『仮面ライダーゼッツ』 第5話「堕ちる」:感想

2025年10月5日

少しの納得感大きな疑問

・花嫁の真の不安が「高所恐怖症」だったことは普通に納得感が感じられました。
前回の心の扉が開いた理由が「天地逆の逆さ世界で教会から落ちそうになること」だったことに「どんなイメージだよ?!」と内心、納得がいっていなかったのですが、そこは今回で納得がいきました。
恐怖の根源は落ちることであり、結婚式は不安に付随したシチュエーションでしかないから逆さ世界という異常な状況を作ってでも落下したんですね。
つながりが強引で論理性を感じない流れがかえって”夢の中の出来事”という感じがしてそこは良いと思いました。
ゼッツのストーリー展開で初めて普通に良いと思えました。

・前回の理由には納得した一方、別の大きな疑問も湧いてきました。
「高所恐怖症だから飛行機に乗るのが怖い」とかそんな程度でナイトメアって生まれるんですか?!
これだともしも花婿が「え? 高所恐怖症だったの? …じゃあ飛行機は止めて移動は船にしようか。ハネムーンなんだしゆっくりクルーズするのも良いよね」
って言いだしたら怖くなくなってナイトメアは自然消滅するんですか???
「いや、高所恐怖症自体は消えないから…」って言い出すと今度は高所恐怖症が治らない限りは無限にナイトメアが生まれ続けちゃいそうですし…
元々「ナイトメアってどういう存在なの? 外部から植え付けられた存在なの? 心のうちから湧いて出てきた不安の象徴みたいな存在なの?」といった疑問が有りましたが余計に疑問が深まりました。

・「どうすれば事件解決になるの?」という疑問もあったのですが、これは結局「3つ目の心の扉が開かれるシチュエーション(警察署爆破/飛行機墜落)を防ぎ、怪人を倒せばOK」ってことでいいんですかね?
刑事さんのときもやったじゃんという気もするのですが、あれでダメだったということはあの時はシンプルに「警察署を爆破する前に怪人を倒せなかったのが悪い」ってだけだったんですかね。
これだと自信満々だったわりにゼロも莫もやるべきことをできてなかっただけってことになっちゃいますね…
ますますもって「最序盤でやるべき内容だったのか?」という疑問は強まりそうです。


設定、大丈夫?

・結局、「夢主が望んだ悪夢」とは何なのかはわからないままでした。
今回の内容は最初から最後まで普通に悪い夢という意味での悪夢にしか見えませんでした。
明らかに夢主は望んでないでしょう。なんで高所恐怖症の人が落ちる夢を見たがるんですか。

「克服したいと思ってるから安全な夢の中で経験したいんだ」みたいな話なら理解できたと思います。
これなら現実ではしょぼい主人公とも符合してゲストを通じてとっつきづらい主人公の掘り下げや共感の呼び水にも使えたでしょう。

「深層心理は夢主すら知らないこと」という設定とも矛盾しているように感じました。
本人も「(落下事故は)人生を変えるような事だった」と言っちゃってるので思いっきり自覚してるように見えました。
深層心理だと言うなら
「『高いところが怖い? いつの話ですか。今は全然平気ですよ』と笑顔で言っておきながら本当は飛行機程の高さは未経験で心の底では恐怖を感じている」
みたいな話にすれば済んだと思うんですけどね…


怪事課の扱い

・展開は強引で、やることは地味で個人的には悪いところ取りだと感じました。
「秘密基地に刑事さんたちが侵入ってどうやって主人公の自室に入るんだよ…」と疑問に思っていたら、
窓から不法侵入して
勝手に居座って我が物顔で振る舞い
尋問してくる
という犯罪者丸出しの姿勢で呆れ果てました。
女刑事さんの「これ犯罪じゃないですか?」という疑問どころか、疑う余地もなく法的にアウトだと思います。
やっぱり女刑事さんもイカれてます。まともだったら実行しません。
その後も「それがお前の役目だろ?」「自信ないんですか?」みたいなことを言っていて、刑事二人の印象がますます悪化しました。

・捜査パートでやることも夢主周りの事情調査や関連事件の調査だけでとても普通でした。
普通なのは良いですけど、普通なので面白くはなりません。
捜査パート自体が退屈で要らない感が出ているので依然として問題なままです。

・個人的には「前回までの莫持ち上げパートが台無しじゃない?」という点が引っ掛かりました。
前回では幼馴染さんに対して素人丸出しの尾行をして、ゼロに「夢でのエージェント経験が活きてる」と褒められてましたけど刑事さんの方が優秀ならもう莫は夢の中以外では要らない子ですよね?
現実を踏まえればそれは当然の事なんですけど、作品としてそれでいいのか…?と疑問に感じました。
主人公がそんな情けない惨めな存在のままでいいんでしょうか? 「”夢が無い”なぁ」と個人的には思いました。


仮面ライダーゼッツ・テクノロムストリーム

・シルエットは違いを感じませんが、色合いがピカピカした青で統一されて派手になった分だけフィジカムよりはスタイリッシュになったと思いました。
でも「色が変わっただけじゃん」という根本的な印象の地味さは拭えません。海外向けなら尚更わかりやすく派手に変化させた方が良いと思うんですけどねぇ。

・莫の性格の変貌は意味がわからなくて戸惑いました。
なんで性格が変わるのかも理解できないのですが、
「マッチョなフィジカムが大人しめで、文明を意味するテクノロムが調子こいてる」という流れはもっとピンと来ませんでした。普通は逆じゃないですか?
高所恐怖症の人が乗ってるとわかっている飛行機を無駄にアクロバット飛行させて「飛行機でサーフィンだぜ!」とか調子こいてる姿は普通に印象が悪かったです。そんなの悪役が夢主を怖がらせるためにやることだと思います。
エージェントらしさも文明らしさもない蛮族の行いをやる意義が不思議でしょうがありませんでした。

・夢らしい実現不能なスケールの大きさでサーファーごっこしたかったなら
「飛行機は無事に軟着陸させた後に、折れた飛行機の翼に乗りながらストリームで起こした乱気流の中で藻掻き苦しむ怪人を巻き込みながらサーファーごっこをする」
くらいの方が被害者が怪人だけで攻撃も兼ねているからツッコミどころを感じずに済んだと思います。


次回は刑務所からの脱走というシチュエーションで、ネムの話をやるみたいです。
私は予告で言ってることに全然ついていけませんでした。
「秘められたネムの過去…」
ってこっちはネムの現在すら知らないんですけど?!
「誰もが知ってる有名売れっ子芸能人」以外の情報が全く出てないと思います。
女優なのかバラエティなのか歌手なのかモデルなのか、いったい何が本業なのかすら知らないのに過去がどうとか個人的な話をされてもついていけるわけないじゃないですか!
私なんて「本当にネムって実在してるのか? CMを撮影したスタッフすら
『撮影中のネムちゃんがどんな感じだったって? そりゃあ…、…? あれよく思い出せない… まるで夢で見た出来事みたいにあやふやな感じがする』
みたいな有様で人の意識の中にしか存在しないナイトメアと同類の実在してない人物なんじゃ無いのか?」
と疑ってましたよ。
夢周りの設定だけでもスタッフの頭の中だけで完結しちゃってるなと思ってきましたが、次回は遂にお話の方にまで影響が色濃く出てきてしまいそうです。










コメント

12 件のコメント :

  1. ナイトメアの設定周りは一旦謎も多いので言及を避けますが、今回の問題解決へのプロセスであったり悪夢の原因であったりは突拍子も無い訳ではなくさして悪くないものであったと感じました。
    一方で細かい描写(特に警察周り)はとにかく印象が悪いものになっているように感じます。不法侵入もギャグで済ませるのであればもっとコミカルなシーンにするとか、妹を騙してもう少しマイルドに侵入するとかでだいぶ印象は変わったのではないかと思います。警察としても人物相関図のような物を見た時点で主人公が関係者なのは明白なので事件を防ぐために協力するのは自然ですが、肝心の証拠を集めようとする仕草が一切感じられません。仮にも味方キャラなので少しくらい良い印象を持たせるように描写してくれないと今後出てくる度にゲンナリしてしまいそうです……

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    1. >今回の問題解決へのプロセスであったり悪夢の原因であったりは突拍子も無い訳ではなくさして悪くないものであったと感じました。

      とりあえず理解には困らない内容だったと思います。
      「まだ5話なのに、もうローテ回がつまらないみたいな話をなんでしてるのか?」という疑問はありますが、高橋祐也作品ではむしろそれでもマシな方なのでそういう意味では問題は無いと思います。


      >仮にも味方キャラなので少しくらい良い印象を持たせるように描写してくれないと今後出てくる度にゲンナリしてしまいそうです……

      嫌悪感の方が強いですよね。
      檀黎斗やギーツ終盤の敵になっていたライダーたちの唐突な味方面から考えると、たぶん刑事たちも何の禊や活躍も用意されてない可能性が高いと私は考えています。
      好感度とか印象とか何も考えてないと思います。

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  2. 怪事課の描写についてはおそらく高橋さん的にはギャグとして書いてると思います(エグゼイドやギーツよろしく)。今後改善されることはないでしょうし劇中で批判されることもまずあり得ないと思うので受け入れるしかないのかなと思ってます。
    ただ個人的には会ってまもない莫に「それを突き止めるのが君の役目だろ」「自信無いんですか?自称エージェントなのに?」とか言ってるのは流石に理解出来ませんでした

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    1. >ただ個人的には会ってまもない莫に「それを突き止めるのが君の役目だろ」「自信無いんですか?自称エージェントなのに?」とか言ってるのは流石に理解出来ませんでした

      「それを言うならお前ら警察の役目でもあるんだが?」と言いたくなるくらいに耳を疑う内容でしたね。

      好意的に解釈するなら。
      「刑事2人からすれば莫への信頼を示す言葉なのだが、”偽物”のエージェントである莫にとっては”本物”の刑事に言われることはプレッシャーを感じる内容だった。だがしかし莫はそのプレッシャーを受け止め、自分は本物のエージェントだと言って見せたのだ」(きゃー莫かっこいいー)
      という場面のつもりだったのかなと思います。

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  3. 高橋悠也独特のカッコいいけどなんかフワフワした実感が無い世界観の集大成高橋悠也作品ですね
    窓から入って帰っていく刑事2人とか都合良く夢で木のビジョンが見えて行ったら会えたけど大した意味は無かった花嫁とかこの作品そのものが夢の世界のように唐突で細部が粗い

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    1. 今までの作風とここまでのゼッツの出来栄えから判断すると相性は悪いように見えますね。緻密さや論理性とは縁遠い作風ですからね。
      「現実と夢」という構造を中核に据えるなら、現実パートではもっと現実味を重視した方が良いと思います。
      事件周りは根幹がファンタジーだから仕方ないにしても、刑事の侵入ルートなどあからさまにふざけてるのかと思うような内容は避ける方が無難だと思います。

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  4. ゼッツの考察するのはもうしんどいのでしばらくコメントはしないかと思っていたのですが、ゼッツには関係ないけれど仮面ライダー関連ということでお伺いしたいと思い書き込みました。
    今クールからはじまったアニメ「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」について、もし視聴されておりましたら感想をお伺いしたいです。個人的には、ゼッツで満たされなかった熱さや、リアルと非現実のバランス感で、第1話から圧倒的に引き込まれてしまったので、是非感想をお伺いしたいです。
    完全にスレ違いで申し訳ないですが、ご検討いただけると幸いです。

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    1. アニメ化としては良い方だと思います。
      わかりやすくなっていて、多くの人が嫌がるであろう原作の汚さも消されていたと思います。

      ただ、個人的には解釈違いだと思う部分が多かったです。
      「汚い」「気持ち悪い」「こいつらおかしい」
      (でも純粋にすごいと思える部分もある)
      そういう感情はヨクサル作品とは切っても切れない関係だと思っているのでそこを漂白しちゃったら別物になってしまうと私は思いました。

      匿名さんが感じられた熱さや非現実感とのバランスといった要素は仮面ライダー由来ではなく、柴田ヨクサル先生に由来する部分だと私は思います。
      そういう意味ではアニメよりも原作を読んだ方がより濃度の高い成分を楽しめると思います。
      絵柄にアレルギーが無ければの話ですが。

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  5. 飛行機サーフィンの場面は、そのまま飛行機の上でドンパチ始めた点も気になりましたね。
    夢の中での話とはいえ、一般市民に寄り添う姿勢が見られないのは収まりが悪く感じてしまいます。

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    1. 「戦い慣れてないから余裕がない」みたいなのならともかく、自信満々にミッションだの何だの格好つけておきながらアレですからね…
      とてもヒーローのやることには見えません。
      あくまで”ごっこ”止まりのエージェントと合わせて考えると白けてしまいます。

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  6. 内容は一旦置いといて警察という立場でありながら不法侵入した挙句全く反省しない所は不快でしか無かったです。
    世間の反応はおもしれー男だの言われてますが全然に笑えませんでした。

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    1. 普通に印象が悪かったですね。
      個人的には窓を開けっぱなしにしておくことが一番実害があって糞だと思いました。
      風邪をひいたら立派な加害行為だと思います。閉めれば済むのにいったい何のためにあんなことをしたのか全く理解できませんでした。

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