁寧に教えすぎて話として成立していないような…?

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      こんな空前絶後の事実を誰も知らなかったなんてびっくりでしたね。龍我だけじゃなくて数多の人が記憶を操作されていたのでしょうか。もうあんなに奪い合った「葛城巧の遺産」とかどこ吹く風です。

      >ただでさえ自分では動かない主人公に対して敵が懇切丁寧に教えすぎて話として成立していないような…?

      私も不思議です。ただただかっこ悪く見えます。
      私や匿名さんには理解できない新感覚のドラマなのでしょうか。

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  2. ここ最近の展開を見てると、本当に一話から同じ人が書いてるのか疑わしくなってしまうんですよね。多分リレー形式で毎週違う脚本家が書いてもほぼ似たような仕上がりになりそうです。

    結局のところ、これは無理矢理一人で書かせ続けた弊害でしかないのでしょうか。特に戦争編での同じ展開の焼き直しの数々は、他に間を繋ぐアイデアを思いつかなかったからとしか思えません。

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    1. >ここ最近の展開を見てると、本当に一話から同じ人が書いてるのか疑わしくなってしまうんですよね。

      単独脚本の魅力である一貫性や細かく作り込まれた展開などは全然感じられないと思います。

      >結局のところ、これは無理矢理一人で書かせ続けた弊害でしかないのでしょうか。

      因果関係は何とも言えないと思います。
      「無理をさせたからこうなった」という可能性もありますし、
      「普通はできないから良識のある人はみんな断る。引き受けるのは難しさを知らない無知かできないとわかっていて引き受けるろくでなしだけ」という可能性もあると思います。

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  3. マグマのデザインは文句なしにかっこいいですが、もう噛ませ化するのは目に見えているので全く盛り上がりませんでした。ラビットラビット、タンクタンクの弱体化も甚だしく、オーバーフロー前のハザードと同レベルにしか思えません。
    その反面、ハザードレベルが一定値であるはずのスタークは火星の力とは関係ないスペックまで上昇しているとしか思えません。前はスパークリングフィニッシュの余波で変身解除していたはずでは……
    最近ビルドの戦闘のレベルの低さを痛感しています、なんかもうパワーバランスがガバガバすぎて一切燃えません。グリスの代表戦は両方良かったのになぁ…

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    1. >その反面、ハザードレベルが一定値であるはずのスタークは火星の力とは関係ないスペックまで上昇しているとしか思えません。

      今回「トランスチームガンはハザードレベルが一定だけど俺には関係ない」みたいなことを言っていたと思います。

      >最近ビルドの戦闘のレベルの低さを痛感しています、なんかもうパワーバランスがガバガバすぎて一切燃えません。

      私はパワーバランス以上に進展の無さに嫌気が差しています。
      勝っても負けても誰もいなくならないし変身できなくなるわけでもなく、パンドラボックスもどうせまた取り返されるでしょう。ストーリーも全部スタークの手のひらの上にした結果、何やっても無駄な感じがひしめいています。

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  4. 今回の幻徳さん、大義の為とはいえ(それすら自己申告で結果で示せてはいない)黒幕組織の力に縋ろうとして失敗したら慌てて主人公に泣きつく情けない人にしか見えない…龍我の彼女の件で積極的に責任逃れに走ったのもアレですし
    製作者さん達は彼を口先だけのダメ人間に描きたいのでしょうか…

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    1. 私はそういう意図の下に描かれていると考えています。そうでないと言動が意味不明過ぎると思います。
      方向性としては「手段にこだわる戦兎たちとは対称的に、目的のためには強行な手段もいとわない野心家」なんて線もあり得たキャラだと思いますが、現状では成果を上げる方向とは真逆の失敗続きなのでもはやあり得ないでしょう。

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    2. 問題はそんなダメ人間が第四のヒーローポジションに居座ってしまいそうなところなんですよね…
      もっとも、正義の味方を自称しながら他国民を早々に見捨てる選択をしたくせに未だに変に自信満々だったりする戦兎くんのライバルヒーローとしてなら相応しいレベルなのかもしれませんが

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    3. 私には理解できない展開です。

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  5. 匿名で失礼します。

    これまでのスターク関連の描写ですと「トランスチームシステムでは装着者のハザードレベルは上昇しない」とは言っていても、「スタークの本当のハザードレベルはいくつか」と言う話は一切していないですし、この作品のスタッフの事ですから再来週あたりに「実はスタークは最初からハザードレベル100くらいあったからビルドやクローズの攻撃は屁でも無かった!衝撃の真実でしょ?」位の事はやりだす可能性は大いにあると考えます。
    まぁドライバーどうこう言い出したので、恐らく月末にスタークがライダー化して前作のクロノスよろしくラスト3ケ月引っ張り倒す算段なのでしょうね…マグマ出したばっかのクローズがスタークに乗っ取られてボスライダー化の可能性自体はあると思いますが、今のライダースタッフやバンダイがそんな捻った展開にするとは思えません。

    後はこれまで散々「1年前(葛城が記憶奪われる・万丈が葛城殺しで冤罪)」と「10年前(パンドラ・美空関連)」と明確に時間設定してた癖にここにきていきなり「23年前」とかやり出すのはどうかと思います。
    100歩1000歩譲って、これをやるなら序盤か2月辺りに記者が美空と石動の身辺探ってた辺りで「10年前の極プロジェクトには実は依然行われたある計画が関与していた。それが23年前の無人探査機による火星探索だった。」位は仕込んでおくべきでした。

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    1. >「実はスタークは最初からハザードレベル100くらいあったからビルドやクローズの攻撃は屁でも無かった!衝撃の真実でしょ?」位の事はやりだす可能性は大いにあると考えます。

      私もそういうことは充分あり得ると思っています。
      そもそもスタークがこれまで本気を出していなかったことは最近の攻撃用の超能力やパンドラタワーから明らかでしょう。

      >マグマ出したばっかのクローズがスタークに乗っ取られてボスライダー化の可能性自体はあると思いますが、今のライダースタッフやバンダイがそんな捻った展開にするとは思えません。

      引っ張る可能性はクローズ関連の販促の都合から少ないと思いますが、「乗っ取りを2,3話で済ませる」可能性はあるんじゃないかと私は思っています。
      バングルさんの始末とかビルドの最強フォームのお膳立てなど使いみちはあると思いますし、「そんな短い期間で乗っ取られたり追い出したりするなんてお話として馬鹿げてる」なんて疑問がビルドに通用しないのは代表戦などで明らかでしょう。

      >100歩1000歩譲って、これをやるなら序盤か2月辺りに記者が美空と石動の身辺探ってた辺りで「10年前の極プロジェクトには実は依然行われたある計画が関与していた。それが23年前の無人探査機による火星探索だった。」位は仕込んでおくべきでした。

      普通は疑問点を作っておくものなんですよね。
      たとえば「そもそも火星探査プロジェクトはなぜ行われたんだ?(宇宙開発とは縁のない難波重工がスポンサーで大金を出していた、など)」という不自然さを用意しておくとか。

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  6. 昨日何となくもう一度観てみたのですが、この世界には他人の話を疑うという思考が無いのが常識なんでしょうかね
    紗羽が何処から持って来たかわからない情報も鵜呑み、幻徳が突然言い出した内緒話も鵜呑み、更にスタークの話に対しても安定の鵜呑み…
    代表戦の時も勝てば戦争が終わると誰も信じて疑いませんでしたし

    あと、元凶であるスタークが倒れてたのをみんな当たり前のようにスルーして走って逃げてたのがシュール過ぎました。あそこでトドメ刺すなり捕獲するなり、戦兎か龍我のどちらか一人くらいはそういった思考が出ても良かったのでは…?

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    1. >この世界には他人の話を疑うという思考が無いのが常識なんでしょうかね

      私はそれがビルドの世界では当たり前なのだろうと考えています。
      自分から聞かなくても悪者ですら相手が勝手に教えてくれる親切な世界ですのでそれも当然のことなのかもしれません。

      >あそこでトドメ刺すなり捕獲するなり、戦兎か龍我のどちらか一人くらいはそういった思考が出ても良かったのでは…?

      やらないならやらないで、「増援がやってくる前にここを離れよう」とか「一海の治療が先だ」とかスタークがいつもの煙幕逃げをするとか、やりたくてもできなかったシチュエーションはいくらでも作れたと思います。

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  7. 他の方も言及されてますけどこの作品って意地でも、(成功するかしないかは別として)「スタークの言葉を疑う(=裏で情報嗅ぎまわる)」「スタークを出し抜こうとする」って展開をやらないのは何か意味があってやってるんですかね?
    余りにも作中において、そういう発想が欠落し過ぎてて「火星パワーの力で地球人はスタークの言葉を全部正しいと信じ込んでしまう」とか「スカイウォールの影響であの世界の人類の知能はチンパンジー並に退化してる」とか言うノリの設定があるのかと不安になってきます。

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    1. >「スタークの言葉を疑う(=裏で情報嗅ぎまわる)」「スタークを出し抜こうとする」って展開をやらないのは何か意味があってやってるんですかね?

      私はスタッフは意味があると思ってやっているのだと考えています。
      常識的な感覚ではビルドのストーリー展開において疑う描写が入るのは当然だと思いますので。

      >とか言うノリの設定があるのかと不安になってきます。

      あったほうがマシだった気もしますが、既にその時期は逸してしまったと思います。
      やるなら一度やって視聴者が疑問に思い始める二度目の前にはやらないとやる価値がないと思います。もう何度繰り返したかわからない現状でやっても視聴者が余計に混乱するだけだと思います。

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