『仮面ライダーゼッツ』 第8話「饗す」:感想
ゼッツらしさ全開
・今回は一段とゼッツらしさがキレッキレでした。
残念ながら現状のゼッツらしさ=「イカれた人物しかいない理解不能な狂乱劇」って意味なんですが…
・冒頭から飛ばしてました。
「生物兵器=毒」ってすごい定義ですね。
話を聞く度に「それはただの毒や食中毒を疑うべき状況なのでは?」と疑問に思っていたら「つまり毒だ」みたいな話になって「最初からそう言え馬鹿!!」と心の中で叫んでしまいました。
しかもそれは生物兵器というより「細菌兵器」と呼ぶべきものな事もゼッツだなぁと呆れました。怪人がいる世界で"生物”はなおさら広すぎるでしょう。
「”毒”じゃしょぼくない? もっとエージェントっぽく…『生物兵器』とかかっこよくない?」みたいな実の無い見栄っ張り精神で作られたんだろうなと事情が透けて見えて萎えます。
・その前のチーフシェフに味見されてダメって言われたら「シェフが耄碌しただけじゃないですか?」と言ってくる下っ端も凄まじかったです。
そりゃクビになりますわ。推理と容疑者の都合でやけに厨房にいるスタッフの人数が少ないなと思いましたけど、この調子でクビにされていったんだなと納得が行ってしまいました。
ゼッツ世界は野生のサイコパスが多すぎます。推理ものとしては結構邪魔です。
・現実のレストランの毒騒ぎが投げっぱなしになってるところもさすがでした。
結局どうなったんでしょう?
レストランで大した根拠もなくそんなこと言ったら営業妨害だし、
妹からすれば兄がおかしくなったと心配されて妹周りでは大きな展開の一つになったはずです。
実際に毒物が出たなら首脳会議の予定変更って話も出てくるでしょう。
全然投げっぱなしにしていい場面では無かったと思います。
っていうか「毒=ナイトメアそのもの」だったのに現実でも既にソースが毒になってるってどういうことだったんでしょう? ナイトメアが一足早く実体化しちゃってませんか?
・レストラン関連以外も一挙手一投足が酷かったです。
今回の私のドン引きポイントは以下の通りです。多すぎるので箇条書きにします。
レストランで二重に職務中なのにネムに色目を使うことに熱心なエージェント(笑)。
調査のために潜入させておいて犠牲者も既に出ているのに調査器具を後から渡すゼロ。
シェフがばたばた倒れても平然と営業を続けるレストラン。
同じくパーティーの予定変更にはならない国際会議と原因不明の死傷者が出ても気にしない警備陣。
本筋と関係ない部分までガバガバで呆れるしかありません。
調理シーンの方が迫力が有った
・個人的に一番ヤバいと思ったのはここでした。
今まで1話から力を入れてやってきたスパイごっこより調理シーンの方がよほど迫力やプロフェッショナル感がありました。
クオリティが感じられることが逆に作品の首を絞めることになっていて目も当てられません。
せめてセブンが担当した調理ならまだマシだったのですが、セブンはアク抜き担当なので調理をやったのはほぼ全部シェフと部下なんですよね…
調理すらできないなんて何のための万能設定や夢世界なんでしょうか…
莫の現実でのしょうもなさには合っていると思いますが、そんな整合性は不要でしょう。
逆なんだ…
・個人的には富士見刑事の反応も不思議でした。
「俺達は首脳会談の内部事情を調べるから莫くんはシェフを頼む」って、普通逆じゃないですか?
「国家のトップなんて刑事風情じゃ話も聞かせてもらえない」→「でも夢ならできる!」
って流れになるところじゃありません?
そっちなんだ…
・富士見刑事の因縁の話も個人的には不思議に感じました。
「かつて部下がいたが、ある日突然辞職届を置いて辞めた」
って普通に考えると「あぁ一向に進展がなく、上から認められない怪事課が嫌になったんだね(富士見だって爆弾魔になりかけてたもんね)」って方を思い浮かべませんか?
それがなんか部下が消えたのもブラックケースだ!って話になっていて戸惑いました。
しかも語ってるのがブラックケース信じてないはずのお偉いさんでした。
そこは普通「んなわけないのにな。仕事が嫌になっただけだろう。君は嫌になったら辞める前に移動願いを出してくれよ」とか付け加えるところじゃありません?
ブラックケースにするなら「『富士見さん、手がかりを掴みました!』という連絡を最後にある日突然消えた」とか、いかにもな失踪にする方がずっと自然でわかりやすかったと思います。
どういう願望?
・いつもながら夢主の願望が謎でした。
「自分の料理で殺してぇ~」か「使えない弟子を殺してぇ~」と思ってたってことで合ってるんですか?
更に「どうせ死ぬなら自分の料理で死にてぇ~」とも思ってる人なんですか?
特殊な価値観過ぎて「変な人」としか言いようがありません。
・常識に考えると「自分の料理で人を殺したり自分が死ぬなんて悪夢だよね」って話な気がするんですが、「深層心理は宿主も知らない願望」とか最初に言っちゃったせいで収まりがつかなくなっています。
予告で弟子が師匠の代わりに料理を作っていたり、「俺たちの魂なんだ!」とか言ってたところからすると普通に悪夢路線っぽいんですよね…
もう本当に悪夢とか深層心理って何なんでしょう…
そうだったの?
・よくわからん設定も突然出てきてまた戸惑いました。
他人の夢からエージェントルームに行けるし、ネムも連れて行ける
そうだったんですか? さも当然のごとく連れて行ってびっくりしました。
夢のネムを連れて行けるならエージェントルームで調査することで現実のネムを探す手がかりを掴むとかそういうことできないんですかね?
・おまけにネムでもガチャも回せちゃいました。これで「怪人を倒した分しか回せないんだよ!」とかそういう言い訳もしづらくなってしまいました。
ゼロは現実でも実体化できて、莫もそれを知ってる
・ゼロがさらっとやるだけならわかるのですが、莫が無反応なことの方にびっくりしました。
3話のバイク形態での莫移送はナイトメアの顕現で夢と現実が混ざり始めた状況だからゼロも実体化できていたのだと思っていたのですが違ったみたいです。
実体化できるなら警察とかともっと掛け合って協力を求めた方が良いと思います。
ブラックケースなんかより仕組み不明で動いてしゃべる事情通のロボの方がわかりやすい信じさせるための証拠になるでしょう。
そこは流して良いの?
・莫がバイトしていたことに対して妹の反応が薄かったこともだいぶ意外でした。
妹が「ふ~ん、小遣い稼ぎなんだ」くらいに流していました。
妹からすれば「遂に働き始めた!」と念願が叶ったか、もしくは「小遣い稼ぎなら働けるんだったらちゃんと働けよ!」とキレるかの二択の気がするんですけどね。
そういう薄い反応が返ってくるとは普通に予想外でした。
妹関連のドラマを今後もやる気なら絶対に手を抜いてはいけない場面だったと思うのですが大丈夫なのかと不安に感じました。
アクション
・前半は比較的スタイリッシュでかっこよかったです。
こういう完封スタイルの方がエージェントセブンだのの設定やスカしたキャラ付けには合ってると思います。
・後半のリカバリーになってからは展開がよくわからなくなりました。
変身したから動けるようになったから変身した時点で自分も治せるのかなと思っていたら、最後に急に倒れてびっくりしました。
状況から考えると「リカバリーは他人しか治せない」
→「ゼッツは治ってないのにシェフを救うために無理して動いていたが、限界を迎えて倒れ、リアルでも心停止した」
という流れだったようです。
悪夢だのの設定だけでなくアクションにまで視聴者の知りようがない設定が持ち込まれ始めてしまいました。だいぶマズいと思います。
仮面ライダーゼッツ・エスプリムリカバリー
・エスプリムとはフィジカムやテクノロム以上に一段と全然ピンと来ない名前ですね。
見た目も地味でした。暗めの緑なのでベースからの黒地と混ざって視認性が低いです。
ロケーションが屋内で暗かったので余計に見た目が悪くなったのも有りそうです。
変身ポーズも手の動きに無駄が多く感じました。
死にかけのはずのシチュエーションとも合ってなくて今回はいろいろ壊滅的でした。
・リカバリー自体は何の特徴も感じませんでした。
莫って変身しなくてもカプセム使えるから治すだけならライダーになる必要性を感じないんですよね…
他にやったのは「壊れてない窓ガラスに触る→怪人がパンチでガラスを割る→時間差でガラスを直し、怪人を殴ってガラスに突っ込ませる」
というシチュエーションくらいでした。
これも手間を掛ける意義がわからなくて意味がよくわかりませんでした。
次回はシェフの代わりに弟子が調理を担当したり、シェフの思いが語られたりするようです。
…はい、ポッと出のゲストでサイコパスだらけなので全然興味が湧きません。
こっちは生物兵器を食らった弟子2人が生きてたことすら初耳なんですよ…
「シェフの思い?! 何それ、すんごい気になる!」って思えてる視聴者は世界に何人いるのでしょう。私はそっちの方が気になります。
名実共にメインなのはノクス参戦の方のようです。
気にならなくもないですが、結局「今までノクスは何をやってたの?」とか目的とか知らないことばかりなので期待のしようもないことには変化は無いんですよね…
ここで完敗してノクスの目的達成されたらそこで終わっちゃうので状況が大して進展しないこともわかりきっていますし。
結局は「……それで?」って冷めた感じを拭える予感がしません。
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高橋脚本はやりたいこと、魅せたい展開が優先で物語の制約を無視してるから説得力がないですよね。
返信削除少なくともライダーの印象だと、作品側が言ってることを鵜呑みにできないと、まるで話の流れについていけなくなりがちな印象は有りますね。
削除ゼッツはエージェントだの下手に現実ベースにしたせいで余計に違和感が強くなっている感じがしています。