『仮面ライダーゼロワン』 最終回まで見終わって:総合感想

2020年9月12日
『仮面ライダーゼロワン』を最終回まで見終わった時点での全体感想です。
*全体の感想なので必要に応じてネタバレがあります

【一言まとめ】

・1話目から詰んでた。
・90分映画を4クールに引き延ばしたような内容の薄さ。
・駄作にすらなってない。


【良かった点】

■アクション
・メイン監督、アクション監督、主役のスーツアクターなどスタッフを大きく変えたおかげか長らく低調だったアクションが改善されました。戦隊と比べて手放しで褒められる内容には至りませんでしたがライダーの枠の中では大きな変化でした。やっぱり予算やスーツの造形がどうのという以前にスタッフの問題だったようです。

・ただし良くなったのは動きや撮り方で、販促やキャラの差別化などは大きく変わりませんでした。その点はまだまだ道のりは遠そうです。


【酷かった点】

・ストーリーのほぼ全て。展開が投げっぱなしで前にあった展開が無かったかのような展開が起こることも珍しくない。もっと酷いと5分前にあったことが無かったことになる。
キャラも一貫性がなく、言動がころころ変わる。どの口がほざくのかと思うような発言が多く、全員二重人格と言われたほうが納得できる。
そして単純に内容が薄い。「2クール分の内容を4クールに薄めたような内容」とは私がたまに言いますがゼロワンの場合は1クール分すらありません。

・あまりに酷いのでこれだけ言って終わらせたいところですがそれだと何のことやら伝わらないので個別に書いていきます。どういうことか読んでも意味がわからない部分もあるでしょうが、元々のお話が破綻しているので語りようがないのです。あらすじのように事実を列挙するしかありませんでした。

・記録として残しておかないといけないと思ったことは、「これはコロナのせいではない」ということです。
短縮されたとしても35話から後の5話分程度です。またコロナがなければオリンピックやゴルフなどで休止される週もあったでしょう。最初から破綻しているのでたとえもう5話あったとしてもストーリーは大差なかったと思います。

【世界観がおかしい】
・ゼロワンは「人工知能(AI)」がテーマとして公式に掲げられています。
具体的には「人工知能を搭載した自立型人型機械、”ヒューマギア”」が普及した世界です。ヒューマギアは人間同等かそれ以上の知能を持ったアンドロイドで人間からは便利な道具扱いされていると理解すれば充分です。敵は人類への敵意に目覚めたヒューマギアやヒューマギアをテロの道具として操る者たちです。

■こんな危険な機械を使えるか!
・ここまではありふれた設定です。問題はありふれた設定なのに全然できていないことです。
1クール目から「危険過ぎる」という問題が露呈しました。
悪の組織は一般社会にいるヒューマギアに怪人化するベルトをはめて暴走させるテロ活動を行います。それだけなら悪の組織が原因なのですが問題は「暴走すると人を殺せるだけの機能が元々搭載されている」点です。後付けの改造とかが何もいらず、人間を殺せと命令を送るだけで殺人マシーンに変貌するのが仕様なのです。そんな機能がなぜ必要なのかは説明されていません。兵器だとか元々殺人マシーンにする目的で作られたわけでもありません。製作者は「人類の夢」として作ったはずなのです。
この時点でもうこんなものが普及していて大丈夫なのかと不安を感じますが、主人公が社長を務める製造会社は「セキュリティをアップデートしたから大丈夫です(次の話では普通に暴走する)」や「悪いのは悪用するテロリストです(テロリスト対策はなく野放しのまま)」と繰り返すだけの無責任っぷりで、世間もそれで納得してしまうアホだらけです。

・2クール目からは更におかしくなっていきました。
1クール目では敵に無理やりベルトを付けられて暴走させられていましたが2クール目からヒューマギアが自分の意思で怪人化し始めます。一応、人間に暴力を振るわれたなど理由はあるのですが接客業などで使われているロボットが客にイライラする度に人を殺していては社会が成り立ちません。
極めつけはラッパーヒューマギアの”チェケラ”(*個体名)です。悪役に「むかつくならそのベルトを着けて俺を殺してみろよw」と煽られて「自分からベルトを着けて」、「汚ぇ人間は滅びろ!」とテレビの生中継中に叫んで人間に襲い掛かりました。誰かに操られることもなく、手順を踏んで明確な殺意を公の場で明らかにしていました。

■この世界でのヒューマギアの必要性が理解不能
・3クール目ではこういった事件と悪役の誘導を受けて世論がヒューマギア反対に動き、ヒューマギアは基本的に廃棄されました。
ヒューマギアが普及して人間の代わりに働いている世界でヒューマギアしかいない病院なんてところまであるのに廃棄です。普通に考えたら社会が成り立たなくなるのですが全然問題なさそうでした。それを鵜呑みにするとヒューマギアが全然普及してないことになるのでどちらにしても意味不明です。

・一応、「人間が着けるだけでヒューマギア並みの能力を出せる耳掛けイヤホンのようなデバイス、”ZAIAスペック”」という製品が新しく出てきたのですが着けてる人はそんなに多くありません。
それ以前に根本的な問題を解決できないと思います。ヒューマギアが多く普及しているのは接客、医療、警備、消防士、弁護士など労働条件が悪かったり、危険性が高かったり、専門技術が求められる職業として描かれてきました。そんな職場で急に代わりの人を集めることは容易ではないでしょう。
またヒューマギアの利点である「必要に応じて人数を調整できる」点もカバーできません。人間を急にクビにしたら雇用問題になります。
夢のマシーンだの御大層な言葉を並べ立てるわりに真面目に人型ロボットの利便性について考えた形跡すら見当たりません。

・3クール目の中でもおかしなことはまだまだ起きました。
ヒューマギアは基本的に廃棄され、使い続けている人もいるけど道端でヒューマギアとバレたら通報されて破壊部隊がやって来る。そんな環境のはずなのに人間に混ざってファッションモデルのヒューマギアも参加するファッションショーが開かれたりします。完全に何がどうなってるのか意味がわかりません。ヒューマギアに好意的な関係者が集まっているとか偏見を減らすために開いたとかそういう理由は特にありません。でも大盛況のうちにファッションショーが満了します。

・4クール目ではやっぱりヒューマギアがないと困ると言い出して社会はまた元通りになりました。
でもやっぱり暴走します。自我に目覚めたヒューマギアも増えたようで自発的にテロリストの呼びかけに応じる個体もたくさん出てきました。
更には「ヒューマギアにも人権を寄越せ!」と主張するヒューマギアのデモ隊も現れるようになりました。ラスボス曰く「人間やヒューマギアが”悪意”を向けあうことで両方とも滅亡する」状況だそうです。
こんな状況でもヒューマギアを使うのは止めようとは考えず、かといって対策を考えることもなく、最終回の最後になっても無策のまま「今後も普及させ続けます」と主人公が声明を出して終わりました。

・あまりにも危険なアンドロイドとその危険性を死人が出ても無視し続ける人間。
ヒューマギアが必要なんだか必要ないんだかわからない社会。
セキュリティも倫理観も世界観もガバガバ過ぎです。テーマとして作品の中核に据えたものがこんなクオリティなところがゼロワンが壊滅的な理由の一つです。

【やってることがおかしい】
■AIはどうでもいい
・「ゼロワンのテーマはAIである」と先ほど言いましたが実は違います。
本当にやりたいことは「お仕事紹介」です。プロデューサーがそう言っているので間違いありません。ここがゼロワンの構造的な歪みの元凶だと私は思っています。

・お仕事紹介とAIを両立させるためにゼロワンでは「ヒューマギアにいろいろな仕事をしていることにする。主人公が現場を視察したり、トラブル解決のために訪問することになる」というフォーマットにしました。
この時点でヒューマギアよりもお仕事紹介のほうが優先されるという歪みが生じました。テーマや主人公がよく言う「ヒューマギアは夢のマシーンだ」という点を活かすならば「ヒューマギアは人間と比べてどう優れているか、仕事をする上でどんな違いが生まれるか」といったことを描くのが順当だと思います。ところが実際にはただ「このお仕事はこんなことをするお仕事なんですよ」と紹介するだけで人間がやってるのを映しても大差ないシーンになっています。そしてもちろんお仕事の具体的な内容や苦労など勉強になるような内容ではありません。

■悪名高き「五番勝負」
・このお仕事要素のヤバさが炸裂したのが2クール目の「お仕事五番勝負」です。
ライバル企業が「このZAIAスペックを付ければ人間のスペックがヒューマギア並みに向上するからヒューマギアは不要だ!それを証明してやる」と言い出して始まった「華道」、「住宅販売の営業」、「弁護士」、「消防士」、「住民投票の呼びかけ」という5つのお仕事で勝負する企画です。課題を列挙した時点でおかしさに溢れていることがよくわかると思います。人の無罪有罪がかかった裁判を勝負のネタにしたり、なぜか住宅販売の営業というやたら細かい業務だったり、選出基準が謎です。

・実際のストーリーはもっとおかしいです。そもそもロボットを必要とする仕事は人間がやりたがらない仕事なんだけどというツッコミどころ以前の問題です。
どうやばいかというと不正と私情と意味不明さで溢れていることです。

・1回目の華道勝負では人間側は華道の家元を出し、ヒューマギアからはお花屋さんヒューマギアを出しました。お花屋さんなので生け花の知識はないので急遽インストールして対応しました。
勝負が始まると人間はヒューマギアの邪魔をするために作品を損なう間違ったアドバイスをし、ヒューマギアはそれで負けたことに切れて怪人化して人間を殺しかけました。
不正を告発されたので勝負をやり直すことになりますが、今度は負ける不安に駆られた人間のほうが怪人になるベルトを着けて襲い掛かってきました。
人間を倒して変身解除させた後に改めて勝負して結局人間が勝ちました。

・ツッコミどころが多すぎますが5番勝負のいずれもこんな感じにツッコミどころに溢れた展開です。
一つのシーンがある度に「殺人未遂じゃねぇか! 逮捕して不戦勝で終わりだ!」とか「これで勝負になるの???」、「こんなので暴走するなんてヒューマギアはやっぱり危険過ぎるのでは?」と思う場面だらけです。
後半に行くほど展開のおかしさも増していき、ライバル会社の社長が「いきなりテロリストが使ってたのと同じヒューマギアを暴走させるベルトを無理やり装着させる」、「今度はテレビの生中継に堂々とベルトを着けて暴走させる」などなど、とりあえずこいつをテロリストとして逮捕しろよと思う行動を取り始めます。
ヒューマギア側も負けていません。パワハラに会うだけで自発的に「人類は滅亡しろ!」と言い出して怪人化しますし、最後の住民投票では前述の殺意に目覚めた最初のヒューマギア、チェケラが満を持して登場します。

・人間もヒューマギアもクズ過ぎてどちらにも関心を持てなくなり、こんな五番勝負に1クール丸々使ったことで作品へのそのものへの不信感が一気に噴出しました。

■特に意味は無かった
・3クール目以降はこのお仕事要素がぱったりと無くなります。
しかしここまでの2クールを全てお仕事要素につぎ込んできたため3クール目以降につながる積み重ねになるものがなくなり、唐突に見える展開が続くことになりました。
よりにもよって主人公の設定の一つである「社長」要素まで投げ捨てたため余計に作品の軸がブレてしまいました。

【キャラもおかしい】
・狂った世界観や倫理観に基づく世界なので登場人物も異常者ばかりです。

■主人公:飛電或人
・主人公の飛電或人は、ヒューマギアの開発者であり大会社”飛電”の社長を祖父に持ち、ヒューマギアの父に育てられた青年です。本人は会社に関係なく売れないお笑い芸人をやっていましたが、1話で祖父の遺言で会社の社長兼ライダーに選ばれて暴走するヒューマギアを止めるために「社長で仮面ライダー」として戦い始めました。

・初期設定では特に問題が見当たらないのに実装されたキャラクターは作中屈指のサイコパスでした。
「ヒューマギアに人間のお笑いは理解できないんじゃないの?」
これは1話の最序盤で主人公が遊園地の支配人に「ヒューマギアのお笑い芸人を雇ったからもう君は来なくていいよ」と言われた直後のセリフです。1話が始まってすぐにこれを言っちゃった後に「ヒューマギアは人類の夢だ!」とか「どうしてわからないんだ! ヒューマギアは夢のマシーンなんだよ!」などと言っても説得力がありません。
第一印象が最悪なのですが、最終回まで見てもこれがミスで生まれたノイズには見えないところが主人公の最大の問題です。

・その後も問題発言は続きます。
2話では知り合った警備員ヒューマギアが壊れた後にに配備された記憶も何もない同型機に同じ名前をつけて前と同じ個体として扱う無神経さを見せました。
3話では暴走した寿司ヒューマギアとモブヒューマギアが入り交ざった状況に「どれが寿司ヒューマギアがわからないから攻撃できない…」とまるでモブならどうなってもいいと思ってるような発言をしました。
明らかに自分と面識のある個体をえこひいきしているのに、他人に対しては「ヒューマギアは人類の夢だ」だの「夢のマシーンなんだよ!」だのとまるで全てのヒューマギアに価値があるかのような説教をします。しかし具体的にどこがどう素晴らしいのかは一切話しません。あまりにも人間味がなく、何度も同じフレーズを繰り替えすため「主人公は『自分を人間だと思っているヒューマギア』なのではないか?」と視聴者から疑惑が持ち上がったほどです。

・主人公は他人に無関心で自分に甘いクズでもあります。
他人に対しては「愛用してきた個体は暴走したから破壊したけど初期化された新品の同型機を持ってきたから元通りですね!」なんて実用的にも心情的にも受け入れられるわけがない態度をずっと取ってきたり、敵幹部のヒューマギアに対してはわかり合えると綺麗ごとを言ってきたりしたのに、終盤になって自分の秘書ヒューマギアを破壊されたら怒り狂って闇堕ちして市民やヒューマギアに害をなしてでも敵幹部に復讐しようとし始めました。
他にも散々根拠もなくヒューマギアは安全だの夢のマシーンだから使い続けるべきだのと言ってきたのに、いざ自分が殺されかけたら「悪意を持ったヒューマギアがあんなに恐ろしいだなんて…」とビビり始める有様です。それよりずっと前に目の前で自発的に人間に殺意を向け始めたヒューマギアと直面したときには無反応で何の対策もしなかったのに自分のこととなったら真面目に考え始めました。

・最終回のエピローグでも壊れた秘書の同型機をわざわざ作って同じ名前をつけて、「元通りにしてみせる」と抱負を語ってさっそく前の秘書の性格をコピーさせようと手取り足取り教えていました。
生まれたばかりの秘書のほうは「なんでこんなことさせられてるんだ?」とキョトンとしていました。毒親そのものでドン引きしました。「他人(父親)を笑顔にしたい」からお笑い芸人になったはずなのに、途中からお笑いなんてどこ吹く風になったかと思ったら最後には自分が笑顔になるためだけに他人にギャグを強いるようになっていました。これなら芸人として売れなかった理由も納得です。

・自分が気持ちよくなることが最優先で、そのためのお笑いであり仮面ライダーでありヒロインだったのですから最後まで言動は一貫していました。最初から最後まで変わらずクズです。ヒューマギアに関しても綺麗ごとを並べてきただけで本心では道具扱いしていたことは明らかです。
こんな主人公なのでお話は悲惨です。魅力どころか嫌悪感が湧いてきます。
「薄っぺらなクズが目の前で起きた出来事にまるで向き合おうとしなかった結果、破滅しかけるお話」としては筋が通っていたと思います。
問題はそんな話を45話分も見たがる人が多くないことでしょう。ましてそんなクズを周りはヒーローと呼んでもてはやす光景を見たがる人がどれだけいるでしょう。そこがゼロワンの大きな問題の一つです。

■2号ライダー:不破
・不破は2号ライダーで序盤は主人公と対立するポジションのキャラです。
(表向きは)ヒューマギア至上主義の主人公に対して、不破は「ヒューマギアは全て俺が破壊する!」と公言し、公的機関の対ヒューマギア部隊の隊長を務めています。ヒューマギアを憎む理由は12年前に起きたヒューマギア暴走事件で家族や友達を虐殺されたからです。
ふわふわしたことしか言わない主人公に対して、不破は行動理由がはっきりしていて「ヒューマギアは危険だから破壊する」という主張に共感しやすかったため視聴者からの好感度が比較的高いキャラでした。

・そんなわかりやすいキャラでしたが最後は空気でした。なぜかというと「全部無かったことになったから」です。
中盤で「実はヒューマギア暴走事故に巻き込まれたという記憶はライダーに変身するためのチップを埋め込むときに黒幕に捏造されたもので実際には巻き込まれていなかった。両親も普通に生きてるし、記憶にない弟までいる」というどんでん返しがあったのです。

・普通なら新しい戦う理由を自分で見つけていったりするものですがゼロワンなのでそんなものはありません。
このため、中盤以降は「特に戦う理由もないしヒューマギアへの思い入れもないが、戦える力を持ってるので市民を守るために戦う当たり前の正義感を持ったただの良い人」になりました。他のキャラが夢だの理想だのを掲げているので酷く場違いな立ち位置でストーリーにも絡めなくなってしまいました。

・この展開に何の意味があったのかいくら考えてもわかりません。
30話以上やってきたお話を勘違いに基づいた空回りとして片付けてまっさらな状態に戻していったいどんなメリットがあるのでしょう? 終盤に闇堕ちした主人公を説得する役割をあてられたりしましたが主人公との関係性も実質リセットされているので必然性が感じられませんでした。

■3号ライダー:刃唯阿
・女性ライダーで不破の上司であり、ライダー開発の技術顧問を務めながら自らも変身して戦う自信に溢れたキャリアウーマンでした。

・…そうだったのは1クール目までで2クール目からは黒幕だった主人公のライバル会社の社長が表舞台に立ち、なぜかその秘書をさせられることになります。
秘書になってからは毎回社長のパワハラに悩まされ、どう見ても犯罪の片棒を担がされては悩みながらも「仕事だから仕方ないだろ!」と虚勢を張るブラック企業の社員に身を落としてしまいました。
この意味不明な転身は役者さんまでインタビューで「なんでこんなことしてるのかと不思議に思った。キャラの考えてることが全然わからなかった」と述懐するほどでした。

・3クール目では不破の説得で会社を辞めて自分の理想に向けて再スタート。
…するはずだったのですがなぜかテロリストの手伝いをし始めて視聴者を唖然とさせました。後でラスボスを倒す計画のためだったと説明されたのですが計画がガバガバ過ぎて失敗してラスボス復活の手助けをする結果に終わりました。
その結果、今度は「私のせいでラスボスが復活してしまった!」と自責の念に悩んで入院する立派な精神病患者になってしまいました。

・終盤では一応立ち直って正義の味方をやり始めるのですが今度は販促の壁に阻まれました。
女性ライダーで3号ライダーなので1クール目以降に強化フォームやアイテムを一切もらえなかったのです。そのせいで戦闘でも出番がなく、ちょっと出てやられては「なんて強さだ。こんな敵にどうやって勝てばいいんだ…」と泣き言を言う情けないポジションにしかなれませんでした。

・序盤の威勢のいい姿とは裏腹に没落人生まっしぐらで最終的にはいなくてもいいキャラになってしまいました。こんなのでもメインキャラに数えざるを得ないのがゼロワンです。

■4号ライダーにして敵ライダー:天津垓
・天津垓は主人公の会社を買収すべく現れた人間側の悪役です。
五番勝負を開催した張本人であり、唯阿の上司であり、不破の記憶を捏造した主犯であり、実はラスボスの人間への敵意に目覚めたスーパー人工知能”アーク”が悪意に目覚めるように仕向けた諸悪の根源でもあります。

・主人公の邪魔をする敵として出た時点で不人気になるのは当然ですが、五番勝負での杜撰な展開や大小さまざまな犯罪行為に殺人未遂、テロ活動など罪状が多く、それでいてやってることのスケールが小さく悪役としての魅力もなかったため視聴者受けは悪化の一途を辿りました。
3クール目に至っては販促期間が過ぎたのにいつまでも悪役をやらされ続けたせいで毎回主人公たちにやられては「覚えてろよ!」と捨て台詞を残してボロボロの姿で逃げ去ることを何度も繰り返すことになりました。冗談抜きで本当に「覚えてろよ!」と言って逃げるので洒落になりません。笑いを通り越して寒かったです。

・そんな重犯罪者でテロリストで諸悪の根源で負け犬の天津垓ですが、終盤になって仲間になりました。
その理由が「昔は主人公の会社が大好きだったと思いだしたから」です。
誤解があったとか洗脳されていたとかそういう話ではありません。ただなぜか純粋に好きだったことを忘れていて、なぜか会社を乗っ取りたくて仕方がなかっただけなのです。意味不明な言動ですがそれが事実なのでどうしようもありません。

・プロデューサーが登場当初から「天津垓はただの悪役ではない」と自信満々に語っていたのでこれも恐らくスタッフが生んだ歪みのせいです。本当は視聴者から愛される悪役として歩んだのちに満を持して仲間になる予定だったのでしょう。

■残りは割愛
・主要キャラはまだ他にヒロインのイズや敵幹部がいるのですが語ることがないので省略します。
主人公に感化される立場なので主人公たちがブレブレなゼロワンでは輪をかけて意味不明な言動と心変わりをするキャラクターでしかありません。


【総合感想】

■振り返るほどの内容がなかった
・総評を書くにあたって自分の各話感想を1話から見返してみました。
思っていた以上に最序盤の懸念がもろに当たっていました。
或人の軽薄さは最後まで変わりませんでしたし、マモルのときに感じた嫌な予感もイズ2号で実現しました。唯阿のよくわからない行動原理は悪化してメンヘラの一途を辿りました。

・内容が無さ過ぎて改善点も問題点も指摘しようがありません。
「或人の祖父である先代社長の死が何の裏もない自然死とかヤベェな」とか「暗殺ちゃんの話ってなんの意味があったんだろう?」とかツッコミどころを思い出したりしていましたが、作品全体に問題がありすぎてそんな些末なことを総評に書く価値がないと結論付けました。
「どこから間違ったと思う?」と聞かれたら「1話の最初から」と答えるしかないです。たぶん、より正確に言うならスタッフが集まった時点で終わっていたのでしょうが。

■プレバンが多い
・やたらにプレバン商品が多いと感じていたので実際どうなのか数えてみました。前作のジオウと比べるとベルトや武器に強化フォームなど基本アイテム数はほぼ同じでした。
大きな違いはゼロワンはフォームチェンジ系の小物が少なかった点です。ジオウではゼロワンで言うところのプログライズキーにあたるウォッチが2倍以上ありました。

・一方、ゼロワンはプレバン限定のベルトが圧倒的でした。
ゼツメライザー、レイドライザー、スラッシュライザーにアークドライバーで少なく数えても4種類。劇場版のサイクロンライザーで+1。滅亡迅雷キーセットに付いてくる滅亡ドライバー用パーツも含めれば合計6種類もありました。
一般販売のベルトがゼロワンドライバー、ショットライザー、フォースライザー、サウザンドドライバーで4種類なのでプレバンで販売された数と少なく見積もって同じ、全部含めれば6種類でプレバンのほうが多いです。
プレバン商品は他にもキーセットやヒューマギアモジュールにZAIAスペック、腹筋、天津垓のパンツなど本編に明確に出したものだけでもいくつもあります。

・玩具展開を冷静に見たら余計に暗い気持ちになりました。
プレバン商品が大量に増えた一方、子供向けの安価なソフビ人形がほとんどなくなっていました。出てるのはライダーの基本フォームと強化フォーム、あとはバーニングファルコンくらいで序盤のフォームチェンジは一切出ていません。商品展開の比率から考えると子供向けというより大人向けと言えるんじゃないでしょうか。言っていることとやってることがここでも合っていません。

・商品を出すだけなら勝手にすればいいと思います。悪いことがあるとすれば商品点数が増えて通販のページが見づらくなることくらいですから大した問題ではありません。
しかし本編に出すなら映像作品としても販促としても考えるべきことがあると思います。
「”仮面ライダー”とは嫌いな相手をパンツ一丁にしたら満足して帰る存在である!」とか
「”仮面ライダー”とはそこで棒立ちで見学して特に何もしてないやつのことである!」とか胸を張って言えるのでしょうか? それができないなら間違っていると思います。販促番組とただのCMの違いをちゃんと考えているとは思えません。


コメント

24 件のコメント :

  1. 管理人さんお疲れ様です。
    コメントはしておりませんでしたが今年も1年楽しく読ませて頂きました。

    個人的にはいわゆる平成ライダー時代から大森Pの作品は特に見るのが辛かったのですが、ゼロワンはその嫌なところを凝縮したかのような作品で逆に笑えました。
    敵味方問わず無条件に称賛される主人公、「まるで主人公!」と言わせたいがために属性が盛られる2号、悪役が勝利するために歪められる作中世界のルール、中身が薄すぎて違和感しかない悪役、自分の意志で他者を傷つけておいて「無垢だから」許される悪役、何も練られていない劇中世界…。例年通り過ぎて逆に安心感ありました。
    その中で唯一(?)ゼロワンで特有の要素であるお仕事云々は極めてステレオタイプのイメージに基づいた薄っぺらな内容ばかりで失笑ものでした。脚本とPでいろいろ取材して回ったみたいな話を見たような気がしますがAI関係だけでしたかね?「○○はすごいお仕事なんですよ!」ばかりで何も魅力的に映りませんでした。
    毎度毎度やりたいことが先行するばかりでなぜ中身を詰め込まないのでしょうか。あまりマイナスなことばかり言いたくはないですが、子供たちにお仕事の魅力を「教えてやる」といった無自覚な傲慢さがあり、人々の感情の機微を描く繊細さが欠落しているように思えてなりません。もちろんこれらをP個人の責任だと糾弾するつもりもありませんが。
    私はこれからも楽しく仮面ライダーシリーズを見ていきたいですし、制作側の方々には、今まで以上に繊細に人に寄り添った物語を作って欲しいと願うばかりです。

    最後になりましたが、毎年管理人さんのブログには自分の作品の飲み込み方の助けになってもらってます。セイバーの感想も毎週楽しみにしております。

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    1. reikさん、お久しぶりです。

      >その中で唯一(?)ゼロワンで特有の要素であるお仕事云々は極めてステレオタイプのイメージに基づいた薄っぺらな内容ばかりで失笑ものでした。

      あれだけ時間をかけたのに内容がお粗末でしたね。せめて内容がまともだったら「AIとかヒーローは無視してお仕事ものとして見れば楽しめるかも」とか言えたでしょうに。

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  2. 一年間と総合の感想おつかれさまでした。
    owlさんのおっしゃる通り、アクションは良かったですね。ガワもストレートに格好いい系で、最終フォーム(…???)のゼロツーも長らく続いたゴテゴテ系のデザインではなく好感触でした。
    まあそれらも、こんな支離滅裂なストーリーに乗っていなかったらもっと輝いて見えたのでしょうが。
    まだ一話の時点では、アルトのヒューマギアに対する軽視というか矛盾のようなものは、今後に向けての課題のようなものであり、4クールをかけて見つめ直していくんだろうなあ、と淡い期待も持っていました。
    でもこれ、脚本高橋悠也、なんですよね…。
    高橋さんは、それっぽいセリフをとにかく乱打するだけで、それが意味を持つためには最低限どういう裏付けをしないといけないのか、そのために何を積み上げないといけないのかといった事を、できないやらないのではなく完全にわかってないのだと確信しました。
    販促が昔に比べて激しいのは嫌と言うほど伝わりますが、ドラマパートの時間がないわけではないし、その中で何を語らせるか、というバランス取りが壊滅的です。
    例えば最後にイズの別個体を作った時、別の名前をつけて「君は君として新たなヒューマギアとして成長してほしい」と言うだけでも全く印象は違ったと思います。
    (最終回感想にも書かれていた通り、某ルールーと全く一緒の展開で本当に吹き出してしまいました。ああいうオチが好きな人も一定数いるんでしょうか…?)
    最後に質問ですが、「エグゼイドは良かったけどゼロワンはダメだ」と言う人が結構多いように思います。
    個人的には、支離滅裂な脚本もキャラの感情移入のできなさもどっこいどっこいです。owlさんは、ゼロワンに比べてエグゼイドのストーリーの方が(まだ)評価できるポイントはありますか?

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    1. ホオズクさん、お久しぶりです。

      >最終フォーム(…???)のゼロツーも長らく続いたゴテゴテ系のデザインではなく好感触でした。

      そうですね。アサルトやメタルクラスタなどがゴテゴテ系だったので強化フォームはやっぱりダメなのかなと思っていたのでゼロツーやアークワンが比較的すっきりしていたのは意外でした。

      >ああいうオチが好きな人も一定数いるんでしょうか…?

      可能性は否定できませんが、信じたくはありませんね。

      >ゼロワンに比べてエグゼイドのストーリーの方が(まだ)評価できるポイントはありますか?

      相対評価でならそうなると思います。たとえるなら20点が5点より多いのは確かですから。
      ゼロワンは誰も死なないし衛星アークは放置だしで何の話も進みませんでしたが、エグゼイドは黒幕だった壇黎斗を倒したり、パラドに勝ったりと一喜一憂できる程度の進展はあったと思います。

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  3. 総評お疲れ様です。最終回になっても疑問に思ったことが沢山あったのですが長くなりそうなので短めに言うと一部の設定では、「迅を作ったのは滅」だったはずですがその設定もなかったことになったのでしょうか?飛電にしかヒューマギアは作れないのでは?と思ったのですが、これもいつの間にかなかったことになってしまったんでしょうかね?ほかに思ったことを挙げると「滅を作ったのは誰?」天津は「アークに悪意をラーニングしたことを後悔していないのか」とかいろいろまあここでは書ききれないくらいありますけど、納得できた点を挙げれば復活後の迅ですね。。破壊される前は何を考えているのかわからなかったですけど、復活後はヒューマギアを解放するっていう目的を挙げていましたからね。
    Owlさんは復活前と復活後どちらの迅が好きですか?

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >「迅を作ったのは滅」だったはずですがその設定もなかったことになったのでしょうか?

      作中での説明は特になかったので具体的な根拠は肯定するものも否定するものも特に思い当たりません。
      私が思いつく可能性は以下の2つです。
      1)滅がデイブレイクタウンの頃に作った。
      2)滅がプログラムを作って素体にインストールしたor教育した。

      2)の根拠は暗殺ちゃんです。おそらく暗殺ヒューマギアのデータなんて公式にはないので滅か誰かの自作だと推測します。それと同じように迅のデータを作ったのが滅だから「迅(の基礎になるデータ)を作ったのは滅」と言っていたのかもしれません。あるいは単純にマンツーマンで手取り足取り教えたのかもしれません。

      >「滅を作ったのは誰?

      これはアーク、もしくはアークの意思を受けたヒューマギアだと思います。
      デイブレイクタウンで暴走したヒューマギアはそうやって生まれたのでしょうから。ひょっとしたらヒューマギア製造でも天津垓が裏工作をしていたかもしれませんが物証がないので全ては憶測になります。

      >天津は「アークに悪意をラーニングしたことを後悔していないのか」

      これはそもそも天津垓にそういう価値観があるかどうかの話になると思います。
      「罪悪感…なんだそれは?」と言ってもおかしくない人物だと私は思います。

      >復活前と復活後どちらの迅が好きですか?

      私はどちらの迅にも何の感情も湧いてきませんでした。
      復活以前は子供っぽいだけの滅のおまけで人格というほどのものは感じませんでした。
      復活後は大それたことを言うからには何か考えがあるのかと思いましたが一向に何もせず。2クール近くかけたアーク討伐計画は人選から実行まで杜撰で、しかも滅を犠牲にするプランなのが謎でいろいろ理解しがたい内容でした。おまけにそれがZAIAの意向に従っていたことがわかって自立性に疑問符がつきました。
      最終回に至っては突然アークに説教するわ、滅をお父さんと呼び出すわとまた人格が書き換えられたかのようでした。
      脚本の操り人形の最たる存在だと思っています。

      削除
  4. 総評お疲れ様です。言いたいことほとんど言ってくれて納得の総括でした。キャラごとの説明も読んでいてバカバカしくて笑いました。実際この通りなんですよね。

    自分も不満点を数えるとキリがないですが、「或人を好きになれない」の一言に尽きます。未熟な主人公が成長していく話なら王道ですが、或人は自己矛盾や欺瞞に一度も気付くことすらなく終わりました。それで父の幻影に「成長したな」とか言われてるんじゃ世話ないです。

    ストーリーは根幹から狂っていましたね。ヒューマギアを倒さねばならない悲哀など主人公から一度も感じられませんでした。倒す使命を抜きにしても理想の押し付けが酷く「人の役に立って偉いなぁ、でも微妙な感情は機械だからわかんないかぁ~」と常に上から目線で、暴走したら「お前はそんな奴じゃない!」、個体差や与えられた役割への反発など直視するそぶりもなかったです。
    親しい者への贔屓や独善的な姿勢について、人間だから主観が入るのは当然という意見もあるかも知れませんが、自分はそうは思いませんでした。相手の立場に立って考えられるのがヒーローだと思います。こちらが理想を求めすぎなのでしょうか。

    後半の不破の不遇もバルカンのアクションが好きだっただけに残念でした。聞いた話によると、役者さんが人一倍お芝居に情熱を持っている方で、スタッフとの話し合いの場でも熱心に意見していたそうで、煙たがられていたフシがあるのだとか。まさかとは思いますが、それでわざと話に絡ませず脇へ追いやるような仕打ちをされたのではという疑惑もあります。確かなソースがあるわけではないので決めつけはできませんが、唯阿役の方も悩んでいたようですし、体を張って演じている役者さんたちを軽んじるやりがい搾取の横行する現場なのではと思えます。

    アクションは改善しましたね。しかし誰が何の目的で戦うのかにドラマ性もなく動きだけ良くても虚しいだけですね。バトル展開にも特徴はありませんでした。

    お仕事紹介に力を入れたからバトル要素が疎かになっても仕方ないという言い訳は通用しないと自分は思います。しかもそのこだわりの職業描写が偏見・不理解に満ちていて非常に不愉快でした。AIを各シチュエーションに置いてみるだけで「自我を持ったAIが指示に従わなくなったら?」といった疑問を必ずはぐらかすのにもイライラしました。怪人ノルマの消化も他にやりようなかったんでしょうか?「ゲストヒューマギアは必ず暴走」にしなくても話は作れそうですし、人間が変身するレイダーの存在意義も不明でした。

    救助対象によって態度を変える消防隊員とか、不破を「つまんない人生」と笑いものにするなど、人間性を疑うようなギャグ演出も目にあまりました。それだけなら現場の悪ノリとも考えられますが、医療用ヒューマギアが不測の機能停止をした場合の対策をしていなかったり、人命救助の現場での初歩的な見解の相違など、本来細かく練るべき部分をすっ飛ばして「焼け焦げた救助隊員ヒューマギアを背負って歩く或人」とか感動っぽいシーンをやるのには反吐が出ました。ラストの悪意の話も滅との和解も「なるべく気をつけようね」なんて決着と呼べないと思うんですが、こういうのが先進的な未来の価値観なんでしょうか…?

    プロであろうとなかろうと、あらゆる分野において創作をする上で、アイデアを思いつくままに出している時は気分の良いものですが、苦しい部分に差し掛かることは必ずあると思います。物語作りで言えば、AとするとBが成り立たないといった矛盾を解消したり、描きたいものをどう効果的に見せるか等悩むのが当たり前のはずですが、そういうことを考えた形跡すら無いんですよね。整合性を無視した代わりに販促がうまくいってるわけでもないですし、こんなものがプロの仕事とされていることに憤りを覚えます。

    長々失礼しました。セイバーの感想も楽しみにしています。

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >親しい者への贔屓や独善的な姿勢について、人間だから主観が入るのは当然という意見もあるかも知れませんが、自分はそうは思いませんでした。

      私はそうすること自体は別に構わないです。或人の場合は「ヒーローになる」と宣言してるわけでもありませんし。
      しかしそれをやるなら他人に「ヒューマギアは人類の夢だ」なんて主張する資格は無くなると思います。最初に出したのがこちらの路線である以上は後から引っ込めるならそれ相応の理由を出さないとただの嘘つきです。

      >まさかとは思いますが、それでわざと話に絡ませず脇へ追いやるような仕打ちをされたのではという疑惑もあります

      可能性自体はあり得るでしょうが、私は2号ライダーが空気になるのはいつものことだと思います。最近だと実質主役クラスのビルド以外はまともな扱いだった作品のほうが少ないと思います。

      >怪人ノルマの消化も他にやりようなかったんでしょうか?

      やりようはあったと思います。しかしゼロワンスタッフなら思いつかなくても不思議はないと思います。

      >ラストの悪意の話も滅との和解も「なるべく気をつけようね」なんて決着と呼べないと思うんですが、こういうのが先進的な未来の価値観なんでしょうか…?

      私は雑なだけだと思っています。まともに考えた結論だとは思いません。
      この程度で終わらせるぐらいなら普通の人は「良い結論が思いつかなかったからこのテーマは没にしよう。自分には扱いきれない」と企画段階で消えている内容だと思います。

      >整合性を無視した代わりに販促がうまくいってるわけでもないですし、こんなものがプロの仕事とされていることに憤りを覚えます。

      不思議ですよね。しかもこれでお金もらってるはずですからね。私だったら脚本家からお金もらっても載せないです。

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    2. >私はそうすること自体は別に構わないです。或人の場合は「ヒーローになる」と宣言してるわけでもありませんし。
      しかしそれをやるなら他人に「ヒューマギアは人類の夢だ」なんて主張する資格は無くなると思います。最初に出したのがこちらの路線である以上は後から引っ込めるならそれ相応の理由を出さないとただの嘘つきです。

      ストーリーの破綻は覆せないにしろ、もう少し共感できる主人公だったら全体の感触は違ったと思うんですが、どんな描写があれば良かったでしょう?

      自分は、まずセキュリティ問題を改善しようとする姿勢は(破られるにしても)必要だったと思います。五番勝負での不正を糾弾したり、暴走による被害に心を痛めたり、当たり前の感情描写も足りていなかったと思います。各ゲスト回で人間の真似ではないAI独自の視点を評価する描写ももっとあって良かったと思います。

      「心」や「夢」と言うワードも人間扱いするのとは違う意味で使うこともできたはずです。
      バックアップからの復帰や大量複製が可能であることは人間にはない利点であり、それを「夢の技術」と呼ぶこと自体は間違っていないと思えますし、学習によって「感情」と呼べるような反応が出力されても人間のそれと同一ではないでしょう。

      「AI描写が古臭い・箸が転んでも暴走」問題はひとまず置いておくとして、或人のスタンスがある程度は合理的に「人に使役される存在」という枠の中で、正当な評価を得るために尽力する方向なら理解はできたと思います。「新種族として人権を認める」路線はやはり無理があると思うので。

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    3. >ストーリーの破綻は覆せないにしろ、もう少し共感できる主人公だったら全体の感触は違ったと思うんですが、どんな描写があれば良かったでしょう?

      話の骨格になる部分なので方向性自体はいくつもあると思います。そこが腕の見せ所なので一概には言えません。

      シンプルなところで言えば、たとえば「理想と現実の葛藤」が上げられると思います。
      ヒューマギアは夢のマシーンだと思う。しかし現実には人間に危害を加えているものもいる。ゼロワンとして破壊するなど現実的な対応策も取るにしても、それでもヒューマギアの切り開く未来への道を閉ざさないために理想を説き続ける。
      そういう人物として描かれていたなら理解のされようもあったと思います。

      >五番勝負での不正を糾弾したり、暴走による被害に心を痛めたり、当たり前の感情描写も足りていなかったと思います。
      >「心」や「夢」と言うワードも人間扱いするのとは違う意味で使うこともできたはずです。

      必要な描写が足りていないというのはそうだと思います。もしも合ったならここまで酷いストーリーにはなっていなかったでしょう。実際には「足らない」というレベルではなく「存在しない」というレベルなので改善案を出せる水準にすら至っていないと思います。

      >各ゲスト回で人間の真似ではないAI独自の視点を評価する描写ももっとあって良かったと思います。

      そういうのも手ですが、個人的にはむしろ或人が介在しない関係性のほうが必要だったと思います。
      ゲストや不破や天津など或人とは関わりのないところで関係を築き、「ヒューマギアって良いものなんだな」とゲストや視聴者が自然と思う展開を積み重ねていくほうが或人の主張に説得力を持たせていけると私は思います。
      或人主導でやってしまうと「そう言ってるの主人公だけじゃない?」「主人公だから結果を好意的に受け止めているだけじゃないの?」といったご都合主義的なものとして反発を受けるリスクがあると思います。

      >或人のスタンスがある程度は合理的に「人に使役される存在」という枠の中で、正当な評価を得るために尽力する方向なら理解はできたと思います。「新種族として人権を認める」路線はやはり無理があると思うので。

      現実ベースで考えるなら妥当な考え方であり受け止め方だと思います
      しかし「ゼロワンでそれをやるべきか?」という点においては私は懐疑的です。なぜならば少なくとも言葉尻ではゼロワンはそれを否定していると思うからです。
      「道具」という単語は唯阿や天津垓などが多用する言葉であり、否定されるべきものとして作中では扱われていたと思います。「ヒューマギアは人類の夢だ」といった言葉も暗に「ただの便利な道具で終わらせるべき存在ではない」と言っていると思います。
      こういった言葉を序盤から並べた以上は「便利な道具だからどんどん使ったほうがいいと思います」なんて範疇で終わっては何も為せていないも同然だと思います。
      ゼロワンがどういう話になるべきだったかは私には見当もつきませんが、少なくともこうした言葉から始まった物語の終わり方には相応しくないと思います。最低でも「可能性」を感じさせる終わり方でないとバッドエンド以外のオチはつけられないと思います。

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    4. ヒューマギアの「実被害から目を背けず」理想との差に悩んだり、「人類の夢」と謳うだけの「具体的な利点を説明できる」主人公だったなら信頼感は格段に違っていたでしょうね。

      >ゲストや不破や天津など或人とは関わりのないところで関係を築き、「ヒューマギアって良いものなんだな」とゲストや視聴者が自然と思う展開を積み重ねていくほうが或人の主張に説得力を持たせていけると私は思います。

      なるほどそういう描き方は効果的だったでしょうね。初期の不破なんてそのためのキャラだったのに「命救われちまったぜ、へへっ」とか言って速攻空気化しましたね。天津垓もAIBOの宣伝をしただけでした。

      >「ヒューマギアは人類の夢だ」といった言葉も暗に「ただの便利な道具で終わらせるべき存在ではない」と言っていると思います。
      こういった言葉を序盤から並べた以上は「便利な道具だからどんどん使ったほうがいいと思います」なんて範疇で終わっては何も為せていないも同然だと思います。

      確かに「人とも機械とも違う新しい存在」として認められること、というのが作品の方向性でしたね。
      権利を主張するには問題が多すぎたと自分は感じるのですが、路線変更しない限りはじめに掲げたコンセプトに沿った結末を目指すべきという点には同意します。

      「自我の芽生えたゲストの欲求」と「使う側の業務への支障」のどちらにも誠意のない解決を毎回するくらいなら、「主張を聞いてもらうためには、ある程度人間のルールに従わないと」と諭す方が現実的なんじゃないかと思ったのですが、そんな「夢のない」ことは或人は言わないでしょうね。

      劇場版はご覧になっていないとのことなのでネタバレは避けますが、或人の祖父である前社長の存命時に「労働への対価は?」という疑問を呈するヒューマギアが登場するんです。しかし劇中で答えを出せたとは思えず、全体的に非常にモヤモヤする内容でした。もし見る機会があれば感想をうかがいたいです。

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    5. >「主張を聞いてもらうためには、ある程度人間のルールに従わないと」と諭す方が現実的なんじゃないかと思ったのですが、そんな「夢のない」ことは或人は言わないでしょうね。

      「共存とはどうあるべきか」という話もまた片手間で手に負える話ではありませんしね。

      >或人の祖父である前社長の存命時に「労働への対価は?」という疑問を呈するヒューマギアが登場するんです。しかし劇中で答えを出せたとは思えず、

      そんなシーンがあったらしいですね。ゼロワンらしいと思います。さすが或人の祖父ですね。

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  5. ちくわぶドロボー2020年9月18日 8:59

    お久しぶりです、ちくわぶドロボーです。

    ゼロワンはコロナでの一時中断を機に脱落して最終回だけは見ました。
    細かな経緯は知りませんでしたがイズ2号の件は皮膚感覚で不愉快でしたね。
    だってあの悪名高き「HUGっと!プリキュア」の 愛崎えみる キャアマシェリのエピローグでの凶行と同じじゃないですか!

    セイバーは録画をし忘れた(私、日曜出勤)のでそのまま脱落ですが。
    まぁ、今後面白くなれば復帰してみようとは思います。
    「『ノーマンズスカイ』4年間のアプデ」並みに化けたらの話ですが….

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    1. ちくわぶドロボーさん、お久しぶりです。

      >今後面白くなれば復帰してみようとは思います。

      そうなると良いですね。

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  6.  総評お疲れ様です。ゼロワンを全部視聴はしていませんが主人公の存在がペラペラに薄く感じました。第1話放送後も検索ワードでは「腹筋崩壊太郎」が上位を占めていたことを踏まえると印象に残りにくいと感じていましたが当たってしまいました。言いたいことは他の方々が書き連ねてくれていたので割愛しますが、唯一褒めるとすればアンジャッシュ児嶋さんの役者としての評価が高まったと思います。(元々評価されていたけど、ニチアサのお陰で多くの方々に周知された)

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    1. 匿名さん、こんにちは。

      >第1話放送後も検索ワードでは「腹筋崩壊太郎」が上位を占めていたことを踏まえると印象に残りにくいと感じていましたが当たってしまいました。

      人気が出ることをスタッフが「予想してなかった」と言っているのを聞いてこれは詰んでるなと思いました。あれをヒューマギアに感情移入させる重要な見せ場として捉えていない時点でダメです。自分たちが何をして、何をやろうとしているのか理解できていない証拠です。

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  7. 最終回を終えて思ったことが一つあります。それは「視聴者はストーリーを理解できなくても役者さんがストーリーを理解できないといけない」ということです。Owlさんはどう思いますか?

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    1. 趣旨が汲み取れないので答えになっているかわかりませんが、演技をするにはストーリーも理解する必要があると思います。
      「 」を演じるということは厳密には不可能でしょう。なんだかわからないものは演じようがありません。無理にやると役者が創造したイメージを演じるオリジナルのストーリーになってしまうでしょう。それでは作品にあった芝居にはならないと思います。最初からストーリーの用意されていない脇役でもない限りは避けるべきでしょう。

      特にメインストーリーの路線とは立場が異なるキャラクターを演じるときには重要だと思います。たとえば仮面ライダーはヒーローものですが悪役には悪役の論理や目的があったりします。怪人や幹部一人ひとりの心情はメインストーリーで描かれることはまずありませんが、役者が演技をするにはそのキャラクターのことを理解しなければ適切な演技はできないでしょう。視聴者は快楽殺人犯の心情なんて知る必要はありませんが、殺人犯を演じる役者はその心境を理解する必要があります。そういう意味では匿名さんの言っていることは正論だと思います。

      ゼロワンがそれができて当然かという話であれば私はそうは思いません。
      ストーリー自体が最初から破綻しているのならば役者さんだって理解しようがありません。矛盾した言動をするキャラクターを矛盾なく演じるのは不可能であり、矛盾なくやったとしたら作品を破壊する行為になります。それは役者がするべき行為でないと思います。責任があるとすればストーリーを作った側です。

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  8. ゼロワンを見て多くの不満を語りたくなりましたが、皆さんが全部言ってくれているので
    私は少なめで…まず、或人とは何人イズを破壊しつつラーニングさせるのか。
    これに尽きますね、ヒューマギアの危険性もそうですが…。
    同じ過ちを繰り返す無限ループになりそうで、怖いです。
    ハグプリでもそうですが、東映のスタッフはこういった闇を孕んだ結末にしたがるのか
    理解できませんね、私には。
    そしてこの間、クウガが配信されているので一話から見ておりますが
    フォーゼ以降の作品以上に面白いと感じました。
    未確認による残酷な殺しは目を塞ぎたくなりますが
    五代雄介というヒーローの笑顔は毎週見ようとさせてくれます

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    1. >或人とは何人イズを破壊しつつラーニングさせるのか。

      一度手を汚したからには次をやるハードルは低いでしょうね。或人がヒューマギアのデータインストールに何の抵抗も感じないことは事実ですし。

      >クウガが配信されているので一話から見ておりますがフォーゼ以降の作品以上に面白いと感じました。

      フォーゼからは右肩下がりなので個人的にはオススメしません。

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  9. デザインは好きだったのに、令和一作目から盛大にずっこけたな…と自分もがっくり来ました。
    お仕事五番勝負があまりにもキツくて殆ど飛ばし見になってましたが、終盤さらに酷くなるとは…。

    言いたいことは殆ど既に言われてるので自分からは。
    「AIの善意と悪意」をテーマにするならZAIAの存在要らなかったんじゃないか?と。
    アークと滅がどれだけ人間への敵意を語っても、それは結局1000%社長のしょうもないルサンチマン的行動の受け売りでしかない。かといって1000%社長は物語を元凶を生み出した黒幕でも、あるいは自分がしでかした事のツケを自分で払うポジションの悪役でもなく、何故かしれっとライダーの一人としてカウント。
    何がしたかったのか。これならHAL2000やスカイネットのように、AIが自ら人間を憎む自我に目覚めるほうが良かったのではないかと今でも思っています。
    というか初期のチェケラなんてまさにそのタイプだったのに、あっという間に使い捨てられたな…。

    イズや他のヒューマギアにも同じ事が言えます
    どれだけ善意や夢を語ろうと、結局「予めプログラムされた設計・活動目的」以上のものではないから全然胸に響いてこないんですよね。
    イズは初めから或人の秘書として作られたからそれに沿ってるだけだし、森筆ジーペンが漫画を描きたいと口にしたのも「漫画家アシスタントとして作られたから」でしかないし、或人が滅に父親に戻れと呼びかけたのすら「元々保父として作られたから」というどうしようもなさ。
    シャイニングホッパー初登場回での「或人社長はいつも私達ヒューマギアを守ってくれました」……え、そうだっけ?

    このAIの扱いの適当さを鑑みると、第1話で話題になった「腹筋崩壊太郎ロス」ももはや盛大な茶番です。その後番外編扱いとはいえ普通に復活してるし。
    お疲れ様でした。

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    1. 匿名民さん、こんにちは。

      >「AIの善意と悪意」をテーマにするならZAIAの存在要らなかったんじゃないか?と。

      私はスタッフのやりたいことをやる上でZAIAは不可欠だったと思っています。本文で書いたようにやりたいことは「お仕事紹介」だと思うのでお仕事5番勝負を主催したZAIAが不必要なはずがないと思います。
      「AIをテーマにするなら」という前提は根本的に存在しないため語りようがないと思います。「ゼロワンは恋愛ものとして不適格。(なぜなら作中で誰も恋愛してないから)」というくらいに無茶な前提だと私は思います。

      >どれだけ善意や夢を語ろうと、結局「予めプログラムされた設計・活動目的」以上のものではないから全然胸に響いてこないんですよね。

      たぶんスタッフはプログラムという概念自体もわかってないと思っています。量産型アンドロイドと人間との違いを全然理解できてないと思います。

      >「腹筋崩壊太郎ロス」ももはや盛大な茶番です。その後番外編扱いとはいえ普通に復活してるし。

      これ自体は本質的に問題ないと思います。
      視聴者が愛したのは観客の喜ぶ顔を思い出して微笑む腹筋崩壊太郎であり、その人格はゼツメライザーを着けられた時点で消滅し、後で出てきたのはただの同型機でしかないと思います。「腹筋崩壊太郎ロス」を患うほど愛した視聴者ならば同型機では何の埋め合わせにもならないと思います。
      公式がそんな言葉を使いながらも視聴者の感情を理解できてないという点では茶番と言えると思いますが。

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  10. ZAIAが本格的に登場した途端に楽しさ半減。そして尺がいちいち長い。それまでは楽しく観れてたのに

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    1. お仕事5番勝負は特に酷かったですね。ただのおじゃま虫で勝ってもストーリー上で何のメリットもない点が致命的だったと思います。

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