『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』 第9話「アンブレイカブル・ウルフ」:感想

2025年4月20日
■後編だけど納得感は無いまま
・前編で挫折した吠が後編で再起するお話…だったんですけど、相変わらず吠のことがわからないままなのでピンと来ないままでした。
横暴な兄にいきなり従ってたかと思ったら、今度は反抗しました。変化する前も後もどっちも心情がわからないのでカタルシスの感じようがありませんでした。
「突然やる気になった」ので「そういうものだからどうもこうもないだろ。やる気が出たならやるし、そこに劇的なきっかけや理由は必要ないだろ」と言えばそれはそうなんですが、ただそれだと1話のテガソードの説得でバトルに参加したときと同じ流れなので違いが全然わかりません。
その流れがあった上で前回唐突に兄に従って裏切ったり、かと思ったら完全に戦う気を失ったりしているのでこれでは「じゃあ、また突然やる気を失うんじゃないの?」という疑念に答えられません。そんな気まぐれに付き合う気は私はしません。

・今回はゴジュウジャーメンバーの方まで理解しがたいリアクションでした。
常識的に考えると一番のハードルになるはずの裏切った仲間との和解が、仲間の方から「戻ってこいよ!」って歓迎ムードになっていて腰砕けになりました。
比較的善人として描かれてきた禽次郎や竜儀はまだしも角乃と百夜は無理があると思います。前回だってみんな戸惑うよりも「そっちがやる気ならやってやるよ!」と迎撃する満々でしたよね?
これまでのつながりや絆なんて本当にありませんし、メンバーの方も何を言っているのか全然理解できませんでした。
吠を戻すにしても、「ガリュードは吠に執着があるみたいだから吠が側にいる方が囮になってくれて都合が良い。あいつは指輪をたくさん持ってるからできれば倒したいし」みたいにメンバーの本心はさておき打算を表向きの理由にしたりすることもできたと思います。

■執事売上バトルはいつもよりマシだった
・審査員も判定基準も明瞭で健全な勝負でした。
ファイヤキャンドルが普段のオラオラな態度とは裏腹なまともな接客で意外性や勝負にこだわる真剣さを見せたり、吠も花の蜜はさておき貧乏性で服を縫って客に喜ばれたり吠なりの良いところを見せていて、キャラの掘り下げとしても健全に機能していました。まぁ本来はこれが普通で、掘り下げになってない普段のNo1バトルが異常であるべきなんですが…

・印象の違いという点では、不毛さが無い点も大きな違いだったと思います。
普段のバトルは一般人が巻き込まれていて、それでいて怪人やNo1バトルと人質は関係なくて、ただマイナスをゼロに戻す作業です。楽しさを感じる部分はなく、むしろ人質救出というシチュエーションな分だけ楽しむことが不謹慎に感じる面さえありました。
その点、今回は店も公認していて売上が伸びれば店にとってプラスで、ファイヤキャンドルも自分から仕掛けるくらいやる気で、吠にとっても自信をつける良い機会になっており、誰も損をせず勝っても負けても全員にプラスに働く健全さがありました。
視聴者目線のエンタメとしてはそこは結構大きな違いだったと思います。

・ただ、「吠はあそこで働くのが天職なのでは? ゴジュウジャーよりそっちの方が幸せになれるんじゃないの?」という疑問点は大き過ぎたと思います。
吠は叶えたい願いが無いので他の形で自分の生き方を見つけられたらそれで充分なんですよね…

■ファイヤキャンドル
・執事として働く姿は面白かったですし、言ってることも健全で応援したくなる姿で吠よりもよほど目立っていました。
ただ、No1バトル全否定はマズイと思いました。勝ち負けにこだわらないならNo1も糞もないじゃないですか… それじゃ「己をどこまで磨けるか自分とのバトル! 自己研鑽バトル!」になっちゃいます。健全な思考なので人に迷惑かけない範囲で勝手にやってもらって構いませんよ。
指輪争奪戦に至っては「一度負けたら脱落」で負けてもいいわけないはずなので、負けてもいいファイヤキャンドルに吠が触発されて「俺は負け犬No1だ!」と名乗ることがとんちんかんなことになっちゃってました。
吠の天職といい、見えてる交通事故が多すぎます。

■ウルフデカリバー50
・切った後の空間に亀裂ができて、そこを出入りしてワープできる能力以外は普通の短剣ですね。
それ以外はアクション面でもテガソード剣と大差ありません。ワープは予算と手間がかかるので長続きしなさそうですし、あんまり面白そうには見えませんでした。

■テガソードデカクロウ
・右腕の巨大な爪が目立っていました。動きにくい巨大戦では見栄えが良さそうだと思いました。
素材の適度なフニャフニャ感も腕のしなりや躍動感につながっている感じがして動いている姿もなかなかでした。

・それ以外は微妙だと思いました。
変わったのは右腕と頭の狼の被り物と胸の鎖っぽいネックレスだけでテガソードレッドと比べて変化が少なめです。色合いがほぼ変わらないのでパワーアップ感は薄かったです。
個人的には普通のテガソードレッドの方がビジュアルはかっこいい気がするのでその点でも微妙な印象でした。

・必殺技は鎖を伸ばして拘束して真っ直ぐ突進して右腕を突き刺すシンプルな動きでした。
鎖の使い方といい、まぁそんなもんだよねって感じの内容でした。不満はないですけど意外性や満足感も薄いです。デザインといい、デカクロウは全体的に面白みが足りてない印象です。

■違う武器を使うレジェンドキャラ
・今回のバトルだとデンジパンチを付けて戦うゲキレッドが一番面白かったです。
ゲキレッドは元々素手で戦う拳法使いなのでアクション自体はそんな大きく変わりませんでしたが意外性と可能性は感じました。
ガリュード一人だと人数差のせいでアクションも持て余し気味な感じでしたし、召喚キャラを伸ばす方が全体的にバランスも良いと思います。


次回はテガソードを同時に5体召喚可能になるみたいでした。
…だから何?って感じですね。ゴジュウジャーだと巨大戦が雑魚との小競り合いになってるので巨大戦自体がどうでもいい印象なんですよね…
どうせ怪人とタイマンするキャラ以外は空気なので等身大の雑魚相手に小競り合いするか、余ったメンバーが巨大戦で雑魚ロボと小競り合いしようと私的には違いを感じる気がしません。

ネタ系でどうでも良さそうな回だけど、脚本はまだシリーズ構成の井上亜樹子さんのままなんですね。
全話単独脚本とかま~たやらない方がいい欲張りをしてるんでしょうか。ゴジュウジャーの場合は特にそんな余裕は無いと思うんですけどねぇ…








コメント

14 件のコメント :

  1. ゴジュウジャー、あまりにも幼稚・低レベル過ぎてもう観るのやめました。今時あんなの小学生でも嫌いになると思います。もうスーパー戦隊って感じではない、全く別の作品です。
    まずあの変なオープニングがスーパー戦隊っぽくない。
    影山ヒロノブのカッコイイ挿入歌の方が100倍オープニングっぽいです。
    トッキュウジャーから約11年間、スーパー戦隊が物凄い低レベルになっててつまらないんで(キラメイジャーは除く)。

    来年はシンケンジャーみたいな緊迫感のある戦隊やってほしいです。

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    1. 私は置きに行って外した印象があるキラメイジャーの方が危機感を感じたので匿名さんとは意見が合わないと思います。

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    2. キラメイジャーが外したって、どこの情報ですか?
      久々の王道作品とか言われてて、プロデューサーもデカレンやゲキレンの塚田英明で熱いストーリーで普通にヒットしてましたが。

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    3. どこも何も私はそう言ってきたんですが、あなたこそどこの何を見て書いているんですか?
      私のキラメイジャーの感想に「王道作品」とか「熱いストーリー」なんてどこに書いてあったんですか?
      自分がどこの誰に話しかけているのか確認した方が良いと思います。

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  2. 吠もクオンもその場の流れでそれっぽい事言ってるだけの無駄に強い奴って感じですね
    こんな所だけ兄弟そっくりにしなくていいから
    ここぞという時ほど他の4人が普通の良い人になっちゃうしかといって仲良しでもなく中途半端だなあ

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    1. 今のところ吠もクオンも客観的な実力も確固たる意思も特に感じたことがありませんね。本格的な自己紹介が終わったはずなのに魅力どころかキャラも掴めてない感じが強くて、シンプルに面白くないキャラという印象が強まっていっています。

      他のメンバーも「自分なりに楽しめればいい」という基本方針が定まってる禽次郎以外は話の都合で言動がころころ変わっていて、どの内容を真に受けるべきなのか判断がつきません。

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  3. マルゲリータ2025年4月21日 16:28

    お疲れ様です。

    内容は、やはりダメですねぇ。第六話で持ち直したのかな?と期待しただけに、残念です。せめて、番組の個性である「No1バトル」は、面白くして欲しいですね。
    これだけは、楽しみであるというものがないと、見ていてしんどいだけです。

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    1. マルゲリータさん、こんにちは。

      No1バトルは一向に面白くなりませんね…
      メイン回と思しき回ほどNo1バトルが遠ざけられていてまるでやる気が感じられません。
      「これがゴジュウジャーのメインです」と呼べる中核要素や特色も特に見当たらないので余計に不安と不満が募っていきます。

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    2. マルゲリータ2025年4月21日 19:58

      内容とは、直接関係ないのですが、owlさんは「プリンセッションオーケストラ」は、視聴されていますでしょうか。プリキュアとは、似て非なるものを作ろう!という意義は、感じられるのですが、まだ序盤も序盤なので、様子見の状態です。

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    3. プリオケは見ています。
      今のところは「クオリティが低い」ことが一番の課題だと思っています。
      全体としては「世界観とデザインをプリキュア風にしたシンフォギアのモノマネ」というスタッフを聞いた時点で予想済みの第一印象を超える部分が見当たらない印象です。

      ストーリーは説明台詞が多く、特に今説明する必要があるかのと思う内容が多いところが引っかかりを感じます。キャラの掘り下げやバトルの盛り上げなどもっと優先順位が高いことがあると思います。

      女児向けとしては「『女児向けってこんな感じでしょ?』という上っ面を舐める感じ」が強く、クオリティが低いと思います。
      OPは最初と最後のライブ風の場面の演出が他よりしょぼかったり、変身シーンが曲も映像も練り込みが甘く感じたり、抑えるべきツボをわかってない感じがして不安です。

      現状だと
      A)深夜アニメよりのビジュアルや描き方。
      B)プリキュアよりも直球な男児向けふうの熱血ストーリー(たぶん)。
      C)シンフォギアでウケた歌いながら戦うこと。
      のいずれかが女児に大きく刺さらない限りは商業的な成功は難しいと思います。
      現状では大人目線でも物珍しさや結果に対する興味本位以上に目を引く要素は特に見当たらないと思います。

      各話の感想などは私のツイッターを見た方が早いと思います。

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  4. もう既にコメント欄で出ていますが、ナンバー1バトルはスーパー戦隊っぽくなくて自分もつまらないと感じます。
    戦隊シリーズはヒーロー物なんだから、基軸・コンセプトに外れた事やるべきではない。
    ここは変えるべき・変えるべきではない、というのが絶対にありますから、そのスーパー戦隊シリーズが代々受け継いできた「核心」的な部分を変えるような事をやったら絶対ダメです。
    そこだけは絶対に変化させてはいけません。
    ルパパトやゼンカイジャーもそういった面ではダメです。

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    1. >ナンバー1バトルはスーパー戦隊っぽくなくて自分もつまらないと感じます。

      私はNo1バトル自体は戦隊っぽくない要素だとは思いません。
      私はNo1バトル自体を面白いと思ったことはありませんが、No1バトルが癌だと思ったこともありません。
      ゴジュウジャースタッフなら戦隊のオーソドックスなお話にしたところで面白くならない可能性の方が高いと思っています。

      現時点でのNo1バトルに対する私の主な認識は
      1)基本的には怪人のギミック中心のエピソードのラベルを張り替えただけである。
      怪人のギミック中心のお話がどんなものかは戦隊では定番中の定番の要素なので説明は不要でしょう。
      「参加者が限られるのはチームで戦う戦隊らしくない」といった主張も、怪人中心のお話では「初遭遇時のバトルでその回のメインキャラ以外は怪人の能力で戦闘不能にされて、残ったメンバーで戦うしかない」というシチュエーションが珍しくないので否定できると思います。
      基本的にはむしろ”戦隊らしい”要素だと思います。No1バトルで不自然なのは参加者の基準や見学者が抗議もサポートも何もせずに見学していることであり、それはNoバトル自体が持つ性質ではなくスタッフの演出不足や整合性を出せていないことが問題になっているだけだと思います。
      「長々と時間を割いているメイン要素のわりにつまらない」が問題の中核で戦隊らしさは関係性が薄いと思います。

      2)”一人”にこだわるのは主にバトルロイヤル要素の反映であり、No1バトルに由来する問題ではない。
      バトルロイヤルならNo1バトルが無くてもこういう形になる可能性はあり得るし、逆にNo1を決めるバトルだからといって殺伐とする必要もなく、「勝負は真剣勝負だが決着がつけば敵も味方も関係なく互いに称え合う」みたいな爽やか路線にすることも可能だと思います。
      これも「ゴジュウジャースタッフがどうしたか」という実装の問題で要素自体の問題ではないと思います。そういうの徹底的に排除したいなら、そもそもバトルロイヤル要素を取り入れたこと自体が間違いでしょう。


      >ここは変えるべき・変えるべきではない、というのが絶対にありますから、そのスーパー戦隊シリーズが代々受け継いできた「核心」的な部分を変えるような事をやったら絶対ダメです。

      これは何とも言い難いことです。
      「戦隊たるアイデンティティを失ったら戦隊とは呼べない」というのは一理あると思いますが、どれが戦隊のアイデンティティなのかは絶対的なものは無いと思います。
      人数もストーリー形式も変わり種は既に戦隊シリーズの中にあるので、現状を否定してこれまでの在り方を肯定しようとすると矛盾しやすいと思います。

      私としては「商業的に衰退してブランドごと沈むくらいなら、ブランドの知名度は活かすために中身は別物でも残したい」という商業的な都合は一理あると思っているので変えること自体は一つの手だと思っています。
      私が最近の戦隊シリーズの傾向に否定的なのは単純に作品が面白くなく、商業的に画期的だとも思えないからです。変えるのは構いませんけど、「変えるために変える。変えた後に良くなるかどうかは何も考えていない。上から変えろと言われたから変えるだけです」というサラリーマン的思考で変えることは何のメリットも無い糞だと思っています。
      ゴジュウジャーの例で言えばバトルやNo1バトルですね。No1バトルを足したり、巨大戦を並行して行うことを標準化したりしていますが、現状だと従来のバトルの流れから巨大戦の意義や人数を活かした戦いなど面白さを引いただけでマイナスばかりで何も面白くなった気がしません。
      ちゃんとした思想や完成形のイメージを伴った改革ならそれも有りだと思いますが、ただ壊すだけなら反対です。

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  5. りくつはどうあれ自分が面白くないと思ったら見る必要もないし。4話まで見たけど自分には合わないと思ってやめました。シンケンジャーやキングオージャーのようなシリアス路線が好きなのですが子供さん向きではないですね。

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    1. シリアス路線は子供向きか子供向きでないかと言えば、適性は低い方だと思います。
      ただ、ゴジュウジャーが子供向きかと言えばそうとも思いません。ストーリーについていけないどころか、キャラクターにすらついていくことが難しいゴジュウジャーは、連続したストーリー重視の作品よりも理解が難しい作品だったとしても不思議はないと思います。

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