『仮面ライダーガヴ』 最終回「目指せ!おいしい未来!」:感想
最終決戦もストーリー面は盛り上がらない
・ここまでがそうだったので予想はしてましたが、最終決戦もストーリー面の盛り上がりは特にありませんでした。
することが用意されてないので当然ではあります。問題があるとすればストマック家やランゴの描き方など、ここまでの過程の方なので今回でどうこう言うことではないと思っています。
・ランゴがショウマと一緒だという話はピンと来ませんでした。
私は一緒ではないと思います。父親の被害者ではあるけど、ランゴは辛さを再生産してるし闇菓子も作ったりして罪を重ねています。
ショウマ的には今の状況よりも昔の方に重きを置いていて「(俺が子供の頃にランゴ兄さんも辛い思いをしてた。それが今の行動の理由なんだから)一緒だね」という話をしてたんですかね?
・バトルの流れはいろいろと理解できない部分がありました。
まずよくわからんけどマスターモードが解除されて戸惑いました。ゴチゾウ分解ビームでも撃てるようになったのかと思ったらその後は使わなくてマジで何だったのか謎でした。
「羽の生えたランゴ相手に苦戦→羽と相討ちでゴチポッドを失う→弱ったランゴ相手に残りのフォームで死闘」か、
素直に最初から「大統領戦で使い切って洗脳対策で補充する暇が無かったからゴチポッドがもう無い!」にしておいた方が自然だったと思います。
バトル自体は良かった
・ただパワーバランスとかを無視すれば、色んなフォームを使ったバトル自体は楽しかったです。
ソルベやケーキだけでなく、チョコやザクザクチップスにバイクまで活用されていてまさに総力戦でした。
「俺には人間界に来てからの楽しい思い出がたくさんある!」とショウマが言う説得力にもなっていました。
個人的にはゴチスピーダーとゴチゾウが機動性を活かしたサポートでちゃんと役立っているところが特に良かったです。これでゴチスピーダーって何のために有ったの?と思わずに済みます。
・それでも、ただのグミのキックで倒せた理由はわからなかったです。
キッキンググミすら使ってないですからね…
ランゴが見るからにボロボロだったなら、キック自体は重要ではなく最後の一撃に過ぎなかったと思えたのですが、ボロボロなのはショウマの方でランゴはまだ戦えそうに見えました。その辺はメッセージ性が弱いままのように感じました。
ジープ
・結局は復讐から外れられませんでしたが、最後にはシータと同じになれたと満足して死ねました。
前々から考えていたのですが、やっぱりガヴは「気持ちの在り方」が主題のようですね。
ジープにとってシータが重要だったのは自然と同じ気持ちを共有できる存在だったからで、それはジープは一緒に死ぬつもりだったのにシータが庇って生き残ってしまったことで崩れていました。
シータのミミックキーでシータの姿になろうが、シータの幻影と話そうが、この気持ちのズレは埋められません。
それがなぜシータが自分を庇って死んだのか、その気持ちを自分も体感できたことで再び一緒になれた。それがジープにとっては幸せなことだったのでしょう。
・物語の方向性からすると、最後の絆斗の「記事を書ききらないと俺の戦いは終わらない気がする」も同じことなんでしょうかね。
復讐という絆斗個人の思いではなく、記者として師匠だったらやるであろうことを果たすことの方が今の絆斗にとっては重要なのだと思います。
その記事には当事者の1人であり、闇菓子被害者の1人として「復讐しても解決はしない」という内容も含まれるんだろうなと思いました。
リゼル
・ジープが庇ったことで生き残りました。
復讐を除いても、今までの印象からすると大人しくしてる気はしないので個人的には放っておいて大丈夫な気がしません。普通のバイトよりも危険な存在のように見えます。
気まぐれ行動からのここ最近の変化自体もピンと来てないので心情はわからないことだらけです。
「普通じゃないお嬢様だから普通じゃなかったけど、普通の状況において一皮むけば普通だった」ってだけなんでしょうか?
何を考えてるのかよくわからない存在からスタートして、結局よくわからないまま終わっちゃったので不完全燃焼感は一番強いです。Vシネで回収されるんでしょうか?
ラキア
・異世界への扉を壊したことでグラニュート界に残ることになりました。
現状だと意味するところにピンと来ていません。わざわざアラモード以外のゴチゾウとも離れ離れにした意義といい、具体的には何のためだったのでしょう?
「Vシネの都合」だとつまらないので、これも「ゴチゾウが帰れたように帰れる可能性は有ったのにラキアは人間世界に帰れなかった」という一つの罰なのでしょうか?
・ラキアの今後が具体的に想像できないことも含めて、最終回の中では一番すっきりしないポイントだったと言えなくもありませんが、そんな不透明な状況でもラキアは「ダルっ」と一言も言わなかったことに意義を求めるべきなんでしょうかね。
ショウマ
・エピローグではグラニュートも楽しめる光菓子を目指してお菓子作りに励んでいました。
人間界に取り残されたはぐれバイトの救済活動も始めて、絆斗も協力しているようでした。
闇菓子中毒である以上はバイト全員が大人しくするとは思い難いですが、「どうする?」と聞かないといけない機会が減ることはショウマにとって救いになると思います。
・最後のバイクの出発も決まってました。
最序盤の頃のような悲壮感が漂う出発ではなく、笑顔で出発できていました。
何も持たずに放浪していたショウマが、グラニュートも救えるお菓子を携えて明確な意思を持って出発する。
今でも印象的な最序盤の放浪時代からの変化が眩しかったです。
・駄菓子屋さんの伯父さんとも丸く収まりました。
お菓子ノートを読んだことで真実に思い至りつつも、あくまで伯父ではなく駄菓子屋さんの店長と常連のお菓子好きという距離感は保っていました。
傷つけたくないというショウマの気持ちがちゃんと伝わっていて尊重されていて、ガヴとしては理想的な場面だったのだと思います。
・ランゴに対しての最後の問いかけは「”人間”に関わらない」になってたところがショウマらしいなと思いました。
あれって闇菓子や人間界だけじゃなくて、ショウマ自身のことも含めてるんだろうと私は解釈しました。
「俺のことが嫌いなら会わなくていいよ。人間に手出ししないなら俺ももう会わないから(母さんの復讐をする気も無いよ)」という思いやりをこめた断絶を意味していたのだと思います。
許してやるとかそういう態度ではなく、最後まであくまで相手に選択させるところがガヴらしさなんだろうなと感じました。
作品全体の感想はまた後日
例によって全体感想はまた別の記事に書きます。
良いところも悪いところもガヴらしいまま終われたなと今は思っています。
後半のやることの無さや敵幹部の持て余しなど悪いところはこれまでの香村作品の例から予想済みの内容で、主人公周りや仮面ライダーらしいダークさなど香村さんの長所は引き出せていたと思うので全体としてはまずまずの出来栄えだったと思っています。
悪役の扱いなど割り切り方はさておき、「ショウマの物語」としては完成していたんじゃないかと思います。
個人的には「良いか悪いか」ではなく「好きか嫌いか」で語れる作品に仕上がったことを今は喜びたいです。
前作のガッチャードがオタクに目線を向けすぎストーリーをほっぽり出し前々作のギーツはストーリーもキャラも個人的に好きだったが如何せん裕也節とライブ感が凄く万人受けしにくいと思うとガヴはストーリーもキャラも綺麗にまとめられててどのキャラにも感情移入ができていたように思えます。終盤こそ物足りなさを感じましたが令和作品の中でも多くの人を惹きつける素晴らしい作品になれたと思います。
返信削除メインであるショウマや絆斗たちのお話は理解しやすい構成だと思うので令和ライダーの中で見やすいのは確かでしょうね。
削除1年間お疲れ様でした
返信削除細々と気になる部分もありますが令和ライダーとしては論ずるに値する作品になっただけで隔世の感がありますね…
総括も楽しみにしております
匿名さん、こんにちは。
削除令和ライダーのお話は基本支離滅裂でクール単位どころか2,3話単位でも意味がわからない内容ばっかりでしたからね…
ゼロワン→現実でも難しい問題なため扱えきれなくても仕方がない
削除セイバー→コロナで計画が頓挫
リバイス→後半からワケワカラン
ギーツ→キャラが好きになればだいぶ楽しめるが好き嫌いがしっかりと分かれる
ガッチャード→プロデューサー暴走
こんな感じで令和ライダーだいぶ前途多難な感じでもあるし
匿名さんの「前途多難」のニュアンスがわかりませんが、私は基本的に「自業自得」だと思っています。
削除「コンセプトがしっかりしてないせい」
「その場の気分で展開やキャラをころころ変えたせい」
「スタッフが真面目に考えなかったせいで見えてる落とし穴にはまった」
など基本的にはよく考えればリスクはやる前からわかってたことが大半だと私は思っています。
セイバーは撮影面では明らかに路線転換を迫られた箇所が見受けられたので同情の余地は有ると思いますが、終盤の初耳な設定連呼なんかはゴーストと似た印象に見えたので福田さんの癖じゃないかと考えています。
別の匿名なのですが、セイバーに関しては同時期同じくコロナの影響を受けたであろうキラメイジャーがそれでも上手くまとめられていたので、正直単純に制作側の実力不足の部分の方が大きいと思います。脚本の大幅な刷新を求められたのが原因とどこかのインタビューで見た気がするのですが、それはキラメイジャーも一緒だと思うので。
削除感想兼完走、お疲れ様でした。
返信削除前回に引き続き、ストーリー面では解決しないといけない問題を、次々消化している感があり、盛り上がりに欠けた、というのが良く分かります。
バトルについてだと、ガヴVSランゴの各フォームを使ったシーンはCG等々を含めて、良かったと思っています。
でも、その後のヴァレンVSジープ&リゼル戦やランゴ戦続きは、最初のガヴVSランゴ戦が派手だった分、なんかショボいな(しょっぱいな)……と思ってしまいました。
個人的には3ヶ月後(エピローグ)の描写がとても良かったです。
大きな問題は解決したけど、登場人物の無くなったもの、失ったものは戻らない。まだまだ問題は山積みである。
それでも、これから良くなっていく、前向きに生きていく、という感じのするビターな終わり方が、この作品らしい終わり方だったと思います。
エモバズに走って、瞬間の盛り上がりはあるものの、物語としてはイマイチ、という作品が続いた中で、
ガヴはなんだか、落ち着いた、地に足がついた作品を久々に見れた気がしました。(細かい所だと問題は多いのですが)
一年間見れて、良かった作品だと思いました。
匿名さん、こんにちは。
削除>でも、その後のヴァレンVSジープ&リゼル戦やランゴ戦続きは、最初のガヴVSランゴ戦が派手だった分、なんかショボいな(しょっぱいな)……と思ってしまいました。
絆斗らしい泥臭さはあるんですが、華は無いしジープやリゼルも特にらしさを感じさせるアクションではなかったのでパッとしませんでしたね。
パワーバランスが滅茶苦茶なので「やった!」とかではなく「1vs2でも勝てるんだ…」と勝敗すらも実感がありませんでしたし。
>エモバズに走って、瞬間の盛り上がりはあるものの、物語としてはイマイチ、という作品が続いた中で、
ガヴはなんだか、落ち着いた、地に足がついた作品を久々に見れた気がしました。(細かい所だと問題は多いのですが)
最近は展開を転がすことばかり考えて骨が無いライダーの方が多かったので、ガヴは対照的だったと思います
エンタメ重視であれば問題点は少なくありませんでしたが、ドラマ重視を名乗るならガヴみたいな路線の方が真っ当だと思います。
子供っぽいかもしれないが戦闘シーン(特にマスター)がかなり好きだったから個人的には神作。
返信削除映画も最高だった
アクションは概ね良かったと思います。
削除アクション自体のクオリティも良かったし、各フォームの特色も出せていました。
敵側の存在感や戦う意義も影響してるかもしれません。
ヒーロー側のライダーがちゃんとヒーローらしく行動していたのが好印象でした。これまでのライダーは登場人物が何を考えていているのかわからず、ヒーローが人のために戦っているようにも見えず、脚本も行き当たりばったりだったので、久しぶりにヒーロー番組らしい脚本のライダーが見られたことで嬉しい限りです。
返信削除ラキアは人間界にとどまって人間と共生していけるような描写もあったんですがグラニュート界で生きる終わりになったのは予想外でしたね。ショウマと絆斗はなんとなく納得できる結末になりましたが。
リゼルも倒さずに生き残らされるのも意外でした。ラストも失望したままの描写でしたが、ちょっと消化不良な感じでしたね。
全体的には好印象な作品ですが結末の付け方とか終盤の盛り上がりに欠ける展開とかは惜しい感じはしますね。それでも孤独だった主人公が人との絆を紡いで、それを守ろうとする描写をちゃんと描いていたのは間違いなく長所として挙げられるのではないかと思いました。
>ヒーロー側のライダーがちゃんとヒーローらしく行動していたのが好印象でした。
削除ちゃんとヒーローらしく見えることは大きいですよね。
>リゼルも倒さずに生き残らされるのも意外でした。ラストも失望したままの描写でしたが、ちょっと消化不良な感じでしたね。
続きはVシネみたいですが、掘り下げが足りていないリゼルで何ができるのかは疑問です。「力だけは有る無気力」みたいなガヴにはいなかったタイプの面倒なタイプでもやるんですかね?
>全体的には好印象な作品ですが結末の付け方とか終盤の盛り上がりに欠ける展開とかは惜しい感じはしますね。それでも孤独だった主人公が人との絆を紡いで、それを守ろうとする描写をちゃんと描いていたのは間違いなく長所として挙げられるのではないかと思いました。
欠点は有るけれども、長所ははっきりしてるし、しっかりもしてる作品だと思います。
感想お疲れ様です。
返信削除全体感想はまとめで書くとして、個人的には主題歌がちゃんと1年通して作品の主題歌をしているなぁ、と思ったのがよかったです。
作品のコンセプトである、見た目ポップ明るいけど切ない要素がしっかり描かれつつ、最近のライダー作品で多かった英語歌詞が多くて子供が歌えないようなこともなく、歌詞がわかりやすくて作風に沿っていて、令和っぽいおしゃれさながら、久しぶりにちゃんとした特撮の主題歌を聴いた気がしました。
それでいて1年間主題歌として内容とブレがなかったので、ずっと芯の通った作風で通せたんだなとも実感しました。
匿名さん、こんにちは。
削除>それでいて1年間主題歌として内容とブレがなかったので、ずっと芯の通った作風で通せたんだなとも実感しました。
そうですね。私もそう思います。
ここ10年くらいはコンセプトや初期設定が投げ捨てられる作品ばかりでした。
歌の歌詞が作られた時点で物語の骨格が決まっていて、最後まで徹底されている作品自体が久しぶりでしたね。