『仮面ライダーゼッツ』最終回まで見終わって:総合感想
『仮面ライダーゼッツ』を最終回まで見終わったので全体の感想を書きたいと思います。
*必要に応じて随時ネタバレがあります。
一言まとめ
普通にダメなところが多過ぎた。
従来の高橋悠也作品と比べてもダメ。
悪いところはたくさんあるけど、良いところがあまり無い。
それも良いと言えなくもないところはアクションなど単独で成立してる要素が中心でゼッツ固有の要素ではない。
普通にダメ
・全体としては「面白くない」ことが問題でした。
どうダメだったかはこの後、それぞれ詳しく書いていきますが、ストーリーもキャラクターもどれもこれも壊滅的でした。
テーマは底が浅く、説得力が無い。
前半は流されてばかりの主体性のない馬鹿しかいないスパイごっこ。後半は突発イベントと新しく生えてきた設定が中心の投げっぱなし展開。
成長しないダメ人間の主人公。守りたいを通り過ぎてウザさが勝っているヒロイン。本人なりの正義があるダークヒーロー気取りだが悪人にしか見えないライバル。
登場人物もストーリー展開も薄い上に引き伸ばしだらけで、初お披露目時点で予想できる薄い内容が実際に出てくるのが20話も経ってから。
キャラの深みもストーリーの積み重ねも無くクオリティが満遍なく低い上に、ストーリーは負けイベントが多くて爽快感が無い。
全話見終わった後も見ている間も「これは何が面白いつもりで作っているんだろうか?」という疑問を感じることが多い作品でした。
ストーリーの基本フォーマットが「徒労」
・ストーリー構成の大き過ぎる問題は「数話経つとやったことが無に帰す」ことが慢性化していたことだと思います。
論より証拠でさっそく箇条書きで例を挙げていきます;
14話で主人公が初めての強化フォームゲットして、怪人を使役し人々を苦しめてきたライバルの2号ライダーに勝利!
→次の回で主人公が「お前は敵じゃない」とか言い出してライバルを助ける。
→2話後に助けたライバルが強化フォームをゲットして主人公がボロ負け。主人公の上司だった司令官ロボを破壊されて活動が停滞。ライバルは後に大量殺人も引き起こした。
23話でライバルの蛮行に思い詰めてライバルを殺した!
→実は1話ラストから24話までの出来事は全て主人公が見た夢でした! 夢オチだから死んだはずのキャラも現実ではまだ生きてます。記憶や強化フォームは保ったまま2話からやり直しで擬似的なニ周目に突入! ライバルは1回ぶっ殺したけど本当は良い人だと思うから今度はがんばって説得するね。(実際に仲間になったのは46話)
予知夢で見た悲劇を防ぐために予知夢の実現を阻止する! それが俺の”ミッション”だ!(ドヤァ)
→2話後には予知夢の時にはいなかった第三勢力の敵キャラ、ジークが中心になったので予知夢を見た意味がほぼ無くなる=主人公のアドバンテージも無くなってまた敵ペースに逆戻り。
悪役3号ライダーのジークを殺した!
→2話後になんか生き返った。改心もしてないけどもう1回殺そうとかは特にしないで無視する。
わかりやすくキャラの言動ビフォーアフター中心に絞ってもこんな有り様でした。
これに最序盤から続くストーリー引き伸ばしが加わるので実際はもっとグダグダです。
序盤からだいぶ組織が腐ってて「組織の深い闇…!」とか「組織は信用できない」とか言っていたのに組織と戦うのは35話になってからでした。
7話で「夢世界に囚われていて現実では行方不明になっているヒロインの身体を見つけて現実に戻す」ことを主人公がヒロインと約束したのですが、自分からは何も行動せず果たされたのは45話でした。
短いスパンでも長いスパンでも展開の意味が失われることが多すぎて、「どうせ無駄になる」と思うと見続ける意欲がどんどん削られていきました。
「間」が無い
・構成の問題はもう一つ有ります。出来事の間に「間」が無いことです。
こちらは出来事ベースで例を挙げていきましょう;
ライバルを助けた。
→次の回で司令官ロボを破壊したり、仲間になるどころか行動がエスカレートしていってライバルの悪行度が増す。
予知夢を見た。予知夢を阻止しよう!
→2周目お決まりの先の展開を知ってるからできるチート攻略のカタルシスは次の回前半のバトル1回で終了。以降は予知夢で見てない出来事しか起きなくなっちゃったから予知夢がただのifエンドになってしまった。
悪夢を改ざんして更なる悪夢に変えていた愉快犯の3号ライダー、ジークを倒した。
→その回のラストで組織が切り札である全人類のマインドコントロール装置を起動してもっと大変な事態に突入。
・組織を私物化してたスリーを倒してマインドコントロール装置を破壊した!
→主人公は破壊したつもりだったけど、実際は何者か(ラスボスたち)に奪われてたことが次回予告で判明して事態が更に悪化。
こんな具合に敵幹部の撃破など解決編をやっても次の回かその回のラストには次の展開が始まってしまって「一喜一憂」の喜んでる暇がなかったです。
何をやっても事態が悪化して、何度も振り出しに戻るようなストレスだらけの構成になっていました。
スタッフは「あらすじ上で一段落すればいい」と考えていたようですが、実際に必要なのは「視聴者の気持ちの一段落」の方だったと思います。
バトルものだからどうせ平和が壊れることはわかっているにしても「これで一件落着だな」と思える時間が少しは無いと「どうせまた次の悪党が出てくるんだよな…」と終わりの無さに徒労感を強く感じてしまいます。
実際にはこれより酷く、「設定や敵が不明瞭で、目の前の敵を倒したらどうなるのかもわからない」という状況が多く、「とりあえず事件を解決した! 被害者を守れた!」程度の喜びすら感じられないことが多かったです。
予算と販促の都合で新規怪人が減る3クール目以降は、同じ敵幹部との戦いとヒロイン相手など内輪のストーリー展開が中心になったこともあって、更に達成感が減りました。
・最終盤はゼッツのクライマックスだけあって最も酷かったです。
暴れてる四天王Aを倒したぞ!
→四天王Bが暴れ出したから倒したぞ!
→「忘却」を司るラスボスは何でも消せるチート能力を持っててヒロイン以外は主人公も含めて全員消されちゃった、ゼッツ完!
→と思ったけど主人公は最強フォームの使い過ぎでいつの間にか耐性ができていて助かりました。ヒロインの記憶を取り戻したら消されてたやつも元に戻ったぜ!
→ラスボスの前に幹部Cを倒すことにしたぞ。2号ライダーが急に道連れ特攻して排除してくれました。
(ここまでは各展開で1,2話ずつ)
→2号ライダーは自らを犠牲に幹部Cを封じ込めた…と思っていたけど会いに行ったら2人ともピンピンしていて幹部Cが「こんなことやってる場合じゃない。ラスボスを倒せないと私にとっても困る」とか言い出して戦意喪失したから2号ライダーも戦線復帰したぜ。道連れにしてまで封印してた幹部Cは野放しになってるけど誰も気にしないぜ!
ライダー3人揃ったから決戦だー!っと思ったけど主人公は無理しすぎで体調不良だから3号ライダーと2人で行くぜ。2人じゃ歯が立たなかったよ…
→普通に主人公がやってきて最強フォームでバトル!…したけど普通に負けたわ。ラスボス強い。勝てない。
→思い詰めたヒロインが自殺してヒロインと一心同体のラスボスを消し去ったぜ!
→次回予告ではもう復活したラスボスが映ってるぜ!
(2号ライダー復帰からここまで、この段落は同じ1話内での出来事)
と、次回でひっくり返るどころか同じ話数の中でも展開が無意味になっていき最終回に近づくほどワースト記録を更新していきました。
ストーリーが進まない。存在しない区間が長い
1,2クール目:ノクス/レディ編
怪人ナイトメアを操るテロリストとの戦い。テロリストがテロを起こす理由である組織の悪いところは放置され、主人公も「組織は信用できない!」とか口では言っていても結局組織に使われてるだけ。最後は主人公も組織に殺されて「実は今までのことは夢でした」で終わり。
3クール目:ジーク編
第三勢力の愉快犯が現れるが、やってることは主人公とヒロインにちょっかいを出すついでに周りを巻き込むだけで内容は1,2クール目とあまり変わらない。
スリー編
組織が洗脳装置を使って世界征服をし始めたのでみんなで潰した。
4クール目:ゴアナイトメア編
テロに使われるポケモン扱いでストーリー上では空気だった怪人のナイトメアから急に四天王が現れる&ラスボス化。
・全体の章構成はこんな感じでした。
終始ストーリーの全体像が不明瞭で進展が遅かったです。
設定的には諸悪の根源は怪人の「ナイトメア」であると作中でも語られていました。
名前でイメージするように人の夢に現れ、悪夢を見せ、悪夢を介して正夢として現実にも悪影響を及ぼす怪物です。
曰く「歴史上起きた災害や戦争もナイトメアの影響によるものだった」だそうです。
そんなナイトメア対策のために作られた国家の枠組みを超えた機関が主人公の所属する組織です。
ライバルのノクスも元はナイトメア退治のエージェントで、組織に捨て駒扱いされて見捨てられたことをきっかけに組織を潰すことを目的とするテロリストになりました。
第三勢力として登場したジークも「実験でナイトメアと融合した元エージェント」です。
全ての元凶はナイトメアであり、ナイトメアさえどうにかできれば作中の出来事の大半は存在する必要が無くなるはずなのに、実際には4クール目になってようやくナイトメアが本格的に活動し始める有り様でした。
ギーツで参加者が誰もデスゲームの運営を敵視しないこともそうだったんですけど、神の視点で見なくても組織の問題性やナイトメアが元凶であることが明らかなのに誰も何も言わず無反応で、ある時期になると急に問題視し始めて結局そこを解決すればだいたいの問題は解決して終わる展開は萎えます。
話を引き伸ばすだけでもうんざりするのに、遠回りするためにキャラクターの言動まで異常になるのは見ていて普通にフラストレーションが溜まります。
・ナイトメア自体は4クール目までず~っと悪役のノクスやジークが操るポケモン扱いで脅威とは思えませんでした。
でも設定語りパートにおいては「ナイトメアの脅威」と何度も語られるため、
「ナイトメアが真の脅威ならナイトメアの話しろよ。こんなテロリストたちや組織と争ってる場合じゃないだろ」
「ナイトメアならどう見てもコントロールできてるじゃん。こんなのよりナイトメアを操ってるテロリストの方がヤバいだろ」
という矛盾したツッコミどころをストーリー全体に渡って常に抱えていくことになりました。
どうやってナイトメアをコントロールしていたのかは最後まで何も語られないまま終わりました。
・4クール目はいよいよナイトメアの話一本になったのですが、
「ナイトメアの目的って何?」
「どういう存在なのか?」
といった話を全くしてこなかったため、「え、こいつらってこんなに自我があったの? っていうか話せることすら初めて知ったんだけど」と4クール目とは思えない感想が次々と思い浮かぶ悲惨なことになりました。
その後も全くリカバリーできなかったため、結局「なんか暴れたり人類を滅ぼしたがる怪物」でしかありませんでした。
悪夢に出現する怪物が人間を滅ぼしたら怪物の住処も無くなってしまうように思えますが、そういうツッコミどころへの説明も行動原理の解説も一切ありませんでした。
そのせいでストーリー面では最後のゴアナイトメア編が一番盛り上がりませんでした。
思想も何もなく暴れてる怪物の横で「夢は悪夢を超える!」とか主人公たちがポエムを言いながらかっこつけられても「良いから倒せよ。夢を悪夢に変えてる怪物を倒せば終わりなんだから」と冷めた反応になってしまいます。
これで倒しても次がいるのが最初から見えてる四天王体制&同じラスボス相手に6話も負け続ける負けイベントの連続だったので最後が一番つまらなかったです。
キャラの魅力の無さ
・長期的牽引力になるストーリーが壊滅的だったので、あとは短期的な牽引力になる「キャラクター」に期待するくらいしか活路が見当たらないのですが残念ながらキャラも壊滅的でした。
まず主人公がダメでした。「夢の中では最強のエージェントだけど現実ではニートでダメ人間」という人物像から終わってました。
本当にこの設定通りの悪い意味で期待を裏切らない内容でした。
普通にカッコ悪かったです。現実では凡人で弱いだけならまだ受け入れられます。”変身”ものでは珍しくありませんからね。
しかし「人助けをしたいと思っているが『人助けをすると落雷や隕石など災いに襲われ、何度も死にかけている』という不幸体質」だから鬱屈しているのはまだしも、生活費は働いている妹頼みでヒモ状態であることに甘んじている説明にはなりません。
人助け扱いにならない単純な仕事はいくつもあるでしょう。間接的な内容でもダメだったら妹に面倒みてもらってるだけでも「心の支えになってる」とかでアウト判定が出ると思います。
百歩譲って働けないとしても、不幸体質がある日突然治ったときに備えて身体を鍛えたり、救命技術などを独学で学んだり、独りでやれることは有ったと思います。
能力は低いし努力も何もしてないし、ライダーになった後ですら「お前ヒーローなんだろ? なんとかできないのかよ?」と言われて「エージェントの訓練も受けてない俺にそんなことできるわけないだろ?!ここは現実で夢の中じゃないんだぞ?!」と逆ギレが当たり前のダメ人間で普通に印象が悪かったです。
・この手の凡人キャラに期待される成長や変化も全然ありませんでした。
ここでも「活躍できるのは夢の中だけ」という基本設定が足を引っ張っていました。
「夢の中では完璧なエージェント」でなければいけないから、悩んだり決断したりするカッコ悪いことは現実でしなければいけない。
しかし決意を固めた後も夢の中でエージェントとしての姿から出てくる言葉は、いつも同じ「ミッションを遂行する」ばかり。
完璧なエージェントはブレないし、クールでスマートでなければいけないので戦闘中でも特別意気込んだり成長を見せたりもしないのです。
このエージェントごっこは最後まで変わりませんでした。
主人公のオチも「能力の使い過ぎで最終決戦の後は現実に戻れなくなり、人類が存在する限りは無限に発生するナイトメアと夢の世界で永遠に戦う人類の守り手となった」でした。
現実での主人公に良いところがなく、現実的に考えると将来も暗かったため、悲壮な覚悟どころか現実から逃げられる都合の良い口実に見えて全然ノレませんでした。
最後の最後の時系列のズレたエピローグパートでは一転して現実に戻ってきたところで終わりましたが、主人公が現実に戻りたいと思っていたのかすら心当たりがなくこれまた全くノレませんでした。
・主人公に限らないことですが、「〇〇がしたい(欲求、価値観)」「〇〇をする(行動、生き方)」といった基礎すら提示されていないことが致命的だったと思います。
たとえばワンピースなら「俺は海賊王になる男だ!」
ゼロワンなら「ヒューマギアは人類の夢なんだよ!」
みたいに、キャラクター作りの基本は
「こいつは何がしたい人なのか(ヒーロー、復讐、平穏な生活)」
「こういう状況だったらどうするか(強敵が現れて窮地に陥ったら怯える?絶望する?喜ぶ?戦う?逃げる?自分が犠牲になっても誰かを守ろうとする?)」
といった行動を中心に考案するべきだとよく言われます。
ゼッツの主人公の場合は「エージェントを夢見る」だけでそのために努力しているわけでもなく、かといって棚ぼたを願っているだけの怠惰や無気力なダメ人間として積極的に描くわけでもありません。
「どうしてエージェントにこだわるのか」
「エージェントになって主人公は何がしたいのか」
「エージェントとは主人公にとってどんな存在なのか」
といった基本的な部分すら具体的に描かれませんでした。
この手の話だと「憧れていた職業… だが実際になってみたら夢見ていた内容とは程遠いものだった」みたいに夢を実現することが一つのゴールであり、挫折であり新しいスタート地点になるみたいな展開が定番の一つですけどそういう話も最後までありませんでした。
「エージェント(志望)であること」を主人公の軸にして、お話のフォーマットもスパイものにしたのに主人公もエージェントも具体性や意義を持たせられなかったこと、そういう基礎的なところからできていませんでした。
スタッフの価値観が狂っていた
・冒頭のナレーションで毎回「俺は万津莫。極秘防衛機関のエージェント、という夢を見ていた普通の好青年だ」と語っていましたが、この時点でスタッフの価値観が狂ってることは明らかでした。
一般的に「エージェントを夢見る」時点で普通じゃないんですよ…
自分から「好青年」と語るやつもわりと普通じゃないんですよ…
スタッフに客観的視点がまるでありませんでした。これではどうしようもないことも納得です。
・主人公がこの有り様なせいでテーマである「夢」も説得力がマイナスでした。
基本的には「信じ続ければ夢は叶う」「夢(理想)は夢を持つこと自体が素晴らしいものだ」みたいな話が一番の主軸のようでした。
しかしながら実装がダメ過ぎてお話になりませんでした。
なにせ本当に「夢を信じること」しか主人公たちがしていなかったからです。
「主人公はどんな困難にめげずに一途にエージェントになる夢/世界を救う夢を信じてきて遂に叶えました! …まぁ普段はニートで妹に収入を頼ってるヒモでいまだに現実ではダメ人間のままなんですが」
じゃあ何のメッセージにもなりません。
・そもそも「信じ続ければ夢は叶う」という文面のスタッフの解釈が間違ってると思います。
これは一般的に
「叶うかわからない抽象的な目標のために地道な努力を頑張り続けるのって難しいよね。辛いよね。それでも諦めずに歩み続けるなんて途方もないことだよね」
という大前提である困難の部分が本当の主題だと思います。
だからこそ「諦めないで信じて努力を続ければ夢は叶う(だからがんばって)」という標語であって、決して「ただ信じてるだけで夢は叶うよ」なんて都合の良い話ではないと思います。
「親はエージェント組織の司令官。生まれながらにライダーとして怪人と戦うことを期待された宿命を背負い、生まれる前からそれを察していたから赤ちゃんの時点で世界を破壊し得る怪人の力を宿し、子どもの頃から知らないうちにエージェントとしての睡眠学習を受けさせられていた。偶然事件に巻き込まれたことでライダーとしての力に目覚め、偶然ヒロインに出会った」
なんて話のどこに再現性やマネする余地があるのでしょう?
これで「君の夢も叶うよ! 主人公みたいにね!」と言われても、「いや、俺の親はそんな偉くもないし、宿命も睡眠学習も何も受けてないんだけどどうやればいいの?」と途方に暮れるだけだと思います。
「エピソードは普遍化されているのに、理屈は全く普遍化されていない」というのはテーマ語りとしては糞としか言いようがない出来栄えだったと思います。逆ですよ、逆!
物語自体は主人公だけのものであっても、「挫けそうになっても諦めずにできることを模索し続ける」や「一人では無理でも仲間がいればできる」など、その精神性や過程は誰にでも模倣し得るっていうのが普遍的テーマ性の有るべき姿です。
語り口が根本的にダメ過ぎて本当にお話になっていませんでした。
ヒロインがモブ同然
・ヒロインのネムも壊滅的でした。
国民的アイドルで、なぜか誰の夢の中でもいつも現れる謎多きキャラでした。
3クール目からは世界の命運に絡むキーキャラクターになり、敵味方から狙われるメインストーリーにおける最重要キャラでした。
出番も台詞もかなり多く、本来ならどう見ても正ヒロイン。
…のはずでしたけど実際には全然そうは見えませんでした。
・序盤は出番は多いけどただそこにいるだけで特に役割はなくキャラとしても存在感が無く、初の個人回があった6話では「君の素性が事件解決の鍵になりそうだから教えてくれ」と主人公に頼まれたのに「私にも言いたくないことがあるんだよ!」と自分勝手な理由で拒絶して印象が底辺まで落ちるという最悪のスタートでした。
2クール目では話の軸をライバルや主人公に取られたせいでヒロインの話はグダグダになり、ヒロイン関連では一番大きな目標だったはずの夢の世界から脱出して現実の身体に戻る話も、主人公が交わした現実のヒロインの身体を見つけ出す話も片手間に終わらされてしまいました。
この時点でキャラとしてはほぼ死んでました。
その後は怪人生産体質を狙われる厄介者として足手まといになるも「死んでくれた方がいろいろ問題が手っ取り早く解決するのは事実なんだよな。体質が問題なだけで本人は特に悪いことはしてないから死ぬのは可哀想だけど」みたいな憎まれることすらできない中途半端なポジションで終わってしまいました。
・後半は
「全部私のせいだ…」
「私なんて生まれてこなければ良かったんだ…」
「どうせ最初から存在しない偽りの命だし死んだ方がみんなのためなんじゃ…?」
と同じ内容をウダウダ言うことを繰り返していたのでひたすら退屈でした。
本当に自殺したら物語がそこで終わってしまう極論なのでドラマとしては広がりもなく盛り上がりませんでした。
主人公たちも特に言えることが無いのでリアクションにも困る行動でした。ただ深刻ぶって陰鬱な雰囲気になるだけで何も生産性がありません。
更に困ったことに主張に正当性も感じませんでした。
どれもこれも、
「ヒロインの体質を悪用する方が悪いに決まってるだろ!」
「何の罪もないの殺されていいわけあるか! 生まれに罪はねぇ!」
と、ヒーローものとしてはヒロインに落ち度が無いからこれで終わっちゃう話でしかありませんでした。
おかげで何があろうがヒロインを守ると主張していた主人公たちの正義が全然際立ちませんでした。
特別な体質と生まれを除けば、騒動に巻き込まれた普通の被害者でしかありません。つまりゲスト回の怪人被害者ゲストと同質の存在です。
これじゃただのモブです。面白くなりようがありません。
ナイトメアや組織という明確な悪もいたので「じゃあヒーローが悪を倒せば解決じゃん!」であり、
「…っで、そのヒーローさんはいつまで手こずってんの? お前らが不甲斐ないせいでヒロインが延々と苦しんでるんだけど?」と真面目に考え出すと別な方向にヘイトが向きかねない有り様でした。
ストーリーを盛り上げるどころかマイナスでした。
・おまけにヒーローにもなれませんでした。
中盤で明晰夢パワーに目覚めたときは主人公のサポートでもするようになるのかと少し期待しましたが、特に役に立てませんでした。
後半はヒロインばかりが狙われていて助ける対象であるゲスト自体がいなくなりました。
おかげで終盤で強まった明晰夢パワーの発揮方法が
「暗い地下に入って明かりが欲しくなったので味方キャラの服をピカピカするゲーミング服に変える」なんて無駄遣いになってしまいました。
設定上は「人の意思の結晶たる明晰夢パワーに目覚め、生まれはライダーの力の根源たるナイトメアそのもの」というすごいポテンシャルの持ち主でその気になればいつでもライダーに変身できる器だったと思います。
実際には後半はずっと世界の命運を背負わされたトロフィーワイフ扱いでした…
これじゃヒロインというよりプリキュアの赤ちゃん妖精です。
・更に困ったことにヒロインらしいキャラが別にいました。
主人公の妹です。妹だから一緒に暮らしていて、引きこもりの主人公に交友関係がほぼ存在しないこともあって普段の話し相手の大半は妹でした。
ときには「夢とか言ってないで働け、馬鹿兄貴」みたいな減らず口も叩けるし、一方では素直に応援したり、「死地に赴く主人公を明るく見送り、主人公が去った後に泣き出す」なんて反応もできる深い関係でもありました。
「敵に捕らわれ窮地の状況に陥って主人公に助けられる」というシチュエーションまでヒロインと被り、その上ヒロイン相手の時よりも主人公の葛藤や妹を助けたいという思いが強かったため、本当にヒロインの立場がありませんでした。
最後まで見終わった後ですら、妹の出番の大半はヒロインにやらせるべきだったと思います。
スタッフとの認識のズレが大きい
・キャラクター面ではストーリーの中核になっていた「ノクス」と「レディ」に対するスタッフと視聴者の認識の相違も楽しめない原因の一つだったと思います。
ノクスは2号ライダーでライバルキャラです。ちゃんと仲間になったのは終盤で、2クール目が終わるまでは完全に敵でした。
ノクスは「元々は主人公の所属する対怪人組織のエージェントだったが、任務中に本部に救援を求めたが見捨てられたことでエージェントを使い捨てにする組織に反感を抱き、組織を潰すために怪人を利用したテロ活動を行うようになったテロリスト」です。
1話から組織壊滅のために一般人に怪人を寄生させる敵幹部役として活動し、2クール目では強力な怪人を創るために無関係の子ども10人以上を実質的に殺した犯罪者です。
後半では他に悪役担当者が現れたため一般人を巻き込む行動は鳴りを潜めたものの、どう見ても危険思想の犯罪者であることは否定できない人物でした。
ですが、作中では序盤からずっと「ノクスは悪くない」「正義感が強過ぎたから過激な行動に走ってしまったんだ」と主人公や主人公の仲間に擁護され続けていました。
・ノクスと協力関係にあるレディも似たような感じでした。
レディも元エージェントで「自分の子どもを組織に殺されそうになったから子どもが安全に暮らせる世界を作るために組織を潰そうとしている」人物です。
その信条から主人公は「子どもを思う母親に罪はない」という感じでこれまた擁護していました。
作中ではそういうことになっているんですが、実際にはそうは思えませんでした。
その子どもっていうのがヒロインのことであり、「妊娠する夢を見て目覚めたら目の前に赤ちゃんがいた」という超常現象で生まれ、後に「悪夢に現れる怪人が現実世界に干渉するために生み出した存在で、怪人を次々と生み出す能力を持っている」ことが説明されました。
明らかに怪人が絡んでる正体不明の存在を始末しようとした組織の方が正常な考え方で、それを自分の子どもだと思い込んで守るためにテロ活動を行ってるレディの方が異常だと思います。
百歩譲って母性が絶対に正しい概念であるとしても、「自分の子どもが安全に暮らせるようにするために殺人兵器を作る必要があるので大量の子どもを生贄にします」という行動は母性では肯定しようがないと思います。
・作品全体に渡ってこの2人の話がメインストーリーで取り扱われていくためこのギャップは深刻でした。
「なんでこいつらが野放しになっているんだろう?」
「なんでこいつらが正しい存在みたいに語られているんだろう?」
と違和感を感じることが多く、ストーリーにもノレないし、擁護する主人公たちの印象も下がりました。
従来の高橋悠也作品との違い
・「展開と設定を投げ捨ててばかり」
「ヒロインが空気」
「キャラの倫理観がヤバくて引く」
なんて高橋悠也作品ではいつものことじゃないの?
と思われる方も少なくないと思います。
その点に関しても差異を書いておきます。
1クールごとの倒すべきボスがいない。
→主人公の正当性や成果を示せない。主人公が特に影響力のないただの登場人物の一人に収まってしまう。
主人公の活躍や成果が少ない。
→主人公が主人公たる資格を示せない。普段は無気力ニートの凡人なので魅力が常時マイナス。活躍できないことはなおさら致命的。
状況が変わらない(頻繁な引き伸ばし、ゴールの欠如)。
→状況に変化がないと同じことの繰り返しに感じて徒労感とやっていることへの疑問が増していく。
総じて「主人公が話の中心になっていない」ことがエグゼイド、ゼロワン、ギーツなど従来の高橋悠也ライダーとの大きな違いだったと思います。
ストーリーの内容の無さや設定やキャラがころころ変わる辺りは前からですが、夢という実体がなく曖昧なテーマも相まって「誰がどうして、何がどうなるか」という作品の基本的な方向性やゴールをまるで提示できていませんでした。
この状態で主人公が機能しなくなると、誰が正しいのか、どこに注目すればいいのか物語の指標がわかりにくくなります。
そこの不透明さがゼッツのウケが悪い主要因ではないかと推測します。
全体感想
アクションはエフェクトと止め絵が中心
・アクションは悪くはないけど普通でした。
ゼロワンのエフェクトや止め絵は必殺技のインパクトの瞬間みたいに使い所が限定的でしたが、ゼッツの場合はだいぶ多かったです。
見せ場になるほどエフェクトをばりばりかけたスローモーションや静止画が中心になりがちで、いわゆるアクションらしい躍動感は少なめでした。
それ自体は有りは有りだと思うんですけど、個人的には好みではありませんでした。
アニメは動かすとそれだけ作画枚数が必要だから動かせないのもわかりますけど、そういう制限のない生身アクションならどんどん動かしてなんぼだと思います。
生身アクションと組み合わせるならまだ良いですけど、完全に止まるような絵面になってしまうと否定的です。
その行き着く先は「全部CGで良くない? もうアニメにした方が面白くできるじゃん」といった路線でそこは実写アクションにとっては行き止まりだと思うのでその方向性には賛成しません。
明晰夢能力はあまり活かせてなかった
・「夢の中だから何でも有り」が売りみたいでしたけど、パッとしませんでした。
「予算は何でも有りどころか制限有りまくりだから無理でしょ」ということは予想の範疇でしたが、数少ない使われ方がいまいちでした。
なぜか「地形を動かす」ことにこだわっていました。
地面がグネグネうねったり、壁から柱が突き出てきたり、壁を破ると全然違う場所に出たり、やってることがライダーや戦隊でも見たことあるような表現ばかりで見た目も普通にいまいちでした。
むしろ敵も味方も明晰夢能力がデフォでやろうと思えば誰でもいつでもできそうな設定だったせいで、「こいつは地面を操る能力なのか!」みたいな敵やフォームごとの差別化ができず、話やバトルのバリエーションが減って面白みに欠けるくらいでした。
エフェクト重視もそうなんですけど、ゼッツの独自性が見えなかったためアクション関連は評価が下がりました。
フォームチェンジが地味
・1クール目の小物チェンジだけでなく、強化フォームや最強フォームまで含めても各フォームは地味でした。
強化フォームでも見た目の変化が少なく、能力もパッとしませんでした。
1クール目の小物チェンジは使用された回数自体が少なかったです。
初期武器のブレイカムゼッツァーが剣だけでなく、銃や斧、鎌の4形態に変形する可変武器だったことを覚えている視聴者がどれだけいるのか怪しいと思います。
ワンダーやグラビティなど紫フォーム以外にも緑フォーム用の斧やリカバリーフォームも初登場した前後編以外に使われた覚えがありません。
普通なら便利だから多用されがちな銃ですら出番は数えるほどしかなかった気がします。
ノクスのガンやウルフ(剣)も同様でめぼしい活躍を思い出せません。
ジークに至ってはパニッシュ以外のカプセムを使ったことあったっけ?と本気で思い出せないくらいに小物アイテムの存在感がありませんでした。
・その代わりにゼッツ初期フォームのフィジカムインパクトはやたらに出番が多かったです。
出番は多かったんですけど印象にはそんなに残っていません。
筋肉ムキムキのパワー系以外に特徴がないからでしょうね。バトルにバリエーションが出せません。
せめてそれこそ斧や鎌など使う武器を変えたりすれば良かったのにと思います。
・最強フォームのエクスドリームがパッとしなかったことも地味な印象の主な理由の一つだと思います。
固有能力が「やられても時間を巻き戻して無かったことにする」というのは地味でした。
能力を見せるためには必然的にやられないといけないから弱そうにも見えがちでした。
「やられまくるけど当たる度に能力でノーダメにして、巻き戻して相手が混乱してるタイミングに不意打ちパンチで削っていきます」という戦い方は見ていて普通にせこくてカッコ悪いと思いました。
最強フォーム専用武器が有ったら攻防のバランスが取れたかもしれませんけど、ゼッツにはありませんでした…
カタストロムで使ってたバズーカは見るからに強そうだけど取り回しは悪そうでエクスドリームと相性補完が良さそうだったんですけど、これも全然使いませんでしたし…
スカっとする活躍が少ない
・バトル全般でシンプルに問題だと思ったのは活躍が少ないことでした。
バトルロイヤルものだったかなと思うくらいに基本的にライダー同士がみんな敵でした。
1クール目から出ていた2号ライダーでも一時的な共闘ですら41話が初めてでした。
売り物であるライダーの出番を増やさないといけないのに主人公以外のライダーは味方にできない都合から、2クール目以降のバトルの大半はライダー同士の戦いでした。
話の都合で完全に決着をつけられずに終わる小競り合いと、敵ライダーの代わりに雑魚怪人を倒してお茶を濁して終わる展開がほとんどでした。
販促の都合も相まって、強化フォームを手にしてイキってたかと思ったら数話後には別のライダーが強化されてボロ負けし、その数話後には勝ったやつがまた別のライダーにボコられるという虚しさを感じる展開がバトルの中心になっていました。
これに不毛なストーリー展開も加わるので実際の印象はもっと悲惨でした。
バトルの目的や意義の無さも含めて、「バトルが楽しくない」と感じることが多かったです。
デザイン
胸ベルトは最後までかっこよく見えなかった
・ゼッツのデザインの最大の特徴と言えば「腰ではなく”胸にたすき掛け”でベルトを着けている」ことです。
個人的には最後までかっこよく見えませんでした。
と言っても、着けてる姿は腰でも胸でもどっちでも大して変わらないと思っています。ぶっちゃけ、どっちもかっこいいとは思いません。
現状だと腰回りのデザインが貧弱で物足りなさを感じますが、これは経験を重ねればデザインが洗練されて解決できる問題だと思います。
変身ポーズがネックに感じた
・ただ、「変身ポーズ」は差があると感じました。
胸ベルトだと”腕”が決まりません。
腰の位置だと腕が伸び切らせることができます。
私は変身ポーズだと、オーズのスキャナーを斜めに振り下ろす動作やWの両腕を交差させてベルトを開く動作がかっこいいと思うんですが胸の位置だとああいう動作ができません。
実際のゼッツの映像を見てもわかりますし、試しに胸の下の肋骨が八の字につながってる根本当たりめがけて自分の手を当ててみてもわかるんですけど、肘や手首が余ったり脇が開いたりしてポーズとしてなんだか締まりません。
他にも「胸をアップにする=足や反対側の手とかも映らない」という点がポージングとしてはかなり制約が多いと思います。
たとえばゴーストのスペクターなんかは役者さんの足の長さが際立つ大股開きと対角線上に伸びた腕が印象的でした。V3も大股開きではありませんがポージングには似たような感じのかっこよさがありました。
こういうポージングをやる上で胸にベルトが有ると邪魔だと思いました。
・全身を映す必然性が薄くなるという点はまだなんとかなると思います。
腰のベルトもどうせ「大げさなポーズを決めてから最後におもむろに直立して腰のレバーを引く」みたいな冷静に見ると「ポーズ特に意味ないね?!」と思うものも少なくなかったので胸でもアイディアを洗練させていけばそこは改善できると思います。
ただ「胸に有るとぶつかって物理的に邪魔になる」という点はどうにもならないと思います。
直立状態で見ても見るからに”分厚い”んですよね。強化アイテムになると更に厚みが増して悪い意味で目立っているように感じることも少なくありませんでした。
ベルト自体を売る販促作品じゃなくてもっとシリアス寄りな作品だったらガイバーみたいに変身完了した姿では胸に格納されてるとか、アーマーがベルトの突起まで覆いかぶさるように展開して一体化するとか、そういうタイプのデザインになるんじゃないかなと思います。
あれで腕を動かすポーズを決めようものなら突き指待ったなしだと思います。
役者さんがやるだけなら練習とリテイクでカバーできると思いますが、「子供がマネすることを想定している」以上は怪我の恐れがあるポーズは取りにくくなるでしょう。
この点は変身ポーズのかっこよさとしては大きな欠点なんじゃないかなと不安を感じました。
腰が空いたのだから以前はベルトが映らなくなるからできなかった腰を捻ったり足を動かしたり、胸に有るからできるポーズを考案してバリエーションを出していってほしいです。
・ゼッツやロードシリーズは開き直って「エージェントなんで敵の前でポージングとかしませんよw」とベルトに嵌めておいたカプセルを転がすだけでポーズはほぼ無しにしてごまかしていましたが、ノクスやミッドナイトシャドウはかなり悲惨だと思いました。
手元でアイテムをぐねぐね動かしたり、嵌めた後も胸元でちまちま手で転がしたり、ゼンマイを巻く作業みたいな感じでかっこいい姿には程遠く見えました。
スーツのデザイン
・個人的には没個性的だと思いました。全身タイツが強調され過ぎていた印象です。
アメコミヒーロー風を通り越して「アメコミ作家に新しいライダーを考えてもらった」みたいな領域まで行ってしまった感じでライダー感が薄いと思いました。
ゼロワンでヘルメット型の頭部を止めてお面型にした時点でもだいぶ「ライダーらしいデザインとは何だろうか?」という疑問を抱きましたが、ゼッツはお面ですらない覆面レスラー的な「マスク」になったので更にデザインの特色が減りました。
生体的ではあるので昭和ライダーのような身体改造ではない、肉体変化路線としては適切なデザイン傾向と言えると思いますがシリーズらしい統一感のあるデザインとしてはどうなのか疑問も残ります。
・単体のデザインとしては普通だと思いました。全身タイツの細マッチョです。
強いて言えば目の感じは悪くないと思いました。
顔の7割を占め、横から見ても横顔の8割を占めるような大きな目は存在感を感じさせますが、不気味さも感じました。
口や鼻もなく、身体は真っ黒なタイツの部分が多く全体としてのっぺりとしていて人のようで人でない亡霊のような不気味さがあって、敵=悪夢と同質の存在であるというライダーの基本モチーフはよく出せているんじゃないかと思いました。
まぁ、その悪夢という基礎設定が実際には形骸化していて一番どうでもいい要素になっちゃってるから台無しだったんですけどね…
それはデザイナーさんの責任じゃないのでデザイン面では気の毒だとしか言いようがありません。
・スタイリッシュ路線にしたことで、アクション用スーツの違和感はとびきりヤバかったです。
アップ用では盛り上がって立体的になっている腹筋アーマー部分が普通の撮影用スーツだとペラペラになっちゃって、子供用のなりきりプリントTシャツか、お腹に直接マジックで縁取りしたギャグかと思うような貧弱さで普通に引きました。
あそこは馴染ませる努力が必要だと思いました。
・全体としては主人公のゼッツ以外のライダーのデザインに苦しんでいるように感じました。
基本を全身タイツのスタイリッシュ路線にしたせいで他のライダーも全身タイツが基本になっていて頭部以外の差別化が弱いように感じました。
2号ライダー以降もノクスもドォーンもどれもかっこいいとも個性的だとも思えませんでした。
最後まで見ても一番最初の初期フォームが一番マシだったかなという印象です。
カプセルのアニメーションは普通に合ってない
・ゼッツのベルトにはめる変身アイテムは「カプセル」でした。
モチーフであるガチャガチャのカプセルのまんまの見た目です。
カプセル単体ではカプセルを回転させると真ん中だけ動いてパラパラ漫画みたいに中の絵柄がアニメーションするギミックが売りでした。
それ自体はローコストで子供が喜びそうなギミックとして理解できるんですけど、映像作品としては絶望的にミスマッチでした。
「殺人も自分の死も厭わないエージェント」が淡々とカプセルを回すと作品次第じゃ「筋肉~ムッキムキー!」みたいな起動音声が流れてきそうなギャグ地味たアニメーションが映し出され、何も起きてないかのように黙って終わるのを待っている姿は笑えないシュールさでした。
カプセムとエージェントものというメインモチーフのどちらが先に決まったのか知りませんけど、どっちが先でも「合わないだろ、これ…」という意見は誰も出せなかったのか不思議です。
キャラクター
莫:魅力のない主人公。
・莫の魅力の無さは上でもう書いたので省略します。
・行動面は夢の中でもダメさが目立ちました。
基本的にゼロから言われたことをやってるだけ、目の前で起きたことに対処してるだけで自発的な行動がほとんどありませんでした。
余りにも動かなさ過ぎて「コードは信用できない!」など疑問に思って当たり前のことを言い出すことまでも周回遅れな遅さで共感どころか「今更何言ってんだ、この馬鹿?」と呆れることばかりでした。
そのせいで予知夢編の終わり方も自業自得みたいな印象になってしまい、スタッフが想定していたであろう「どうしてこんな結末になってしまったんだ…?」「どこで道を間違えた?」みたいな気持ちが全く湧いてきませんでした。
中核エピソードらしき「俺の予知夢を現実にするな」も「Find ネム」も放置と引き伸ばしでグダグダな上にオチまであっけなくて全然形になっていませんでした。
エージェントものと言えば指示待ちどころか独断専行で主人公が動き回って事態も解決に導くのが定番なのに、エージェントを主要モチーフしておきながらなんでこんなキャラになったのか不思議でしょうがありません。
・個人的には最後までぼんやりとしていて人物像が掴めないキャラでした。
人助けを熱望しているらしい割には1話開始時点での無気力っぷりだったり、変身したことで無気力になるほど絶望していた状況から脱したはずなのに特に歓喜したりもなかったり、「現実では無力」という実情を突きつけられた後も態度や思考が変わらなかったり、どれも不自然に見えてどういう精神構造をしているのか理解できませんでした。
意味不明な言動や怠惰っぷりも大半はストーリーの都合によるものだったのでそういう性格とも思えず、莫という個人の人物像がほとんど見えないまま終わってしまいました。
おかげで嫌いというほどの気持ちも抱けない無味乾燥としたキャラという印象です。
・夢というテーマを軸に考えた場合には莫は存在がノイズになるように感じています。
莫だけ都合の悪い現実から逃れて夢世界に現実逃避することが許されていることがバランスが悪く見えてしょうがありません。
最終回のラストでは現実に戻ってこれたところで終わっていましたけど、莫が現実に戻りたがっていたように見えたことが一度もありません。
やるんだったら美浪のナイトメア化の時に「いつでも帰れる基盤があるから安心してエージェントができる/戦えるんだ」みたいな話を挟む余地は有ったと思います。
ネム関連の時に「帰れる場所がないのは辛いだろうな…」とか匂わすこともできたでしょう。
流れ的にはむしろ逆で、現実に戻れなくなるのではなく「二度と夢世界に入れなくなる/夢を見ることがなくなる」方が莫にとっての代償が大きくバランスが良かったと思います。
「夢世界に行けないからもう無敵のエージェントではなくなっちゃったけど、これからは現実でヒーローになれるようがんばるぞ!」ならわかりやすく前向きな終わり方に簡単にまとめられたはずです。
たぶんスタッフ的には「どんな困難にもめげず、周りにも流されずにひたすら”夢を夢見てきた”莫はすごい! 夢は願えば叶う象徴だ!」みたいなつもりなんだと思いますが、その実装が明晰夢本を読み漁るニートでは肯定する気になれません。
・個人的にはニート部分は無くても支障が無かったんじゃないかと疑っています。
真逆の天才にしても全然通るし、むしろ夢の収まりが良くなる可能性すら有るんじゃないかと思いました。
たとえば、
文武両道の天才で超一流企業やプロスポーツ、国家機関からも引く手あまただったが、今は家で明晰夢に関する研究を独りで続けている。
なぜそんなことをしているかと言うと主人公の夢が「夢で見た無敵のエージェント」になることだからである。
以前はリアルでのエージェントに相当するCIAやMI6に所属していたこともあるが夢見た内容との違いと任務の簡単さに失望してすぐ辞めてしまった。
ライダーになってからは現実という枷を外されて具体的にイメージして本気で信じることができればイメージした分だけ実現できる夢の世界の自由さと自分の理解を超える恐ろしい敵や事象にワクワクが止まらない。
なんて無気力ニートとはかけ離れたキャラにしても大筋はそんなに変わらない気がするんですよね。
「なぜ現実ではなく夢を強く求めるのか?」という疑問点にも答えられるし、そこまでしてでも追い求める存在である方が夢世界のすごさが伝わりやすいと思います。
こんな風に思考実験をしてみてもなお、一向に莫を無気力ニートのダメ人間にした意義がわかりませんでした。
・作中の設定に沿ったまま進めるなら、莫の現実逃避はむしろ強調した方が進めやすかったと思います。
たとえばネムとの関係なら「莫からすればネムは自分と違って現実での生活が充実しているように見えるのになぜ夢の世界にいたがるのだろうか?」と嫉妬を内心抱いているくらいからスタートして、やがてネムの本心(深層心理)を知っていくことで現実に傷ついた者同士で共感を深めていく。
なんて流れがあれば、終盤のネム関連の話を進めやすくなるし、最終回で現実に戻ってエンジョイしてるネムと夢世界にしかいられなくなった莫の対比の意味も増したでしょう。
ノクス:事実上の主役にしてゼッツ最大の問題。だが原因ではない。
・基本的に動きがない主人公に対して何かとストーリーが動く起点になることが多く、事実上の主役だったと思います。
しかし主役なのに面白くない、魅力が低いことが問題でした。
理解も共感もできないキャラを後半までは悪役に据えてしまったため、「嫌う理由は有るけど好きになる理由は見当たらない」キャラになってしまいました。
・悪役としては大量虐殺の罪状の割に正当性や覚悟が一向に見えてこないところが致命的だったと思います。
組織を潰すために全く関係ない子ども10人以上を殺しておきながら何の罪の意識も感じさせなかったことは嫌うには充分過ぎる理由でした。
「コードは憎めどエージェントは憎まず」とか言っておきながらファイブさんとクレハはしっかりトドメを差していたり判断基準が信用ならない点も大きなマイナスでした。
スタッフ的には予知夢時代の罪はノーカンのつもりなんでしょうけど、それは無理ですよ。
そんなこと言い出したら莫以外の登場人物は全員3クール目からのポッと出の新キャラになってしまいます。
都合の良いところだけ引き継ぐなんて通りません。
「ノクスにとっても予知夢時代はバッドエンドルートだった」として処理したいなら、予知夢の間にノクスが精神的に追い込まれる様子なども描いておかないとダメです。
たとえば「予知夢内の状況だとコードがソムニアを起動するのは時間の問題だった」なら犠牲を払ってでも急ぐ必要があったと言えたでしょう。
「レディが基地に殴り込んだときに目にしたのは殺されたゼロの姿と謎のカプセム(ソムニア)を握って勝ち誇るスリーの姿だった(直後にレディも莫も透明化していた部下によって射殺される)」とかやっておけば、後でソムニアの実態やスリーの人格を知ったときに「なるほど。予知夢の時は莫が殺されたとか以前にそんな風に詰んでる状況だったのか」と感じる余地があったでしょう。
・コード壊滅が終わってもナイトメア問題は解決してないのに「俺のやるべきことは終わった…」とか勝手なこと言ってかっこつけてるし、仲間になるときも「よく考えたらコードの暴走もナイトメアが原因じゃないか!? 全てはナイトメアが元凶だ!」とか今更過ぎることを言い出したことは納得どころか正気を疑うだけでした。
「コードはナイトメア対策のために作られた」と明言されてるし、警察官時代には「ナイトメアは許せない」と自分で言っていたのになんですか、それ?!
まともになったはずの後ですら意味不明なことを言っていてつくづく呆れました。
最終回1話前の東映公式ページに「それでも弱きものを守る心は失わなかった元エージェント」とか書かれていたのでもうどうしようもありません。
スタッフと見えてる光景が違い過ぎました…
こっちは「失わなかった」どころかどこにそんな心があったのかって印象ですよ。
・キャラとしては格好がついていないところが大問題だったと思います。
ノクスに限ったことじゃありませんけど、肩透かしが多過ぎました。
リカバリーでノクスナイトを修復したぜ、これで現実に戻れる!
→ノクスナイトがあってもシャドウには勝てなかったよ… 助けて莫えもん!
2クール目になってからやったことは仮面ライダーノクスで莫とゼロをボコってイキったこととディザスターナイトメアの力でイキってたことと大量殺人だけで結局レディ共々負けてる。
ジーク編ではネムを守る騎士みたいな扱いで特に行動を見せず、それでいてネムは全然守れてなくて情けない。
スリー編ではあっさり洗脳され、ミッドナイトシャドウは特にドラマがなくあっさりゲットして、全てがインスタント。
最後のゴアナイトメア編でも主体性がなく莫や富士見に言われるまま動いていてかっこ悪く、特攻を仕掛けたファントムも倒せてないし負けイベントだらけで戦果も少ない。
・ボスを倒したり勝った部分も含めてもなお全然格好がついてない内容ばかりでした。
すぐ展開がひっくり返って勝利に意義を感じない構成も相まって「ノクスかっこいい!」とも「ノクスがいて良かった!」とも思えるタイミングが特にありませんでした。
最序盤でお役立ちポエム言ってた頃が冗談抜きで一番印象が良かったと思います。あの頃は唯一の解説役でストーリーを少しは進めてくれる貴重な存在でした。
・夢を軸に考えた場合はノクスも扱いに困る存在だと思います。
ノクスって夢を語った覚えが無いんですよね…
「エージェントの先輩でヒーロー志望」という素性から考えると「莫の先駆者」とか「闇落ちしたアナザー莫」とかを連想するんですけど、夢が特に関係ないんですよね…
ノクスのメイン回の台詞の感じからすると「夢敗れて現実に呑まれたが、莫や富士見に感化されてまた夢(理想)を見だした者」みたいな感じなのかなと考えます。
ミッドナイトシャドウの辺りの台詞から考えると、たぶん「現実=コード=闇」で、「夢=莫や富士見=光」なんだと思います。
かつては莫のようにエージェントとして人々を救う夢を抱いていたけれど、組織に見捨てられるという辛い現実を突きつけられたことから夢を忘れて現実=テロ活動に傾倒し、予知夢の中では最後は更なる現実(カタストロム、スリー)に押し潰された。
予知夢後の世界では夢見る莫やネム、富士見に感化されたことで再び夢=ナイトメア撲滅を志すようになった。
そんな感じの「挫折からの再起」を描いたつもりだったんじゃないかと推測します。
実際には「いや、大量殺人した時点でダメでしょ。夢とか以前の問題だよ」とか「再び夢を見るようになったって言うけど、ノクスの夢って何? ナイトメア撲滅? それって誰でも可能ならしたいことじゃない?」とか疑問点は多いんですけどね…
結局やっていることはエージェントだから莫と被りまくってますし。
考えても考えても「スタッフはノクスをどうしたかったんだろう…?」と首を傾げるばかりです。
ジーク:引き伸ばしのないゼッツ
・ジークはゼッツの登場人物の中では描写が明瞭でわかりやすいキャラクターでした。
マフィアの家に生まれ、子どもの頃から英才教育を受けたものの本人は犯罪や悪行に生理的嫌悪感を抱いており、大人になってもなお罪悪感を抱き続け自分を罰してくれる存在を求めていた。悪行を行っていたのも自分を罰してくれる存在に見つけてもらうためだった。
最後はヒロインや主人公によしよしされて自己肯定感が芽生えたので大人しくなりましたとさ、めでたしめでたし。
始まりと終わりが明確に有って目的が明瞭なだけでもゼッツの人物描写としては上澄みも上澄みでした。
・しかしながら面白かったと思うかというと特に興味は湧きませんでした。
キャラクター自体は平凡で、描き方は唐突な回想と直球な説明台詞だけでした。
引き伸ばさなければゼッツは面白くなったかと言えば、それでもジーク程度にしかならないことを証明してしまっていると思います。
・そしてそもそもどうあがいても”悪党”なんですよね…
こういう悲しい理由があったんですよ~と言われても「そうなんだ。でもお前人殺しだよね。そんなお前が許されるわけないだろ!」で終わっちゃうんですよね…
殺伐としたエージェントものだし悪党殺しまでなら情状酌量の余地が有りますけど、一般人はアウトです。
「悪夢みたいな現実で生き続けることが一番の罰だな~」とか言っても許せません。
相変わらずスタッフの倫理観についていけませんでした。
「悪いことをすると神様に罰を受ける。だが現実にはそこらの悪党すら罰を受けていない。だったら罰を受けたいならもっと悪いことをしないといけないってことだな!」
みたいに狂信的に神様を信じてる様子もないのに悪行をし続けた正当性がさっぱりわかりません。
あれじゃ「罰を受けたいのに一向に埒が明かなくて嫌気が差したので他人に嫌がらせして暇をつぶしてました」って風にしか見えません。
個人的にはそれだけで充分に悪です。
・夢というテーマに関しては
「誰よりも夢に近かったが、夢では目標が叶わず現実に戻った者」
なのかなと思いました。自力で明晰夢パワーやブラックケースを引きこす力に目覚めたり、明晰夢能力に関しては作中随一なんですよね。
でも結局「自分を罰する」という目標はついぞ叶いませんでした。
最終的には裁かれることもなく、ただ生き続けることが罰なのかもしれないと語って終わりました。
夢では何も得られず、現実に希望を見出したところがゼッツにおいてはユニークなことなのでそこに意義を見出すのが筋ではないかと私は考えました。
「そもそもジークの夢に他人は介在してないんだから他人に罰せられる願いは叶えようがないだろ」というツッコミどころはあるんですが、ゼッツでは他者の話は全くしてないのでたぶん無視していいと思います。
・あるいは「夢の中でも叶わぬ夢を抱いた者」として現実との対比を描いたつもりだったのだろうか?なんて仮説も考えてはみました。
現実のことは現実でなんとかするしかないからどうにもならないのは当たり前ですね。
でもそれを言い出すとニートの莫と激突するんですよね…
ノクスの目標だったコード壊滅もカタストロフナイトメアが夢世界で暴れてくれたおかげですし…
全体の収まりが悪すぎて説得力が弱く感じます。
基本的に「ファッション狂人」という印象なので詰めていこうとすると厳しくなってくるように感じることが増えます。
そもそも最終回の内容が理解不能でしたからね… ただの誰もいない夢空間で放置プレイされてるだけで罰になってないと思うので何がどう成立しているのか全く理解できませんでした。
ネム:ヒロインの座に据えられたモブ
・主たる部分は上で書いたので省略して…
…省略したら書くことが全然思い浮かびませんでした。
マジで具体的な内容がありません。
・本来の物語上の役割は台詞の感じからすると「”夢”の持つマイナス面に怯える存在」がテーマにおける主な役割だったのではないかと考えます。
「夢(目標)が叶わなかったらと思うと不安でしょうがない」という不安や
「現実に戻っても上手くいかないかもしれない。このまま夢の世界にいる方が幸せなのでは?」といった現実逃避。
それを体現したのがネムという存在であり、そのネガティブな考えから「全て消し去ってしまえばいい!(そうすれば不安も無くなる!)」という考えのオブリビオンが生まれ、その不安をヒーロー=莫や仲間によって埋められたことで不安が消えた。
ネムの明晰夢パワーが徐々に目覚めていったのも「自分もできるかもしれない」という自信や希望の芽生えを表していたのかもしれません。
・見ていて私が直感的にはそう思ったかと言えば、全然そんな風には感じなかったんですけどね。
他のキャラもそうなんですけど、そんなありふれた内容を重大発見のように語られても困ります。
ありふれた主張をメインに据えるならどれだけ具体的に描けるかが物語の腕の見せ所なので具体性が無いと話になりません。
・交通事故の話は何だったんでしょうね?
ネムが昏睡状態に陥った原因なのに最後まで真相が何一つ明かされないまま終わってしまいました。
個人的には予定変更で宙ぶらりんになった没ネタなのかな?と考えています。
当初はナイトメアの仕業かコードかレディかジークか…と思わせおいて、
「実は同業他社の見知らぬモブの妨害でした」という真実が後半で明かされ、
「ネムが本当に恐れていたのは現実の人間だった。深層心理に現実の人間への恐れがあったから序盤のネムは積極的に現実に帰ろうとしたなかったし、”忘却”のナイトメアが生まれたのも『嫌な記憶を消したい→人間を全て消せばいい!』という悪夢の曲解から生まれたものだった」
みたいになる予定で、当初の予定では「現実を恐れて夢の世界に引きこもってないで現実と向き合おう!」という話にして莫のニート問題もそこで絡める予定だった。
ところが途中で「夢を売る商売なのに夢を否定するのはマズいんじゃないですか?」みたいな日和が発生してストーリー展開が変わったから全体的にネムや莫の話が半端になってしまった。
こんな事情があったならいろいろ納得が行くんだけどなぁとか考えたりしました。
実際には「マジで何も考えておらず、無計画だっただけ」の可能性が高そうだと思いますけどね…
・最終回でも結局アイドル生活と謎レディとの逢瀬を楽しんでいるだけでネム自身の夢の話とか何もありませんでしたし…
「他人を応援したい」と言っていたはずなのに真逆の自己中心的行動ばかりが映されていて普通に意味がわかりませんでした。
本当にネムっていったい何だったんでしょう?
ゼロ:胡散臭い味方のボス→イカれた狂人(無能なボンクラ)
・ゼロはノクス並に「何だったんだ、あいつ…」って感じがするキャラでした。
「大義のためなら犠牲を厭わず、隠し事も多いため主人公が反発するも、最後には和解し共に手を取り合おうとするもその矢先に悲劇的な死を遂げる…」
というテンプレ的なキャラのはずなんですが、実際に思い返すと全然そんな印象は浮かんでこないキャラでした。
・序盤は最初から胡散臭さがマックスで信じている莫の方がアホに見えるだけでした。
それでいて狡猾どころか莫すら良いように扱えないゼロやコードの方が情けなく見えるくらいで全然ノレませんでした。
ノクスにゼロイダーをやられてからは一時退場していましたけど、いなくても特に何も困らなくて影が薄くなっただけでした。
予知夢編が終わってからも相変わらず空気のままでジークやレディなどゼロのミスが疑われる罪状が増え、スリーやコードの腐敗っぷりなどが明らかになって「コードの司令官」という肩書きがマイナスにしか感じられなくなっていきました。
そして結局「コードの司令官」以上の存在感を得られずそのままコードもろとも沈んでいきました。
たぶんスタッフ的には「莫の父親」にクラスチェンジしたつもりだったと思うのですが、個人的には全然そんな風には感じませんでした。
そもそも莫自体にそんな思い入れがないのでどのみちドラマが成立しないと思います。
・ノクスもそうでしたけどスタッフとの間にかなりの温度差を感じるキャラでした。
ノクスの救援要請を断ったことやドリームラーニング実験にジークの起用して暴走したこと、ソムニアカプセムを創り出したことなど大戦犯に見える行動ばかりのように見えました。
莫との関係性においても赤ちゃんが破壊の悪夢にうなされるほどのプレッシャーをかけ、塾で洗脳を行い、ゼロのナイトメアのせいで不幸体質で人生も破綻してニートになるという息子に対して酷い仕打ちをしておいて父親面されても嫌悪感を抱くだけです。
この手の話に付き物の「だがそうしてなければあの時点で詰んでいた」みたいな話がほとんど見当たらないせいで全然正当性を感じることができませんでした。
「ゼッツを見事に生み出したじゃないか!」と言おうにも1話で莫がナイトメアと戦ったことすら予定通りでも何でもない偶然で、干渉もほとんどしていないのでたまたま上手く行っただけにしか見えてなりません。
不幸体質やベルトが壊れた黒ゼッツとのバトルも終わってもなおゼロの行いの必要性がピンと来ません。
どうせ後付けするなら「予知夢時代にノクスたちを放置していたのも、ジークが暴れても対処しなかったのも、全ては莫を鍛え上げるためだったんだ!」とかやれば少しはカバーできたでしょうに。
死に様も「なんか勝手に独りで気持ちよく死にやがった…」という印象でマイナスでした。
味方としても悪役としても中途半端でどこを楽しめばいいのかすら掴めませんでした。
・夢を軸にして考えた場合のゼロの役割は「夢の継承」だったのかな?と思いました。
ゼロのことを思い出そうとしても、コードの司令官という中間管理職だったことと莫の父親で夢キチおじさんだったことくらいしか印象に無いんですよね。
ゼロが具体的に何をやって、作中の出来事にどこまで関与していたのか描かれていないから具体性に欠けて実の有る内容を思いつきませんでした。
悪役に見せないための配慮のつもりなのだと思うんですが、描き方が中途半端でゼロというキャラ自体が機能していなかった印象です。
莫同様に「夢は良いものなんだ! 良いものだから良いに決まってる!」と言うだけで説得力が薄いと思います。
基本的な印象が一人で気持ちよくなってるおじさんになっちゃいました。
ゼロの死後に莫がやったことも、ゼロが死んでても死んでなくても行動に違いが出る気がしませんし、人格面での死ぬ前からのビフォーアフターも特に感じませんでした。
「親子2代に渡る壮大な夢」とか「親の夢を子が叶える」とか行動に絡んだ内容の方がまだしっくり来そうな気がします。
レディ:スタッフともども狂人にしか見えない
・登場したての頃は「ノクスより上の大幹部」で「全て計画どおり…」みたいな雰囲気を醸し出してるキャラでしたが、終わってみれば何一つ上手くいったことのないただの無計画のアホでした。
一番マシだった予知夢時代すら
「コード基地襲うぜ! でも場所がわかんない!→ノクスを餌にゼロを釣ってコアゲットだぜ!→ディザスターナイトメア作ってカチコミだ!→特に番狂わせも何もなく、莫が乱入した分予想より優位だったくらいなのに普通にスリーにぶっ殺されました…」
ですからね。概ね計画どおり行ったみたいなのに結末が待ち伏せされて敗死ってダメダメです。
・その後はもっと悲惨でした。
ジーク編では「予知夢とは面白いわね…」→余裕ぶっこいて様子見してたらジークにネムがさらわれて危うくネムが死にかける。慌てて対処しようとするも時間稼ぎになってるかすら怪しい内容で、封印してた睡眠までしたのに結果を出せず莫がエクスドリームを作れなかったら終わってた。
ソムニア編では特に何もせず、ファントムの影響で勝手に衰弱していっただけ。
ゴアナイトメア編ではなんかファントムと融合して、ファントムの自我があるんだか無いんだかすらよくわかんない話が進み、自分でベビーにソムニアカプセム食わせてオブリビオンにしておいて最大の脅威とか言い出す謎っぷり。オブリビオン戦では見学という謎の選択肢を選び、ネムも見殺しにして終わり、最後はまた逆ギレして暴れて人生終了。
これでなんかネムの中で生存しているのはマジで意味がわかりません。
・最初から最後まで意味不明なキャラでいかにも高橋悠也作品って感じでした。
「レディはネムを助けたいだけの母親だから無罪!」みたいな扱いになってたことから理解不能でした。
その態度、ディザスターナイトメアで殺された子どもたちの母親たちの前でも出せるんですか? 莫ならやりそうですけど。
恐らく高橋悠也さんの辞書には無いであろう「計画性」がメインのキャラは当然実現不可能でした。
倫理観や人間味も描けないので「母親」も無理です。
無理に無理を重ねればそりゃこんな酷い有り様になるのも当然でしょう。
・レディは行動が狂い過ぎていて夢というテーマに合った内容を見いだせませんでした。
誇大妄想に囚われた行動力の有るパラノイアも良いところなので夢との相性が最悪だと思います。
最後まで独りよがりのままで、ネムにも「可哀想な人だった…」みたいに母親扱いされずに終わっていたら「自分の夢(幻想)に囚われて周りも娘も現実も見えなくなっていた愚か者」とかと言えたでしょうけど、実際にはなぜか良い母親扱いされていました。
真面目に掘り下げれば「夢と幻想はどう違うのか?」みたいな比較対象になり得たと思います。
美浪:事実上のヒロイン
・終わってみれば事実上のヒロインでした。
正ヒロインのはずのネムが空気過ぎました。
いつも一緒にいて、信頼関係があって莫のことを本気で心配したりもする美浪の方がよほどヒロインらしく見えました。
一緒にレストランに行ったこととか、たぶんスタッフ的にはどうでもいい役割を押し付けただけだと思うんですが、私からするとよほど役に立っているように見えてしまい、キャラクターとしても役割としてもネムの上位互換だったと思います。
莫に命を救われるメインエピソードからして内容が上でしたからね。
ネムの時は一般人ファンの被害者とか莫も死にかけたとかいろいろくっついてましたけど、美浪の方は「ナイトメアと一心同体にされた美浪を殺すか殺さないか」だけでしたからね。
真面目に改善するなら美浪の役割の大半をネムに振るべきだったと思います。
美浪こそ「こいつなんでいるんだっけ?(妹だからアジト=家にいるのは当然だろ)」と言われるくらいでちょうど良いポジションだったと思います。
相対的にまともに見えるから無駄に好感度が高かったファイブさんといい、スタッフ的には一番どうでもよさそうな感じがするキャラが一番印象が良いっていうのがゼッツのダメさを如実に物語っていると思います。
別に美浪というキャラが格別良かったわけではなく、ただ他がダメ過ぎて相対的にマシに見えただけなので、ゼッツにおけるせめてもの救いってわけでもありませんでした。
富士見:最後まで存在意義を感じなかった
・毎回出てたレギュラーキャラなのに「何したっけ…?」と本気で考え込むくらいに存在意義を感じませんでした。
ノクスの添え物だからノクスがあまり盛り上がらなかった時点で富士見もダメになるのは当然なんですが、それにしたって全く必要性を感じないキャラでした。
ネムと美浪も役割が被ってましたけど、富士見は莫と被っていたと思います。
ノクスに肩入れする役割がなぜか被りまくっていて、ノクス関連ではどちらも存在感が薄れてしまいました。
これもどちらかに1本化した方がやりやすかったと思います。
両方やるにしても「莫はノクスは共闘できる相手だと信じている」「富士見はノクスの人としての善性を信じている」みたいにポイントを差別化した方がまとめやすかったと思います。
どっちにしてもディザスターナイトメアの件で子ども10人以上を実質殺害という蛮行で全部台無しであることは変わりませんけど…
・キャラクターとしては役に立たなかったことが一番の問題だったと思います。
警察の必要性を感じたことがありません。コードが警察よりずっと上の公的機関だから警察にできることはゼロにもできちゃうんですよね…
夢主から事情を聞き出すとか地に足のついた役割ならいくらでも用意できたと思いますが、実際には莫がコードと対立した後ですら活躍がありませんでした。
むしろ「こんなのが警察官なの?」とノイズになっているくらいだったので、最初から
「ブラックケースを主張し続けて警察を免職になった元警官。今は私立探偵を名乗ってブラックケースと小鷹を追っている」
くらいのポジションにした方が合ってたんじゃないかと思いました。
・ノクスの添え物として考えるなら、富士見の好感度は高い方にしておく必要があったと思います。
「富士見さんが信じるなら俺もノクスのことを信じてみるよ」と視聴者が思えるような人物だったなら全体の印象もだいぶ変わったと思います。
もっと役立つ人物で、もっとまともな人格で、警察からも病気扱いされてるわけじゃなく「またブラックケースとか言い出した… あれさえ無ければ良い人なんだけどなぁ。なんでそんなオカルトを信じてるんだろう?」みたいな扱いに留めておくべきだったと思います。
ナスカ:存在意義のないキャラの付属物
・富士見の付属物でしかありませんでした。富士見の存在意義がなかったので必然的にナスカの存在意義も有りません。
基本的に富士見と2人だけで話す機会が少なく、話す重要性も低かったため、富士見の話相手としては莫に1本化しても問題無さそうなくらいでした。
唯一の役割は富士見のケツを蹴ることでした。暴力的で普通に不快だったのでもはや存在意義がマイナスです。
・唯一ナスカ個人で立つ瀬がありそうだったのが元親友のクレハだったのですが、肝心のクレハがうんともすんとも言わないうちに退場したので全くどうにもなりませんでした。
クレハの死を知った後ですら全然ドラマが無くてびっくりしました。
プレバンとか音声追加用に終盤にナスカがロードシックスに変身するのかな?とか考えたりしてましたけど何にもありませんでした。
本当はもっと出番があるはずだったのにクレハの役者さんの都合が急につかなくなって降板したからナスカの出番も消滅したのかな?と疑いたくなるくらいに奇妙な内容でした。
編集後記
・振り返ってみると、諦めに満ちた作品だったなぁと思いました。
序盤の時点から印象がほとんど変わりませんでした。
「スパイごっこにやたら力を入れてるけど全然面白くない」
「レギュラー陣に全く好感が持てない」
「夢やナイトメア、深層心理など設定や単語の意味が曖昧でころころ変わってて理解できる気がしない」
「ストーリー展開が遅い。不自然」
序盤、中盤、後半、終盤、どのタイミングでも印象の変化が乏しかったです。
これで品質まで低クオリティで安定しちゃってたので、もう怒りすら湧いてきません。
「ダメそうだなと思っていたが実際ダメだった」なので感情が動きません。
「世界展開!」とかアピールしていた割にはスケールが小さく、意欲的な内容もあまり感じませんでした。そういう意味でも物足りなさが目立ちました。
ストーリーの振り返り
・考えを整理するために全体をパート分けしてみたら余計にそう感じました。
1~15話(シャドウナイトメア撃破まで)
「フォーム集め編」
タイトルの考えようがないくらいに内容が薄かったです。
莫は2話ごとに出てくるナイトメアを倒しながらフォーム集めするだけで、その合間にノクスがポエム言ってることだけがメインストーリーでした。
ここで話数の3分の1近くを捨ててるんだから予知夢編どころの話じゃありませんよ。
基本フォーマットのスパイごっこがつまんなすぎてヤバかったです。
16~24話(仮面ライダーノクス登場~予知夢終了まで)
「ノクス&レディ編」
ここはイベント消化パートが長くて段取り臭さが強かったです。
2話かけた前後編ごとにレディ登場、クレハ登場、ファイブ登場をやって、ディザスターナイトメアにファイブとクレハが殺されて怒った莫が突然カタストロムをゲットしてノクスを殺し、24話でコード襲撃&予知夢終了。
っと、イベントを眺めているだけの時間が続きました。
視聴者的には見やすいところもありましたが、カタストロムの存在やノクス殺しの決意を筆頭に流れが唐突すぎてついていけないところがいくつもあったのはゼッツクオリティですね。
最後が夢オチだったので終わった時点の印象は悪かったです。
イベント中心だったがゆえに莫を筆頭にキャラクターの心情や掘り下げは置いてけぼりになっていたのでイベント自体が起きてないことになった夢オチの後に何も残りませんでした。
これで予知夢ってことになって作中においてもストーリー展開が無意味になってしまったのでそりゃどうしようもなくなるわけです。
25~26話
「予知夢の実現を阻止しろw編」
ゼッツクオリティの真骨頂って感じでした。
せっかくの2周目なのにチート無双パートを1話前半で終わらせてそれっきりでした。
そして未知のジーク編に突入したため予知夢を見たアドバンテージ自体も消えました。
予知夢の実現を阻止するまでもなく、予知夢がどうでもいいことになっちゃいました。
夢オチというズッコケものの展開の直後に更にくだらない流れを用意できるとは逆にすごいです。
27~34話
「ジーク編」
ジーク編は振り返ってみれば全然内容がありませんでした。
「ジークがちょっかいを出してきた」「ネムの能力を悪用して苦しめた」「最強フォーム入手までの道筋作り」
の3つくらいでした。
どれもそんなに重要じゃなく、ジーク相手じゃなくてもできた展開なのでジーク編を丸ごとカットして次のスリー編につなげても大きな問題は無かったんじゃないかと思います。
ゼロが父親だったことが判明する展開や黒ゼッツ戦は一応メインストーリーに関わる内容でしたけど、別にジーク編でやらないといけないわけじゃないんですよね。
1クール目のフォーム入手編といい、販促周りが雑なところが目立ちます。
35~38話
「スリー・コードソムニア編」
スリー編が全4話しかないせいで
「ゼロ捕まる→ゼロ助ける」
「ベルト取られる→また作る→エクスドリームも取り返す」
「ノクス洗脳される→解除してもらってリベンジでスリーを倒す」
と、衝撃の展開(笑)がころころひっくり返ってアホ臭さは一際強かったです。
終わってみればソムニアは何も解決せずにゴアナイトメア編に引き継がれているし、コードも結局再編成されてるしで、マジで空回りしてただけでした。
エージェント関連がメインだっただけに実に”ゼッツらしい”内容だったんですねぇ。
39~50話
「ゴアナイトメア編」
・ナイトメアが空気過ぎました。
ゴアナイトメアという表記自体も公式ページとか見ない限りは「何それ?」ってなる本編の出なさ具合でしたし、見ても「それで普通のナイトメアとどう違うの?」という疑問は消えません。
ゴアナイトメア編が始まる前もナイトメアは空気でしたし、始まった後ですら何がしたいのかすらよくわからないままでした。
ゴアナイトメア編は全11話で15話かけたフォーム集め編に次ぐ話数の多さなのにとてもそうは思えない内容の薄さでした。
これで44話でオブリビオンにみんな消されてから最終回1話前の49話まで負けイベントが続くんだからたまったもんじゃありません。
最終決戦編の6割が負けイベントってどういうことですか?
ゼロワンもギーツも主人公や味方がトチ狂って展開が露骨にグダグダしてましたけど毎回やらないと気が済まないんでしょうか?
・こうして振り返ってみると、個人的には4話しかないスリー編や8話しかないノクス、レディ編など話数が短い章ほど見ていた間の印象が”比較的”マシで、最序盤のフォーム集め編と最後のゴアナイトメア編が一番印象が悪いなぁと思いました。
計画性が無く綿密なお話なんて無理であろうことは整合性の無さや展開の放り投げ癖から想像はついていましたけど、つくづく長期スパンのお話を書く能力が低いですね。
いい加減さが許されず派手さよりもスマートさや頭脳プレイが求められるスパイものも、
最初は味方だった組織の闇を中心にするなんて緻密さや良い面も悪い面も両方描く必要のある奥深さが求められるストーリー構成も、
夢という抽象的だがありふれていて、どこに焦点を当ててどんな風に描くのか確固たる個性や価値観が求められるテーマ性も、
ダメ人間主人公や悪人ライバルなど人物の描き方がしっかりしてないと不快感になるキャラクターも、
どれ一つとして高橋悠也さんには向いてないと思います。
自分からやりたいと言い出したわけではないならば向いていないことをやらされて可哀想に思えるくらいです。
作品全体が徒労
・最終的な結論としては「何も無い」ことが一番の問題だったと思います。
やたらとテーマの夢を強調していたけど中身がない。ドラマがない。番狂わせもない。期待通りでもない。視聴者の心を満たすものが見当たらない。
ストーリーという枠組みも、キャラクターという枠組みの中身もスッカスカでお話になっていませんでした。
ころころ変わる設定や急展開すら終わってみれば、やることがないストーリーを引き伸ばすための蛇行運転でしかありませんでした。
・夢という抽象的でありふれたテーマを軸にするなら尚更、具体性が重要だと思います。
「ヒーローになることが夢」ならヒーローになった後の悲喜こもごもや「ヒーローとは何だ? 悪を倒せばヒーローか? 悪とは何だ? 誰が決める?」みたいに深く掘り下げないと最初に変身した時点でドラマが終わってお話になりません。
裏切り内通当たり前のスパイものや所属していた組織が敵になる展開ならそういう流れも無理なく入れられたはずです。
どちらかと言えば「本来の夢はヒーローとは別に有る」という方向性の方が無難だったでしょう。ライダーでも「ヒーローになってしまった」クウガや「念願のヒーローになり、最終的には違う願いを見つけた」オーズなどいろいろありました。
・夢自体がテーマと言うならば、555の方がよほど上手く描けていたと思います。
自分に夢はなくても他人の夢を守るために残り少ない命をかけることにした巧。
独善的だが誰よりも能動的に行動し、夢半ばで散った草加。
理想家だったはずが夢を見失って他人の夢を踏みにじる存在になっていた木場。
夢破れ、尊厳を失ってもなお生にしがみつくことを選んだ琢磨。
555では主題ではありませんでしたが、夢にまつわる様々なドラマが描かれていました。
クオリティで圧倒的に劣っている上に意欲も感じられないようでは話になりません。
ゼッツはストーリーも展開もキャラクターも、そして作品自体も全てが徒労に終わってしまった悪夢のような作品でした。
藤林聖子さんが普段とは別の意味で凄かった
・最後にゼッツ本編とは関係の薄い歌詞の話題を書いて終わりにします。
いろいろ書き終えた後にふと「そういえばOPの歌詞を確認したことが無かったな」と思って調べてみました。
最後まで見終わった後に後期OPの『PLAY BACK』の歌詞を見たら驚きました。
フルバージョンの歌詞を見ても内容が
予知夢だぜ。予知夢だよ。
だからこれから先は何が起きるかわかんないよ。わかんないったらわかんないよ。
でも頑張るぜ。2周目は上手くやるぜ。wow wow yeah。
くらいしか書いてませんでした。すごい割り切り方に痺れました。
普通だったら「他に書くことあるだろ、何だよこれ?!」とか
「作詞担当者はもらった資料のキーワードしか読まずに適当にイメージで書いただろ。エア視聴乙」などと批判されても何の不思議もない内容だと思います。
でも最後まで見終わった後に見るとむしろ「これしかない」と思える内容でした。
作詞した段階でどこまでのストーリー展開を説明され、放送を何話まで見ていたのはわかりませんが、書こうと思えば入れられる要素はいくつも有ったはずです。
前期OPの歌詞がそうであるように無敵のエージェントやスパイもの路線を反映することもできますし、1クール分までのストーリーだけでも夢と現実、莫やノクス、ネムの今後や謎を彷彿とさせる内容も無理なく入るでしょう。
後期OP映像で示唆されているようなジークやスリー、ゴアナイトメアたちなど新たな敵や脅威をほのめかすのも有りでしょう。
でも藤林さんは何も入れませんでした。予知夢一本で勝負することにしました。
すごい胆力であり、先見性だと思います。
・作品のテーマ性や醍醐味を端的に歌詞に反映し、更にキャラの内面や叙情性まで盛り込める洞察力の持ち主ですから、藤林さんはゼッツの内容がスカスカなことまで当然見抜いていたでしょう。
実態として「面白い」内容が無い以上は、制作側から提示された内容の中で一番「面白そう」な内容で勝負するしかない。
OPが切り替わった予知夢終了直後に合わせて内容を反映しつつ盛り上がる内容にするなら”予知夢”しか使えるパーツはない。
そう判断した上で、決して嘘は言わず「内容がスカスカで書くことないよ。適当に無難なこと書いてるけど私が悪いんじゃないよ」なんて逃げもせず、最後まで見てもなお「予知夢のことしか言ってないけど嘘は何もないし、そこが一番盛り上がったところだったよな」と思える歌詞に仕上げたことは、一面的には普段のストーリー性に満ちた内容以上に凄い仕事をやってのけたと思います。
「与えられた条件の中で最大限の成果を出す」というまさにプロの仕事に感動しました。
これはゼッツを見た唯一の収穫でした。
総評、お疲れ様です。
返信削除待っておりました!!
本当に、夢みたいに何にもないお話でしたね。
近年、作品にすらなっていない作品も多いですが、
ゼッツに至っては、材料にすらなっていなかった気がします。
>「夢の中では最強のエージェントだけど現実ではニートでダメ人間」
設定を聞いた際は、のび太くんのような、人物を連想していました。
不幸体質で、怠け者で、小学生と成人男性という、違いはあれど
ドラえもんに会わなかった、青年のび太みたいな感じなのかなと。
でも、夢の中だから何でもできる!!って冒険心もなければ、
他者を思いやるような、描写も少ない。
まるで機能していなかった不幸体質も、夢では起きないから、
好きなだけ人助け出来るぞ!!って感じにもなっていませんでした。
同じく、不幸体質という点では、野上良太郎にも通ずると思いましたが、
彼は、自分が不幸だからこそ、他者を労われる優しさがあり、
曲者揃いのイマジン達を包む力も、決して曲げない芯の強さも持っていました。
普段は弱気であるが、ビシっと決める時は決める。
彼こそ、大将であるという力強さがありました。
電王を見ていて、彼をニートのダメ人間と思ったことはありません。
店の手伝いをしたり、鍛えていたから、というわけでもありません。
のび太君にせよ、良太郎にせよ、組織の道具になるのは、嫌だからと、
交流を持った子供達を見捨てるようなことは、絶対にしません。
あの展開は、マジで謎でした。
とりあえず目の前の暴れている敵を倒そう、
っていうのは、どの主人公でもマインドだと思うのですが。
予知夢でしたって、2クール分の話をなかったことにしたのは、
驚きました。案の定、それで面白くもなっていませんが。
4クールの、長丁場の中で、カンフル剤として使用するのは、
手だとは思いますが、何も変わらなかったり、面白くないと意味がありません。
甘い物には、飽きただろって、甘い果物を出されてもって気分です。
2クールから話が変わるということで、ウルトラマンネクサスのような、
変化を期待していました。
流石に、主要人物の交代まではないとは分かっていましたが、
ネクサスのように、世界観や細かい設定の話は、済ませたので
これからはキャラクターメインで、話を進めていきますとか、
前半で成長した主人公は、逆に指導者になるような展開を。
販促も、全然やる気を感じられませんでしたね。
カプセムも、ガヴの時のように使い捨てというわけでもないので、
ストックがないから、初期形態でやるしかないってこともありませんし、
カプセルトイ要素が、まるで活かせていませんでした。
多変形武器も、電王やゴーストが、凄すぎたのかと錯覚するような、
待遇で、オノやメイスが序盤以降、使われていた記憶がありません。
ただ単に、フォーム別に使い分けるだけなのに…
組織の犬かと思いきや、子ども達を思いやったり、
師匠の気持ちを汲んで離反したり、
組織の道具になるのは嫌だってごねる、莫にキレたりした、
ファイブが一番、立派なキャラクターに思えたのは、
ゼッツクオリティだからでしょうね
一話見るごとに、アレは一体何だったんだ?と
都労して時間を無駄にしたい人には、進められる作品ですね。
マルゲリータさん、こんにちは。
削除>本当に、夢みたいに何にもないお話でしたね。
終わった後に何も残りませんでしたね。
材料にすらなっていないというか「その辺に落ちてる物で作ったガラクタ」という印象です。分解しても素材として価値有るものがありません。
>あの展開は、マジで謎でした。とりあえず目の前の暴れている敵を倒そう、っていうのは、どの主人公でもマインドだと思うのですが。
クズ気味のキャラで行くわけでもなく、最後まで見ても何がしたいのか全然わからないままでしたね。
普通に不快感や情けなさしか印象に残りませんでした。
>これからはキャラクターメインで、話を進めていきますとか、前半で成長した主人公は、逆に指導者になるような展開を。
何にも変わりませんでしたね。
ノクスの説得に取り掛かりましたけど、ジークの乱入でシャドウナイトメア撃破がご破算になって以降は全然ノクスにアプローチしなくなっちゃいました。
>販促も、全然やる気を感じられませんでしたね。
使い方の良し悪しどころか初期フォームと最新フォーム以外は出番すらありませんでしたね。
回数制限付きのガチャで出るなんて設定をつけたなら基本は使い捨て形式にして、「手持ちにないからあのカプセムは今使えません」で通すこともできたでしょうに。
言い訳をするやる気すら無いとはつくづく終わってます。
>ファイブが一番、立派なキャラクターに思えたのは、ゼッツクオリティだからでしょうね
「少なくとも正義感は感じられるし好感が持てる部分は有る」という最低限のヒーロー性を唯一持ってた人物でしたからだと思います。
そんな人物が全編通しても脇役一人しかいないところは実にゼッツクオリティだと思います。
読み応えのある総括をありがとうございます。
返信削除僕の感想としてはゼッツは絶望的なまでにつまらなかった印象です。
まず1話目の目出しのスパイアクションシーンでキャストのクレジットが出るところがダサすぎてそこで萎えてしまいました。
放送前に夢という壮大すぎて漠然としたものをテーマすると聞いて作り手はこのテーマを扱いきれるか不安に思いましたが案の定、手に負えていなかったように思います。
テーマ以前に登場人物の言動に一貫性がなかったりポエムのような曖昧なセリフだらけだったのもストレスでした。
刑事コンビはただただ不快な存在でストレスでした。
予知夢展開や倒したはずのジークが当たり前のように生きていたりとそれまでがんばったのにその積み重ねが無かった事にしてしまいうような台無し感で「何をやっても無駄じゃん」と達成感が得られなくてそれもストレスでした。
カプセムはガシャポンマシンを回せばいくらでも出てくるのも雑な印象を受けました。
ゴチゾウはお菓子を食べて感動すると得られたり、マイスのエグズはモンスターを倒す事で得られたりと何かしら得るためには意義のある行動が伴っていたので価値を感じる事ができましたカプセムにはそれがありませんでした。
ミムラさんは好きな俳優さんだったので濃いメイクで悪役を演じているのは新鮮だっただけにキャラクター造形が意味不明すぎて残念な気持ちになりました。
ただ後期のオープニングはいかにもオープニングらしい曲調で映像も呪術廻戦みたいなアニメっぽさがあって好きでした。
前期のオープニング映像がダサかったので余計にそう感じました。
いつか面白くなるだろうと一年通して観ていて最後までおもしろいと感じる事が無くて惰性で子供と一緒に観てきて近所でやっていたキャラクターショーにも一応行きましたが子供人気はあったようで会場にはベルトの玩具やコスチュームを着た幼稚園児くらいの子供たちがたくさんいたのは意外でした。
この子供たちは本当におもしろいと思って観ているのか疑問でした。
ちなみにそのショーはゼッツだけでは間が持たないの集客が得られないのかはわかりませんがガヴも一緒に登場していました。
一年間の50話にわたる不満を書いたので思わず取り留めのない長文となってしまいました。失礼しました。
焼津のウサギさん、こんにちは。
削除>まず1話目の目出しのスパイアクションシーンでキャストのクレジットが出るところがダサすぎてそこで萎えてしまいました。
あそこは勘違い感がヤバいと思いました。
「全然できてないのにスタッフはできてる気になっている」というゼッツ全般にも言える失敗が1話冒頭から滲み出していたと思います。
>カプセムはガシャポンマシンを回せばいくらでも出てくるのも雑な印象を受けました。
無味乾燥としていましたね。
そこまで割り切るほど他に力を入れている部分があったわけでもないのでただマイナスなだけでした。
販促番組で販促を投げ捨ててどうするんでしょうね…
>この子供たちは本当におもしろいと思って観ているのか疑問でした。
面白いかどうかは相対的なので怪しいと思います。
比較するものがないと正しく価値を見極めることは困難です。
そのジャンルを初めて見たときは面白いと思った作品でも、他にも同じジャンルのものをいろいろ見ていったら先行作品のモノマネ劣化版でしかないと思えてくることも珍しくありません。
映像作品として子供にとって特に楽しい要素は無かったと思います。