『宇宙戦隊キュウレンジャー』 第5話 「9人の究極の救世主」:感想

2017年3月12日

【ストーリー】

■ボタンの掛け違い
・相変わらず個人的にはしっくり来ません。
「俺たちが戦うことで人々が戦う勇気を持てる」とか、司令の命令でスパイをしていたとか、展開自体は納得がいくものなのですが、ところどころに噛み合わない部分を感じます。

・まず大きく気になったのは、スティンガーが司令官の指令でスパイしてただけと説明された点です。
登場人物全体の主体性が一気に下がりました。知らないで騒いでいたラッキーとチャンプが馬鹿みたいですし、騙されたジャアクマターも株が下がりました。といって、司令官やスティンガーの株が上がるわけでもなく、全員が損をした感じです。おまけにスティンガーの単独行動も「呼べば来るんでしょ?」という印象で何とも中途半端な行動に見えます。

・次に「(地球で戦うことに)満場一致」という流れです。
話題の中心人物であるはずのチャンプがまだ意見を言っていないのに満場一致と言い切ることに違和感がありました。そのすぐ後にチャンプがノリノリで賛成していることにはもっと違和感がありました。スティンガーとの確執はどこに消えたのでしょう…?
スティンガーが地球に残ると言っていたのだからそこは「あいつを見張るために俺も残る」とか、チャンプ独自の目的を用意すれば良かったのではないかと思いました。

・それとスパーダが食材云々と言っていたことも不思議でした。
前回の印象だと人々を救うとかそっちの方向に興味を持っている印象だったのですが、それと真逆の発言に戸惑いました。 「地球の人が笑顔でご飯を食べれる環境を取り戻したい」とかそんな混ぜ方もできたと思うのですが。とりあえず、スパーダは真面目系でいいのかなと思っていましたがまたよくわからなくなってきました。

・ストーリー以外にアクションでもモヤっとする描写がありました。
冒頭の戦いでラッキーが壁を撃って壊して怪人を壁の下敷きにしたシーンで「おっしゃ、ラッキー!」と言っていました。あれは狙って撃ったんじゃないのでしょうか? ラッキーの使い方に違和感がありました。
脚本上では「普通に射撃を外したけど幸運にも壁が倒れて敵に当たった」というシーンだったのに、撮影側が間違えて狙い撃ちに見える映像を撮ってしまったのでしょうか? どこに原因があるのか判断がつきません。

・幹部扱いのエリードロンが巨大化しないまま終わったこともすっきりしませんでした。一応、何度か格上感を出していた相手ですからきちんと戦って決着をつけてほしかったです。

・全体的に「落とし所はそこにするの?」と疑問に思う展開でした。
流れ自体は頷けるのですが、オチの部分で首を傾げる内容がいくつかありました。 ボタンの掛け違いというか、どこか私の感性とは噛み合いません。


【アクション】

・9vs1の戦いはそれなりに上手くやっていました。
上下の空間に縦横斜めと立体性を活かし、絵面がマンネリに見えないよう工夫していました。人数が多くてもやっていけそうです。

・宇宙での巨大戦は少し残念でした。
換装パーツが8体分有るのに、宇宙ではどの部位でもビーム撃つだけなのはもったいないと思います。形がだいぶ差があるのですから攻撃にも個性を発揮してほしいです。


次回はダンス回のようです。ダンスといえばもはやキッズ向けでは定番ですが、その手の話は戦隊では2,3クール目の暇な時期にやる印象なので、出るのが早いと思いました。

その他に新幹部も登場するみたいです。
エリードロンはあっさり死んで「序章・完」という流れだったので、今度の幹部も1クール終わりまでに倒されてまた一区切りなのですかね。

コメント

6 件のコメント :

  1. チャンプはとっつき易い設定と比較的常識的な言動で他メンバーよりも安心して観れてたんですが、現状一人でウダウダ文句垂れてるだけの印象が強くなっちゃってますね…スパーダといいガルといい、こういう破天荒に振り回される常識人ポジションはあんまり雑に扱ってほしくないです。「真面目に生きれば馬鹿を見る」的なノリはヒーロー番組としては面白さより不快感が勝ってしまうと思うので…。
    あといい加減ガルの口調が方言混じりなのか「~ガル。」なのかはっきりしてほしいんですが…一貫してないのがキャラ立てが雑だと感じてしまって台詞が出る度にイライラします。スパーダについても仰る通りです。人数が多くて描写しきれない感じは今回までで十分伝わりましたが、少ない描写の中のキャラ立ち自体が上手に見えないのは力量の問題じゃないかと思ってしまいます。

    返信削除
    返信
    1. >チャンプはとっつき易い設定と比較的常識的な言動で他メンバーよりも安心して観れてたんですが、現状一人でウダウダ文句垂れてるだけの印象が強くなっちゃってますね…

      私もそう思います。
      現状だと自由に動けるのがその回の主役(ラプター、スティンガー)とラッキーだけで、チャンプは口で言うだけで映している時間がないから何にも行動で示せないんですよね。ラッキー中心に描くのが規定事項なら、チャンプの話はもっと後のチャンプの個人回でやれば良かったのにと思います。スティンガーとの因縁は現時点で明かさなくても「敵に着くようなやつは信用できない」というだけで今の話は回せたと思います。後でスティンガーがレギュラー入りする前にでも「チャンプが博士を殺した犯人がスティンガーだと示す証拠に気づく」展開を入れれば成立できると思います。

      >スパーダといいガルといい、こういう破天荒に振り回される常識人ポジションはあんまり雑に扱ってほしくないです。

      同感です。
      この手の常識人キャラはたいてい割りを食うことが多いですよね…
      一般市民の話も出たことですし、その辺りと絡めて考えを肯定する見せ場を用意してほしいです。

      >あといい加減ガルの口調が方言混じりなのか「~ガル。」なのかはっきりしてほしいんですが…

      ガルはどういう口調なんでしょうね?
      語尾に「ガル」と付けるのが基本かと思いきや、「じゃけん」と広島弁(?)になったり、よくわかりません。脚本家がずっとシリーズ構成で一貫しているのにこんなところに引っかかるのは実に不思議です。

      削除
  2. ストレートに表すと、雑な物語なんだな。
    今回までの話で、カタルシスとか期待しない方が楽に見られると悟りました。
    物語は雰囲気で宇宙ってわかる程度で良く、人物相関などの設定でキャラを作ったから主体性はふわふわで進む、中身は何にもない主人公を中心とした人形劇。
    幼児向けに分かりやすい話というわけでもなく、ひたすら雑。
    敵陣にいた人物が実は仲間だった展開で、こんなにドラマがなく白けたのは初めてかもしれない。

    返信削除
    返信
    1. 好みが分かれる作品であろうと思います。

      私は「雑」とは今のところ思いません。
      方向性が独特なことと組み立て方に問題があるのであって、手を抜いたからこうなったとは思っていません。

      削除
  3. 「おっしゃ、ラッキー!」には、色んな意味をもたせているのではないかと思います。
    今回は狙った通りに事が運んだ→ラッキー!ではないかと。
    後々「ラッキーは考えてないようで考えてる」という展開にするか、視聴者に完全に解釈を委ねるのかは分かりませんが。

    返信削除
    返信
    1. >「おっしゃ、ラッキー!」には、色んな意味をもたせているのではないかと思います。

      ラッキーの言う「ラッキー」には”幸運”という以外の意味もあるという点は私もそう思います。

      >今回は狙った通りに事が運んだ→ラッキー!ではないかと。

      こちらに関しては可能性はあると思いますが、現状では懐疑的です。
      なぜかというと、物語がややこしくなると思うからです。

      文字どおりの意味としては、狙った結果狙いどおりの事が起こることは必然で幸運ではありません。つまり常用外の使い方になります。こうなるとラッキーの発言全てに文字どおりの意味”以外”の意味が含まれているのではないかと疑う必要が出てきます。これは視聴者側が猜疑心と肩透かしで非常に疲れる上に、子供向けとしては致命的なほどにわかりづらい作品になる危険性があります。

      この仮定を踏まえ、私はラッキーの言う「ラッキー」はある程度の法則性があるのではないかと考えています。
      ラッキーは今回以前に、敵と出くわすというアクシデントに対しても「ラッキー」と言っていました。これは今回の壁を撃ったときとは真逆の方向性だと思います。果たしてそこまで意味を広げるだろうかと作劇上の観点から疑問視している次第です。

      削除

 コメントは承認後に表示されます。
*過度に攻撃的な言葉や表現が含まれている場合、承認されない場合がございます。節度と良識を保った発言をお願いいたします。