爆竜戦隊アバレンジャー 最終回まで見終わって:感想

2013年1月2日
東映公式ページで配信されていた『爆竜戦隊アバレンジャー』を見終わりました。

いや~面白い! というかもう好きですね。

■底抜けに明るいから重くできる
・アバレンジャー、無茶苦茶な展開に定評のある浦沢さんが一部参加しているように、ギャグ調で底抜けに明るいのが作風です。正月に現れた敵にレッドとイエローが鏡餅にされてしまい、いったいどうやって治すのかと思ったら天才整体師のブルーが整体術で治しちゃうくらい滅茶苦茶です。
その一方で暗いダークなストーリーに定評のある會川さんも参加しています。味方の一人、4人目にあたるアスカや仲間の爆竜は別世界出身ですが、故郷は既に敵によってほぼ惑星ごと全滅しています。アスカと敵側との因縁や5人目にして一時は敵側のトップに立った異端児、アバレキラーなどの話はとにかく陰惨で救いがありません。

・相反するように見える陰と陽。この2つがアバレンジャーのストーリー面での最大の魅力だと思います。
ある回では強引にでもハッピーエンドにし、ある回では子供番組でやる内容か!と思うほど落とす。これって視聴者が救いがあると信じられるから落とせるんですよね。
たとえば今放送中のゴーバスターズはシリアスなので、ストーリー的にはいくらでもえげつない作戦を描けます。むしろそのほうが敵味方の雰囲気には合っています。ただ過度な明るさというのも似合わないので、必然的にできる範囲が限られてしまうんですね。

・私はアバレンと似たノリのゴーオンジャーも大好きですが、あちらも時折かなり暗い話がありました。最終回近辺に至ってはレッドたち初期3人以外は追加メンバーもロボもラスボスに消滅させられて、物凄い絶望感がありました。こうしてみると、暗い話をやるには作品全体の明るさが不可欠なのだと考えさせられます。

■最強にして最凶・戦隊の異端児アバレキラー
・アバレンといえばアバレキラーは欠かせません。5人目の変身者でありながらそのほうが楽しいからという理由で、アバレンジャー側にも敵側にもつかない第三勢力として掻き回し、挙げ句の果てに面白いからというだけで敵側のトップに立ち、地球侵略作戦を指揮する始末。その悪逆さは大のお人好しであるレッドさえ激昂させるほど。善悪ではなく、価値観の違いで対立しているので、ギスギスっぷりが見ていて胃が痛いです。これで強くて、かっこいいから本当にたちが悪いです。

・そんなアバレキラーも終盤にアバレンジャー側に5人目として加わります。それまでの陰惨さがあったからこその熱さ!これぞカタルシスですね~ 搭乗機のキラーオーの合体シーンもひとしおです。
そしてアバレキラーの最期。トップゲイラー…

・アバレキラー回を担当しているのは會川さんです。アバレキラーの生い立ちから性格形成、そしてその最期。作中での設定を組み込んであって、納得できる作りが素晴らしいです。ただ仲間になるだけだったら、あんな熱くならなかったでしょう。

■爆竜たち
・合体ロボの各パーツにあたる爆竜たちが可愛くて良いです。
ロボとして見ると、換装パーツにあたるパキケロやディメノコは空気です。戦力的に必要な状況で登場してないですし、その後も活躍しません。ただの販促見え見えです。
だけどアバレンでは爆竜たちに個性と土台となる世界観を用意しています。個性豊かな声優さんもさることながら、彼らはロボのパーツである以前に”仲間”なのです。新しい武器を得るためではなく、仲間を助けるためにがんばる。ディメノコを助けるために奔走するアバレンジャーやパキケロのために奮闘するアスカの姿を見ているから、仲間の絆が感じられ、空気か、パーツかではなく、アバレンジャーの一員として見られます。

・なぜ見知らぬ地球のために尽くすのかという疑問点も彼らの生い立ちを考えると納得がいきます。
ショタキャラのトリケラでさえ「両親はもういません」とあっさり言ってしまうハードな境遇です。故郷はとうに滅ぼされ、同族や仲間は今いるもので全て。命をかけて戦う理由は語るまでもありません。
こういうほうがただのパーツとして扱うよりずっと良いと思います。

■ダイノガッツとは
・底抜けた明るさや起伏の激しいストーリーも素晴らしいですが、作品のメッセージ性が素晴らしいです。
最終回のお遊戯会の練習をする舞ちゃんが最たるものだと思います。絶望的な状況の中でも、お義父さん=レッドを信じ、明日を信じて、今できることをする。その姿勢だけでうるうるきます。
初めて友を信じ、明日を願った仲代 壬琴の例からみても、ダイノガッツとは、明日を信じること。仲間や友達を信じること。そしてその二つを信じた上で行動することなのでしょう。
最終回のラスボスとの戦闘はかなりあっさりでしたが、個人的には舞ちゃんが踊った時点で決着はついていたと思っています。

大ベテラン荒川さんを主軸にした王道ストーリーに會川さんのダークさ。それを支える浦沢さんの力強い笑い。
これに羽田健太郎大先生の音楽と遠藤正明&串田アキラの歌が加わって、面白くないわけがありません!
戦隊好きなら絶対見てほしい作品です。


コメント

2 件のコメント :

  1. マルゲリータ2021年12月4日 21:50

    私もアバレンジャー好きです。観る前からブルーが好きでしたが、観てからより一層ブルーが好きになりました。冷静で憎まれ口を叩くが、心の底は誰よりも熱く仲間思い、そんな幸人がかっこよかったです。

    >底抜けに明るいから重くできる

    児童誌でもとても明るい作風のように書かれていましたが、暗いところは暗くてギャップが良かったですね。放送当時は、ファイズと明日のナージャが放送されていたので、「無理にでも子供たちを笑わせないと」とギャグに走らなくて良かったです。

    >そんなアバレキラーも終盤にアバレンジャー側に5人目として加わります。

    「悪いことしてたのは、皆ラスボスのせいなんです。許してください!!」と同情を誘うのではなく、過程がどうであれ「自分のしたこと」と受け入れ、自分自身の仇の為に奮闘した仲代先生はかっこよかったです。悪役のまま死なせてほしいと思っていた役者さんや、脚本家の方には悪いですが、仲間に加わったのは良かったと思います。

    >爆竜たち

    アバレンジャーに失望したり、裏切ったり、戦闘を面倒くさがったり、普段はやらない「誰かの格が下がる」描写が新鮮でした。おかげでステゴスライドンは嫌われ者になってしまいましたが、空気な爆竜がおらず、見ればどんな奴だったのかすぐに思い出せるのはいいですね。ジュウレンジャーはまだ見てないので分かりませんが、他の恐竜の戦隊の中では一番恐竜のキャラクターは輝いていたと思います。

    >お義父さん=レッド

    異例の子育てレッドでしたね。観ている子供だけでなく、ご両親にもメッセージを届けているように見えました。

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    1. >冷静で憎まれ口を叩くが、心の底は誰よりも熱く仲間思い、そんな幸人がかっこよかったです。

      幸人は良いキャラでしたね。よくあるクールキャラのようで中身はだいぶ善人でした。整体術でギャグ地味た役割もできて幅の広いキャラでした。

      >悪役のまま死なせてほしいと思っていた役者さんや、脚本家の方には悪いですが、仲間に加わったのは良かったと思います。

      そういう制作事情があったんですね。私も悪役のまま終わるよりもこの結末のほうが良かったと思います。
      そのままラスボスになるにしても他の幹部に裏切られたりデズモゾーリャに取り込まれたりしてもあまり面白くならない気がします。凌駕たちが断罪者タイプではないので凌駕か仲代先生かどちらかがしっくり来ない結末になりそうですし、デズモゾーリャに牙を剥くほうがまとまりが良いと思います。

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