『仮面ライダーゼロワン』を最終回まで見終わった時点での全体感想です。
*全体の感想なので必要に応じてネタバレがあります

【一言まとめ】

・1話目から詰んでた。
・90分映画を4クールに引き延ばしたような内容の薄さ。
・駄作にすらなってない。


【良かった点】

■アクション
・メイン監督、アクション監督、主役のスーツアクターなどスタッフを大きく変えたおかげか長らく低調だったアクションが改善されました。戦隊と比べて手放しで褒められる内容には至りませんでしたがライダーの枠の中では大きな変化でした。やっぱり予算やスーツの造形がどうのという以前にスタッフの問題だったようです。

・ただし良くなったのは動きや撮り方で、販促やキャラの差別化などは大きく変わりませんでした。その点はまだまだ道のりは遠そうです。


【酷かった点】

・ストーリーのほぼ全て。展開が投げっぱなしで前にあった展開が無かったかのような展開が起こることも珍しくない。もっと酷いと5分前にあったことが無かったことになる。
キャラも一貫性がなく、言動がころころ変わる。どの口がほざくのかと思うような発言が多く、全員二重人格と言われたほうが納得できる。
そして単純に内容が薄い。「2クール分の内容を4クールに薄めたような内容」とは私がたまに言いますがゼロワンの場合は1クール分すらありません。

・あまりに酷いのでこれだけ言って終わらせたいところですがそれだと何のことやら伝わらないので個別に書いていきます。どういうことか読んでも意味がわからない部分もあるでしょうが、元々のお話が破綻しているので語りようがないのです。あらすじのように事実を列挙するしかありませんでした。

・記録として残しておかないといけないと思ったことは、「これはコロナのせいではない」ということです。
短縮されたとしても35話から後の5話分程度です。またコロナがなければオリンピックやゴルフなどで休止される週もあったでしょう。最初から破綻しているのでたとえもう5話あったとしてもストーリーは大差なかったと思います。

【世界観がおかしい】
・ゼロワンは「人工知能(AI)」がテーマとして公式に掲げられています。
具体的には「人工知能を搭載した自立型人型機械、”ヒューマギア”」が普及した世界です。ヒューマギアは人間同等かそれ以上の知能を持ったアンドロイドで人間からは便利な道具扱いされていると理解すれば充分です。敵は人類への敵意に目覚めたヒューマギアやヒューマギアをテロの道具として操る者たちです。

■こんな危険な機械を使えるか!
・ここまではありふれた設定です。問題はありふれた設定なのに全然できていないことです。
1クール目から「危険過ぎる」という問題が露呈しました。
悪の組織は一般社会にいるヒューマギアに怪人化するベルトをはめて暴走させるテロ活動を行います。それだけなら悪の組織が原因なのですが問題は「暴走すると人を殺せるだけの機能が元々搭載されている」点です。後付けの改造とかが何もいらず、人間を殺せと命令を送るだけで殺人マシーンに変貌するのが仕様なのです。そんな機能がなぜ必要なのかは説明されていません。兵器だとか元々殺人マシーンにする目的で作られたわけでもありません。製作者は「人類の夢」として作ったはずなのです。
この時点でもうこんなものが普及していて大丈夫なのかと不安を感じますが、主人公が社長を務める製造会社は「セキュリティをアップデートしたから大丈夫です(次の話では普通に暴走する)」や「悪いのは悪用するテロリストです(テロリスト対策はなく野放しのまま)」と繰り返すだけの無責任っぷりで、世間もそれで納得してしまうアホだらけです。

・2クール目からは更におかしくなっていきました。
1クール目では敵に無理やりベルトを付けられて暴走させられていましたが2クール目からヒューマギアが自分の意思で怪人化し始めます。一応、人間に暴力を振るわれたなど理由はあるのですが接客業などで使われているロボットが客にイライラする度に人を殺していては社会が成り立ちません。
極めつけはラッパーヒューマギアの”チェケラ”(*個体名)です。悪役に「むかつくならそのベルトを着けて俺を殺してみろよw」と煽られて「自分からベルトを着けて」、「汚ぇ人間は滅びろ!」とテレビの生中継中に叫んで人間に襲い掛かりました。誰かに操られることもなく、手順を踏んで明確な殺意を公の場で明らかにしていました。

■この世界でのヒューマギアの必要性が理解不能
・3クール目ではこういった事件と悪役の誘導を受けて世論がヒューマギア反対に動き、ヒューマギアは基本的に廃棄されました。
ヒューマギアが普及して人間の代わりに働いている世界でヒューマギアしかいない病院なんてところまであるのに廃棄です。普通に考えたら社会が成り立たなくなるのですが全然問題なさそうでした。それを鵜呑みにするとヒューマギアが全然普及してないことになるのでどちらにしても意味不明です。

・一応、「人間が着けるだけでヒューマギア並みの能力を出せる耳掛けイヤホンのようなデバイス、”ZAIAスペック”」という製品が新しく出てきたのですが着けてる人はそんなに多くありません。
それ以前に根本的な問題を解決できないと思います。ヒューマギアが多く普及しているのは接客、医療、警備、消防士、弁護士など労働条件が悪かったり、危険性が高かったり、専門技術が求められる職業として描かれてきました。そんな職場で急に代わりの人を集めることは容易ではないでしょう。
またヒューマギアの利点である「必要に応じて人数を調整できる」点もカバーできません。人間を急にクビにしたら雇用問題になります。
夢のマシーンだの御大層な言葉を並べ立てるわりに真面目に人型ロボットの利便性について考えた形跡すら見当たりません。

・3クール目の中でもおかしなことはまだまだ起きました。
ヒューマギアは基本的に廃棄され、使い続けている人もいるけど道端でヒューマギアとバレたら通報されて破壊部隊がやって来る。そんな環境のはずなのに人間に混ざってファッションモデルのヒューマギアも参加するファッションショーが開かれたりします。完全に何がどうなってるのか意味がわかりません。ヒューマギアに好意的な関係者が集まっているとか偏見を減らすために開いたとかそういう理由は特にありません。でも大盛況のうちにファッションショーが満了します。

・4クール目ではやっぱりヒューマギアがないと困ると言い出して社会はまた元通りになりました。
でもやっぱり暴走します。自我に目覚めたヒューマギアも増えたようで自発的にテロリストの呼びかけに応じる個体もたくさん出てきました。
更には「ヒューマギアにも人権を寄越せ!」と主張するヒューマギアのデモ隊も現れるようになりました。ラスボス曰く「人間やヒューマギアが”悪意”を向けあうことで両方とも滅亡する」状況だそうです。
こんな状況でもヒューマギアを使うのは止めようとは考えず、かといって対策を考えることもなく、最終回の最後になっても無策のまま「今後も普及させ続けます」と主人公が声明を出して終わりました。

・あまりにも危険なアンドロイドとその危険性を死人が出ても無視し続ける人間。
ヒューマギアが必要なんだか必要ないんだかわからない社会。
セキュリティも倫理観も世界観もガバガバ過ぎです。テーマとして作品の中核に据えたものがこんなクオリティなところがゼロワンが壊滅的な理由の一つです。


【やってることがおかしい】
■AIはどうでもいい
・「ゼロワンのテーマはAIである」と先ほど言いましたが実は違います。
本当にやりたいことは「お仕事紹介」です。プロデューサーがそう言っているので間違いありません。ここがゼロワンの構造的な歪みの元凶だと私は思っています。

・お仕事紹介とAIを両立させるためにゼロワンでは「ヒューマギアにいろいろな仕事をしていることにする。主人公が現場を視察したり、トラブル解決のために訪問することになる」というフォーマットにしました。
この時点でヒューマギアよりもお仕事紹介のほうが優先されるという歪みが生じました。テーマや主人公がよく言う「ヒューマギアは夢のマシーンだ」という点を活かすならば「ヒューマギアは人間と比べてどう優れているか、仕事をする上でどんな違いが生まれるか」といったことを描くのが順当だと思います。ところが実際にはただ「このお仕事はこんなことをするお仕事なんですよ」と紹介するだけで人間がやってるのを映しても大差ないシーンになっています。そしてもちろんお仕事の具体的な内容や苦労など勉強になるような内容ではありません。

■悪名高き「五番勝負」
・このお仕事要素のヤバさが炸裂したのが2クール目の「お仕事五番勝負」です。
ライバル企業が「このZAIAスペックを付ければ人間のスペックがヒューマギア並みに向上するからヒューマギアは不要だ!それを証明してやる」と言い出して始まった「華道」、「住宅販売の営業」、「弁護士」、「消防士」、「住民投票の呼びかけ」という5つのお仕事で勝負する企画です。課題を列挙した時点でおかしさに溢れていることがよくわかると思います。人の無罪有罪がかかった裁判を勝負のネタにしたり、なぜか住宅販売の営業というやたら細かい業務だったり、選出基準が謎です。

・実際のストーリーはもっとおかしいです。そもそもロボットを必要とする仕事は人間がやりたがらない仕事なんだけどというツッコミどころ以前の問題です。
どうやばいかというと不正と私情と意味不明さで溢れていることです。

・1回目の華道勝負では人間側は華道の家元を出し、ヒューマギアからはお花屋さんヒューマギアを出しました。お花屋さんなので生け花の知識はないので急遽インストールして対応しました。
勝負が始まると人間はヒューマギアの邪魔をするために作品を損なう間違ったアドバイスをし、ヒューマギアはそれで負けたことに切れて怪人化して人間を殺しかけました。
不正を告発されたので勝負をやり直すことになりますが、今度は負ける不安に駆られた人間のほうが怪人になるベルトを着けて襲い掛かってきました。
人間を倒して変身解除させた後に改めて勝負して結局人間が勝ちました。

・ツッコミどころが多すぎますが5番勝負のいずれもこんな感じにツッコミどころに溢れた展開です。
一つのシーンがある度に「殺人未遂じゃねぇか! 逮捕して不戦勝で終わりだ!」とか「これで勝負になるの???」、「こんなので暴走するなんてヒューマギアはやっぱり危険過ぎるのでは?」と思う場面だらけです。
後半に行くほど展開のおかしさも増していき、ライバル会社の社長が「いきなりテロリストが使ってたのと同じヒューマギアを暴走させるベルトを無理やり装着させる」、「今度はテレビの生中継に堂々とベルトを着けて暴走させる」などなど、とりあえずこいつをテロリストとして逮捕しろよと思う行動を取り始めます。
ヒューマギア側も負けていません。パワハラに会うだけで自発的に「人類は滅亡しろ!」と言い出して怪人化しますし、最後の住民投票では前述の殺意に目覚めた最初のヒューマギア、チェケラが満を持して登場します。

・人間もヒューマギアもクズ過ぎてどちらにも関心を持てなくなり、こんな五番勝負に1クール丸々使ったことで作品へのそのものへの不信感が一気に噴出しました。

■特に意味は無かった
・3クール目以降はこのお仕事要素がぱったりと無くなります。
しかしここまでの2クールを全てお仕事要素につぎ込んできたため3クール目以降につながる積み重ねになるものがなくなり、唐突に見える展開が続くことになりました。
よりにもよって主人公の設定の一つである「社長」要素まで投げ捨てたため余計に作品の軸がブレてしまいました。



【キャラもおかしい】
・狂った世界観や倫理観に基づく世界なので登場人物も異常者ばかりです。

■主人公:飛電或人
・主人公の飛電或人は、ヒューマギアの開発者であり大会社”飛電”の社長を祖父に持ち、ヒューマギアの父に育てられた青年です。本人は会社に関係なく売れないお笑い芸人をやっていましたが、1話で祖父の遺言で会社の社長兼ライダーに選ばれて暴走するヒューマギアを止めるために「社長で仮面ライダー」として戦い始めました。

・初期設定では特に問題が見当たらないのに実装されたキャラクターは作中屈指のサイコパスでした。
「ヒューマギアに人間のお笑いは理解できないんじゃないの?」
これは1話の最序盤で主人公が遊園地の支配人に「ヒューマギアのお笑い芸人を雇ったからもう君は来なくていいよ」と言われた直後のセリフです。1話が始まってすぐにこれを言っちゃった後に「ヒューマギアは人類の夢だ!」とか「どうしてわからないんだ! ヒューマギアは夢のマシーンなんだよ!」などと言っても説得力がありません。
第一印象が最悪なのですが、最終回まで見てもこれがミスで生まれたノイズには見えないところが主人公の最大の問題です。

・その後も問題発言は続きます。
2話では知り合った警備員ヒューマギアが壊れた後にに配備された記憶も何もない同型機に同じ名前をつけて前と同じ個体として扱う無神経さを見せました。
3話では暴走した寿司ヒューマギアとモブヒューマギアが入り交ざった状況に「どれが寿司ヒューマギアがわからないから攻撃できない…」とまるでモブならどうなってもいいと思ってるような発言をしました。
明らかに自分と面識のある個体をえこひいきしているのに、他人に対しては「ヒューマギアは人類の夢だ」だの「夢のマシーンなんだよ!」だのとまるで全てのヒューマギアに価値があるかのような説教をします。しかし具体的にどこがどう素晴らしいのかは一切話しません。あまりにも人間味がなく、何度も同じフレーズを繰り替えすため「主人公は『自分を人間だと思っているヒューマギア』なのではないか?」と視聴者から疑惑が持ち上がったほどです。

・主人公は他人に無関心で自分に甘いクズでもあります。
他人に対しては「愛用してきた個体は暴走したから破壊したけど初期化された新品の同型機を持ってきたから元通りですね!」なんて実用的にも心情的にも受け入れられるわけがない態度をずっと取ってきたり、敵幹部のヒューマギアに対してはわかり合えると綺麗ごとを言ってきたりしたのに、終盤になって自分の秘書ヒューマギアを破壊されたら怒り狂って闇堕ちして市民やヒューマギアに害をなしてでも敵幹部に復讐しようとし始めました。
他にも散々根拠もなくヒューマギアは安全だの夢のマシーンだから使い続けるべきだのと言ってきたのに、いざ自分が殺されかけたら「悪意を持ったヒューマギアがあんなに恐ろしいだなんて…」とビビり始める有様です。それよりずっと前に目の前で自発的に人間に殺意を向け始めたヒューマギアと直面したときには無反応で何の対策もしなかったのに自分のこととなったら真面目に考え始めました。

・最終回のエピローグでも壊れた秘書の同型機をわざわざ作って同じ名前をつけて、「元通りにしてみせる」と抱負を語ってさっそく前の秘書の性格をコピーさせようと手取り足取り教えていました。
生まれたばかりの秘書のほうは「なんでこんなことさせられてるんだ?」とキョトンとしていました。毒親そのものでドン引きしました。「他人(父親)を笑顔にしたい」からお笑い芸人になったはずなのに、途中からお笑いなんてどこ吹く風になったかと思ったら最後には自分が笑顔になるためだけに他人にギャグを強いるようになっていました。これなら芸人として売れなかった理由も納得です。

・自分が気持ちよくなることが最優先で、そのためのお笑いであり仮面ライダーでありヒロインだったのですから最後まで言動は一貫していました。最初から最後まで変わらずクズです。ヒューマギアに関しても綺麗ごとを並べてきただけで本心では道具扱いしていたことは明らかです。
こんな主人公なのでお話は悲惨です。魅力どころか嫌悪感が湧いてきます。
「薄っぺらなクズが目の前で起きた出来事にまるで向き合おうとしなかった結果、破滅しかけるお話」としては筋が通っていたと思います。
問題はそんな話を45話分も見たがる人が多くないことでしょう。ましてそんなクズを周りはヒーローと呼んでもてはやす光景を見たがる人がどれだけいるでしょう。そこがゼロワンの大きな問題の一つです。

■2号ライダー:不破
・不破は2号ライダーで序盤は主人公と対立するポジションのキャラです。
(表向きは)ヒューマギア至上主義の主人公に対して、不破は「ヒューマギアは全て俺が破壊する!」と公言し、公的機関の対ヒューマギア部隊の隊長を務めています。ヒューマギアを憎む理由は12年前に起きたヒューマギア暴走事件で家族や友達を虐殺されたからです。
ふわふわしたことしか言わない主人公に対して、不破は行動理由がはっきりしていて「ヒューマギアは危険だから破壊する」という主張に共感しやすかったため視聴者からの好感度が比較的高いキャラでした。

・そんなわかりやすいキャラでしたが最後は空気でした。なぜかというと「全部無かったことになったから」です。
中盤で「実はヒューマギア暴走事故に巻き込まれたという記憶はライダーに変身するためのチップを埋め込むときに黒幕に捏造されたもので実際には巻き込まれていなかった。両親も普通に生きてるし、記憶にない弟までいる」というどんでん返しがあったのです。

・普通なら新しい戦う理由を自分で見つけていったりするものですがゼロワンなのでそんなものはありません。
このため、中盤以降は「特に戦う理由もないしヒューマギアへの思い入れもないが、戦える力を持ってるので市民を守るために戦う当たり前の正義感を持ったただの良い人」になりました。他のキャラが夢だの理想だのを掲げているので酷く場違いな立ち位置でストーリーにも絡めなくなってしまいました。

・この展開に何の意味があったのかいくら考えてもわかりません。
30話以上やってきたお話を勘違いに基づいた空回りとして片付けてまっさらな状態に戻していったいどんなメリットがあるのでしょう? 終盤に闇堕ちした主人公を説得する役割をあてられたりしましたが主人公との関係性も実質リセットされているので必然性が感じられませんでした。

■3号ライダー:刃唯阿
・女性ライダーで不破の上司であり、ライダー開発の技術顧問を務めながら自らも変身して戦う自信に溢れたキャリアウーマンでした。

・…そうだったのは1クール目までで2クール目からは黒幕だった主人公のライバル会社の社長が表舞台に立ち、なぜかその秘書をさせられることになります。
秘書になってからは毎回社長のパワハラに悩まされ、どう見ても犯罪の片棒を担がされては悩みながらも「仕事だから仕方ないだろ!」と虚勢を張るブラック企業の社員に身を落としてしまいました。
この意味不明な転身は役者さんまでインタビューで「なんでこんなことしてるのかと不思議に思った。キャラの考えてることが全然わからなかった」と述懐するほどでした。

・3クール目では不破の説得で会社を辞めて自分の理想に向けて再スタート。
…するはずだったのですがなぜかテロリストの手伝いをし始めて視聴者を唖然とさせました。後でラスボスを倒す計画のためだったと説明されたのですが計画がガバガバ過ぎて失敗してラスボス復活の手助けをする結果に終わりました。
その結果、今度は「私のせいでラスボスが復活してしまった!」と自責の念に悩んで入院する立派な精神病患者になってしまいました。

・終盤では一応立ち直って正義の味方をやり始めるのですが今度は販促の壁に阻まれました。
女性ライダーで3号ライダーなので1クール目以降に強化フォームやアイテムを一切もらえなかったのです。そのせいで戦闘でも出番がなく、ちょっと出てやられては「なんて強さだ。こんな敵にどうやって勝てばいいんだ…」と泣き言を言う情けないポジションにしかなれませんでした。

・序盤の威勢のいい姿とは裏腹に没落人生まっしぐらで最終的にはいなくてもいいキャラになってしまいました。こんなのでもメインキャラに数えざるを得ないのがゼロワンです。

■4号ライダーにして敵ライダー:天津垓
・天津垓は主人公の会社を買収すべく現れた人間側の悪役です。
五番勝負を開催した張本人であり、唯阿の上司であり、不破の記憶を捏造した主犯であり、実はラスボスの人間への敵意に目覚めたスーパー人工知能”アーク”が悪意に目覚めるように仕向けた諸悪の根源でもあります。

・主人公の邪魔をする敵として出た時点で不人気になるのは当然ですが、五番勝負での杜撰な展開や大小さまざまな犯罪行為に殺人未遂、テロ活動など罪状が多く、それでいてやってることのスケールが小さく悪役としての魅力もなかったため視聴者受けは悪化の一途を辿りました。
3クール目に至っては販促期間が過ぎたのにいつまでも悪役をやらされ続けたせいで毎回主人公たちにやられては「覚えてろよ!」と捨て台詞を残してボロボロの姿で逃げ去ることを何度も繰り返すことになりました。冗談抜きで本当に「覚えてろよ!」と言って逃げるので洒落になりません。笑いを通り越して寒かったです。

・そんな重犯罪者でテロリストで諸悪の根源で負け犬の天津垓ですが、終盤になって仲間になりました。
その理由が「昔は主人公の会社が大好きだったと思いだしたから」です。
誤解があったとか洗脳されていたとかそういう話ではありません。ただなぜか純粋に好きだったことを忘れていて、なぜか会社を乗っ取りたくて仕方がなかっただけなのです。意味不明な言動ですがそれが事実なのでどうしようもありません。

・プロデューサーが登場当初から「天津垓はただの悪役ではない」と自信満々に語っていたのでこれも恐らくスタッフが生んだ歪みのせいです。本当は視聴者から愛される悪役として歩んだのちに満を持して仲間になる予定だったのでしょう。

■残りは割愛
・主要キャラはまだ他にヒロインのイズや敵幹部がいるのですが語ることがないので省略します。
主人公に感化される立場なので主人公たちがブレブレなゼロワンでは輪をかけて意味不明な言動と心変わりをするキャラクターでしかありません。




【総合感想】

■振り返るほどの内容がなかった
・総評を書くにあたって自分の各話感想を1話から見返してみました。
思っていた以上に最序盤の懸念がもろに当たっていました。
或人の軽薄さは最後まで変わりませんでしたし、マモルのときに感じた嫌な予感もイズ2号で実現しました。唯阿のよくわからない行動原理は悪化してメンヘラの一途を辿りました。

・内容が無さ過ぎて改善点も問題点も指摘しようがありません。
「或人の祖父である先代社長の死が何の裏もない自然死とかヤベェな」とか「暗殺ちゃんの話ってなんの意味があったんだろう?」とかツッコミどころを思い出したりしていましたが、作品全体に問題がありすぎてそんな些末なことを総評に書く価値がないと結論付けました。
「どこから間違ったと思う?」と聞かれたら「1話の最初から」と答えるしかないです。たぶん、より正確に言うならスタッフが集まった時点で終わっていたのでしょうが。

■プレバンが多い
・やたらにプレバン商品が多いと感じていたので実際どうなのか数えてみました。前作のジオウと比べるとベルトや武器に強化フォームなど基本アイテム数はほぼ同じでした。
大きな違いはゼロワンはフォームチェンジ系の小物が少なかった点です。ジオウではゼロワンで言うところのプログライズキーにあたるウォッチが2倍以上ありました。

・一方、ゼロワンはプレバン限定のベルトが圧倒的でした。
ゼツメライザー、レイドライザー、スラッシュライザーにアークドライバーで少なく数えても4種類。劇場版のサイクロンライザーで+1。滅亡迅雷キーセットに付いてくる滅亡ドライバー用パーツも含めれば合計6種類もありました。
一般販売のベルトがゼロワンドライバー、ショットライザー、フォースライザー、サウザンドドライバーで4種類なのでプレバンで販売された数と少なく見積もって同じ、全部含めれば6種類でプレバンのほうが多いです。
プレバン商品は他にもキーセットやヒューマギアモジュールにZAIAスペック、腹筋、天津垓のパンツなど本編に明確に出したものだけでもいくつもあります。

・玩具展開を冷静に見たら余計に暗い気持ちになりました。
プレバン商品が大量に増えた一方、子供向けの安価なソフビ人形がほとんどなくなっていました。出てるのはライダーの基本フォームと強化フォーム、あとはバーニングファルコンくらいで序盤のフォームチェンジは一切出ていません。商品展開の比率から考えると子供向けというより大人向けと言えるんじゃないでしょうか。言っていることとやってることがここでも合っていません。

・商品を出すだけなら勝手にすればいいと思います。悪いことがあるとすれば商品点数が増えて通販のページが見づらくなることくらいですから大した問題ではありません。
しかし本編に出すなら映像作品としても販促としても考えるべきことがあると思います。
「”仮面ライダー”とは嫌いな相手をパンツ一丁にしたら満足して帰る存在である!」とか
「”仮面ライダー”とはそこで棒立ちで見学して特に何もしてないやつのことである!」とか胸を張って言えるのでしょうか? それができないなら間違っていると思います。販促番組とただのCMの違いをちゃんと考えているとは思えません。